リゾートトラスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リゾートトラスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場し、会員制リゾートホテルの運営や会員権販売、メディカル事業を展開する企業です。2025年3月期の連結業績は、売上高2,493億円、経常利益268億円、当期純利益201億円となり、会員権販売やホテル稼働が好調で増収増益を達成しました。


※本記事は、リゾートトラスト株式会社 の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

#リゾートトラスト転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. リゾートトラストってどんな会社?

会員制リゾートホテル「エクシブ」「ベイコート倶楽部」等を展開し、富裕層向けに余暇と健康サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要

1973年に名古屋市で設立され、1987年に会員制リゾートホテル「エクシブ鳥羽」を開業しました。2000年に東証・名証一部へ上場し、2008年には「東京ベイコート倶楽部」を開業しています。2014年にハワイの「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」取得するなど海外展開も進め、2023年には創立50周年を迎えました。

2025年3月31日現在の従業員数は連結9,046名、単体6,279名です。筆頭株主は宝塚コーポレーションで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第4位には創業者の伊藤與朗氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
宝塚コーポレーション 12.57%
日本マスタートラスト信託銀行 12.40%
日本カストディ銀行 5.45%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表者は代表取締役社長執行役員の伏見有貴氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 與朗 代表取締役ファウンダーグループCEO(グループ最高経営責任者) 1973年同社設立・社長就任。1996年CEO、1999年会長を経て、2018年より現職。
伊藤 勝康 代表取締役会長CEO(最高経営責任者) 1973年同社設立・常務就任。1996年COO、1999年社長を経て、2018年より現職。
伏見 有貴 代表取締役社長執行役員COO(最高執行責任者) 1990年入社。メディカル本部長等を経て2018年社長COO就任。2025年より現職。
新谷 敦之 取締役副社長執行役員会員制本部長 1979年入社。会員制本部本部長等を歴任し、2023年取締役副社長就任。2025年より現職。
小杉 善信 取締役 1976年日本テレビ放送網入社。日本テレビホールディングス社長等を歴任し、2023年より現職。
戸田 泰 取締役(監査等委員) 1983年東海銀行入行。同社リスク管理部長等を経て、2023年より現職。


社外取締役は、小杉善信(元日本テレビホールディングス社長)、三宅勝(名古屋市立大学特任教授)、荒本和彦(元NTTコミュニケーションズ常務)、寺澤朝子(中部大学教授)です。

2. 事業内容

同社グループは、「会員権事業」「ホテルレストラン等事業」「メディカル事業」および「その他」事業を展開しています。

会員権事業

「エクシブ(XIV)」や「ベイコート倶楽部」、「サンクチュアリコート」などを中心とした会員制リゾートホテルの会員権を販売しています。主な顧客は富裕層や法人です。

収益は、会員権販売時の「登録料」や「不動産代金」から構成されます。未開業ホテルの会員権販売も行い、不動産部分はホテル開業時に売上計上されます。運営は主にリゾートトラストが行っています。

ホテルレストラン等事業

「エクシブ」「ベイコート倶楽部」「サンメンバーズ」等の会員制ホテルや、「ホテルトラスティ」「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」等のホテル・レストラン、ゴルフ場の運営を行っています。

収益は、会員や一般客からの宿泊料、料飲代、施設利用料、および会員からの年会費(運営管理費)等です。運営はリゾートトラストのほか、リゾートトラストゴルフ事業などのグループ会社が行っています。

メディカル事業

会員制メディカルクラブ「グランドハイメディック倶楽部」の運営や、医療機関へのコンサルティング、シニアレジデンス(有料老人ホーム)、化粧品・サプリメント販売等を行っています。

収益は、メディカル会員権の登録料や年会費、シニアレジデンスの入居金・月額利用料、医療機関からの業務受託料等です。運営はハイメディックやアドバンスト・メディカル・ケアなどが行っています。

その他

賃貸用不動産の運営管理などを行っています。

収益は、テナントからの賃貸料収入等です。運営は主にアール・ティー開発が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

2021年3月期から2025年3月期までの推移を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期を経て回復・成長基調にあり、2025年3月期には過去最高を更新しています。利益面でも、経常利益、当期利益ともに増加傾向にあり、利益率も10%を超える水準で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,675億円 1,578億円 1,698億円 2,018億円 2,493億円
経常利益 176億円 111億円 132億円 218億円 268億円
利益率(%) 10.5% 7.0% 7.8% 10.8% 10.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -193億円 39億円 143億円 116億円 138億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上原価率の上昇により売上総利益率はやや低下しています。営業利益は増益となっており、収益性は維持されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,018億円 2,493億円
売上総利益 1,707億円 1,931億円
売上総利益率(%) 84.6% 77.5%
営業利益 211億円 264億円
営業利益率(%) 10.5% 10.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が473億円(構成比28.4%)、その他が182億円(同10.9%)を占めています。売上原価においては、不動産販売に伴う原価などが含まれています。

(3) セグメント収益

会員権事業は、「サンクチュアリコート」シリーズの販売好調や開業に伴う収益計上により大幅な増収増益となりました。ホテルレストラン等事業は増収ながらも、人件費等のコスト増により減益となりました。メディカル事業は会員権販売が好調で増収増益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
会員権事業 587億円 936億円 188億円 274億円 29.3%
ホテルレストラン等事業 955億円 1040億円 45億円 20億円 2.0%
メディカル事業 469億円 510億円 72億円 75億円 14.7%
その他 7億円 7億円 8億円 8億円 107.7%
調整額 -55億円 -72億円 -101億円 -114億円 -
連結(合計) 2,018億円 2,493億円 211億円 264億円 10.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFで得た資金を元に投資を行い、借入金の返済も進めている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 391億円 367億円
投資CF -125億円 -309億円
財務CF -233億円 -93億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.3%でプライム市場(非製造業平均)を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同グループは、「新天地開拓」を創業の精神とし、「信頼と挑戦」「ハイセンス・ハイクオリティ」「エクセレントホスピタリティ」を追求し、お客様のしなやかな生き方に貢献することを経営理念としています。また、グループ共通のアイデンティティとして「ご一緒します、いい人生~より豊かで、しあわせな時間(とき)を創造します~」を制定しています。

(2) 企業文化

社員一人ひとりが経営理念を実践するために、事業別に「目指す姿」と「行動規範」を定めています。また、「全ては社員の笑顔から(社員の笑顔がお客様の笑顔につながる、Smile Spiral)」を念頭に、従業員の働きがいと働きやすさを追求し、お客様に寄り添いながら共に歩み続ける姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標

2025年5月に新たな中期5ヵ年経営計画「Sustainable Connect~To Wellbeing 2.0~」を策定しました。継続的な安定成長により企業価値を向上させることを目標とし、重要な経営指標として「利益成長率」や「ROE」を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策

「新天地開拓」の精神のもと、グループ経営の進化を図ります。会員制事業モデルの確立を目指し、顧客、社員、地域と共に価値を創出します。具体的には、会員制ホテルの新規開発やメディカル事業の拡大、人的資本経営の推進、データプラットフォーム構築によるDX推進、ガバナンス改革などに取り組み、長期安定的な成長を実現する方針です。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「誰もが働きたくなる会社NO.1」を目指し、「働きがい」と「働きやすさ」を徹底して追求しています。スタッフ一人ひとりがブランドの体現者として行動できるよう、個人の成長と組織開発に注力しています。また、心身両面から働きやすい環境を整備し、ウェルビーイングの実現やダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.1歳 8.9年 6,316,377円


※平均年間給与は賞与、基準外賃金及び褒賞金を含んでおります。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.4%
男性育児休業取得率 79.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.0%
男女賃金差異(正規雇用) 70.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 81.9%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客需要および動向への対応

同社のサービスは富裕層を中心とする顧客の需要に依存しています。人口減少や高齢化が進む中、現在の顧客ニーズに合致するサービス提供に失敗した場合や、新たな動向への対応が遅れた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経済およびマーケット状況の影響

景気低迷、為替や金利の変動、燃料価格上昇、株価変動などの経済状況の変化は、顧客の消費行動を抑制し、会員権需要や販売代金の低下をもたらす可能性があります。特に長期的な人口減少は需要を害する要因となり得ます。

(3) 労働力人口の減少

同社の事業は従業員のパフォーマンスと質に大きく依存しています。少子高齢化に伴う労働力人口の減少により、高品質なサービスを提供する人材の確保が困難になった場合、業績やブランド価値に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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