※本記事は、空港施設株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
空港施設グループは、空港内不動産事業、空港外不動産事業、空港内インフラ事業、その他の事業を主な事業内容としています。同社グループは、空港関連施設やその周辺における不動産賃貸、インフラ運営などをグループ各社とともに展開しています。
単体従業員数は114名、連結従業員数は131名です。同社グループの事業セグメントは、空港内不動産事業、空港外不動産事業、空港内インフラ事業、その他の事業の4つです。
主な国内グループ会社は、東京空港冷暖房(空港内インフラ事業)、AFCアセットマネジメント(空港外不動産事業)、AFC商事(その他の事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
空港施設は、空港関連事業を基盤とし、安定した事業運営を行っています。社員の働きがいや健康を重視し、多様な働き方を支援する制度を導入していることが特徴です。長期的な視点でのキャリア形成を支援する環境が整えられています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、社員が長期にわたって安定して働き続けることができる環境が整備されていることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,119,857円 |
| 平均勤続年数 | 15年6ヶ月 |
| 平均年齢 | 43歳8ヶ月 |
| 単体従業員数 | 114人 |
| 連結従業員数 | 131人 |
| 単体のグループ内比率 | 87.0% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職給付債務は7.6億円、年金資産は10.5億円となっています。なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、中長期経営計画の重点施策実現のため、人的資本経営を重視し、意識改革と人財育成に取り組んでいます。社員が自ら考え行動する自律的な人財集団を目指し、「人財育成・意識改革プロジェクト」を立ち上げ、社内説明会や勉強会を実施しています。
従業員の給与は、年齢や経験、職務遂行能力に加え、同社の業績や社会水準を総合的に考慮して決定されています。社員一人ひとりの多様性を認識し、高いエンゲージメントを持って働き続けられるよう、様々なアプローチで人財育成を進めています。
役職員の個性や能力を発揮できる社風を推進するため、継続的な働き方改革と持続的な成長に向けた人財戦略に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休業の取得率(目標) | 60%以上 |
| 配偶者の出産による特別休暇の取得率(目標) | 100% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇の平均取得日数 | 15日 |
| 月平均の所定外労働時間 | 15時間 |
| フルタイム従業員1人あたりの時間外・休日労働(月間)(目標) | 20時間未満 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用 | 4名 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
空港施設は、空港内外の不動産事業とインフラ事業を主軸に、多角的なサービスを提供する企業グループです。航空業界の発展と魅力ある街づくりに貢献することを企業理念としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、空港内不動産事業、空港外不動産事業、空港内インフラ事業、その他の事業の4つの報告セグメントで事業を展開しています。これらの事業を通じて、空港の機能維持と周辺地域の活性化に貢献し、収益を上げています。
空港内不動産事業
空港内不動産事業は、空港内における不動産の賃貸などを主な事業内容としています。収益は、既存物件の賃貸条件の見直しや新たなテナントの誘致による賃貸収入の増加から得ています。
空港外不動産事業
空港外不動産事業は、空港外における不動産の賃貸やノンアセット事業を展開しています。収益は、事務所ビル(販売用不動産)の売却や、前期に取得した事務所ビルの通年稼働による賃貸収入の増加から得ています。
空港内インフラ事業
空港内インフラ事業は、東京国際空港や新千歳空港における給排水運営事業、東京国際空港内における共用通信事業、地域冷暖房の供給事業(熱供給事業)を行っています。収益は、熱供給事業における冷温熱の基本料金改定や給排水運営事業における給排水使用量の増加から得ています。運営は、東京空港冷暖房が行っています。
その他の事業
その他の事業は、海外事業、太陽光発電事業、その他のリース事業などを展開しています。収益は、太陽光発電設備の譲渡などから得ていますが、一部の事業譲渡により売上高は減少しています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。主要な顧客としては、日本航空、日本空港ビルデング、全日本空輸が挙げられ、これらの顧客への売上高が同社グループの総販売実績に占める割合は比較的高い水準にあります。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 空港内不動産事業 | 169億円 | 173億円 |
| 空港外不動産事業 | 63.7億円 | 113億円 |
| 空港内インフラ事業 | 70.8億円 | 74.6億円 |
| その他の事業 | 7.8億円 | 7.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、直近の当連結会計年度にかけて大きく伸びています。特に当連結会計年度は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前年同期比で大幅な増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 238億円 | 255億円 | 260億円 | 311億円 | 368億円 |
| 経常利益 | 29.6億円 | 21.2億円 | 31.8億円 | 46.3億円 | 71.3億円 |
| 経常利益率 | 12.5% | 8.3% | 12.2% | 14.9% | 19.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.2億円 | 15.6億円 | 20.2億円 | 25.8億円 | 34.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 16.45 | 31.28 | 40.27 | 51.27 | 69.61 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加傾向を示しており、組織全体の生産性が向上していることがうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と効率的な事業運営が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 253.0百万円 | 280.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 36.3百万円 | 51.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
空港施設は、本業で安定した資金を創出し、将来に向けた投資余力も確保している財務基盤を持つ企業です。現在の財務状況から、同社グループの経営の安定性について見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
空港施設の財務基盤は、自己資本比率と手元資金の厚みによって安定しています。当期の自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しており、強固な経営基盤を示しています。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、現金及び預金は前期から増加しており、事業運営における資金の安定性がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 626億円 | 644億円 |
| 自己資本比率 | 55.1% | 54.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.4% | 5.7% |
| 現金及び預金 | 71.6億円 | 132億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
空港施設のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは収入となり、前期から増加しています。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、減損損失の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは支出となり、固定資産の取得による支出があったものの、前期に比べて支出が減少しています。財務活動によるキャッシュフローは支出で、配当金の支払いや自己株式の取得によるものです。
結果として、本業で得た資金が投資を上回るフリーキャッシュフローはプラスとなっており、事業活動で安定的に資金を創出している優良な状態を示しています。この安定した資金の流れは、同社グループの持続的な成長と、従業員の雇用・給与の安定性につながる基盤となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 52.4億円 | 99.4億円 |
| 投資CF | △34.2億円 | △18.9億円 |
| 財務CF | △56.6億円 | △20.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 18.2億円 | 80.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、日本航空、全日本空輸、日本空港ビルデングの3社が売上の33.4%を占めるなど、特定の取引先への依存度が高い状況です。航空需要の低迷や重要顧客による事業合理化が行われた場合、不動産の入居率低下や熱供給・給排水の利用量減少等の影響が想定されます。
また、空港の設置管理者である国や行政当局、空港会社の空港計画や運営方針の変更も、同社グループの事業計画や経営・財務状況に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
空港施設は、企業理念に基づき、航空の未来と魅力ある街づくりに貢献することを目指しています。サステナビリティを経営戦略の中核に据え、持続的な成長と社会貢献を両立する企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「私たち空港施設グループは、価値ある施設とサービスの提供を通じて、航空の未来と魅力ある街づくりに貢献します。」という企業理念を掲げています。この理念のもと、SDGs及びESGに関する課題に対応し、持続的な成長と持続可能な豊かな社会の実現に向けて行動することを基本的な方針としています。中長期経営計画に基づき、収益基盤と経営基盤の強化を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティに関する課題への対応を重要な経営課題と位置付け、事業活動と一体となった取り組みを展開しています。ステークホルダーの様々な要請や期待に応えるため、事業課題に限定せず広く社会課題の解決を含めてサステナビリティへの取り組みを推進しています。人財を重視しており、社員一人ひとりの役割が重要であると認識し、人財育成・意識改革プロジェクトによる社内説明会や勉強会を実施しています。役職員の個性や能力を発揮できる社風を推進するため、継続的に働き方改革を推し進め、持続的な成長に向けた人財戦略に取り組んでいます。
また、コーポレート・ガバナンス体制の整備と運用を重要課題とし、経営監督と業務執行の役割を明確化し、経営の透明性に努めることを基本としています。コンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会等を通じて、業務遂行における課題抽出や対応に取り組み、ガバナンスの一層の強化を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、収益基盤と経営基盤の強化を重要な経営課題と認識し、中長期経営計画に基づく取り組みを着実に推進しています。資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として、事業戦略の着実な遂行と資本施策の継続的な実施を重要な経営課題と位置付けています。サステナビリティに関する課題への対応も重要な経営課題であり、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の対応項目及びKPIを定め、リスクと事業機会の両面からサステナビリティ推進の着実な実現に取り組んでいます。
人財育成にも力を入れており、社員一人ひとりの多様性を認識し、活き活きとエンゲージメント高く働き続けられるよう、様々なアプローチで人財を育成していく方針です。働く環境づくりとして、フレックスタイム制度や在宅勤務制度などを通じて、社員が健康で長く働き続けられるよう健康経営にも注力しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役8名と監査役4名で構成される体制で経営を監視しています。取締役会は経営方針や重要事項を決定し、監査役会は監査報告の作成や監査方針の審議を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの主要株主には、航空関連事業会社が上位を占めています。日本航空とANAホールディングスが同率の筆頭株主であり、日本政策投資銀行も上位株主の一角を占めています。特定の事業会社が上位に並ぶことで、同社グループの事業との関連性がうかがえる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本航空 | 21.30% |
| ANAホールディングス | 21.30% |
| 日本政策投資銀行 | 14.01% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性9名・女性3名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は田村滋朗氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田村 滋朗 | 代表取締役社長執行役員 | 2017年6月同社取締役上席執行役員施設管理センター所長、2020年6月同社常務取締役、2022年6月同社取締役常務執行役員を経て、2023年6月より同社代表取締役社長執行役員現職。 |
| 三宅 英夫 | 代表取締役副社長執行役員 | 2020年4月全日本空輸株式会社取締役常務執行役員、2022年4月ANAホールディングス株式会社上席執行役員、2023年4月同社参与を経て、2023年6月より同社代表取締役副社長執行役員現職。 |
| 西尾 忠男 | 代表取締役副社長執行役員 | 2017年4月日本航空株式会社常務執行役員経営企画本部長、2021年4月同社常務執行役員旅客営業本部長、株式会社ジャルセールス代表取締役社長、2022年4月株式会社ジャルパック代表取締役会長を経て、2023年6月より同社代表取締役副社長執行役員現職。 |
| 笹岡 修 | 取締役常務執行役員 | 2021年7月同社経営企画部長、2022年6月同社企画・ファイナンス本部経営企画部長、2023年6月同社取締役執行役員、2024年6月同社取締役上席執行役員を経て、2025年6月より同社取締役常務執行役員現職。 |
| 渡邉 智 | 取締役上席執行役員 | 2019年10月同社施設部長、2022年6月同社執行役員施設本部施設企画部長、2023年6月同社上席執行役員技術本部長を経て、2024年6月より同社取締役上席執行役員現職。 |
社外取締役は、青山佳世氏(フリーアナウンサー)、三木泰雄氏(SCSK社外取締役)、大橋美香氏(弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会とは別に監査役会を設置しています。また、取締役会の諮問機関として指名委員会と報酬委員会を設置し、独立社外取締役が委員長を務める体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、取締役の報酬は株主総会で決議された限度額の範囲内で決定されます。社外取締役を除く常勤取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬と、賞与および譲渡制限付株式報酬からなる業績連動報酬で構成されています。報酬全体に占める割合は、固定報酬が約7割、業績連動報酬が約3割となっています。社外取締役の報酬は固定報酬のみです。2026年7月以降は、常勤取締役の報酬割合が固定報酬約6割、業績連動報酬約4割に変更される予定であり、業績連動報酬は営業利益やROEなどの財務指標、および非財務指標を総合的に勘案して支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.6億円 | 33.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 39百万円 | 19.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 27百万円 | 4.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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