ウェザーニューズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウェザーニューズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウェザーニューズは東京証券取引所プライム市場に上場し、海運、航空、陸上インフラから個人まで幅広く気象情報コンテンツを提供する世界有数の気象情報会社です。2026年5月期は法人向け事業におけるAI活用等で運営の効率化が進み、売上高245億円、経常利益55億円の増収増益を達成して持続的成長を続けています。


※本記事は、株式会社ウェザーニューズの有価証券報告書(第40期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウェザーニューズってどんな会社?


世界中の企業や個人に向けて、高精度な予測に基づく気象情報や対応策コンテンツを提供する企業です。

■(1) 会社概要


1986年に気象情報サービスの提供を目的に設立されました。1993年にはOCEANROUTES INC.の全株式を取得してグローバル展開を加速し、2000年にナスダック・ジャパン、2003年には東証第一部へ上場を果たしました。2009年に提供を開始したスマートフォン向けアプリ「ウェザーニュース」は広く普及し、陸・海・空から個人向けまで多彩な気象サービスを展開しています。

同社グループの従業員数は連結で1,105名、単体で978名です。筆頭株主は同率でWNI気象文化創造センターおよびダブリュー・エヌ・アイ・インスティテュートであり、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
WNI気象文化創造センター 15.31%
ダブリュー・エヌ・アイ・インスティテュート 15.31%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.26%

■(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は石橋知博氏が務めています。取締役6名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
石橋知博 代表取締役社長 社長執行役員 1998年日本ヒューレット・パッカード入社。2000年同社入社。BtoS事業統括主責任者などを経て、2024年より現職。
草開千仁 代表取締役会長 1987年同社入社。防災・航空事業本部長、代表取締役副社長等を経て、2006年代表取締役社長、2024年より現職。
吉武正憲 取締役 執行役員 1996年同社入社。福岡支社支社長、経理・財務・総務統括主責任者などを経て、2024年より現職。


社外取締役は、村木茂(元東京ガス副社長執行役員)、秋元征紘(元ワイ・エイ・パートナーズ代表取締役)、林いづみ(桜坂法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、大きく分けて4つの事業ドメインで気象サービスを展開しています。

■(1) Sea Domain


グローバルに展開し、国や地域をまたぐ大型船舶の長期航海をサポートする気象情報サービスを提供しています。安全運航や効率的な燃料消費を支援する最適航路推薦などを、世界各国の外航船に提供しています。

船隻数や航海日数などの取引数量に応じた従量課金型のサービスとして料金を受け取ります。運営はウェザーニューズおよび海外の子会社が連携して行っています。

■(2) Sky Domain


日本やアジアを中心としたエアライン・ヘリコプター市場向けに航空気象サービスを展開しています。航空機運航の安全性・経済性の確保や、緊急出動を要するドクターヘリの運航可否判断を支援します。

月額固定型の継続的な利用料として顧客企業から料金を受け取ります。ウェザーニューズが主体となってサービスを提供しています。

■(3) Land Domain


日本国内を中心に、道路、鉄道といったインフラ企業をはじめとした様々な業種にサービスを提供しています。荒天時の安全確保や電力需要予測、放送局向けの気象コンテンツ制作などを支援します。

月額固定型の継続的な利用料として顧客企業から料金を受け取ります。ウェザーニューズが運営を行っています。

■(4) Internet Domain


主に日本国内において、個人向けにアプリ「ウェザーニュース」や動画番組を通じて気象情報を配信しています。台風などの減災コンテンツや生活者向けコンテンツを提供します。

アプリのサブスクリプション利用料や、メディアを通じた広告収入として収益を得ています。運営はウェザーニューズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

■(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けており、利益面でも力強い成長を見せています。ストック型ビジネスの積み上げとAI活用等の効率化により、利益率は15.6%から22.3%へと大きく向上しています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 197億円 211億円 222億円 235億円 245億円
経常利益 31億円 33億円 33億円 45億円 55億円
利益率(%) 15.6% 15.6% 15.0% 19.0% 22.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 24億円 24億円 31億円 38億円

■(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに着実な伸びを示しています。売上総利益率は47.3%、営業利益率も21.4%と高い水準を確保しており、強固な収益構造を構築しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 235億円 245億円
売上総利益 109億円 116億円
売上総利益率(%) 46.3% 47.3%
営業利益 45億円 52億円
営業利益率(%) 19.2% 21.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が20億円(構成比32%)、広告宣伝費が16億円(同26%)、販売手数料が5億円(同8%)を占めています。また、売上原価の主な内訳としては、経費が67億円(構成比52%)、労務費が61億円(同47%)となっています。

■(3) セグメント収益


各事業ドメインともに売上高は増加傾向にあり、堅調な推移を見せています。特にSky Domainのアジア市場での成長や、Land Domainの新市場開拓、Internet Domainでの広告・サブスクリプション収入の増加が収益を牽引しています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
Sea 61億円 64億円
Sky 14億円 16億円
Land 75億円 78億円
Internet 85億円 86億円
連結(合計) 235億円 245億円

■(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFで十分な資金を生み出し、借入の返済や投資を自前の資金で賄う健全なキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 44億円 36億円
投資CF -3億円 -1億円
財務CF -14億円 -18億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も84.5%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

■(1) 経営理念


「船乗りの命を守りたい。地球の未来も守りたい。」というミッションのもと、気象・気候ビジネスを展開しています。Transparency(透明性)という企業理念に基づき、自らの情報開示を通じてサポーターとの相互信頼を醸成し、中長期的な企業価値の向上を共創することを目指しています。

■(2) 企業文化


役員・従業員一人ひとりの起業家精神や自立性を前提とし、「相互信頼の文化」のもと、自律分散統合型企業を目指しています。客観的な市場の目による評価に基づき、全社の目による管理を実行する透明性・納得性の高い業績評価システムを運営し、形式知を尊ぶ文化があります。

■(3) 経営計画・目標


持続的な企業価値向上のため、新たな「中期ビジョン2026」を策定し、以下の目標を掲げています。

・売上総利益率:60%以上(AI化の成果指標)
・3年後における前期比売上高成長率:10%以上

■(4) 成長戦略と重点施策


「AI技術との融合による全社変革」、「強みの有機的な結合によるグローバル成長モデル」、「成長投資と還元を加速する資本戦略」を3つの柱としています。全スタッフがAI融合型のプロフェッショナル集団へ進化し、顧客基盤と各ドメインの相乗効果でグローバル展開を加速させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

■(1) 人材戦略・方針


「いざというときに人の役に立ちたい」という理念のもと、人と組織が柔軟に変化し続ける人的資本経営モデル「weather HR」を推進しています。全社員のAI活用による体質転換、グローバル事業を支える人材基盤の強化、および会社と個人の持続的成長を両立させる仕組みづくりを重点方針として掲げています。

■(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 40.0歳 12.6年 6,540,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

■(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.1%
男性育児休業取得率 92.3%
男女賃金差異(全労働者) 77.6%
男女賃金差異(正規雇用) 81.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 73.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(34.4%)、外国籍社員の比率(26.2%)、中途採用比率(50.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

■(1) 気候変動リスク


極端気象の深刻化への適応や環境負荷低減に取り組んでいますが、リスクの変化に適切に対応できない場合、顧客離れや信頼低下を招き、経営成績等が影響を受けるリスクがあります。

■(2) 自然災害による事業継続リスク


気象・環境サービスは社会インフラと密接に関わっており、巨大地震や津波などの自然災害により事業拠点が被災し、運営機能が麻痺することでサービスの継続が困難になるオペレーションリスクが存在します。

■(3) 情報漏洩・サイバー攻撃リスク


事業の過程で顧客の個人情報や秘密情報を保有しており、不測の事態やサイバー攻撃によってデータの漏洩、破壊、改ざんが発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償による損失が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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