※本記事は、日本郵船株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本郵船は、定期船、物流、自動車、ドライバルク、エネルギー、その他事業の6部門を通じて、国際的な海上貨物輸送を中核とした多角的な事業を展開しています。同社グループは、海・陸・空の総合物流ネットワークをグローバルに提供しています。
単体従業員数は1,370名、連結従業員数は39,830名です。セグメントは定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、その他事業の6つです。
主な国内グループ会社は、旭運輸(定期船事業)、旭海運(ドライバルク事業)、NYK ENERGY OCEAN(エネルギー事業)、NYK BUSINESS SYSTEMS(その他事業)などです。
航空運送事業については、2025年8月1日に日本貨物航空の全株式の株式交換を実施しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本郵船は、海運業をグローバルに展開する企業グループです。多様な価値観や背景を持つ人材が自律的に学び、挑戦し、成長し続けられる環境を整備することで、持続的な成長を目指しています。従業員の給与水準や働き方に関する具体的なデータは以下の通りです。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も30代後半であることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあることがうかがえます。安定した環境で専門性を高めたいと考える方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 15,545,044円 |
| 平均勤続年数 | 13.9年 |
| 平均年齢 | 37.8歳 |
| 単体従業員数 | 1,370人 |
| 連結従業員数 | 39,830人 |
| 単体のグループ内比率 | 3.4% |
同社および連結子会社は、国内および一部の在外連結子会社において確定給付制度と確定拠出制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、当連結会計年度末における退職給付債務は883億円、年金資産は3,693億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中核事業の深化と新規事業の進化を両輪とする中期経営計画の実現に向け、人材戦略「CX Story」を推進しています。長期ビジョンとして「A Japanese Company Operating Globally」から「A Global Company Headquartered in Japan」への変革を掲げ、2030年に向けた「CX 2030ビジョン」では「グループ全社員の能力を挑戦に活かす日本郵船グループ」を目指しています。
同社(提出会社)では、「軸のあるジェネラリスト」を求める人材像とし、職能を基軸とした等級および評価制度に基づき、個々の職務経験、能力の発揮状況、成果、労働市場の状況等を総合的に勘案して賃金および報酬を決定しています。連結子会社では、各国・地域の法令や業界の労働市場、本人の能力発揮等を考慮しつつ、評価制度の標準化を進め、各社の制度に基づき賃金および報酬を決定しています。
人材の強化においては、多様な価値観や背景を持つ人材が自律的に学び、挑戦し、成長し続けられる環境を整備しています。具体的には、グループ内公募や国境を越えたクロスボーダーアサインメントによるキャリア形成の推進、次世代リーダーの育成、海外人材の登用によるグループ会社経営の現地化、海技者の陸上での活躍領域拡大などに取り組んでいます。また、2024年度には「D&I Promise」を制定し、女性活躍推進として女性管理職比率の向上や意思決定層の多様化を図っています。組織の強化では、NYKグループミッション「Bringing value to life.」の浸透やエンゲージメントサーベイを通じた組織改善により、自律と共創の文化を醸成し、変化に柔軟に対応できる強靭な組織体制への転換を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の額の差異は、役職別の男女比率に起因しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 15.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 85.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 74.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 58.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱NYK BUSINESS SYSTEMS
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 35.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
▼ ㈱トランスコンテナ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 36.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 126.4% |
▼ ㈱ユニエツクスNCT
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 13.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 30.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 81.6% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率(連結) | 27.9% |
Gender
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率(単体) | 15.4% |
Global
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| クロスボーダーアサインメントの累計件数 | 53件 |
| 公募の累計異動件数 | 15件 |
| 海外現地法人のManaging Director現地化比率 | 43.1% |
Marine
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 海上職のエンゲージメントサーベイスコア(単体) | 73.0% |
| NTMA卒業生累計人数 | 1,707名 |
グループ全体
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| NYKエンゲージメントサーベイスコア | 71% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本郵船は、海・陸・空にわたるグローバルな総合物流事業を展開しており、多岐にわたる輸送サービスと関連事業を通じて収益を上げています。同社グループは、国際的な海上貨物運送業を中核に、世界中の顧客にサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
日本郵船グループは、定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、その他事業の6つの主要セグメントで構成されています。これらの事業を通じて、国際的な海上貨物輸送を基盤としつつ、陸上・航空輸送を含む総合的な物流ネットワークを提供することで収益を上げています。収益の認識においては、主に航海期間や輸送期間における日数に基づき進捗度を見積もり、収益を認識するモデルを採用しています。また、特定の顧客に収益が集中することなく、幅広い顧客基盤を持っています。
定期船事業
同社グループは、定期船による国際的な海上貨物輸送、コンテナターミナル業、港湾運送業、曳船業を展開しています。収益は、運賃、貸船料、コンテナ関連収益等から得ています。運営は、ユニエツクスNCT、新日本海洋社、旭運輸、郵船港運、日本コンテナ輸送、内海曳船、ホンマ、大分臨海興業、OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.などが行っています。当連結会計年度は前期比で増収となりましたが、利益水準は低下しました。
航空運送事業
航空運送業を行っています。収益は、航空運送サービスから得ています。当連結会計年度は、連結子会社である日本貨物航空の株式交換が完了したことにより、前期比で大幅な減収減益となりました。
物流事業
倉庫業、貨物運送取扱業、沿海貨物海運業をグローバルに展開し、海・陸・空の総合物流ネットワークを提供しています。収益は、航空貨物取扱事業、海上貨物取扱事業、ロジスティクス事業などから得ています。運営は、郵船ロジスティクス、近海郵船、カメリアライン、YUSEN LOGISTICS (AMERICAS) INC.、YUSEN LOGISTICS (CHINA) CO., LTD.、YUSEN LOGISTICS (UK) LTD.、YUSEN LOGISTICS (BENELUX) B.V.、YUSEN LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.などが行っています。当連結会計年度は前期比で減収減益となりました。
自動車事業
自動車専用船等による国際的な海上貨物輸送、自動車物流事業、その他海運事業等を行っています。収益は、運賃、貸船料、ターミナル利用料等から得ています。運営は、INTERNATIONAL CAR OPERATORS N.V.、NYK INDIA PVT. LTD.、NYK TDG PHILIPPINES INC.、UNITED EUROPEAN CAR CARRIERS B.V.などが行っています。当連結会計年度は前期比で減収減益となりました。
ドライバルク事業
ドライバルカー等による国際的な海上貨物輸送、船舶貸渡業、その他海運事業等を行っています。収益は、運賃、貸船料、運航受託手数料等から得ています。運営は、NYKバルク・プロジェクト、旭海運、三菱鉱石輸送、八馬汽船、太平洋汽船、SAGA SHIPHOLDING (NORWAY) AS、NYK BULKSHIP (ATLANTIC) N.V.、NYK BULKSHIP (KOREA) CO., LTD.、NSユナイテッド海運、TATA NYK SHIPPING PTE. LTD.などが行っています。当連結会計年度は前期比で減収減益となりました。
エネルギー事業
タンカー等による国際的な海上貨物輸送、船舶貸渡業、その他海運事業等を行っています。収益は、運賃、貸船料、運航受託手数料等から得ています。運営は、NYK ENERGY OCEAN、NYK BULKSHIP (ASIA) PTE. LTD.、NORTHERN OFFSHORE GROUP AB、OKRA SHIPPING NO.1 LTD.、OKRA SHIPPING NO.2 LTD.、共栄タンカー、TAMANDARE OWNING B.V.、MERO 4 OWNING B.V.、KNUTSEN NYK OFFSHORE TANKERS ASなどが行っています。当連結会計年度は前期比で増収増益となりました。
その他事業
不動産の賃貸・管理・販売業、客船事業、機械器具卸売業(船舶用)、その他運輸付帯サービス業、情報処理サービス業、石油製品の卸売業、その他各種事業を行っています。収益は、これらの多岐にわたるサービスから得ています。運営は、郵船商事、NYK BUSINESS SYSTEMS、郵船商事マリン、郵船クルーズなどが行っています。当連結会計年度は前期比で減収減益となりました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 物流事業 | 8,090億円 | 8,018億円 |
| ドライバルク事業 | 6,013億円 | 5,432億円 |
| 自動車事業 | 5,319億円 | 5,261億円 |
| エネルギー事業 | 1,782億円 | 2,364億円 |
| 定期船事業 | 1,744億円 | 1,746億円 |
| その他事業 | 1,146億円 | 1,020億円 |
| 航空運送事業 | 1,792億円 | 396億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は2兆円台で推移していますが、直近の当連結会計年度は前期から減少しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、前期から大きく減少する結果となりました。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは堅調に推移しており、本業によるキャッシュ創出力は維持されている傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,808億円 | 2兆6,161億円 | 2兆3,872億円 | 2兆5,887億円 | 2兆4,237億円 |
| 経常利益 | 1兆32億円 | 1兆1,098億円 | 2,613億円 | 4,909億円 | 2,111億円 |
| 経常利益率 | 44.0% | 42.4% | 10.9% | 19.0% | 8.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1兆91億円 | 1兆125億円 | 2,286億円 | 4,777億円 | 2,118億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1,991.25 | 1,993.71 | 468.13 | 1,070.32 | 504.85 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しており、従業員1人あたりの営業利益も同様に減少しています。これは、連結売上高および営業利益が前期から減少した全体の業績トレンドを反映していると考えられます。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織の効率性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 73.5百万円 | 60.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.0百万円 | 3.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を維持しながら事業活動を行っています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高水準を維持しており、安定した経営状況を示しています。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備えていると言えます。ROEは前期から低下していますが、プライム市場平均と比較すると、当期は平均を下回る水準となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2兆9,762億円 | 3兆1,434億円 |
| 自己資本比率 | 67.6% | 59.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.2% | 7.1% |
| 現金及び預金 | 1,560億円 | 2,146億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費、利息及び配当金の受取額等により、当期もプラスを維持しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により、当期はマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払い等により、当期もマイナスとなっています。本業で安定的に資金を稼ぎ出し、それを投資に回しつつ、余剰資金を確保している状況であり、将来の成長に向けた投資余力があることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5,108億円 | 4,734億円 |
| 投資CF | △598億円 | △3,712億円 |
| 財務CF | △4,277億円 | △334億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4,510億円 | 1,021億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、世界の経済動向、国際間の荷動き、競争激化、船腹需給バランス等の影響により、運賃収入及び傭船料収入などが大きく変動する可能性があります。また、外貨建て取引の収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な船員を確保することが特に重要であると認識しています。将来において、適切な費用で必要な技術水準を持った船員を十分に確保できるという保証はないとされています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本郵船は、“Bringing value to life.”を企業理念に掲げ、社会・環境課題解決と持続的成長の両立を目指すサステナビリティ経営を推進しています。グローバルな事業展開を通じて、未来に必要な価値を共創していくことを目指す同社グループのビジョンとカルチャーを紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、存在意義と社会的使命として“Bringing value to life.”を企業理念に掲げています。2023年3月には中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定しました。
2030年に向けた新たなビジョンとして「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げています。ESGを中核に据えた成長戦略を推進し、このビジョンの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念である“Bringing value to life.”のもと、企業の持続的成長と社会・環境課題解決の両立を可能とする「サステナビリティ経営」を推進しています。人材戦略「CX Story」では、「A Japanese Company Operating Globally」から「A Global Company Headquartered in Japan」への変革を長期ビジョンに掲げています。
多様な価値観や背景を持つ人材が自律的に学び、挑戦し、成長し続けられる環境を整備する方針です。リーダー育成、グローバルの戦略的配置、女性や海技者の活躍推進を通じて、持続的な競争力の源泉となる人材基盤の強化を図っています。2024年度には、グループ全体のダイバーシティ&インクルージョンを進める上での行動規範として「D&I Promise」を制定しました。
また、NYKグループミッション「Bringing value to life.」の意義や背景を示す「Narrative & Compass」を制定し、グループ社員全員の理解と浸透を促しています。これにより、自律と共創の文化を醸成し、変化に柔軟かつ迅速に対応できる強靭な組織体制への転換を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の遂行を優先的に対処すべき課題としています。既存中核事業の深化と新規成長事業の開拓を両輪とする「基軸戦略」を進めています。
これを支える「支えの戦略」として、人材・組織・グループ経営変革(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)を推進しています。また、遵法の徹底を最重要事項と位置付け、グローバルなガバナンス体制の構築に全力を尽くしています。
具体的には、米州・欧州・東アジア・南アジアの各拠点にRegional Management Officeを設置し、法務担当や内部監査人を配置しています。独占禁止法に関する行動指針の作成や研修の実施、コンプライアンス委員会等の開催を通じ、包括的な法令遵守体制の整備・強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本郵船は監査等委員会設置会社であり、取締役会の多様性と専門性を重視したガバナンス体制を構築しています。独立社外取締役が経営の監督機能を強化する役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本郵船の株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、安定的な資本基盤に支えられていることがうかがえます。複数の機関投資家も名を連ねており、幅広い投資家層に支持されている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 17.17% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.00% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 2.36% |
| 明治安田生命保険(相) | 2.04% |
| 野村信託銀行(投信口) | 1.63% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性8名・女性4名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長社長執行役員は曽我貴也氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 曽 我 貴 也 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1984年同社入社。自動車物流グループ長、経営委員、常務執行役員、専務執行役員を経て、2023年4月より現職。 |
| 河 野 晃 | 代表取締役 副社長執行役員 | 1984年同社入社。LNGグループ長、経営委員、常務経営委員、専務執行役員を経て、2023年6月より現職。 |
| 鈴 木 康 修 | 取締役 専務執行役員 | 1990年同社入社。自動車船第一・第二グループ長、物流・コンテナ航路統轄グループ長、執行役員を経て、2026年4月より現職。 |
| 長 澤 仁 志 | 取締役会長 | 1980年同社入社。LNGグループ長、経営委員、代表取締役副社長経営委員、代表取締役社長社長執行役員を経て、2023年4月より現職。 |
社外取締役は、田邊栄一氏(元三菱商事代表取締役副社長執行役員)、志濟聡子氏(元中外製薬上席執行役員)、桑原聡子氏(外苑法律事務所パートナー)、中曽宏氏(元日本銀行副総裁・監査等委員)、井伊基之氏(元NTTドコモ代表取締役社長兼CEO・監査等委員)、野々宮律子氏(フーリハン・ローキー代表取締役CEO・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、取締役会は12名の取締役で構成され、うち6名が独立社外取締役です。監査等委員会が取締役の職務執行を監査し、経営の透明性と実効性の向上を図る体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本郵船の役員報酬は、役位と職責に応じた基本報酬と、業績目標の達成度に基づく業績連動型変動報酬で構成されています。業績連動型変動報酬には、単年度の業績目標達成を促す金銭報酬と、中長期的な企業価値向上を目的とした自社株式報酬が含まれています。社外取締役は業務執行から独立した立場であるため、基本報酬のみが支給される仕組みです。役員退職慰労金は支給されません。
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、長澤仁志氏(1.54億円)、曽我貴也氏(1.77億円)、河野晃氏(1.14億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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