※本記事は、新日本製薬株式会社 の有価証券報告書(第37期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 新日本製薬ってどんな会社?
オールインワン化粧品「PERFECT ONE」を主力とするファブレス(工場を持たない)メーカーです。通販を軸に事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1992年に設立され、健康食品の通信販売から事業を開始しました。2006年に主力となる化粧品「ラフィネ パーフェクトワン」を発売し、成長を加速させました。2019年に東京証券取引所マザーズへ上場し、翌2020年には市場第一部へ変更しました。2023年には米国子会社を設立し、グローバル展開を推進しています。
現在の従業員数は連結316名、単体309名です。筆頭株主は創業者の山田英二郎氏で、第2位は株式会社ラプリス、第3位は元代表取締役の山田恵美氏です。創業者とその関係者が主要株主として名を連ねており、安定した株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山田 英二郎 | 19.40% |
| 株式会社ラプリス | 14.10% |
| 山田 恵美 | 13.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長CEOは後藤孝洋氏が務めています。取締役7名のうち5名が社外取締役であり、社外取締役比率は71.4%と高い水準にあります。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 後藤 孝洋 | 代表取締役社長CEO | 1995年同社入社。2005年より代表取締役社長。2021年より現職。 |
| 福原 光佳 | 専務取締役COO | 2013年同社入社。通販事業本部部長などを経て、2021年より現職。米国子会社社長を兼任。 |
社外取締役は、安田幸代(元リクルートキャリア執行役員)、南谷朝子(公認会計士)、善明啓一(元パナソニックシステムソリューションズジャパン取締役)、田邊俊(弁護士)、中西裕二(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「通信販売」「卸販売」および「海外販売」事業を展開しています。
■(1) 通信販売
化粧品ブランド「PERFECT ONE」やヘルスケア商品を、国内の個人顧客へ直接販売しています。主力商品はオールインワン美容液ジェルシリーズで、テレビ、新聞、雑誌等のメディア広告を通じて集客し、コールセンターでの受注や提案を行っています。また、自社オンラインショップや外部ECモールでの販売も強化しています。
収益は、商品の購入代金として個人顧客から得ています。特に、商品を定期的に届ける「定期購入サービス」が収益基盤となっており、購入金額に応じた割引制度などを提供して長期的な利用を促進しています。運営は主に新日本製薬が行っています。
■(2) 卸販売
化粧品およびヘルスケア商品を、ドラッグストア、総合スーパー(GMS)、バラエティショップなどの取扱店や販売代理店を通じて販売しています。また、免税店や都市部の大型家電量販店等において、インバウンド需要に向けた販売も推進しています。
収益は、商品の販売代金として販売代理店や小売店から得ています。「PERFECT ONE」シリーズに加え、若年層向けの「PERFECT ONE FOCUS」などの商品を展開し、顧客接点を広げています。運営は新日本製薬が行っています。
■(3) 海外販売
中国、台湾、米国などの海外市場において、化粧品等の販売を行っています。米国では子会社を通じてテストマーケティングを継続しており、アジア地域では台湾やマレーシアでECを中心に販売を行っています。
収益は、海外の個人顧客や現地代理店からの商品販売代金となります。米国では自社EC等を通じた直販モデルの構築を進めており、アジアでは現地パートナーとの連携や越境ECによる展開を行っています。運営は新日本製薬および米国子会社のPERFECT ONE US Co.,Ltd.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、安定した成長を続けています。経常利益も売上高の伸長に伴い増加傾向にあり、利益率も10%前後で推移していましたが、直近の2025年9月期には約12%まで向上しました。当期利益については、2025年9月期は特別損失の計上等により前期比で減少しています。
| 項目 | 2021年9月期 | 2022年9月期 | 2023年9月期 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 339億円 | 361億円 | 377億円 | 400億円 | 411億円 |
| 経常利益 | 34億円 | 35億円 | 37億円 | 41億円 | 49億円 |
| 利益率(%) | 10.1% | 9.7% | 9.9% | 10.2% | 11.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 24億円 | 23億円 | 24億円 | 28億円 | 26億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に加え、売上総利益率が約80%と高い水準で維持されています。営業利益も前期比で増加し、営業利益率は11.6%に上昇しました。これは、主力ブランドの成長や効率的なマーケティング投資によるものです。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 400億円 | 411億円 |
| 売上総利益 | 318億円 | 329億円 |
| 売上総利益率(%) | 79.4% | 80.0% |
| 営業利益 | 42億円 | 48億円 |
| 営業利益率(%) | 10.4% | 11.6% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が113億円(構成比40%)、販売促進費が59億円(同21%)を占めています。通信販売を主力とするビジネスモデルのため、広告宣伝や販売促進への投資比重が高い構造となっています。
■(3) セグメント収益
主力の通信販売事業は、国内ECでの新規顧客獲得が好調に推移し、増収となりました。卸販売事業も「PERFECT ONE」のドラッグストア展開店舗数の拡大などにより売上が伸長しています。一方、海外販売事業はアジア事業戦略の見直し等の影響により、マイナス計上(返品等による調整を含む)となっています。
| 区分 | 売上(2024年9月期) | 売上(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 通信販売 | 360億円 | 368億円 |
| 卸販売 | 31億円 | 35億円 |
| 海外販売 | -1億円 | -1億円 |
| その他 | 11億円 | 9億円 |
| 連結(合計) | 400億円 | 411億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
健全型:本業の営業活動でキャッシュを稼ぎ出し、借入金の返済や株主還元を行いつつ、将来のための投資も自己資金で賄えている健全な状態です。
| 項目 | 2024年9月期 | 2025年9月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | 47億円 |
| 投資CF | -4億円 | -18億円 |
| 財務CF | -9億円 | -21億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.7%で市場平均を大幅に上回っています。高い収益性と極めて強固な財務基盤を両立しています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社はパーパスとして「美と健康の『新しい』で、笑顔あふれる毎日をつくる。」を掲げています。これは社会における同社の存在意義を示す究極の目的です。また、経営理念(MISSION)として「お客さまには最高の満足と信頼を」「社員には幸せと未来への夢を」「私たちは社会に貢献する企業として限りなく幅広い発展をめざします」を定めています。
■(2) 企業文化
同社はバリュー(VALUE)として「感動創造 creating inspiration」を掲げています。また、行動指針(CREDO)として「挨拶 笑顔 利他の心を大切にします」「傾聴 共感 感謝の姿勢を徹底します」「挑戦 変化 成長の志向で行動します」を定め、これらをフィロソフィーの柱として日々の事業活動を行っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画「Growth Next 2027」(2025年度〜2027年度)を策定しており、グローバル展開における基盤固めの期間と位置づけています。最終年度である2027年9月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高520億円
* 営業利益60億円
* 営業利益率11.5%
* ROE15%以上
* 連結配当性向35%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の達成に向けて、市場トレンドと顧客の声(VOC)、独自価値戦略を掛け合わせ、スピーディーな商品開発とデータベースマーケティングでシェアを拡大する全社戦略を展開しています。具体的には、以下の4つの重点活動を推進しています。
1. PERFECT ONEのターゲット拡大: 商品ラインナップの拡充によりトータルビューティーブランドへ進化させ、ミドル世代の獲得を強化します。
2. LTV最大化: データベースマーケティングを強化し、顧客一人ひとりに合わせた新規事業や新商品の提案を行います。
3. グローバル成長戦略: 米国を起点に新規市場を開拓し、アジアでは現地パートナーとの連携を深めます。
4. 事業成長の加速: AIを活用した商品開発や研究開発の強化により、新商品・新サービスを展開します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社はパーパス実現のため、「挑戦・変化・成長」を志向する人材を求めています。人事戦略として、役割や能力に応じた等級制度、スキルや行動特性を評価する制度、成果に応じた賃金制度を導入しています。人材育成では、OJTに加え、企業内大学「新日本大学」や選抜型研修を実施し、次世代リーダーの育成に注力しています。また、多様な人材の活躍や健康経営を推進する「Well-being経営」を掲げ、働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年9月期 | 37.9歳 | 7.9年 | 5,280,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 27.3% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 55.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 94.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(2030年度までに30%以上)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 消費者ニーズの変化
新規ブランドや商品の開発において、消費者ニーズへの適合状況が売上や利益に大きな影響を与えます。同社は顧客の声をもとに商品開発を行っていますが、当初意図した成果が得られない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合の激化
化粧品市場には多くの競合が存在し、参入障壁も低いため新規参入が続いています。競合他社との競争激化や類似商品の出現により、顧客流出やマーケティングコストが増加した場合、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定のブランド及び商品への依存
主力商品である「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズ」が売上高の大半を占めています。品質トラブル等でブランド価値が毀損した場合や、新たな柱となるブランド育成が計画通り進まない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 商品の製造委託について
商品の製造を外部に委託しているため、委託先との契約解消や天災等による生産設備の被害など不測の事態が生じた場合、商品の安定供給に支障をきたし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に主力商品は特定の委託先に依存している部分があります。



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