【平均年収800万円】小田急電鉄 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

【平均年収800万円】小田急電鉄 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年3月期)

小田急電鉄は、鉄道事業を基盤に、交通業、不動産業、生活サービス業をグループ各社とともに展開しています。連結従業員数は1万人を超え、直近の業績は増収となりましたが、経常利益は横ばい、純利益は減益となりました。


目次

※本記事は、小田急電鉄株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


小田急電鉄グループは、鉄道事業を基盤に、交通業、不動産業、生活サービス業をグループ各社とともに展開しています。沿線住民の生活を支える多角的な事業を通じて、地域社会の発展に貢献しています。

単体従業員数は3,682名、連結従業員数は11,517名です。セグメントは交通業、不動産業、生活サービス業の3つです。

主な国内グループ会社は、当社、小田急箱根①、江ノ島電鉄①、神奈川中央交通③、小田急バス①、立川バス①、東海自動車①、小田急ハイウェイバス①、箱根登山バス①、江ノ電バス①、東海バス①などです。

同社グループは、2030年度営業利益目標達成に向けた事業ポートフォリオ最適化のため、当連結会計年度よりセグメント区分を「交通業」「不動産業」「生活サービス業」に変更しました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


小田急電鉄は、交通業を基盤に不動産業や生活サービス業など多岐にわたる事業を展開しています。そのため、安定した事業基盤のもとで、長期的なキャリア形成が期待できる環境であると言えます。従業員の平均勤続年数や平均年齢からは、社員が長く働き続ける傾向が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が長期的に活躍できる環境が整っていることがうかがえます。平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した雇用とキャリア形成が可能な職場環境であると考えられます。

項目 数値
平均年間給与 7,997,380円
平均勤続年数 22.0年
平均年齢 43.4歳
単体従業員数 3,682人
連結従業員数 11,517人
単体のグループ内比率 32.0%


同社および連結子会社は、確定給付型の制度として確定給付企業年金制度、退職一時金制度、中小企業退職金共済制度を設けており、当社および一部の連結子会社では確定拠出年金制度を導入しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されます。

退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

なお、確定給付型の退職給付債務は663.3億円、年金資産は728.4億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループは、経営ビジョンの実現に向けたマテリアリティの一つとして「人的資本の強化」を選定しています。労働人口の減少を見据えた構造改革の推進と人財確保、働きやすさ・働きがいの向上、成長領域への重点的な人的投資、次世代経営人財の計画的育成を重点課題としています。

人財マネジメントポリシーでは、小田急で働くすべての人が「UPDATE 小田急」につながる新しい価値を創造する「価値創造型人財」を目指しています。地域に新しい価値を生み出す人財として、「顧客とは?社会とは?」を自分ごととして問い続け、自ら学び続けること、顧客や社会にとっての価値を積極的に発信し共鳴・共感を得ること、最適なパートナーとともに多様な視点から共創し価値を創造していくことを行動原理としています。

具体的な取り組みとして、2023年度から3ヵ年通算で年収ベースを約18%引き上げるなどの施策を実施しており、2025年春闘では組合要求に史上初の満額回答をしています。管理職は最短31歳で年収1,000万円を実現するとしています。また、人事制度(給与・昇格等)において性別による差異はありません。

働きやすさ・働きがいの向上に向けては、育児休業や育児短時間勤務、配偶者出産休暇、介護休業、治療休務・休職制度など、法定を上回る両立支援制度を導入しています。女性活躍推進にも積極的に取り組み、女性執行役員やグループ会社社長、取締役の登用を進めています。若年層支援として処遇改善や独身寮、帰省交通費支援制度も設けています。

社内コミュニケーションの強化として、年度計画策定を所属員全員参加型で行う「未来創造会議」や、管理職向けのコーチング研修、上司と部下のキャリア対話の機会を設けています。多様な人財の活躍推進では、特例子会社である株式会社ウェルハーツ小田急を設立し、障がい者の社会参加・自立をサポートしています。

健康経営にも積極的に取り組み、社員やその家族が心身共に健康であることが企業の持続的な成長につながると考えています。社員の挑戦を引き出す制度として、新規事業のアイデア公募制度や労働時間の20%を社内プロジェクトに参画できる制度を構築し、価値創造行動を加速させています。

成長領域への重点的な人的投資として、不動産・ホテル・ストア・観光・デジタル領域における人財ポートフォリオの構築を進めています。特にデジタル領域では、DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成を目指しています。従業員のスキルアップを目的とした資格取得支援制度も充実させており、2023年度以降は対象資格数が97資格に拡充されています。次世代経営人財の計画的育成では、モデルキャリアパスの策定や、部長クラスの意思決定力・組織マネジメント力向上に向けた研修を実施しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。人事制度(給与・昇格等)において性別による差異はありません。深夜労働を伴う職種における女性の採用が2000年代以降に可能になったため、男性の平均勤続年数が比較的長くなっています。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 6.5%
男性労働者の育児休業取得率 90.1%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 65.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 79.3%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 74.7%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ 小田急不動産

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 9.9%
男性労働者の育児休業取得率 66.7%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 56.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 72.4%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 25.8%


▼ ㈱小田急百貨店

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 10.2%
男性労働者の育児休業取得率 28.6%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 41.9%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 71.5%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 57.0%


▼ ㈱小田急レストランシステム

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 11.1%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 56.7%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 77.6%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 90.1%

グループ全体(連結)


連結会社における各指標の数値は、提出会社および連結子会社を合計して算出されたものです。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 5.5%
男性労働者の育児休業取得率 76.5%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 41.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 72.5%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 77.2%

女性活躍推進に関する当社グループの実績・目標

指標 2024年度実績 2030年度目標 2050年度目標
女性従業員(正社員)比率 14.8% 20.0% 35.0%
女性管理職比率 5.5% 15.0% 30.0%
男性育児休業取得率 76.5% 100.0% 100.0%

女性活躍推進に関する当社の実績・目標

指標 2024年度実績 2030年度目標 2050年度目標
女性従業員(正社員)比率 9.8% 15.0% 35.0%
女性管理職比率 6.5% 12.0% 30.0%
男性育児休業取得率 90.1% 100.0% 100.0%

2024年度の数値効果

指標 数値
女性育児休業取得率 100.0%
配偶者出産休暇取得率 93.0%
年次有給休暇取得率 90.2%
自己都合離職率 1.9%
入社3年後定着率(新卒) 88.9%

多様性・登用

指標 数値
障がい者雇用率 3.7%

人材育成・エンゲージメント

指標 数値
資格取得支援制度 対象資格数 97資格
資格取得支援制度 申請数 151件

有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


小田急電鉄グループは、交通事業を基盤とし、小田急線沿線地域を中心に不動産、ホテル、レストランなど、人々の暮らしに密着した多岐にわたる事業を展開しています。地域社会の発展に貢献しながら、多様なサービスを提供することで収益を上げています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、鉄道業をはじめとする交通業を基軸に、沿線地域を中心として不動産、ホテル、レストランなど暮らしに密着したさまざまな事業を営んでいます。これらの事業は「交通業」「不動産業」「生活サービス業」の3つの報告セグメントに区分されています。

交通業

鉄道業、バス業、タクシー業、航路業、索道業などを展開しています。収益は、鉄道の輸送人員増加やバスの運賃改定などから得ています。鉄道業では特急ロマンスカーの増発やダイヤ改正、車両増備、Maasアプリケーション「EMot」の活用、ホームドア設置、防犯カメラ設置などによりサービス向上を図っています。バス業では小田急バスが乗車ポイントサービス「小田急おでかけポイント」を導入し、利便性の向上に努めています。

不動産業

不動産分譲業や不動産賃貸業などを手掛けています。収益は、マンション販売価格の上昇や商業施設、オフィスの賃料収入増加などから得ています。小田急不動産が戸建住宅やマンションを分譲するほか、新宿駅西口地区開発計画の推進、商業施設のリニューアル、物流施設の竣工など、多角的に事業規模を拡大しています。

生活サービス業

百貨店業、ストア・小売業、ホテル業、レストラン飲食業などを展開しています。収益は、百貨店の営業施策、スーパーマーケットの新規オープンやリニューアル、ホテルやレストランのサービス充実などから得ています。小田急百貨店では「dポイント」を導入し、小田急商事が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」では新規店舗のオープンやリニューアルを実施しています。ホテル業では小田急ホテルセンチュリーサザンタワーのダイニングを充実させ、レストラン飲食業では新規業態開発や出店を進めています。

セグメント 営業収益(2024年3月期) 営業収益(2025年3月期)
交通業 1,696億円 1,725億円
生活サービス業 1,592億円 1,654億円
不動産業 811億円 849億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの営業収益は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の当連結会計年度では、生活サービス業を中心に増収となり、営業収益は前期比で増加しました。経常利益は前期からほぼ横ばいとなりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に固定資産売却益を計上した反動などにより減少しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
営業収益 3,860億円 3,588億円 3,952億円 4,098億円 4,227億円
経常利益 △312億円 47.0億円 251億円 507億円 505億円
経常利益率 △8.1% 1.3% 6.4% 12.4% 11.9%
親会社株主に帰属する当期純利益 △398億円 121億円 407億円 815億円 520億円
1株当たり当期純利益(円) △109.60 33.36 112.11 225.28 147.51

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり営業収益(連結)は前期から増加し、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しています。これらの指標は、同社グループの生産性が向上している傾向にあることを示しています。これは、会社の収益体質の強化や組織効率化の進展を示唆していると言えます。

指標 2024年3月期 2025年3月期
従業員1人あたり営業収益(連結) 35.1百万円 36.7百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.4百万円 4.5百万円

業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階を示しています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を上回っています。手元資金である現金及び預金は減少傾向にありますが、財務基盤の安定性が見られます。これらの財務状況は、事業運営の安定性や将来の成長投資の余力に影響を与える要素となります。

指標 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
純資産 4,602億円 4,793億円
自己資本比率 35.3% 36.8%
ROE(自己資本利益率) 19.3% 11.1%
現金及び預金 607億円 350億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、当期に資金収入となりました。これは税金等調整前当期純利益に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、前期に比べ資金収入は減少しています。

投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出等により、当期は資金支出となりました。前期は資金収入でしたが、当期は支出超過に転じています。

財務活動によるキャッシュフローは、借入れや社債の発行による収入が増加したことなどにより、当期は資金支出となり、前期に比べ資金支出は減少しています。これらの結果、フリーキャッシュフローは当期に資金支出となりました。本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている状況であり、事業の成長性への期待がうかがえます。

項目 2024年3月期(前期) 2025年3月期(当期)
営業CF 716億円 559億円
投資CF 234億円 △745億円
財務CF △1,021億円 △70.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 951億円 △186億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク


継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク


同社グループは、鉄道事業法や道路運送法などの各種法令や公的規制のもとで事業を展開しており、特に東京都・神奈川県における諸制度の変更が業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、鉄道事業を中心に継続的な設備投資を行っており、借入金や社債等により資金を調達しているため、金利の変動および同社の格付の変更が業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク


同社グループは労働集約型の事業が多く、質の高い人材の確保が重要であると認識しています。優秀な人材の確保や育成、働きやすい職場環境の維持が達成できない場合、事業展開が制約され、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ


解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、監査役の報酬は監査等委員会設置会社移行前の期間に係るものであり、監査等委員である取締役の報酬は移行後の期間に係るものです。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


小田急電鉄は、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献することを経営理念としています。地域とともに成長する「地域価値創造型企業」を目指し、多様な事業を展開している会社です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、経営の基本方針として「グループ経営理念」を掲げ、グループ価値の最大化を図っています。グループ経営理念は「お客さまの『かけがえのない時間(とき)』と『ゆたかなくらし』の実現に貢献します」と定めています。

この理念を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定しています。同社グループは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長し、地域に新しい価値を創造していく企業への進化を目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、経営理念の実現のために「真摯」「進取」「融和」の3つの行動指針を掲げています。「真摯」は安全・安心を基本に事業を誠実に推進すること、「進取」は前例にとらわれずよりよいサービスの追求に挑戦することを示しています。

「融和」はグループ内に留まらない外部との連携や社会・環境との共生に取り組むことを意味しています。また、人財マネジメントポリシーとして「価値創造型人財」を掲げ、地域に新しい価値を生み出すための行動原理を定めています。

具体的には、「顧客とは?社会とは?」を自分ごととして問い続け自ら学び、顧客や社会にとっての価値を積極的に発信し、最適なパートナーとともに共創していくことを大切にしています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、インバウンド需要の拡大を事業機会と捉え、事業強化と経営基盤の強化を重点施策として推進しています。経営基盤の強化においては、人的資本の拡充、環境への対応、DXの推進、ガバナンスの向上に取り組んでいます。

人的資本の拡充では、労働人口の減少を見据えた構造改革の推進や人財確保、働きやすさ・働きがいの向上、成長領域への重点的な人的投資、次世代経営人財の計画的育成を重点課題としています。環境面では、再エネ活用やバスのEV化等による脱炭素化、TNFD提言に基づく情報開示を推進しています。

DXでは、情報システム環境の最適化や情報セキュリティの確保、DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成に努めています。ガバナンスにおいては、人権尊重への取り組みやリスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成、取締役会の監督機能強化を通じて向上を目指しています。

会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


小田急電鉄は、2024年6月27日に監査等委員会設置会社へ移行しました。社外取締役を含む取締役会が、重要な戦略の審議・決定と業務執行の監督を担う体制となっています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


小田急電鉄の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の信託銀行や生命保険会社が上位に名を連ねています。これは、幅広い機関投資家によって同社の株式が保有されていることを示しています。特定の事業会社や創業家による支配的な影響力は見られません。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.52%
日本カストディ銀行(信託口) 4.54%
日本生命保険相互会社 4.25%
日本マスタートラスト信託銀行(退職給付信託口・三菱電機株式会社口) 3.71%
第一生命保険 3.63%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は13名(男性10名・女性3名)で構成され、女性役員比率は23.0%です。代表取締役社長社長執行役員は鈴木滋氏が務めています。社外取締役比率は46.2%です。

氏名 役職 主な経歴
星野晃司 代表取締役 取締役会長 1978年4月同社入社、旅客サービス部長、執行役員、経営企画部長、取締役を経て、2017年4月同社元代表取締役社長。2024年4月より現職。
鈴木滋 代表取締役 取締役社長 社長執行役員 1988年4月同社入社、経営企画部長、グループ経営部長、執行役員を経て、2021年6月同社取締役。2024年4月より現職。
立山昭憲 取締役 専務執行役員 交通サービス事業本部長 1986年4月同社入社、工務部長、執行役員、旅客営業部長、交通企画部長を経て、2018年6月同社取締役交通企画部長。2022年6月より現職。
沓澤孝一 取締役 常務執行役員 まちづくり事業本部長 1992年4月同社入社、事業企画部長、執行役員、新宿プロジェクト推進部長を経て、2024年6月より現職。
水吉英雄 取締役 常務執行役員 経営企画本部長 1992年4月同社入社、リテール戦略部長、執行役員、グループ経営部長を経て、2024年6月より現職。
露木香織 取締役 常務執行役員 1992年4月同社入社、まちづくり推進部長、アセット事業部長、執行役員、人事部長を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、大原透氏(元SBI岡三アセットマネジメント理事・指名・報酬諮問委員会委員長)、糸長丈秀氏(相互住宅代表取締役会長)、近藤史朗氏(元リコー取締役会長)、林武史氏(元ニッセイ・リース代表取締役社長)、我妻由佳子氏(一色法律事務所・外国法共同事業パートナー)、滝順子氏(滝公認会計士事務所代表)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役3名を含む4名で構成される監査等委員会が厳正な監査を実施しています。また、執行役員制度を採用し、指名・報酬諮問委員会を設置することで、経営の監督機能と意思決定の独立性・客観性を強化しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


小田急電鉄の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、そして株式報酬の3つの要素で構成されています。業績連動報酬は連結営業利益などの定量目標と個別の定性目標の達成度に基づいて決定され、役位が上がるほど報酬総額に占める割合が高まる設計です。社外取締役の報酬は、経営監督機能に鑑み固定報酬のみとなっています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 9名 3.3億円 36.8百万円
監査等委員(社外除く) 1名 19百万円 19.0百万円
監査役(社外除く) 2名 11百万円 5.5百万円
社外役員 10名 73百万円 7.3百万円

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この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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