タマホーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タマホーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タマホームは東京証券取引所プライム市場および福岡証券取引所に上場する企業です。注文住宅の建築請負を中心とする住宅事業を主力とし、戸建分譲などの不動産事業、金融事業、メガソーラー発電などのエネルギー事業を展開しています。直近の業績は売上高が1977億円、経常利益が38億円と前期と比較して減収減益となっています。


※本記事は、タマホーム株式会社の有価証券報告書(第28期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タマホームってどんな会社?


注文住宅の建築請負を主力とし、不動産や金融、エネルギー事業などを展開する企業です。

(1) 会社概要


1998年に注文住宅建設会社として設立されました。2002年に保険代理業を開始し、2009年には長期優良住宅に対応した商品の販売を開始しました。その後、2011年に全国47都道府県への出店を完了し、2013年に東京証券取引所第一部などに株式上場を果たしました。2015年にはメガソーラー発電所の商業運転を開始しています。

従業員数は連結で3,308名、単体で3,126名です。筆頭株主は創業家関連の資産管理会社であるTAMAXで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は創業者の玉木康裕氏となっています。

氏名 持株比率
TAMAX 39.30%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.47%
玉木康裕 3.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性0名の計14名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は玉木伸弥氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
玉木伸弥 代表取締役社長 2001年同社入社。広告宣伝部長や営業本部長などを歴任。2014年代表取締役副社長兼COOに就任。2018年代表取締役社長を経て、2019年より現職。
玉木康裕 代表取締役会長 1973年筑後興産入社。1998年同社設立に伴い代表取締役社長に就任。2014年代表取締役社長兼CEO等を経て、2018年より現職。
加賀山健次 専務取締役事業統括 2008年同社入社。注文住宅事業部長や営業部長などを歴任。2023年取締役リフォーム部長を経て、2024年より現職。
山元啓介 常務取締役工務本部長兼工務資材部長 2003年同社入社。工務資材部長や執行役員工務本部長などを歴任。2024年取締役工務本部長兼工務資材部長を経て、2026年より現職。
平野誠 取締役営業本部長 2005年同社入社。関西地区本部長や上席執行役員営業本部長などを歴任し、2026年より現職。
米田彰宏 取締役管理本部長兼総務部長 2005年同社入社。総務部総務課長や総務部長などを経て、2024年より現職。
西堀祐介 取締役戦略本部長兼経理部長 2006年同社入社。経理部課長や経理部長などを経て、2024年より現職。
畠中栄治 取締役不動産本部長兼不動産賃貸部長 2008年同社入社。パワーオフィスメント部長や執行役員不動産本部長などを経て、2026年より現職。
小野達郎 取締役人事本部長兼人事部長 2006年同社入社。人づくり部課長や人事部長などを経て、2024年より現職。


社外取締役は、金重凱之(元国際危機管理機構代表取締役社長)、近本晃喜(近本税理士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅事業」「不動産事業」「金融事業」「エネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。

住宅事業


注文住宅の建築請負やリフォーム工事の請負、設計支援業務などを提供しています。主な顧客は個人のお客様であり、全国に展開するロードサイド型の独立店舗や住宅総合展示場を活用して一貫した営業活動を行っています。

収益源は個人顧客からの住宅建築の請負代金やリフォーム工事代金などです。事業の運営は主にタマホームが行うほか、海外における事業を子会社が一部担当しています。

不動産事業


戸建分譲の販売や中古マンションの買取およびリノベーション再販、オフィスビルのサブリース・区分所有権販売などを提供しています。立地や利便性を重視する個人・法人顧客に対して、幅広い不動産ソリューションを提案しています。

収益源は個人顧客からの分譲住宅の販売代金や、法人・テナント等からのオフィス区画販売代金および賃貸収入などです。本事業の運営はタマホームが担当しています。

金融事業


住宅購入者向けに火災保険や生命保険などの保険代理業務、および住宅建築時の資金立替に係るつなぎ融資の取次サービスを提供しています。

収益源は保険会社から受け取る保険の代理店手数料や、顧客からのつなぎ融資に関する取次手数料などです。事業の運営はタマホームおよびタマファイナンスが行っています。

エネルギー事業


大規模太陽光発電所(メガソーラー)の運営・管理を行っています。再生可能エネルギーの普及に貢献する事業を展開しています。

収益源は固定価格買取制度に基づき、九州電力などの電力会社へ電力を供給することで得られる売電収入です。事業の運営は九州新エネルギー機構およびタマホーム有明メガソーラー合同会社が担当しています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、広告代理業や家具販売、インテリア工事の請負、地盤保証、農業、車両リース事業などを幅広く展開しています。

収益源は広告コンテンツの制作費や家具の販売代金、リース料など多岐にわたります。運営はタマ・アド、タマリビング、在住ビジネスなどの子会社が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

直近5年間の業績推移を見ると、前半は売上・利益ともに堅調に推移していましたが、直近2期は住宅取得に対する消費者マインドの慎重姿勢などから、売上高および経常利益が減少傾向にあります。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 2408億円 2561億円 2477億円 2008億円 1977億円
経常利益 123億円 135億円 129億円 38億円 38億円
利益率(%) 5.1% 5.3% 5.2% 1.9% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 76億円 79億円 82億円 12億円 7億円


売上高および売上総利益は前期と比較して減少しており、利益率もやや低下しています。これは注文住宅事業における引渡棟数の減少などが影響しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 2008億円 1977億円
売上総利益 511億円 479億円
売上総利益率(%) 25.4% 24.2%
営業利益 41億円 38億円
営業利益率(%) 2.0% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が130億円(構成比29%)、広告宣伝費が110億円(同25%)を占めています。売上原価については、建築資材の価格上昇などの影響を受けています。

セグメント別の売上高を見ると、主力である住宅事業は引渡棟数の減少により減収となっています。一方で、不動産事業は戸建分譲やオフィス区分所有権販売が好調に推移し、増収を達成しています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
住宅事業 1461億円 1359億円
不動産事業 478億円 549億円
金融事業 9億円 10億円
エネルギー事業 8億円 8億円
その他事業 51億円 51億円
連結(合計) 2008億円 1977億円


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF 22億円 9億円
投資CF -17億円 -12億円
財務CF 44億円 -96億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「より良いものをより安く提供することにより社会に奉仕する」という経営理念を掲げています。衣食と同じように生きていく上で必要不可欠な要素である「住」が手の届かない存在であってはならないという考えから、多くの人に高品質な住宅を適正な価格で提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社はCSR基本方針として「5つのHappy」を掲げており、そのうちの1つである「Happy Earth」のもと、持続可能な社会の形成に貢献する文化を大切にしています。国産材の積極的な活用や、独自の流通システムである「タマストラクチャー」の構築を通じて、事業活動自体が環境保全に繋がるような価値観を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2027年5月期から2031年5月期までを対象とする中期経営計画「タマステップ2031」を策定し、「V字回復から持続的成長へ」を基本方針に掲げています。資本効率を意識した経営を推進し、企業価値の持続的向上を目指しています。

* 売上高:3100億円
* 営業利益:160億円
* 経常利益:155億円
* ROE:25%

(4) 成長戦略と重点施策


注文住宅事業においては、商品ラインナップの再編・共通化や営業・施工体制の再構築を通じて収益力の向上を図ります。また、戸建分譲事業、リフォーム事業および不動産事業についてもそれぞれの強みを活かした成長戦略を推進し、事業ポートフォリオの強化を進めます。加えて、DXの推進や人的資本への投資を通じた生産性向上にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は中期経営計画において人的資本を重要な経営基盤と位置付けています。営業・施工・アフターサービスを含む各領域においてOJTと研修を組み合わせた教育体制を構築し、早期戦力化と能力向上を図ります。また、中核人材や次世代リーダーの育成、資格取得支援を通じた人材基盤の強化、DX活用による生産性向上と働きやすい職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 41.3歳 8.5年 7,173,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.3%
男性育児休業取得率 38.3%
男女賃金差異(全労働者) 54.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 60.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 48.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(24.6%)、育児休業からの復職率(88.6%)、有給休暇取得率(64.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の引渡し時期への偏重


同社グループは戸建住宅の建築請負を主な事業としているため、新年度を控えた引越シーズンである第4四半期に引渡しが集中する傾向があります。景気動向や外的要因により、当該期間の引渡しに支障が生じた場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として着工時期の平準化を図っています。

(2) 消費動向等の住宅受注への影響


主たる顧客が住宅の一次取得者を中心とする個人であるため、景気動向、金利動向、消費税率の改定、住宅ローン減税などの影響を受けやすい事業構造です。国内景気の悪化や消費マインドの低下等により住宅需要が減少した場合には、受注や売上の減少を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 建設業法等の各種法的規制


住宅建築事業を中心に事業活動を行っており、建設業法に基づく建築工事業許可などの許認可が必要です。万が一、これらの許認可が取り消されたり更新できなかったりした場合には、営業活動に重大な支障を及ぼす可能性があります。そのため、従業員へのコンプライアンス教育指導を継続的に実施しています。

(4) 資材価格や人件費の高騰


木造注文住宅の建築請負を主要事業としているため、木材などの主要部材価格の高騰、物流費の上昇、労働力不足を背景とした外注費・人件費の上昇が進行した場合には、工事原価が増加して収益性に影響を及ぼす可能性があります。原価変動のモニタリングや事前の調達対応によりリスク低減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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