0 編集部が注目した重点ポイント
①PayPayの米国上場で海外展開を推進する
子会社のPayPay株式会社が2026年3月に米国のナスダック市場へ上場を果たしました。これにより、国内外の投資機会の追求やグローバル展開が加速する見通しです。FinTech領域の専門知識を持つ人材にとって、国際的な大規模プロジェクトへ参画するキャリア機会が大幅に拡大する可能性があります。
②セグメント再編で金融事業の管理体制を刷新する
2025年4月の再編に伴い、PayPay銀行株式会社を従来のメディア・EC事業からファイナンス事業へ移管しました。決済と銀行、クレジットカード、証券の各機能を統合した強力な金融経済圏を構築しており、総合的な金融サービス開発を担う中核人材の採用が強化されています。
③生成AI推進へ向けOpenAIと合弁会社を発足する
2025年11月にSB OAI Japan合同会社を設立し、最先端AIソリューションの国内独占展開を準備しています。自社開発の国産大規模言語モデルに加え、グローバルな知見を融合したソリューションを提供するため、最先端のAIエンジニアや導入コンサルタントへの需要が爆発的に高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.9
売上高
7兆387億円
+7.6%
営業利益
1兆426億円
+5.4%
親会社所有者帰属純利益
5,508億円
+4.7%
調整後EBITDA
1兆8,196億円
+3.8%
※調整後EBITDA = 営業利益 + 減価償却費及び償却費(固定資産除却損含む) + 株式報酬費用 ± その他の調整項目(非現金取引等の影響を除いた業績評価指標)
2026年3月期の通期連結業績は、売上高が前期比+7.6%増の7兆387億円、営業利益が同+5.4%増の1兆426億円に達し、すべての主要業績項目で過去最高を更新しました。非継続事業への分類変更等は発生しておらず、継続的な既存事業の成長が業績を牽引しています。純利益については、PayPay株式会社の繰延税金資産(将来の税金負担を軽減できる資産)の回収可能性見直しに伴い575億円の法人所得税減少効果もあり、大きく拡大しました。
通期目標に対する評価としては、期中に上方修正された親会社所有者帰属純利益の目標値5,430億円に対し実績値が5,508億円となり、進捗率101.4%で目標を完全達成しており、経営基盤の強固さが証明されています。安定的なキャッシュ創出能力を示すプライマリー・フリー・キャッシュ・フローも6,336億円を確保しており、来期へ向けた投資余力も十分です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.6
コンシューマ事業
【事業内容】個人を対象とするモバイル通信サービス、「SoftBank 光」等のブロードバンドサービス、スマート商品の物販および「おうちでんき」等の電力供給サービスを提供。
【業績推移】売上高は3兆151億円(前期比+2.1%)、セグメント利益は5,508億円(同+3.8%)を記録。
【注目ポイント】新料金プラン「シンプル3」の浸透や「ワイモバイル」ブランドの契約数拡大、さらに携帯端末の平均単価上昇によってモバイル売上高が力強く反転増を継続しています。グループ経済圏を活用した効率的なマーケティングや新規サービスの企画を牽引できる、サービス企画やデータアナリスト人材の拡充が求められています。
エンタープライズ事業
【事業内容】法人顧客へのモバイルサービスや固定通信回線の提供、クラウド、セキュリティ、データセンター、自社開発LLM等の多様なITソリューションを展開。
【業績推移】売上高は1兆29億円(前期比+8.7%)、セグメント利益は1,924億円(同+13.0%)と大幅伸長。
【注目ポイント】企業のデジタル化需要(DX)に加え、AI技術の企業導入(AX)需要を確実に捉え、ソリューション売上が前期比+13.2%増と驚異的に拡大しています。オラクルと協業したソブリンクラウド(国内の法制下で厳格管理されるクラウド)基盤「Cloud PF Type A」などの商用化に伴い、大手法人への大規模インフラ設計や高度なITアーキテクト設計を行える専門人材が決定的に不足しています。
ディストリビューション事業
【事業内容】法人向けICT・クラウド・SaaS関連商材の卸売、および個人向けのPC周辺機器、IoTプロダクトの企画・販売を担う。
【業績推移】売上高は1兆563億円(前期比+18.8%)、セグメント利益は353億円(同+15.9%)と成長。
【注目ポイント】Windows 10のサポート終了に伴うリプレイス需要や、GIGAスクール構想第2期による端末需要を背景にPC売上が激増しました。また、SaaS型サブスクリプション商品など継続収入ビジネスが非常に堅調です。国内外の最新プロダクトをいち早く目利きし、国内の販売網へ流通させるマーチャンダイジングや、サブスクリプション管理のノウハウを持つ人材が強く必要とされています。
メディア・EC事業
【事業内容】LINEヤフー株式会社を中核とし、「Yahoo! JAPAN」や「LINE」での広告サービス、「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」等のECモール運営を統括。
【業績推移】売上高は1兆6,680億円(前期比+2.4%)、セグメント利益は2,404億円(同-7.1%)と利益面で苦戦。
【注目ポイント】アスクル株式会社のランサムウェア攻撃(身代金要求型ウイルス)に伴うシステム障害で326億円の減益要因となりましたが、この下期特有の一時的影響を除けば実質ベースで前期比+6%の増益基盤を維持しています。また、当期にはBEENOS株式会社(2025年5月)、LINE Bank Taiwan(2025年6月)、LINE MAN(2025年9月)を新たに相次いで子会社化しグローバルコマース・金融を強化。これらの海外拠点を統合・拡大できるクロスボーダーの事業マネジメント人材やPMI(M&A後の統合プロセス)推進者への採用熱が非常に高い状態です。
ファイナンス事業
【事業内容】PayPayおよびPayPayカードを軸としたキャッシュレス決済サービス、決済代行サービス、および新たに子会社化したPayPay銀行での金融サービスを展開。
【業績推移】売上高は4,045億円(前期比+24.3%)、セグメント利益は863億円(同+107.1%)と爆発的成長を継続。
【注目ポイント】連結決済取扱高(GMV)が19.4兆円(同+23%増)を記録し、決済規模拡大に伴う手数料収入とクレジットカード決済拡大による金利収入が非常に強力な成長を見せています。また、決済端末の共同展開や「ペイトク2」プランでのグループシナジーも加速。金融とITが高度に融合する中で、革新的なフィンテックサービスを創出できるプロダクトデベロッパーやリスク管理の専門家を幅広く求めています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.41
2027年3月期の業績予想は、売上高7兆5,000億円(前期比+6.6%増)、営業利益1兆1,000億円(同+5.5%増)、親会社所有者帰属純利益5,600億円(同+1.7%増)と、最高益のさらなる更新を計画しています。この計画を達成する中核戦略として、新たな中期経営計画「Activate AI for Society」を発表し、全事業におけるAIの実装とインフラ構築を加速させていきます。
戦略投資の目玉として、国内最大級となる「北海道苫小牧AIデータセンター(2026年度外販開始・50MW規模)」および「大阪堺AIデータセンター(2027年度外販開始・140MW規模)」の開発が進んでおり、最先端のNVIDIA製「GB200 NVL」等の最新GPU計算基盤の導入に計3,000億円の設備投資を確定させました。さらに、大阪堺の「GXファクトリー」では、次世代の「亜鉛-ハロゲン電池」を用いた革新型バッテリーセルの開発・製造までを国内一気通貫で行う国産バッテリー事業を立ち上げ、2030年度に売上高1,000億円以上を目指す方針です。
質疑応答で言及されたリスク・重要事項として、2026年度上期の連結営業利益は、メディア・EC事業における段階取得に係る差益(前期のLINE Bank Taiwanで145億円、LINE MANで444億円の一時的プラス要因)の剥落、およびコンシューマ事業における過去の販売獲得手数料の償却費増加影響により、「上期は増収減益、通期で増収増益」という特有の四半期偏重の進捗トレンドを辿る見込みであることが明示されています。この一時的な利益のブレに惑わされず、中長期的なAIインフラ構築のナラティブを共有できる人材が強く求められます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は通信キャリアの枠組みを完全に超越した「デジタル化社会に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」へと構造改革を遂げました。志望動機を構築する際は、単なるモバイル事業への興味ではなく、同社が推進する「オラクルと協業したソブリンクラウドプラットフォームの展開」や「OpenAIとの合弁会社を軸とする統合AIソリューション『Crystal intelligence』の社会実装」という、先端IT・AIサービスに自らの専門スキルをどう還元できるかを具体的にアピールすることが最大の差別化になります。
面接での逆質問例
質問1:御社が大阪堺や北海道苫小牧に構築を進められている超分散コンピューティングインフラやソブリンクラウドに関して、今後重要インフラ15分野の顧客基盤へ「アプリケーションやAIサービス」を一気通貫で届けるにあたり、法人のプロジェクト現場ではどのようなスキルセットを持ったITアーキテクトが最も不足し、活躍が期待されていますか?
質問2:PayPay株式会社がナスダック市場上場を果たしたことで、国内外での決済事業およびSME(中小企業)向けローン等の金融サービス領域での成長加速が期待されますが、ソフトバンク本体の法人・個人チャネルと連携したクロスセルを推進する上で、プロダクト開発側が今一番解決すべき「組織間の仕様やデータの依存関係に関するバグ」にはどのようなものがありますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- ソフトバンク株式会社 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- ソフトバンク株式会社 2026年3月期 決算説明会プレゼンテーション資料



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