アルファシステムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルファシステムズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、通信、流通、金融、公共分野などのソフトウェア受託開発を主力事業としています。第53期の連結業績は、売上高385億円(前期比5.8%増)、経常利益45億円(同2.7%増)となり、DX需要や通信ネットワークの高度化を背景に増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社アルファシステムズ の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルファシステムズってどんな会社?


通信システム開発を祖業とし、オープン系や組み込み系へ事業領域を拡大してきた独立系の技術者集団です。

(1) 会社概要


同社は1972年に通信ソフトウェアの開発を目的として設立され、翌年には富士通との基本契約を締結しました。1990年代には全国各地に支社を展開し、2000年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。その後、情報セキュリティ規格の取得や自社製品の開発を進め、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しています。

2025年3月31日現在の単体従業員数は2,924名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社等を含む個人・法人で、第2位は外国法人等の常任代理人を務める銀行、第3位は従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
石川 義昭 34.20%
CGML PB CLIENT ACCOUNT / COLLATERAL 9.90%
アルファシステムズ従業員持株会 9.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は齋藤潔氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
齋藤 潔 代表取締役社長 日本電信電話公社入社。エヌ・ティ・ティ・コムウェア等を経て、2020年6月より現職。
石川 有子 代表取締役会長 日立電子サービスを経て1972年入社。2005年代表取締役副社長、2011年6月より現職。
石川 英智 代表取締役副会長 オルビック取締役を経て2003年入社。2010年代表取締役副社長、2011年6月より現職。
土倉 勝美 取締役専務執行役員管理本部本部長 川崎信用金庫を経て1987年入社。2005年常務取締役、2021年6月より現職。
竹原 政義 取締役専務執行役員第二事業本部本部長 日本電信電話公社入社。NTTデータ東北社長等を経て、2023年6月より現職。
渡部 信幸 取締役常務執行役員第三事業本部担当 日本電信電話公社入社。2018年同社入社、2021年6月より現職。
鈴木 和久 取締役常務執行役員第一事業本部本部長 富士通入社。同社シニアディレクターを経て2019年同社入社、2022年6月より現職。
蜂須 優二 取締役 1983年弁護士登録。1988年蜂須総合法律事務所所長就任。2015年6月より現職。
山口 裕之 取締役 東洋信託銀行入社。アールワイ保険サービス代表取締役会長等を経て2021年6月より現職。
布施木 孝叔 取締役 公認会計士登録。新日本監査法人代表社員等を経て、2022年6月より現職。
定塚 淳一 取締役 野村證券入社。野村ファシリティーズ代表取締役社長等を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、蜂須優二(蜂須総合法律事務所所長)、山口裕之(元アールワイ保険サービス会長)、布施木孝叔(元新日本監査法人代表社員)、定塚淳一(元野村ファシリティーズ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェア開発関連事業」および「その他」事業を展開しています。

ソフトウェア開発関連事業


通信システム、オープンシステム、組み込みシステムの3分野で受託開発を行っています。通信分野では通信インフラやモバイル網、オープン分野では官公庁、流通、金融、インターネットビジネス等の業務システム、組み込み分野では自動車やデジタル家電等のソフトウェア開発を手掛けています。

収益は主に顧客企業からのシステム開発委託費や保守運用費によって構成されています。主要顧客にはNTTデータや富士通、LINEヤフーなどが名を連ねています。運営は主にアルファシステムズが行っています。

その他


自社製品の販売やシステムインテグレーション、保守・運用・オペレーション業務を行っています。教育機関向けの授業支援システムや、企業向けのリモートアクセスシステムなど、自社開発のパッケージソフトウェアやソリューションを提供しています。

収益は、自社製品のライセンス販売や導入支援、保守サービス料などから得ています。また、研究開発を起点とした新規ビジネスの創出もこのセグメントに含まれます。運営は主にアルファシステムズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は313億円から385億円へと着実に右肩上がりで成長しています。経常利益も34億円から45億円へと増加傾向にあり、利益率も10%台後半から12%前後と安定した高収益体質を維持しています。当期利益についても順調に拡大しており、安定成長が続いていることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 313億円 339億円 355億円 364億円 385億円
経常利益 34億円 41億円 43億円 44億円 45億円
利益率(%) 10.9% 12.1% 12.0% 12.2% 11.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 23億円 28億円 29億円 30億円 32億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は約23%と安定した水準を保っています。営業利益も増加しており、営業利益率は11%台後半を維持しています。コストコントロールを行いつつ、事業規模の拡大に応じて利益をしっかりと確保している様子がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 364億円 385億円
売上総利益 85億円 89億円
売上総利益率(%) 23.3% 23.2%
営業利益 43億円 44億円
営業利益率(%) 12.0% 11.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が19億円(構成比43%)、その他経費が9億円(同19%)を占めています。また、売上原価においては、労務費が205億円(構成比69%)、外注費が67億円(同23%)となっており、人件費に関連する費用が大半を占める構造です。

(3) セグメント収益


主力のソフトウェア開発関連事業は、オープンシステム分野での公共や金融案件の増加、組み込みシステム分野の伸長により増収となりました。通信システム分野では一部減少も見られましたが、全体としては堅調に推移しています。その他事業も文教ソリューション関連の売上増により大幅な増収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ソフトウェア開発関連事業 352億円 370億円 43億円 43億円 11.6%
その他 12億円 15億円 1億円 1億円 8.7%
調整額 -億円 -億円 -0億円 -0億円 -%
連結(合計) 364億円 385億円 43億円 44億円 11.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アルファシステムズのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加や仕入債務の減少などにより、前年同期比で減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、社債の購入や定期預金の預入を行ったため、前年同期比で増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が増加したことにより、前年同期比で増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 47億円 16億円
投資CF -11億円 -31億円
財務CF -10億円 -16億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「和、信頼、技術」を社是とし、豊かな人間性と高い技術の融和を目指しています。企業理念として「常に発展する技術者集団」「発展の成果を社会に常に還元する企業」を掲げ、ソフトウェア開発等の事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、すべてのステークホルダーに貢献することを経営の基本としています。

(2) 企業文化


同社は事業執行にあたり、「上質なサービスの提供」「お客様第一主義」「ソフトウェア生産技術でトップ」を基本方針としています。目指す企業像として、「社員がイキイキと働き、業界・お客様に一目置かれ、業績をきちんと上げ続ける企業」を掲げており、中長期的には「社会インフラを支える企業」としての成長を追求する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は「持続的な成長の実現」の観点から、売上高と営業利益を重視した経営に取り組んでいます。中期的な目標値として以下の数値を設定しています。

* 売上高400億円の達成
* 売上高営業利益率10%以上の確保

(4) 成長戦略と重点施策


同社は安定した事業基盤の構築と持続的成長のため、システム開発事業の基盤拡大、ソリューションビジネスの拡大、AI技術を基盤とした事業成長を基本戦略としています。特に通信・流通・公共を安定成長分野、金融・情報通信・組み込みを成長分野と位置付け、事業基盤の拡大を図ります。また、自社プロダクトの拡充やAI技術の習得・活用による高付加価値化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社はプロパー主義の開発体制を強みとし、ノウハウや企業文化の継承を重視しています。人材管理を支えるタレントマネジメントシステムの導入によりスキル管理やエンゲージメント向上を図るとともに、人材開発部と開発推進部が連携して先端技術の習得を促進しています。また、健康管理や育児支援などワークライフバランスの向上にも力を入れ、従業員の能力発揮と組織の活性化を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.9歳 15.6年 6,347,817円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.9%
男性育児休業取得率 82.6%
男女賃金差異(全労働者) 80.5%
男女賃金差異(正規雇用) 80.0%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※女性のパート・有期労働者の対象者がいないため、非正規雇用の男女賃金差異は算出されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境と顧客動向の影響


同社の主力事業は情報システムの開発であり、主要顧客である通信事業者やメーカー等の設備投資動向や経営成績の影響を受ける可能性があります。これに対し、定常的な顧客動向の把握や成長分野への展開により、安定した事業基盤の構築と競争優位性の強化に努めています。

(2) システム開発における品質リスク


大規模・複雑化する開発において、仕様変更や認識の不一致による開発費の増大、納入後の不具合による修復費用の発生リスクがあります。また、納期遅延や知的所有権侵害等による法的損害の可能性もあります。これに対し、見積精度の向上やプロジェクト管理、品質管理の強化を図っています。

(3) 情報セキュリティとサイバー攻撃


顧客の機密情報や個人情報を取り扱うため、情報の漏洩や紛失が発生した場合、信用低下や損害賠償のリスクがあります。同社はISO/IEC 27001に基づく管理体制を運用するとともに、専門チームを設置してサイバー攻撃への備えやインシデント対応体制を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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