プレステージ・インターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレステージ・インターナショナル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業者。損害保険や自動車関連のアシスタンス業務を主力とし、国内および海外でコンタクトセンターを展開しています。直近の業績は、主力事業の拡大により売上高は増加したものの、税効果の影響等により最終利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社プレステージ・インターナショナル の有価証券報告書(第39期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレステージ・インターナショナルってどんな会社?


BPO事業を展開し、損害保険会社や自動車会社などを顧客に、エンドユーザーの課題解決サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1986年10月、海外日本語アシスタント・サービスを目的として設立されました。2001年7月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場へ上場し、2003年10月には秋田BPOセンターを開設して国内拠点展開を開始しました。2013年12月に東京証券取引所市場第一部へ指定され、2019年4月には持株会社体制へ移行しています。

連結従業員数は5,270名、単体では378名です。筆頭株主はタマガミインターナショナルで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。同社は創業以来、独自のBPOサービスを拡充し、現在はグローバルに事業を展開しています。

氏名 持株比率
タマガミインターナショナル 28.05%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.90%
日本カストディ銀行(信託口) 6.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長執行役員グループCEOは玉上進一氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
玉上 進一 代表取締役社長執行役員グループCEO 1986年同社入社。取締役副社長、代表取締役兼社長執行役員などを経て、2022年7月より現職。
関 敏昭 取締役副社長執行役員グループCGO 1980年野村不動産入社。野村不動産ホールディングス取締役副社長などを経て、2025年4月より現職。
中村 干城 取締役常務執行役員 1996年同社入社。執行役員インシュアランス事業統括部長、常務執行役員などを経て、2024年6月より現職。
佐藤 春奈 取締役 2003年同社入社。保険CRMグループ長、プレステージ・コアソリューション取締役などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、髙木いづみ(弁護士)、小枝雅与(トレイン エグゼクティブ ディレクター)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米州・欧州」「アジア・オセアニア」および「その他」事業を展開しています。

(1) 日本


損害保険会社や自動車関連企業、不動産管理会社などを主要顧客とし、ロードアシスタンスやホームアシスト、カスタマーサポートなどのBPOサービスを提供しています。国内に複数の大規模BPO拠点を有し、24時間365日の対応体制を構築しています。

収益は、クライアント企業からの業務委託料や、保証サービスにおける保証料などから構成されます。運営は、プレステージ・インターナショナルやプレステージ・コアソリューション、プレミアアシスト、イントラストなどのグループ各社が行っています。

(2) 米州・欧州


海外旅行保険の被保険者に対するアシスタンスサービスや、海外進出日系企業の駐在員向けヘルスケアプログラムなどを提供しています。また、米国においては日本人駐在員向けのクレジットカード発行事業も展開しています。

収益は、保険会社からのアシスタンス業務受託料や、クレジットカードの利用手数料などが主な源泉です。運営は、PRESTIGE INTERNATIONAL USA INC.やPrestige International UK Ltd.などの現地法人が行っています。

(3) アジア・オセアニア


日本と同様に、海外旅行保険のアシスタンスサービスやヘルスケアプログラムを提供しています。また、現地の医療機関ネットワークを活用したメディカルサポートプログラムなども展開しており、各国の特性に合わせたサービスを行っています。

収益は、クライアント企業からの業務受託料が中心となります。運営は、Prestige International (S) Pte Ltd.やPRESTIGE INTERNATIONAL (THAILAND) CO., LTD.などの現地法人が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間で連続して増加しており、順調な事業拡大が続いています。経常利益については、一時期の急伸後は高水準で安定して推移しています。当期純利益に関しては、変動が見られるものの、黒字基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 406億円 467億円 546億円 587億円 637億円
経常利益 55億円 72億円 84億円 85億円 84億円
利益率(%) 13.4% 15.3% 15.4% 14.4% 13.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 30億円 44億円 53億円 58億円 49億円

(2) 損益計算書


売上高は増加傾向にありますが、売上総利益率はやや低下しています。営業利益率は一定の水準を維持しており、本業の収益力は確保されています。コスト構造の変化に伴い、利益率の推移には注意が必要です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 587億円 637億円
売上総利益 138億円 140億円
売上総利益率(%) 23.4% 22.0%
営業利益 79億円 80億円
営業利益率(%) 13.5% 12.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が18億円(構成比30%)、貸倒引当金繰入額が9億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントが売上高の大半を占めており、全社の増収を牽引しています。アジア・オセアニアセグメントは売上・利益ともに高い成長率を示しています。米州・欧州セグメントも堅調に推移しており、各地域で事業が拡大しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 545億円 591億円 79億円 85億円 14.4%
米州・欧州 30億円 31億円 5億円 6億円 18.9%
アジア・オセアニア 12億円 15億円 3億円 5億円 30.4%
調整額 △17億円 △25億円 △9億円 △16億円 -
連結(合計) 587億円 637億円 79億円 80億円 12.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動によって得たキャッシュを、設備投資や配当支払いなどに充当しており、健全な財務運営が行われています。借入金の返済や自己株式取得などの財務活動も積極的に行いながら、手元資金も確保している優良な状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 59億円 78億円
投資CF △26億円 △39億円
財務CF △24億円 △32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「エンドユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する。」という経営理念を掲げています。この理念のもと、BPO事業における日本発世界標準企業となることを目標としています。

(2) 企業文化


創業時から培ってきたホスピタリティ、経験と実績を重視し、クライアント企業の目線でのサービス向上を担う文化があります。エンドユーザーの感動・感謝を追求した付加価値サービスの提供を通じて、ステークホルダーと共に繁栄できる企業を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年の中期経営計画を策定しています。最終年度である2027年3月期の経営指標として、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:750億円
* 営業利益:100億円
* ROE:15%
* 配当性向:60%以上
* 総還元性向:70%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「成長を繋ぐ~Origin/Next 50」をテーマに、成長余力の創出、サービスプラットフォーム利用型収益モデルの開発、機動的な拠点展開を全体戦略として掲げています。具体的には、AI等を活用したDX推進による生産性向上、大規模BPOセンターの新設やサテライト拠点の展開などを進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人種や国籍、性別等を問わない多様な人材の確保と、女性管理職比率の向上に取り組んでいます。また、従業員の健康意識向上を目指す健康経営や、多様な働き方を可能にする制度・環境整備を推進しています。これらを通じて、組織風土の醸成と働きがいのある体制づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 33.0歳 6.4年 4,488,778円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 43.4%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.3%
男女賃金差異(正規) 66.5%
男女賃金差異(非正規) 33.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、貧血の有所見者率(10.4%)、BMI普通体重維持者率(56.6%)、離職率(13.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) BPO事業の市場環境


BPO市場の拡大はアウトソーシング化の進展に依存しており、これが進まない場合は成長が鈍化する可能性があります。また、大手企業のインハウス化や業界再編により事業機会を喪失するリスクもあります。同社は独自性の高いサービス提供により顧客拡大に努めていますが、競争激化等の影響を受ける可能性があります。

(2) 世界情勢等の影響


海外に多数の拠点を展開しているため、各国の法律・規制の変更、政治・経済情勢の悪化、税制変更、テロや戦争などの社会的混乱が発生した場合、同社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 信用リスクと風評被害


主要クライアントである損害保険会社や自動車メーカーなどの信用問題や風評悪化が、同社の業績に波及する可能性があります。また、同社の業務に起因するトラブル等が発生した場合、契約解消や他のクライアントへの影響が生じる恐れがあります。

(4) 設備・システムのリスク


情報ネットワークやシステムの障害、サイバー攻撃、災害などにより、業務停止やデータ漏洩が発生した場合、事業活動に重大な影響を与え、損害賠償請求を受ける可能性があります。大規模な自然災害による拠点機能の停止も事業継続のリスク要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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