※本記事は、アルファシステムズの有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. アルファシステムズってどんな会社?
通信インフラをはじめとするソフトウェア開発を主力とし、社会インフラを支える技術者集団です。
■(1) 会社概要
1972年10月に通信ソフトウェア開発を目的に設立されました。1973年に富士通と基本契約を締結し、1986年には同社からの資本参加を受けました。1999年に株式を店頭登録し、2000年に東証一部(現在はプライム市場)へ上場を果たしました。創業以来、通信分野から公共・流通分野へと事業領域を拡大しています。
従業員数は単体で2,987名です。大株主については、筆頭株主は創業者の石川義昭氏で、第2位は資産管理業務を行う外国法人、第3位は従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 石川義昭 | 34.20% |
| NOMURA CUSTODY NOMINEES LIMITED OMNIBUS-FULLY PAID(CASHPB) | 9.92% |
| アルファシステムズ従業員持株会 | 9.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は竹原政義氏が務めています。取締役9名のうち3名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 竹原政義 | 代表取締役社長 | 1984年日本電信電話公社入社。NTTデータ東北社長等を経て、2017年同社顧問。取締役、常務等を歴任し、2025年より現職。 |
| 石川有子 | 代表取締役会長 | 1961年日立電子サービス入社。1972年同社入社。常務、専務、代表取締役副社長等を歴任し、2011年より現職。 |
| 石川英智 | 代表取締役副会長 | 1996年オルビック取締役。2003年同社入社。総務部長、取締役、常務、代表取締役副社長等を歴任し、2011年より現職。 |
社外取締役は、山口裕之(元三菱UFJ信託銀行常務執行役員)、布施木孝叔(元EY新日本有限責任監査法人代表社員)、定塚淳一(元野村證券取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソフトウェア開発関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ソフトウェア開発関連事業
通信事業者向けの通信インフラシステムや携帯端末のソフトウェア開発をはじめ、官公庁・流通・金融機関向けの業務システムの構築、および自動車やデジタル家電向けの組み込みシステム開発などを幅広く提供しています。
顧客からのシステム受託開発にかかる開発対価が主な収益源です。通信事業者やメーカー、金融機関、官公庁など多岐にわたる業界を対象としており、事業の運営はアルファシステムズが行っています。
■(2) その他
自社で企画・開発した独自のプロダクトやソリューションサービスを提供しています。学校向けの授業支援システムやVR実習支援システムなどの各種ソフトウェア製品を販売しています。
製品の販売代金やシステムの保守・運用・オペレーションにかかる利用料を主な収益源としています。研究開発を起点とした新たなビジネスの創出を目的としており、こちらもアルファシステムズが運営を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間は、企業のIT投資需要を背景に一貫して増収基調を維持しています。経常利益および当期利益も毎期着実に増加しており、利益率も12%台で安定的に推移するなど、高い収益力を保ちながら堅調な成長を続けています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 339億円 | 355億円 | 364億円 | 385億円 | 407億円 |
| 経常利益 | 41億円 | 43億円 | 44億円 | 45億円 | 51億円 |
| 利益率(%) | 12.1% | 12.0% | 12.2% | 11.8% | 12.6% |
| 当期純利益 | 28億円 | 29億円 | 30億円 | 32億円 | 38億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益が拡大し、営業利益も前年を大きく上回って着実に成長しています。原価管理の徹底や業務効率化により、安定した利益水準を確保しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 385億円 | 407億円 |
| 売上総利益 | 89億円 | 94億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.2% | 23.2% |
| 営業利益 | 44億円 | 49億円 |
| 営業利益率(%) | 11.5% | 12.2% |
販売費及び一般管理費(合計45億円)のうち、給料及び手当が19億円(構成比43%)、賞与が7億円(同15%)を占めています。売上原価(合計313億円)においては、労務費が220億円(構成比70%)、外注費が72億円(同23%)となっており、システム開発を担う人材関連の費用が大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のソフトウェア開発関連事業は、金融分野や情報通信分野の好調により売上が伸長しました。一方、その他事業は文教ソリューション関連の販売減少により減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ソフトウェア開発関連事業 | 370億円 | 395億円 |
| その他 | 15億円 | 12億円 |
| 連結(合計) | 385億円 | 407億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなる「健全型」のキャッシュ・フローを示しており、本業で稼いだ資金を借入返済や将来に向けた投資に充てています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 16億円 | 30億円 |
| 投資CF | -31億円 | -31億円 |
| 財務CF | -16億円 | -19億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
社是として「和、信頼、技術」を掲げ、豊かな人間性と高い技術の融和を目指しています。企業理念には「常に発展する技術者集団」「発展の成果を社会に常に還元する企業」を掲げ、ソフトウェア開発を通じた社会的課題の解決と企業価値の継続的向上により、すべてのステークホルダーに貢献することを基本としています。
■(2) 企業文化
「上質なサービスの提供」「お客様第一主義」「ソフトウェア生産技術でトップ」を事業執行の基本方針としています。また、社員がイキイキと働き、業界・顧客に一目置かれ業績を上げ続ける企業を目指しており、技術者が意欲と能力を発揮できるプロパー主義の開発体制を強みとしています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長の実現という観点から、売上高と営業利益を重視した経営に取り組んでいます。昨今の生成AIの急速な進化や大きく変化している社会環境を視野に入れた成長戦略の検討を進める中で、今後の具体的な経営目標数値を設定していく方針としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
通信、流通・サービス、公共の3分野を安定成長の基盤としつつ、市場規模の大きい金融や情報通信、組み込み分野を成長エンジンと位置づけ収益拡大を図ります。また、自社開発のプロダクトを主軸としたビジネスの創出や、AI技術を基盤とした開発プロセスの効率化と新たな付加価値の提供を重点施策として推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
新卒採用を基本としたプロパー(正社員)体制の構築を目指し、チームワークを重視しながら共に成長できる人材の確保に努めています。育成面では階層別の研修プログラムやタレントマネジメントシステムによるスキル管理を導入し、従業員の能力発揮とエンゲージメントの向上、働きやすい職場環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
アルファシステムズ(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.9歳 | 15.7年 | 6,799,927円 |
※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.1% |
| 男性育児休業取得率 | 95.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 82.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | - |
※当事業年度において、女性のパート・有期労働者の対象者がいないため、差異は「-」となっています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の比率(12.9%)、社員一人当たりの階層別研修参加日数(2.73日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客の事業環境変動リスク
同社の主力事業はソフトウェア開発であるため、通信事業者やメーカーなど顧客の設備投資動向や業績の影響を受けます。また、AIの本格的適用による開発プロセスやニーズの変化も懸念されます。同社は顧客動向を定常的に把握し、競争優位性を強化することでリスク低減に努めています。
■(2) ソフトウェアの品質に関するリスク
大規模化・短納期化する開発において、仕様の追加や変更要望、認識の不一致による開発費増大や、納入後の不具合対応費用が発生するリスクがあります。同社は受注段階での見積精度の向上と、開発プロジェクトの管理および品質管理の強化により不採算化の防止を図っています。
■(3) 情報セキュリティに関するリスク
開発において顧客の業務情報や個人情報を取り扱うため、情報漏洩や紛失が発生した場合、信用低下や損害賠償が生じるリスクがあります。同社はISO/IEC 27001に基づくマネジメントシステムの運用や、サイバー攻撃に対応する専門チームの設置により厳格な管理体制を敷いています。
■(4) ハードウェア製品の供給制約に関するリスク
ハードウェア製品の製造を前提にソフトウェアを開発したり、ハードウェアを調達して納入することがあり、供給に問題が生じた場合は納期遅延の賠償責任が発生する可能性があります。同社は取引先と連携して供給動向を把握し、代替製品の提案を含めた安定供給に努めています。



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