プレステージ・インターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレステージ・インターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレステージ・インターナショナルは東京証券取引所プライム市場に上場し、各種お困りごとを解決するBPO事業を展開しています。プロパティや金融保証等の各事業拡大により、直近の業績は売上高が約709億円、経常利益が約98億円と増収増益を達成し、過去最高の業績を記録しています。


※本記事は、株式会社プレステージ・インターナショナルの有価証券報告書(第40期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレステージ・インターナショナルってどんな会社?


自動車や不動産、海外サポート等のBPOサービスを展開しています。

(1) 会社概要


1986年に海外日本語アシスタントサービス事業として設立されました。1990年代に海外展開やロードアシスタンス等を開始し、2001年にナスダック・ジャパンへ上場しました。その後、東証一部(現プライム)への指定などを経て、2019年には持株会社体制へ移行し、国内外のBPO拠点を拡充しています。

従業員数は連結で5,649名、単体で420名です。筆頭株主は代表取締役である玉上進一氏の資産管理会社とみられるタマガミインターナショナルで、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
タマガミインターナショナル 28.95%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.80%
日本カストディ銀行(信託口) 5.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。
代表取締役社長執行役員グループCEOは玉上進一氏が務めています。取締役のうち社外取締役の比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
玉上進一 代表取締役 1986年同社入社。1995年代表取締役。2022年代表取締役社長執行役員グループCEOに就任し、現在に至る。
関敏昭 取締役 野村不動産にて常務取締役、同社グループの社長・副社長などを歴任。2025年より同社取締役副社長執行役員グループCGOに就任。
中村干城 取締役 1996年同社入社。海外関連事業部長などを経て、2024年に取締役常務執行役員に就任。プレステージ・コアソリューション代表取締役。
佐藤春奈 取締役 2003年同社入社。保険CRMグループ長や秋田BPO業務部長などを経て、2024年に取締役に就任し、2026年より執行役員を兼任。


社外取締役は、髙木いづみ(弁護士)、小枝雅与(企業経営者)、毛利寛(企業経営者)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米州・欧州」「アジア・オセアニア」の報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


損害保険会社や自動車会社、不動産管理会社などを顧客とし、ロードアシスタンス、ホームアシスト、家賃債務保証などの多様なBPOサービスを提供しています。

顧客からの業務受託料や家賃保証料などを収益源としています。運営はプレステージ・インターナショナルや、子会社のプレステージ・コアソリューション、イントラストなどが担っています。

(2) 米州・欧州


米国や欧州において、損害保険会社や海外進出企業を顧客とし、海外旅行保険の被保険者向けサポートや、日本人駐 জনপ্র駐在員向けのヘルスケアプログラム、クレジットカード発行などを提供しています。

顧客企業からのサービス受託料や、クレジットカードの決済手数料などを主な収益源としています。運営はPRESTIGE INTERNATIONAL USA INC.などの海外子会社が行っています。

(3) アジア・オセアニア


アジア・オセアニア地域において、日系企業の現地法人や駐在員を対象とした医療サポート、メディカルヘルプデスクの運営、直営クリニックの展開などを行っています。

日系企業や個人との直接契約に基づく医療費精算サポートなどのサービス利用料を収益源としています。運営はPrestige International (S) Pte Ltd.などの海外子会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、旺盛なBPO需要を背景に売上高が一貫して増加傾向にあります。利益面についても、先行投資等の影響を受けつつも高水準で推移し、増益基調を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 467億円 546億円 587億円 637億円 709億円
経常利益 72億円 84億円 85億円 84億円 98億円
利益率(%) 15.3% 15.4% 14.4% 13.2% 13.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 44億円 53億円 58億円 49億円 59億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に増加しています。利益率も安定した水準を維持しており、着実な収益成長を実現しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 637億円 709億円
売上総利益 140億円 153億円
売上総利益率(%) 22.0% 21.6%
営業利益 80億円 89億円
営業利益率(%) 12.5% 12.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が19億円(構成比30%)、貸倒引当金繰入額が9億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の日本セグメントにおいて、プロパティ事業や金融保証事業の拡大が牽引し増収増益となりました。海外セグメントにおいても、クレジットカードビジネスや医療サポートサービスが好調に推移し、全セグメントで成長を遂げています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
日本 591億円 659億円 85億円 91億円 13.8%
米州・欧州 31億円 33億円 6億円 6億円 19.0%
アジア・オセアニア 15億円 17億円 5億円 5億円 29.9%
連結(合計) 637億円 709億円 80億円 89億円 12.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは以下の積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 78億円 105億円
投資CF -39億円 -69億円
財務CF -32億円 8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も58.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「エンドユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する」というグループ経営理念を掲げています。社会や地域と共に繁栄し、BPO事業における日本発世界標準企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


創業時からの「エンドユーザー(消費者)のお困りごとを解決する」というコンセプトを大切にしており、「人」でしか解決できないホスピタリティあふれるサービスの提供を重視しています。また、人と人との繋がりから生まれる共感を新しい価値を創造する原動力とする文化が特徴です。

(3) 経営計画・目標


第8次中期経営計画「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」を策定し、2027年3月期における経営目標を掲げています。資本の効率性を意識した経営を推進し、株主還元も強化する方針です。

* 売上高:760億円
* 営業利益:96億円
* 配当性向:60%以上

(4) 成長戦略と重点施策


今後の重点施策として「成長余力の創出」「サービスプラットフォーム利用型の収益モデルの開発」「機動的な拠点展開」の3つの全体戦略を掲げています。AIを活用したDX推進による生産性向上や、次世代共通プラットフォームの開発、大規模拠点とサテライト拠点の機動的な展開により、持続的な成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人」による高度な問題解決能力を競争力の源泉と位置付け、人材への投資を積極的に行っています。多様な人材が活躍できる組織づくりを目指し、職務・役割定義書の導入や人事制度の刷新を進めるとともに、企業内保育園の運営や柔軟な働き方の推進により、人材の確保と定着に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.6歳 7.3年 5,018,626円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 32.9%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 92.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 97.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 62.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(12.3%)、BMI普通体重維持者率(56.0%)、貧血の有所見者率(11.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) BPO市場および業界状況に関するリスク


BPO市場の成長はアウトソーシング化の進展に依存しており、大企業によるインハウス化や業界再編が進んだ場合、独立系BPO事業者である同社の事業機会が制限される可能性があります。同社は独自性の高いサービスの提供や拠点拡充に努めていますが、競争激化により業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) 情報ネットワークやシステムに関するリスク


同社は機密データや個人情報を扱うため、サイバー攻撃やアクセス権限の不正利用、インフラ障害などによってシステム停止や情報漏洩が発生した場合、事業継続に重大な支障を来すとともに、顧客からの信用失墜や損害賠償請求が生じるおそれがあります。

(3) 人材マネジメントに関するリスク


BPO業務において人材の確保・育成と適正な人員配置は不可欠です。国内で人手不足が深刻化する中、採用が計画を下回る場合や労務コストが著しく上昇した場合、業務品質の低下や事業活動の制限に繋がり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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