※本記事は、グローバルウェイの有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. グローバルウェイってどんな会社?
同社はデジタル・ソリューションや人材紹介、シェアリング事業を通じて、企業と個人の成長を支援するIT企業です。
■(1) 会社概要
同社は2004年にグローバル・ショッピングコミュニティサイトの企画・開発を目的として設立され、2006年に現社名へ変更しました。2009年に働く人のための情報プラットフォーム「キャリコネ」の提供を開始し、2016年にマザーズへ上場しています。同年には個人の時間を売買できる「TimeTicket」事業を譲り受けました。
従業員数は連結で153名、単体で120名です。筆頭株主は創業者の各務正人氏で、第2位は楽天証券、第3位はSBI証券などの金融機関が上位に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 各務 正人 | 41.69% |
| 楽天証券 | 2.91% |
| SBI証券 | 1.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長CEOは各務正人氏が務めており、社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 各務 正人 | 代表取締役会長兼社長CEO | 1998年UBS証券入社。ドイツ証券等を経て、2004年に現同社を設立し代表取締役社長に就任。タイムチケットの代表取締役社長などを経て、2025年より現職。 |
| 梁 行秀 | 取締役CTOビジネスアプリケーション事業長 | 2003年NTTソフトウェア(現NTTテクノクロス)入社。2015年に同社へ入社し、デロイトトーマツコンサルティングを経て、2020年より現職。 |
| 中村 紘彦 | 取締役CSOメディアプロデュース事業長セールス&マーケティング本部長 | 2006年エン・ジャパン入社。アイドマ・ホールディングスを経て、2022年に同社へ入社し、同年より現職。 |
| 伊藤 享弘 | 取締役CFO兼CISOコーポレートサービス部長 | 1997年プライスウォーターハウスコンサルティング入社。トランス・コスモス等を経てデリバリーコンサルティング取締役等を歴任し、2024年より現職。 |
| 赤堀 政彦 | 取締役(監査等委員) | 2009年シーエー・モバイル入社。セレンディップ・コンサルティング取締役等を経て、2020年に同社取締役、2022年より現職。東京通信グループ取締役等も兼任。 |
社外取締役は、黒田真行(ルーセントドアーズ代表取締役)、佐藤岳(GAXマーケティング代表取締役)、清水知彦(弁護士法人鶯花設立)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デジタル・ソリューション事業」「キャリアイノベーション事業」「シェアリング事業」を展開しています。
■デジタル・ソリューション事業
企業のDX推進を支援するため、SalesforceやMuleSoftなどのクラウドソリューション、AIソリューションの導入支援を提供しています。DX戦略の立案やプロジェクト管理支援(PMO)など、要件定義の上流領域から開発、運用、定着化までを一貫してサポートするITコンサルティングサービスを展開しています。
顧客企業から受け取るシステム構築・開発の受託費用やコンサルティング費用を収益源としています。コンサルタントやエンジニアの専門スキルを活かした継続的なサポートにより対価を得ており、運営は主にグローバルウェイが行っています。
■キャリアイノベーション事業
働く人々のキャリア形成を支援する総合的な人材サービスを提供しています。企業の年収や口コミ情報を掲載する情報プラットフォーム「キャリコネ」を運営するほか、外資系・IT・コンサルティング業界を中心とするハイクラス人材を対象とした有料職業紹介サービスを展開しています。
人材紹介サービスでは、求人企業から受け取る採用成功報酬が主な収益源となります。また、メディア事業では、プラットフォームへの送客による手数料等を受け取っています。運営は主にグローバルウェイが行っています。
■シェアリング事業
個人の時間を売買できるスキルシェアプラットフォーム「TimeTicket」や、法人と個人間で時間を販売できる「TimeTicket Pro」を運営しています。また、動画配信プラットフォームでのTikTok Live代理店活動や、経営課題の解決を行うコンサルティングサービスなども提供しています。
プラットフォームを通じた取引成立時に発生する手数料や、ライブ配信でのユーザーからの課金(プラットフォーム手数料控除後の純額)を収益源としています。この事業の運営は、子会社であるタイムチケットが主に行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一時減少したものの、その後は右肩上がりで成長を続け、当期は大幅な増収を達成しています。利益面では過去数期間にわたり赤字が続いていましたが、収支管理の徹底や売上拡大の効果により、当期は経常利益・当期利益ともに黒字転換を果たしています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18億円 | 17億円 | 25億円 | 31億円 | 40億円 |
| 経常利益 | 4億円 | -4億円 | -3億円 | -3億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 24.6% | -25.7% | -13.7% | -9.0% | 7.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | -0.1億円 | -1億円 | -3億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な伸びに伴い、売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率も上昇傾向にあります。事業規模の拡大に合わせた徹底したコスト管理が奏功し、営業利益率はマイナスからプラスへと劇的に改善しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 40億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 51.1% | 59.5% |
| 営業利益 | -3億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | -8.5% | 7.6% |
販売費及び一般管理費のうち、業務委託料が6億円(構成比27%)、給与手当が5億円(同24%)を占めています。また、広告宣伝費にも2億円が投じられています。
■(3) セグメント収益
シェアリング事業がTikTokライバー事業を中心とした売上拡大により大きく成長し、全体の収益増を牽引しています。デジタル・ソリューション事業は案件品質の向上等により利益が大きく伸び、キャリアイノベーション事業もハイクラス人材紹介が堅調に推移して利益を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| デジタル・ソリューション事業 | 15億円 | 16億円 | 0.4億円 | 4億円 | 26.8% |
| キャリアイノベーション事業 | 6億円 | 5億円 | 0.5億円 | 1億円 | 16.5% |
| シェアリング事業 | 10億円 | 19億円 | 1億円 | 2億円 | 8.2% |
| 連結(合計) | 31億円 | 40億円 | -3億円 | 3億円 | 7.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で得た資金を活用し、将来への投資と借入金の返済を並行して進める「健全型」のキャッシュ・フローとなっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.6%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -5億円 | 3億円 |
| 投資CF | 0.2億円 | -1億円 |
| 財務CF | 2億円 | -1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「“人”と“技術”を新しい時代のために」を経営理念に掲げています。また、「人々や企業から最も信頼される存在を目指して」をビジョンとし、あらゆる技術の追求を通じて人々の幸せや企業の成長を最大限に実現し、新しい時代において最も信頼される存在となることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、技術の追求を担う人材を最大の資本と位置づけており、従業員の資質向上と能力開発を積極的に支援する文化を持っています。専門的な教育や資格取得の推奨、柔軟な働き方を取り入れ、従業員が長期にわたって成長・活躍できる環境を整え、顧客との信頼関係を積み重ねることを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、グループ全体の収益を最大化することを基本方針とし、中期的な業績目標を設定して事業拡大を推進しています。2027年3月期の連結業績目標として以下を掲げています。
* 連結売上高:43億円
* 営業利益:1.3億円
* 経常利益:1.2億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1.2億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、各事業の基盤確立とシナジー創出を戦略の軸としています。デジタル・ソリューション事業では開発受託案件の拡大とエンジニアの育成を進め、キャリアイノベーション事業では大手事業会社への採用支援などを強化します。シェアリング事業ではTikTok Live代理店活動などの営業強化と海外進出の基盤作りに注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、専門スキルを持つエンジニアやコンサルタントの確保・育成を中核とする人材戦略を推進しています。フルリモートワークやフレックスタイム制を活用して多様な人材が活躍できる環境を整備し、継続的な処遇改善によって人材の定着を図っています。また、オンラインと対面を組み合わせたコミュニケーション施策で帰属意識の向上にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.9歳 | 4.4年 | 6,498,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) DX市場動向と企業のシステム投資抑制リスク
同社のデジタル・ソリューション事業はDX市場を中心として展開しており、クライアント企業のシステム投資意欲に支えられています。しかし、経済情勢の変化などによって企業のIT投資が抑制された場合、事業展開や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存リスク
同社グループは多数のクライアントと取引を行っていますが、連結売上高の約半分は上位10社程度で構成されており、特定の取引先への依存度が高い傾向にあります。何らかの理由でこれらの主要顧客との取引が減少、または失われた場合、収益に影響が生じるリスクがあります。
■(3) 検索エンジンへの集客依存リスク
キャリアイノベーション事業で運営する情報プラットフォーム「キャリコネ」の利用者は、多くが特定の検索エンジンを経由して訪問しています。そのため、検索エンジンの表示ロジック変更などによりSEO(検索エンジン最適化)が有効に機能しなくなった場合、集客力や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) インターネットメディアと人材紹介の法的規制リスク
同社の運営するメディアやシェアリングサービスは電気通信事業法などの規制対象であり、また人材紹介事業では職業安定法等の適用を受けています。新たな法令の制定や解釈変更、許認可の取消事由に抵触するような事態が発生した場合、事業活動に大きな支障を来す恐れがあります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。