アミューズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アミューズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の総合エンターテインメント企業。サザンオールスターズや福山雅治など有力アーティストのマネージメントを核に、イベント、音楽・映像、出演・CM事業を展開。第47期は大型コンサートツアーやグッズ販売が好調で増収増益(売上高24.4%増、経常利益66.7%増)を達成しました。


※本記事は、株式会社アミューズ の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アミューズってどんな会社?

アーティストのマネージメント事業を主軸に、コンサートや映像作品の制作なども手掛ける総合エンターテインメント企業です。

(1) 会社概要

1978年に設立され、芸能プロダクション事業を開始しました。2001年にナスダック・ジャパンへ上場し、その後東証一部を経て、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しました。2024年10月には事業の新設分割を行い、アーティストマネージメント部門における社内カンパニー制を導入するなど組織再編を実施しています。

同グループは連結従業員数586名、単体従業員数252名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業者の大里洋吉氏が代表を務める株式会社オオサトで、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社です。創業者およびその資産管理会社が主要株主となっています。

氏名 持株比率
オオサト 27.53%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.68%
PERSHING-DIV. OF DLJ SECS. CORP. (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) 3.08%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表取締役会長兼社長は大里洋吉氏です。社外取締役比率は23.1%です。

氏名 役職 主な経歴
大里 洋吉 代表取締役会長 兼 社長 渡辺プロダクションを経て1978年に同社設立、代表取締役社長。会長、最高顧問等を歴任し、2025年6月より現職。
柏木 伸裕 取締役副会長 シャルレ等を経て2001年同社入社。経営企画部担当、アミューズクエスト代表取締役社長等を歴任し、2025年6月より現職。
荒木 宏幸 専務取締役 1994年同社入社。マネージメント部門を歴任し、2020年取締役専務執行役員。2023年7月より現職。
大野 貴広 常務取締役 1995年同社入社。デジタルビジネス、ライツマネージメント等の担当役員を経て、2023年7月より現職。
大嶋 敏史 常務取締役 太田昭和監査法人等を経て2008年同社社外監査役。その後入社し管理部門を担当。2025年6月より現職。
清山 こずえ 取締役 2003年同社入社。国際マネージメント室長、ソウル現地法人社長、韓国プロジェクト担当等を歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、安藤隆春(元警察庁長官)、麻生要一(アルファドライブ代表取締役)、平原依文(HI合同会社代表)です。

2. 事業内容

同社グループは、「イベント関連事業」「音楽・映像事業」「出演・CM事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) イベント関連事業

アーティストによるコンサートや舞台公演の企画・制作・実施、およびアーティストグッズやファンクラブの運営を行っています。ファンの熱量を直接収益化する事業領域です。

主な収益源は、コンサート等のチケット収入、イベント会場やオンラインショップでのグッズ販売収入、ファンクラブ会員からの会費収入です。運営は主にアミューズ、アミューズクリエイティブスタジオ、アミューズプロダクトワークス、TOKYO FANTASYなどのグループ各社が行っています。

(2) 音楽・映像事業

音楽作品や映像作品の企画・制作、販売、権利運用を行う事業です。アーティストの創作活動をパッケージ化し、多様なメディアを通じて提供しています。

収益源は、CD・DVD等の販売収入、楽曲や映像の使用に伴う印税収入、映画の興行収入、テレビ放映権料、配信収入などです。運営は主にアミューズ、タイシタレーベルミュージック、ライブ・ビューイング・ジャパン、極東電視台などが担っています。

(3) 出演・CM事業

所属アーティストのメディア出演をマネージメントする事業です。テレビドラマ、バラエティ番組、映画、CM、雑誌など、幅広いメディアへの出演をサポートしています。

収益源は、放送局や広告代理店、出版社、映画製作会社などから受け取る出演料や契約料です。運営は主にアミューズおよびアミューズコミュニケーションデザインが行っています。

(4) その他事業

人材育成事業などを展開しています。企業や個人に向けた研修やセミナーなどを提供しています。

収益源は、研修やセミナーの受講料収入などです。運営は主にジェイフィールや茅ヶ崎エフエムなどが担っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近の業績を見ると、売上収益は回復傾向にあり、特に当期は大型コンサートの実施等により大幅な増収となりました。利益面でも、増収効果や関係会社株式売却益の計上などにより、経常利益、当期利益ともに大きく伸長しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 387億円 525億円 548億円 682億円
経常利益 28億円 34億円 18億円 30億円
利益率 4.0% 3.2% 0.7% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 17億円 4億円 16億円

(2) 損益計算書

前期と比較すると、イベント収入や映像製作収入の増加により売上高が大きく伸びています。売上総利益率、営業利益率ともに改善しており、収益性が向上しました。事業構造改革費用の計上はありましたが、株式売却益もあり最終利益も増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 548億円 682億円
売上総利益 76億円 93億円
売上総利益率 13.9% 13.7%
営業利益 14億円 28億円
営業利益率 2.5% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が14億円(構成比22%)、支払手数料が8億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益

イベント関連事業は大型コンサートツアーの開催やグッズ販売の好調により大幅な増収増益となりました。音楽・映像事業も番組制作やライブ・ビューイングが好調で増収増益です。一方、出演・CM事業は売上は横ばいながらコスト増により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
イベント関連事業 316億円 421億円 -1億円 8億円 2.0%
音楽・映像事業 169億円 197億円 10億円 15億円 7.6%
出演・CM事業 63億円 64億円 5億円 4億円 7.0%
連結(合計) 548億円 682億円 14億円 28億円 4.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、本業で稼いだ現金を借入金の返済や将来への投資に回している「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -3億円 4億円
投資CF -17億円 -6億円
財務CF -7億円 -21億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%で市場平均(9.4%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.6%で市場平均(48.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「あらゆる才能と繋がり、世界に挑戦するプロデュースハウスへ」という経営方針を掲げています。創業50周年となる2028年までの期間を「さらなる成長軌道を実現するための重要期間」と位置づけ、企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化

同社は、アーティストの所属年数が長いこと(サザンオールスターズ47年、福山雅治37年など)を特徴としており、長期的な視点でのマネージメントを重視する文化があります。また、既存の枠に捉われない発想で、才能から生み出される良質なコンテンツを共に創り、世界中に届ける姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標

同社は具体的な数値目標としての経営計画は記載していませんが、各事業を小単位に分けて営業利益管理を行い、全体としての営業利益、営業利益率、株主資本利益率などの向上を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策

今後の成長に向け、世界を見据えたアーティストの発掘・育成、オリジナルコンテンツの創造、Web3サービスの開発に注力しています。特に、多言語を扱うアーティストの育成や、自社開発コンテンツの制作体制強化、デジタル技術を活用したファンサービスの拡充を進めています。また、2024年よりアーティストマネージメント事業においてカンパニー制を導入し、意思決定の迅速化を図っています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は人材を価値創造の源泉と捉え、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。若年層の即戦力化やマネージメント能力の向上を図るとともに、多彩な人材が多様な働き方を選択できる人事制度の構築や、従業員の健康を考慮した施策を実施し、従業員と企業の両方が成長できる環境を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.3歳 10.6年 7,082,534円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 41.5%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 74.3%
男女賃金差異(正規雇用) 78.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 74.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用比率(68.6%)、外国籍社員比率(1.0%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要アーティストに関するリスク

同社グループの業績は、主要アーティストの活動状況や契約更新の有無に影響を受ける可能性があります。また、アーティストや関係者の不祥事等が報道された場合、グループの評判が悪化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、アーティストポートフォリオの拡充やコンプライアンス研修などでリスク軽減を図っています。

(2) 業績の変動性

大規模なコンサートの実施時期や、ヒット作品の有無により、短期間で営業収入が急増するなど業績が変動する傾向があります。幅広いアーティストや作品の確保により安定的な収入計上に努めていますが、興行や作品リリースのタイミングによっては、業績の変動が大きくなる可能性があります。

(3) 興行事業における不測の事態

出演アーティストの健康上の理由や事故、異常気象や災害、感染症の流行などにより、コンサートや舞台等の興行が中止または延期となる可能性があります。このような場合、チケットの払戻しや代替措置の困難さなどにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材確保のリスク

中長期的な成長には優秀な人材の確保と育成が不可欠ですが、社会情勢や雇用環境の変化により、必要な人材を継続的に採用することが困難になる可能性があります。これにより事業運営や成長戦略の推進に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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