システナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システナは東京証券取引所プライム市場に上場し、システムやソフトウェアの開発、ITアウトソーシング、IT関連商品の販売などを展開する企業です。最新の業績では、企業のDX投資やAI活用ニーズを背景に前年比で増収、各事業での収益性向上により大幅な増益を達成しており、引き続き中長期的な成長を見込んでいます。


※本記事は、株式会社システナの有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システナってどんな会社?


システナは、システム開発やITサービス、IT関連商品の販売を通じ、企業のDXを支援する企業です。

(1) 会社概要


1983年にマイクロコンピューターのソフト開発を目的としてヘンミエンジニアリングが設立され、1984年にシステムプロへ商号を変更しました。2004年に東証二部、2005年に東証一部へ上場し、2010年にカテナを吸収合併して現在のシステナに商号変更しています。近年も国内外に拠点を展開し、持分法適用会社や子会社を増やして事業を拡大しています。

現在、同社は連結で5,301名、単体で3,856名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理等を行うSMSホールディングスで、第2位および第3位はそれぞれ信託業務を行う金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
SMSホールディングス 29.03%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.33%
日本カストディ銀行(信託口) 5.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.6%です。代表取締役会長は逸見愛親氏、取締役社長は逸見真吾氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
逸見愛親 代表取締役会長 1974年日東紡績入社。1979年サンシステム入社。1983年ヘンミエンジニアリング(現同社)設立、代表取締役社長。2009年同社代表取締役会長。2010年同社代表取締役社長などを経て、2024年6月より現職。
逸見真吾 取締役社長 2003年ピー・アール・オー入社。2012年同社入社。クラウド事業部長、執行役員等を経て、2021年取締役DXデザイン本部長兼ソリューションデザイン本部長。専務取締役等を経て、2026年4月より現職。
三浦賢治 取締役副会長 1988年東芝エンジニアリング入社。1995年同社入社。取締役副社長等を経て、2016年代表取締役社長。2024年6月取締役社長代表執行役員を経て、2026年4月より現職。
小谷寛 常務取締役 1992年松下利雄税理士事務所入所。エイブル不動産等を経て、2001年同社入社。財務経理部長、執行役員などを経て、2021年取締役財務経理本部長。2024年6月より現職。
田口誠 取締役 1992年カテナ入社。システム商品事業本部営業第一部長等を経て、同社ソリューション営業本部長などを歴任。2021年取締役ビジネスソリューション事業本部長。2024年6月より現職。
藤井宏幸 取締役 1991年カテナ入社。ITマネジメント事業部長等を経て、同社執行役員ITマネジメント事業本部統括部長などを歴任。2021年取締役ITマネジメント事業本部長。2024年6月より現職。
西川誠一郎 取締役 1996年髙瀬物産入社。2000年カテナ入社。同社金融・基盤システム本部保険2グループ担当部長、執行役員フレームワークデザイン本部長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、伊藤麻里(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー)、逸見圭朗(元富士銀行・ぴえろ専務)、黒﨑力蔵(元富士銀行・Valueup Partners代表)、齊藤一典(元野村證券・SOL.Tvbpartners代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「次世代モビリティ事業」等の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 次世代モビリティ事業


完成車メーカーやサプライヤー向けを中心に、自動車業界へのエンジニアリングやMaaSなどの自社サービスを提供しています。自動車業界におけるSDV化の加速を背景に、最上流の企画・要件定義段階から一貫した支援体制を強みとしています。

収益は、主にソフトウェア開発の受注やエンジニアリングサービスの対価として顧客企業から受け取ります。運営は同社が主体となって行い、北米市場での案件創出については米国子会社のSystena Americaを通じて展開しています。

(2) プロジェクトマネジメントデザイン事業


各種プロダクト製品や通信事業者サービスの企画・設計・開発・検証支援を行っています。また、ネットビジネス、業務用アプリ、Webサービス、社会インフラ関連システム、IoT、人工知能、ロボット関連サービスの企画・設計・開発・検証支援を提供しています。

収益は、次世代通信およびAI領域などにおけるシステム開発やプロジェクトマネジメント、コンサルティング等の対価として顧客企業から受け取ります。運営は主に同社が担っています。

(3) デジタルインテグレーション事業


金融系(生損保、銀行)および公共・法人系の基幹システム開発を行っています。また、DXソリューションの導入やインフラ構築、システム運用、インフラコンサルティングサービスなども提供し、既存顧客のDXニーズを支援しています。

収益は、基幹システムのモダナイズ案件や生成AIを活用した開発案件、DX支援領域におけるシステム開発やインフラ構築の対価として顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っています。

(4) IT&DXサービス事業


システムの運用・保守・監視、ヘルプデスクやユーザーサポートのほか、データ入力、大量出力などのITアウトソーシングサービスを提供しています。企業のデジタルビジネス化に向けた業務プロセスの最適化や伴走型PMOサービスも展開しています。

収益は、ITアウトソーシングサービスなどの提供に対する対価として顧客企業から受け取ります。運営は同社のほか、子会社のProVision、東京都ビジネスサービス、ティービーエスオペレーション、ProVision VN等が担っています。

(5) ビジネスソリューション事業


サーバーやパソコン、周辺機器、ソフトウェアなどIT関連商品の企業向け販売を行っています。また、基盤構築や仮想化などIT機器に関わるサービスの提供、RPAやBIツール等プロダクト導入サービスの企画・開発・提供も実施しています。

収益は、IT機器やソフトウェアの販売代金、クラウドの利活用やセキュリティ関連のシステムインテグレーションサービスの対価として顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っています。

(6) DX&ストック型ビジネス事業


自社サービスである「Canbus.」、「Cloudstep」、「Web Shelter」の提供を行っています。また、「Google Workspace」や「Microsoft 365」などクラウド型サービスの提供や導入支援を通じて企業のDXを推進しています。

収益は、自社サービスや他社クラウドサービスのライセンス販売、継続的なサポート提供に伴うサブスクリプション利用料等として顧客企業から受け取ります。運営は主に同社が担っています。

(7) その他事業


モバイル通信関連の技術支援、開発・検証支援、各種ソリューションの提供などを行っています。また、最新技術やサービスの動向調査および事業化、スマートフォンやタブレット向けゲームコンテンツの企画・開発なども手掛けています。

収益は、開発・検証支援の対価や各種ソリューションの提供料、ゲームの課金収入等として受け取ります。運営は子会社のGaYa、シンクロジック、IDY、Systena America、Systena Vietnam等が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して拡大を続けており、特に直近の事業年度では企業のDX投資継続やAI活用ニーズを捉えたことで大幅な増収となっています。経常利益も売上の拡大と高付加価値領域への注力による収益性向上により、順調な増加傾向で推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 653億円 745億円 769億円 836億円 944億円
経常利益 86億円 100億円 99億円 119億円 161億円
利益率(%) 13.1% 13.4% 12.9% 14.2% 17.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 56億円 66億円 65億円 81億円 107億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から12.9%増加し、これに伴い売上総利益も順調に拡大しています。高単価なDX支援領域やマネジメント案件などへのリソースシフトが奏功したことで利益率が改善し、営業利益も前期比で増加しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 836億円 944億円
売上総利益 210億円 248億円
売上総利益率(%) 25.1% 26.3%
営業利益 121億円 154億円
営業利益率(%) 14.4% 16.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が30億円(構成比32%)、賃借料が12億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの増減を見ると、ビジネスソリューション事業はクラウド移行やセキュリティ関連案件が好調で増収を牽引しました。また、次世代モビリティ事業では自動車業界のソフトウェア開発需要を捉え、デジタルインテグレーション事業でも金融分野の基幹システム刷新案件などが拡大し、大きく売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
次世代モビリティ事業 55億円 76億円
プロジェクトマネジメントデザイン事業 157億円 153億円
デジタルインテグレーション事業 88億円 104億円
IT&DXサービス事業 204億円 219億円
ビジネスソリューション事業 298億円 356億円
DX&ストック型ビジネス事業 27億円 28億円
その他事業 7億円 8億円
連結(合計) 836億円 944億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動から得た利益により借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 80億円 133億円
投資CF -26億円 -9億円
財務CF -140億円 -43億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.9%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


システナグループは、日本経済の発展に貢献することで心豊かな社会作りに尽力することを経営理念としています。この経営理念のもと、事業活動を通じてお客様や社会に貢献し、お客様、株主、従業員を含めた三者満足の継続的な向上を実現することで、持続可能な社会の実現と企業価値増大の両立を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定による「スピード経営」を推し進めています。また、すべての人たちの人権や価値観を尊重し、不当な差別を行わず、ハラスメントを防止する「人にやさしい職場環境づくり」を重視しており、ダイバーシティの推進やワークライフバランスの充実を通じて多様な人材が活躍できる文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な成長と収益基盤の安定化に向け、データ経営の実践によりプロジェクトごとの稼働率や収益性をリアルタイムに可視化・分析し、迅速な意思決定と最適なリソース配分を推進しています。また、ストック型ビジネスの拡充やAIなど新たな成長領域への展開を進めることで、高収益率を維持できる強固な経営基盤の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は今後の持続的な成長に向けた課題として、高い専門性を持つ技術者の採用と定着を重点施策に掲げています。また、各事業の強みの明確化とグループ内の連携強化による「オールシステナ」でのシナジー創出を図ります。さらに、既存事業の基盤を活かしながら、ストック型ビジネスの拡充とAIをはじめとする新たな成長領域への展開を推進し、再現性の高い収益基盤を強化して将来の新たな柱を育成する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、経験者採用を軸に据え、教育・研修の効率化と採用時のミスマッチ解消に取り組むことで専門技術者の確保に注力しています。独自のキャリアパスや研修制度、自己啓発支援制度を整備し、若手から中堅、シニア層まで能力を最大限に発揮できる育成環境を構築しています。適性が合わない場合でも多様なプロジェクトを通じたキャリア再構築を支援し、実力に応じた適材適所の配置と公平な処遇を徹底しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。同社の報酬は、性別や年齢などの属性にかかわらず、プロジェクトごとの稼働率や収益性、組織への貢献度や専門性を多角的に評価し、実力に応じた処遇として報酬に連動させる方針です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 31.2歳 6.3年 5,194,782円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.8%
男性育児休業取得率 69.2%
男女賃金差異(全労働者) 83.3%
男女賃金差異(正規雇用) 83.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 95.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性従業員比率(44.5%)、有給休暇取得率(81.9%)、ストレスチェック受診率(98.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 機密情報の漏洩リスク


同社の業務は技術的・営業戦略的に高い秘匿性が求められることが多く、ISO27001の認証取得など情報セキュリティ管理を徹底しています。しかし、万一情報漏洩が発生した場合は損害賠償や信用の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 中小受託取引適正化法等の規制対応リスク


中小企業に対する適正な価格転嫁や支払の迅速化を義務付ける「中小受託取引適正化法」に基づき、現金による迅速な支払体制を運用しています。しかし、万一法令違反が生じた場合は行政処分や社会的信用の失墜を招く恐れがあります。

(3) 労働者派遣法関連のコンプライアンスリスク


一般労働者派遣事業の許可を受けて事業を展開しており、法令遵守を徹底しています。しかし、何らかの理由で欠格事由への該当や法令違反が発生し、事業停止命令などの制約を受けた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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