秀英予備校 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 秀英予備校 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、小学生から高卒生までを対象とした学習指導を行う「小中学部」「高校部」等の学習塾事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比で増加し、営業利益・経常利益ともに大幅な増益を達成、当期純利益も黒字転換を果たしました。


#記事タイトル:秀英予備校転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社秀英予備校 の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 秀英予備校ってどんな会社?

静岡県を地盤に全国展開する総合学習塾です。集団授業、個別指導、映像授業など多様な形態で教育サービスを提供しています。

(1) 会社概要

1984年に秀英進学塾として設立され、1990年に高校生部門を開始して小中高一貫教育体制を確立しました。2000年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2002年には同市場第一部銘柄に指定されました(2022年にスタンダード市場へ移行)。2007年には東日本学院を子会社化し、2012年には映像授業「秀英iD予備校」を一斉開校するなど、事業領域とエリアを拡大してきました。

同グループは連結従業員数628名、単体従業員数585名の体制で運営されています。大株主構成については、筆頭株主は資産管理会社の有限会社シューエイであり、第2位は秀英予備校従業員持株会、第3位は創業者の渡辺武氏となっています。

氏名 持株比率
シューエイ 33.43%
秀英予備校従業員持株会 4.93%
渡辺 武 2.37%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は渡辺武氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
渡 辺   武 代表取締役社長第7事業本部長 1974年文化シヤッター入社。静岡県立高校等の非常勤講師を経て1977年安倍口英数塾創業。1984年同社設立とともに代表取締役社長に就任。2025年3月より第7事業本部長を兼務。
渡 辺 喜代子 専務取締役管理本部長ITシステム部長人事総務部長業務本部長 1972年静岡県立病院養心荘勤務。1979年安倍口英数塾入社。1999年5月より専務取締役。管理本部長などを歴任し、2024年3月より業務本部長を兼務。
鈴 木 高 宏 取締役第6事業本部長営業支援事業本部長 1995年同社入社。小中事業本部の各本部長やiD・PAS統括本部長などを歴任。2019年6月取締役就任。2024年5月より東日本学院代表取締役社長も兼務。
加 藤 和 也 取締役第1事業本部長 1993年同社入社。小中事業本部の各地域本部長を歴任。2021年3月より第1事業本部長。2022年6月取締役就任。
紅 林 信 宏 取締役経理部長 1991年同社入社。2020年6月東日本学院監査役就任。2021年4月より管理本部経理部長。2023年6月取締役就任。
小 俣 光 永 取締役第5事業本部長福岡本部長 1995年同社入社。小中事業本部三重本部長、愛知第1本部長などを経て、2020年3月より福岡本部長。2025年6月取締役就任。
中 山 孝 介 取締役高校事業本部長 1996年同社入社。高校事業本部の各本部長や教務本部長を歴任。2023年6月より高校事業本部長。2025年6月取締役就任。


社外取締役は、清水崇仁(公認会計士)、佐竹利文(佐竹利文税理士事務所所長)、村松夏夫(元静岡新聞社常務取締役)です。

2. 事業内容

同社グループは、「小中学部」「高校部」および「その他の教育事業」を展開しています。

(1) 小中学部

小学生から高校生を対象とした学習指導・進学指導、映像授業の配信、各種講習会や模擬テストの実施などを行っています。また、児童対象の英語教室や小学生の学童保育も実施しています。

収益は主に生徒・保護者からの授業料、講習料、テスト料などから得ています。運営は、同社および連結子会社の東日本学院が行っています。

(2) 高校部

高校生および高卒生を対象とした学習指導・進学指導、オンラインによる学習指導、各種講習会などを提供しています。大学受験に向けた指導が中心となります。

収益は主に生徒・保護者からの授業料や講習料などから得ています。運営は、同社および連結子会社の東日本学院が行っています。

(3) その他の教育事業

学習塾運営のノウハウを活かしたフランチャイズ事業を展開しています。

収益はフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入などが中心です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近の業績を見ると、売上高は100億円台後半で推移しており、底堅い動きを見せています。利益面では、第41期に赤字を計上しましたが、第42期にはV字回復し、黒字転換を果たしました。経常利益率も3%台後半まで回復しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 108億円 109億円 107億円 103億円 107億円
経常利益 4億円 4億円 4億円 2億円 4億円
利益率(%) 3.4% 4.0% 3.8% 2.2% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 0.4億円 2億円 -4億円 3億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益は前期比で大幅に改善しており、収益性が向上しています。売上総利益率、営業利益率ともに上昇傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 103億円 107億円
売上総利益 16億円 18億円
売上総利益率(%) 15.4% 16.9%
営業利益 2億円 4億円
営業利益率(%) 2.1% 3.6%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が6億円(構成比44%)、その他が4億円(同31%)を占めています。売上原価においては人件費や物件費などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益

主力事業である小中学部は、高単価の中3生や小学生の生徒数増加により増収増益となりました。高校部は売上が微減となったものの、利益を確保しています。その他の教育事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
小中学部 90億円 94億円 9億円 10億円 11.2%
高校部 13億円 13億円 1億円 0.8億円 6.4%
その他の教育事業 0.5億円 0.5億円 0.4億円 0.3億円 64.6%
調整額 -0.2億円 -0.2億円 -8億円 -8億円 -
連結(合計) 103億円 107億円 2億円 4億円 3.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業活動で得た資金に加え、資金調達を行って投資に回している「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -3億円 5億円
投資CF -1億円 -7億円
財務CF -4億円 3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.1%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、授業と授業以外の教育サービスを提供する過程を通して、「勉強を通して自立する力を養う」「社会に貢献できる人を育てる」「思いやりが持てる人を育てる」という教育理念に基づき、高品質な教育サービスを提供することにより社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化

学習効果が最大限期待できる機能的な校舎や快適な学習空間の提供、高均一な授業を中心とした教育サービスの提供を重視しています。また、積極的な採用活動を通じて優秀な正社員専任教師を確保し、十分な研修を受けた専門性の高い教師体制で運営を行う文化があります。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、市場の変化に対応した教育サービスを提供することにより、1校舎あたりの生徒数を維持しつつ、全国への事業展開を目標としています。特に、売上高営業利益率を最重要指標と認識し、売上・利益の最大化に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策

小中学部では、少人数・学力別クラス編成による集団型授業の最適化、個別指導における映像授業の併用、学童保育の多校舎展開による低学年からの囲い込み等を推進します。高校部では、小中学部からの進級強化による高1生確保、オンラインコースの拡充、難関大学への合格実績伸長によるブランド確立に注力します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

高品質な教育サービスを提供するため、多様な人材の採用を積極的に行っています。人材育成については、入社時研修や授業研修、役職別研修など階層や職種に応じた研修を実施し、OJT指導にも力を入れています。また、各役職に期待する役割を再定義した人事評価制度の見直しを行い、社員の成長と公正な評価の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.1歳 12.0年 4,821,512円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.0%
男性育児休業取得率 27.3%
男女賃金差異(全労働者) 80.8%
男女賃金差異(正規) 81.2%
男女賃金差異(非正規) 95.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇の取得率(57.2%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 少子化と今後の方針について

児童・生徒数の減少という少子化問題に直面しており、受験競争の緩和による通塾率低下の可能性があります。同社は、正社員による質の高い授業や独自設計の学習環境に加え、保護者や生徒の高いレベルのニーズに応えることで差別化を図っています。

(2) 人材の確保に関するリスク

高品質な教育サービスを安定・継続的に提供するためには人材の確保が重要ですが、計画通りに人材を確保・育成できない場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 固定資産の減損に関するリスク

校舎の移転・新設に伴う設備投資を行っていますが、生徒数が計画を下回り収益性が低下した場合や地価が下落した場合には減損損失が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 災害等によるリスク

大規模な自然災害、火災、疫病の発生・蔓延、システム障害等が起こった場合、校舎運営や事業活動に支障が生じ、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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