リゾートトラスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リゾートトラスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リゾートトラストは東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場に上場し、会員制リゾートホテルやメディカル施設の開発・運営を展開しています。最新期の業績はホテル会員権の販売好調や新規施設の稼働が寄与し、売上高・利益ともに過去最高を更新して増収増益を達成、堅調な成長を続けています。


※本記事は、リゾートトラスト株式会社の有価証券報告書(第53期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リゾートトラストってどんな会社?


同社は会員制リゾートホテルやメディカル施設の開発と運営を中核事業として展開しています。

(1) 会社概要


1973年に設立され、1986年にリゾートトラストへ商号変更しました。1987年に「エクシブ」、2008年に「東京ベイコート倶楽部」、2021年に「サンクチュアリコート」を展開し会員制ホテル事業を拡大しています。2000年に株式上場を果たし、近年は海外ホテルやメディカル事業の拡充も推進しています。

同社グループの従業員数は連結で9,477名、単体で6,585名です。筆頭株主は事業会社の宝塚コーポレーションで、第2位および第3位には資産管理業務などを行う信託銀行が名を連ねており、安定した事業基盤と資本構成のもとで多角的なリゾートおよびメディカルサービスをグループ全体で提供しています。

氏名 持株比率
宝塚コーポレーション 12.39%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.16%
日本カストディ銀行(信託口) 5.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員CEO兼COOは伏見有貴氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
伏見有貴 代表取締役社長執行役員CEO兼COO(最高経営責任者 兼 最高執行責任者) 1990年同社入社。メディカル事業本部長や東京ミッドタウンメディスン代表取締役などを経て、2026年4月より現職。
伊藤與朗 代表取締役ファウンダー 1959年宝塚不動産入社。1973年同社設立、代表取締役社長就任。1999年代表取締役会長などを経て、2026年4月より現職。
伊藤勝康 代表取締役ファウンダー 1973年同社設立、常務取締役就任。1999年代表取締役社長、2018年代表取締役会長CEOなどを経て、2026年4月より現職。
新谷敦之 取締役副社長執行役員会員制本部長 1979年同社入社。1997年会員制事業本部名古屋支社長、会員制本部副本部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、小杉善信氏(元日本テレビホールディングス社長)、三宅勝氏(名古屋市立大学特任教授)、荒本和彦氏(元NTTコミュニケーションズ常務)、寺澤朝子氏(中部大学学長補佐)です。

2. 事業内容


同社グループは、「会員権事業」「ホテルレストラン等事業」「メディカル事業」および「その他」事業を展開しています。

会員権事業


主力商品である会員制リゾートホテル「エクシブ」や「ベイコート倶楽部」「サンクチュアリコート」などの会員権を富裕層などを対象に販売しています。施設の占有利用日を確保し、他の施設を利用できる交換利用システムを提供しています。

顧客である会員権購入者から、会員登録に伴う登録料や、共有持分としての不動産売却代金を受け取ることで収益を獲得します。本事業は主に同社が運営を行っています。

ホテルレストラン等事業


開発した会員制リゾートホテルや一般向けラグジュアリーホテル、レストランの運営を行っています。施設相互利用サービスの提供や、ホテル等の清掃業務、トータルビューティー事業、ゴルフ場の運営なども手掛けています。

会員からのホテル運営管理費や年会費、施設利用者からの宿泊料や飲食代金などから収益を得ます。主に同社のほか、ジェス、リゾートトラストゴルフ事業などの子会社群が事業を担っています。

メディカル事業


「グランドハイメディック倶楽部」などのメディカル会員権の販売と管理、医療機関での検診サービス、医療施設のコンサルティング、および介護付き有料老人ホームなどのシニアレジデンスの運営を展開しています。

メディカル会員権の登録料や年会費、シニアレジデンス入居者からの入居一時金や月額利用料、医療機関からの業務受託料を主な収益源としています。ハイメディックなどの子会社が運営を担っています。

その他


オフィスビルなど不動産の賃貸管理業務を展開しています。また、同社グループを対象としたポイント制度業務や、顧客を対象とした立替払契約業務なども行っています。

不動産賃貸契約に基づく賃貸料収入などを主な収益源としています。アール・ティー開発やジャストファイナンスなどの関係会社が事業を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、富裕層を中心とした会員制リゾート需要の底堅さやインバウンドの回復を追い風に、売上高および経常利益は右肩上がりで持続的な成長を遂げています。利益率も安定して10%を超える高い水準を維持しており、強固な事業基盤を背景とした着実な収益拡大の傾向が明確に読み取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,578億円 1,698億円 2,018億円 2,493億円 2,630億円
経常利益 111億円 132億円 218億円 268億円 293億円
利益率(%) 7.0% 7.8% 10.8% 10.8% 11.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 39億円 143億円 116億円 138億円 132億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。特に、各種商品・サービスの価格改定の浸透や新規施設の順調な稼働により、売上総利益率と営業利益率の双方が改善しており、人件費などの先行投資を吸収して筋肉質なコスト構造へと進化していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,493億円 2,630億円
売上総利益 1,931億円 2,046億円
売上総利益率(%) 77.4% 77.8%
営業利益 264億円 292億円
営業利益率(%) 10.6% 11.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が507億円(構成比78%)、減価償却費が69億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


各事業セグメントにおいて着実な増収が確認できます。主力の会員権事業は新規施設の販売好調により堅調に推移し、ホテルレストラン等事業は新規施設の稼働や各種価格改定が寄与して大きく売上を伸ばしました。メディカル事業も会員数の増加に伴い着実に伸長し、全社的な成長を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
会員権事業 936億円 955億円
ホテルレストラン等事業 1,040億円 1,109億円
メディカル事業 510億円 559億円
その他 7億円 7億円
連結(合計) 2,493億円 2,630億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も30.5%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 367億円 503億円
投資CF -309億円 -355億円
財務CF -9億円 -107億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「新天地開拓」を企業精神とし、「信頼と挑戦」「ハイセンス・ハイクオリティ」「エクセレントホスピタリティ」を追求してお客様のしなやかな生き方に貢献することを経営理念として掲げています。余暇と健康に関わる社会的課題を融合した新たな価値創出を通じて、関わる全ての人々の豊かさと幸福を追求しています。

(2) 企業文化


先の見通せない時代において、一人ひとりが社会に提供したい価値に対する「問い」をしっかりと持ち、自身のミッションに取り組む姿勢を重視しています。また、グループ共通のアイデンティティとして「ご一緒します、いい人生 ~より豊かで、しあわせな時間を創造します~」を制定し、常にお客様に寄り添い、次代の変化を捉えながら共に商品やサービスを協創していく企業風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


創立50周年を機に策定された中期5ヵ年経営計画では、事業の横の連携強化とサステナビリティの追求を通じた「ステークホルダー・ウェルビーイング」の実現を目指しています。継続的な安定成長により企業価値を向上させるため、損益項目の拡大に加え、資本の効率的活用を示す重要な経営指標として「利益成長率」および「ROE」を掲げて経営を推進しています。

* 重要な経営指標としてROEを中長期ターゲット15%に設定

(4) 成長戦略と重点施策


今後のさらなる成長に向け、事業の垣根を越えたシナジーの最大化とDXの深耕による無駄のない筋肉質な事業構造を構築し、リーンな「真のグループ経営」への進化を加速させる方針です。高付加価値なサービスの提供や適正な価格転嫁と、お客様の一生涯に寄り添うウェルビーイングを組み合わせることで、「新しい会員制ビジネスの常態化」を実現し、持続的かつ安定的な収益モデルを定着させていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「全ては社員の笑顔から(Smile Spiral)」を念頭に置き、「誰もが働きたくなる会社NO.1」を目指しています。「働きがい」と「働きやすさ」を追求し、心身両面からの安全・安心な職場づくりや両立支援、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組むことで、個人の成長と組織の総合力を高め、将来にわたる強固な人財基盤の確立を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.2歳 9.1年 6,616,090円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.7%
男性育児休業取得率 78.2%
男女賃金差異(全労働者) 68.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 82.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 異常事態による事業運営への影響


パンデミックや大規模な自然災害等の異常事態が想定を超える規模で発生した場合、人対人のサービスを中心とするホテルや介護施設、医療サービス施設などの事業拠点の運営が困難となり、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(2) 顧客需要の変化と新規サービスの成否


人口減少や高齢化が進む中、富裕層やシニア世代の需要だけでなく、マス富裕層や外国人を惹きつける新たな展開が求められています。顧客ニーズに合致する新規サービスや商品の提供が不首尾に終わった場合、事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害や天候不順等による客数減少


ホテルレストラン等事業において、地震や台風などの大規模な自然災害、テロ行為、あるいは冷夏や降雪などの天候不順が発生した場合、対策費用の増加やお客様の減少が見込まれ、売上高および利益の減少に直結するリスクを抱えています。

(4) 労働力人口の減少に伴う人材確保


少子高齢化に伴う労働力人口の減少は、ハイセンスかつハイクオリティなホスピタリティ提供サービスを担う優秀な人材を確保する上での重要なリスクと認識されており、必要な人材が確保できない場合には業績および財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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