ライク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ライク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。子育て支援、総合人材、介護関連の3事業を展開。「人を活かし、未来を創造する」を掲げ、待機児童や介護離職などの社会課題解決に取り組む。2025年5月期の連結業績は、売上高623億円で増収となるも、先行投資やコスト増により経常利益は35億円と減益になった。


※本記事は、ライク株式会社 の有価証券報告書(第32期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ライクってどんな会社?


1993年に旅行企画会社として設立後、人材・保育・介護へと事業を拡大。「人」を軸に社会課題の解決を目指す企業グループです。

(1) 会社概要


1993年に旅行企画会社として設立後、1998年に総合人材サービスを開始しました。2005年にマザーズへ上場し、2009年の持株会社化を経て現在の体制へ移行しています。2015年に保育事業を行うサクセスホールディングス(現ライクキッズ)を子会社化し、2022年には東証プライム市場へ移行しました。

2025年5月31日現在、グループ全体の従業員数は5,367名(単体47名)です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社である有限会社マナックス、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は資本業務提携関係にある生命保険会社です。

氏名 持株比率
有限会社マナックス 43.40%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 4.78%
日本生命保険相互会社 3.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役会長兼社長グループCEOは岡本泰彦氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
岡本 泰彦 代表取締役会長兼社長グループCEO 1993年同社設立とともに社長就任。グループ各社の代表を歴任し、2023年8月より現職。
村西 志野 取締役コンプライアンス担当兼ライクキッズ・ライクスタッフィング担当 2004年入社。経営戦略統括部長や管理本部長を経て、2025年6月より現職。
岡本 拓岳 取締役ライクケア担当 2017年入社。経営戦略部長や管理本部長を経て、2025年6月より現職。
石井 大介 取締役管理本部長兼財務経理部長 2016年入社。財務経理部長などを経て、2023年8月より現職。


社外取締役は、麻田祐司(株式会社ブレインアシスト代表取締役)、赤築健吾(税理士)、横大貴(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「子育て支援サービス事業」「総合人材サービス事業」「介護関連サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 子育て支援サービス事業

公的保育サービスとして認可保育園「にじいろ保育園」や学童クラブ等の運営を行うほか、病院・企業・大学等が設置する保育施設の運営受託も手掛けています。待機児童問題の解消や、多様な働き方を支援するための保育サービスを提供しています。

収益は、自治体からの運営委託費や補助金、および受託先企業や利用者からの保育料等を受け取るモデルです。運営は主にライクキッズが行っています。

(2) 総合人材サービス事業

モバイル、物流・製造、コールセンター、保育・介護、建設業界などを対象に、人材派遣、業務受託(アウトソーシング)、人材紹介サービスを提供しています。特にモバイル業界向けや、グループシナジーを活かした保育・介護業界向けの人材サービスに注力しています。

収益は、顧客企業から受け取る派遣料金、業務委託料、紹介手数料等から構成されます。運営は主にライクスタッフィングが行っています。

(3) 介護関連サービス事業

24時間看護スタッフ常駐を基本とした有料老人ホーム等の介護施設を運営し、入居者に対して介護および看護サービスを提供しています。看取り介護を含め、医療連携を強みとしたサービスを展開しています。

収益は、介護保険制度に基づく介護報酬や、入居者から受け取る家賃・管理費・食費等の利用料等からなります。運営は主にライクケアが行っています。

(4) その他

報告セグメントに含まれない事業として、グループ内の物品調達や外部販売サービスなどを展開しています。

収益は、物品販売やサービス提供に伴う対価を受け取るモデルです。運営は主にライクプロダクツなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では、経常利益および当期利益ともに減少傾向にあり、利益率は低下しています。これは人件費の増加や新規施設開設に伴うコスト増などが影響していると考えられます。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 543億円 576億円 600億円 605億円 623億円
経常利益 53億円 52億円 43億円 40億円 35億円
利益率(%) 9.8% 9.1% 7.1% 6.5% 5.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 33億円 33億円 26億円 24億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の伸びを上回ったため、売上総利益は減少しました。また、販売費及び一般管理費は抑制傾向にあるものの、営業利益率は低下しています。コスト増を吸収しきれず、収益性がやや低下している状況です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 605億円 623億円
売上総利益 92億円 88億円
売上総利益率(%) 15.3% 14.1%
営業利益 33億円 30億円
営業利益率(%) 5.5% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与報酬手当が17億円(構成比29%)、租税公課が11億円(同19%)を占めています。売上原価については、人件費等の労務費が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


子育て支援サービス事業は新規開設等により増収となりましたが、コスト増により減益となりました。総合人材サービス事業は稼働スタッフ減により減収となりましたが、経費抑制により増益を確保しました。介護関連サービス事業は増収ながら、新規施設の入居遅れ等が響き減益となりました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
総合人材サービス事業 219億円 206億円 15億円 15億円 7.3%
子育て支援サービス事業 304億円 330億円 25億円 22億円 6.6%
介護関連サービス事業 81億円 86億円 3億円 3億円 3.1%
その他 0.9億円 1.0億円 1.2億円 1.4億円 135.2%
調整額 -18億円 -18億円 -11億円 -11億円 -
連結(合計) 605億円 623億円 33億円 30億円 4.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持しており、本業で資金を獲得できています。投資CFはマイナスで、新規施設開設等への投資を継続しています。財務CFはマイナスで、借入金の返済や配当支払いを行っています。これらは、本業の利益で投資と財務支出を賄う「健全型」のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 36億円 38億円
投資CF -14億円 -22億円
財務CF -34億円 -23億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「...planning the Future~人を活かし、未来を創造する~」をグループ理念として掲げています。世代・国籍・経歴等を問わず「人」を軸に事業を展開し、人生のどの段階においてもなくてはならない企業グループを目指しています。

(2) 企業文化

少子高齢化等の社会課題に対し、保育・人材・介護の事業を通じて、すべての働く人を応援するという価値観を共有しています。多様な働き方の実現を目指し、コンプライアンスの徹底や個人情報の保護、情報セキュリティの強化に取り組みながら、社会インフラとしての役割を果たすことを重視しています。

(3) 経営計画・目標

具体的な中期経営計画の数値目標は記載されていませんが、各事業の成長と高収益の継続を目指しています。特に、保育・介護・人材の各分野において、社会課題の解決に直結する事業拡大を図り、持続可能な社会の実現に寄与することを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策

子育て支援では新規施設の開設とM&Aによる規模拡大、総合人材では既存領域の深耕と外国人材領域への注力を掲げています。介護関連では首都圏でのドミナント展開と外国人材活用を推進します。また、日本生命との資本業務提携を通じた保育業界全体の持続性向上にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

労働環境の変化に対応するため、従業員のキャリアサポートや人材育成に注力しています。女性活躍推進、外国籍従業員の採用、全従業員が働きやすい環境構築を重要課題とし、ワーク・ライフ・バランスの確保や生産性向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 31.4歳 3.7年 5,089,291円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.5%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全) 79.1%
男女賃金差異(正規) 78.3%
男女賃金差異(非正規) -%


※男性育児休業取得率は、配偶者が出産した者が0人であったため「-」としています。
※男女賃金差異(非正規)は、男性のみ存在する区分のため「-」としています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、連結ベースの女性管理職比率(72.9%)、外国籍従業員数(336名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法令遵守に関するリスク

労働者派遣法、児童福祉法、老人福祉法、介護保険法等の規制を受ける許認可事業を展開しています。法令違反等により許可の取消し等が生じた場合、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、従業員等の不正・違法行為が生じた場合、損害賠償や信用低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自然災害等の影響

日本全国に営業拠点を有しているため、想定を上回る規模の地震、台風、感染症等の自然災害や事故が発生した場合、施設の損壊や事業活動の停止などにより、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 個人情報の管理

多数の個人情報を保有しているため、情報漏洩が発生した場合には、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に影響を及ぼす可能性があります。サイバー攻撃等への対策強化を進めていますが、リスクを完全に排除することは困難です。

(4) 介護・保育業界の人材確保

各事業において人材確保が必要不可欠ですが、少子高齢化による労働力人口の減少や業界内での獲得競争激化により、計画通りに人材を採用できないリスクがあります。これにより事業拡大の停滞や人件費の高騰が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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