0 編集部が注目した重点ポイント
①営業利益が前期比270.9%増と大幅に回復する
2026年2月期の連結業績は、売上高が前期比17.0%増の98,249百万円、営業利益が前期比270.9%増の6,173百万円と劇的な回復を遂げました。映像関連事業での大ヒット作連発や、演劇事業における襲名披露公演の盛況が寄与しており、普通配当に10円の特別配当を加えた株主還元を実施するなど、経営基盤の強靭化が鮮明となっています。
②大阪松竹座の閉館と資産譲渡による構造改革を推進する
2026年5月をもって、開場30年を迎えた大阪松竹座の興行を終了し、解体工事に着手することを決定しました。これに伴い2027年2月期に約44億円の特別損失を計上する一方、博多STビルの譲渡により約45億円の譲渡益を予定しています。ポートフォリオの最適化を進める中で、不動産・演劇の両事業において新たなキャリア機会や組織再編が生じる可能性があります。
③アニメやゲームを第4の柱として成長を加速させる
「その他事業」において、IP(知的財産)を活用したゲーム展開やアニメ制作への注力を強めています。2026年2月期は当該セグメントが黒字転換を達成しており、東京ゲームショウへの出展やオープンイノベーション拠点の新設など、伝統的な興行ビジネスを超えた新規領域での専門人材採用が活発化していく見通しです。
1 連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.1
売上高
98,249百万円
+17.0%
営業利益
6,173百万円
+270.9%
親会社株主に帰属する純利益
5,236百万円
黒字転換
当連結会計年度は、映画業界全体の年間興行収入が過去最高を更新する追い風を受け、松竹グループも記録的な業績を残しました。映像関連事業では「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」が22億円を超える大ヒットとなったほか、演劇事業でも歌舞伎座創業130周年記念公演が収益拡大に大きく貢献しました。
通期計画に対する進捗状況については、当初予想を上回るペースで推移し、最終的な売上高・各段階利益ともに上方修正後の数値を達成するなど、極めて順調な結果となりました。特に営業利益率が前期の2.0%から6.3%へと飛躍的に向上しており、コンテンツのヒットが利益に直結しやすい高効率な体質へと進化しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.2
映像関連事業
事業内容:映画・テレビドラマの企画製作、配給、興行(映画館運営)、映像版権の許諾、有料放送事業等。
業績推移:売上高 52,949百万円(+21.1%)、営業利益 2,519百万円(+479.1%)。
注目ポイント:映画館運営の「松竹マルチプレックスシアターズ」が過去最高の活況を呈する一方、Amazon Prime Videoでの定額見放題サービスへの独占配信など、ライセンス収入の多角化が利益を押し上げました。ヒットコンテンツを最大限にマネタイズするライセンスビジネスの専門家や、デジタルマーケターの需要が高まっています。
演劇事業
事業内容:歌舞伎・演劇の企画、製作、興行、俳優の斡旋、舞台衣裳・大道具の製作等。
業績推移:売上高 27,275百万円(+14.6%)、営業利益 1,723百万円(黒字転換)。
注目ポイント:歌舞伎座での八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助の襲名披露公演が全国的に注目を集め、動員が大幅に回復しました。シネマ歌舞伎の20周年展開やライブ配信の強化など、伝統芸能をデジタル技術でリブランディングする取り組みが加速しており、企画制作とデジタル配信を橋渡しできる人材が求められています。
不動産事業
事業内容:歌舞伎座タワー等のオフィスビル、ホテル、商業施設の賃貸および管理・運営。
業績推移:売上高 14,618百万円(+4.8%)、営業利益 5,152百万円(-11.3%)。
注目ポイント:主要物件での高い稼働率を維持し、グループの安定収益源として機能しています。東銀座エリアの価値向上を狙う「エリアマネジメント活動」や、大船での新規開発プロジェクトなど、単なる賃貸管理に留まらない「まちづくり」の視点を持った開発人材の重要度が増しています。
その他事業(ゲーム・イノベーション)
事業内容:キャラクター商品販売、ゲーム事業、スタートアップ投資・共創事業等。
業績推移:売上高 3,405百万円(+37.5%)、営業利益 162百万円(黒字転換)。
注目ポイント:国内外のデベロッパーと連携したゲーム開発が結実し、事業開始1周年で黒字化を達成。高輪ゲートウェイシティへのインキュベーションオフィス「EIGHT」開設など、外部企業との共創に注力しており、スタートアップ文化と伝統企業を繋ぐビジネス開発人材に門戸が開かれています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.5
次期見通しでは、売上高100,000百万円(前期比1.8%増)と増収を継続する計画です。映像事業では米澤穂信原作の「黒牢城」や、東野圭吾原作「白鳥とコウモリ」など、強力なIP作品の公開が控えており、ヒットの再現性が期待されます。
経営上の大きなトピックは、老朽化した大阪松竹座ビル解体の決定です。これは単なる撤退ではなく、次世代の文化芸能発信拠点の実現に向けた「創造的破壊」と位置づけられています。また、博多STビルの売却益45億円を原資とした将来投資も見込まれており、不動産ポートフォリオの刷新を通じた中長期的な収益基盤の再構築が進みます。
採用面では、伝統芸能のデジタルトランスフォーメーション(DX)や、海外市場を視野に入れたアニメ・ゲーム展開を担う、非エンタメ業界出身の専門人材の受け入れがさらに活発化するでしょう。構造改革をチャンスと捉え、新しい松竹の形を共に創れる人材には絶好のタイミングと言えます。
4 求職者へのアドバイス
松竹は今、130年の歴史を背負いながらも「エンタメ×テック」「まちづくり」への大胆な変革を進めています。「伝統芸能をデジタルの力で次世代に繋ぎたい」という想いや、「映画・演劇というIPを軸にしたグローバルなライセンスビジネスを確立したい」といった、攻めの姿勢を動機に盛り込むのが有効です。また、ゲーム事業の黒字化やスタートアップ投資の実績から、異業種での新規事業立ち上げ経験も高く評価される土壌があります。
・「大阪松竹座の建て替えプロジェクトにおいて、単なる劇場を超えた新たな文化拠点としてどのような機能を持たせる構想ですか?」
・「ゲーム事業が1年で黒字化しましたが、今後は自社IPの活用だけでなく、外部デベロッパーとのパブリッシング事業をどのように拡大していく方針ですか?」
・「襲名披露公演で得た新規顧客層を、一過性のブームに終わらせず継続的なファンにするためのCRM戦略についてお聞かせください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 松竹株式会社 2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 松竹株式会社 2026年2月期 決算説明資料



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