0 編集部が注目した重点ポイント
① 米国SRC社買収で部品再利用事業を強化する
2026年2月に米国SRC of Lexington社の事業買収を完了しました。前年は未連結のため単純比較不可ですが、リマニュファクチャリング事業のグローバル展開加速を狙う戦略的な動きです。北米における技術拠点やプロダクトサポートの体制が拡充されるため、現地の最前線に携わる職種でキャリア機会が拡大する可能性があります。
② 北欧林業機械メーカー買収で循環型林業を推進する
2026年4月にスウェーデンの林業機械メーカーであるMalwa Forest社の買収を完了しました。当期は未連結のため業績比較への影響はありませんが、軽量・小型機械のラインナップが向上します。環境負荷を低減するバリューチェーン全体の価値創造に向け、海外の営業や開発の領域で専門人材の重要性が高まる見込みです。
③ 報告地域の一部組み替えにより管理体制を刷新する
2026年度より、従来中近東に含まれていた一部地域を欧州に組み替える事業の管理体制変更を行います。前年同期比データは遡及修正されるため比較可能性は維持されますが、広域での効率的な市場アプローチが可能となります。欧州を中心としたグローバル事業統括のフィールドで、新たなキャリアパスが創出される可能性があります。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 決算説明会 P.4
売上高
4兆1,328億円
前年比 +0.7%
営業利益
5,673億円
前年比 ▲13.7%
当社株主に帰属する当期純利益
3,764億円
前年比 ▲14.4%
当期の売上高は、建設機械・車両部門での販売量減少があったものの、グローバルでの販売価格改善効果が物量減のマイナス影響を上回り、全体で微増収を確保しました。一方利益面では、北米市場などにおける原価差や固定費の増加、さらに米国関税政策によるコスト上昇などが響き、営業利益率は前期の16.0%から13.7%へと低下する結果となりました。
通期業績の確定に伴い、当初の通期予想に対する進捗評価としては、売上高が着実に計画ラインを維持して着地したことから、事業運営のベースは概ね順調に推移したものと捉えることができます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 決算説明会 P.5
建設機械・車両:北米地域
【事業内容】油圧ショベルや大型鉱山機械の製造・販売、およびアフターマーケットを担う、グローバルの最重要市場です。
【業績推移】外部顧客向け売上高は1兆472億円(前年比 +2.0%)と、堅調な増収を達成しました。
【注目ポイント】前期に大口商談があった鉱山機械の反動減はあったものの、データセンター等のインフラ投資や一般レンタル、エネルギー向け建機の需要が極めて力強く推移しました。旺盛なインフラ需要を確実に取り込むため、現地密着型のプロダクトサポートやマーケティング戦略を牽引できる優秀な人材が強く求められています。
建設機械・車両:中南米地域
【事業内容】主に世界的な主要鉱山を対象とした、大型鉱山機械の新規導入および保守サービスを幅広く提供しています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は7,769億円(前年比 +13.7%)と、大幅な成長を遂げました。
【注目ポイント】世界的な銅需要の拡大を背景に、チリなどの主要拠点で鉱山機械の販売が極めて好調でした。鉱山会社における超大型機械の安定稼働を長期的に支えるため、現場への高度なテクニカルサポートやフィールドエンジニアの体制強化が急務であり、採用可能性が高まっています。
建設機械・車両:欧州地域
【事業内容】先進的な環境規制やインフラ投資計画に対応した一般建機の販売およびサービス網を展開しています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は3,438億円(前年比 +10.8%)の二桁増収を達成しました。
【注目ポイント】ドイツやイギリスなどの公共投資を背景に一般建機の需要が堅調に推移し、為替の円安効果も追い風となりました。今後、電動建機などのイノベーション領域の導入拡大が見込まれるため、現地の規制対応や次世代ソリューションの提案を担える先進的な人材が必要です。
建設機械・車両:アフリカ地域
【事業内容】新興国の資源開発に伴う鉱山機械の供給と、中長期的なアフターマーケット事業を強化している地域です。
【業績推移】外部顧客向け売上高は2,563億円(前年比 +15.9%)の成長を記録しました。
【注目ポイント】鉱山機械の販売増加に加え、為替メリットが大きく貢献しました。コートジボワールにおけるトレーニング拠点の設立に着手するなど、現地サービス網や人材育成の仕組み化を急速に進めており、海外拠点の運営管理やアフターサービス網をゼロから構築できる人材に大きなチャンスがあります。
建設機械・車両:中近東地域
【事業内容】UAE等におけるインフラプロジェクトや、パキスタンでの大規模鉱山開発向けの建機・ソリューションを展開しています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は1,127億円(前年比 ▲1.7%)の微減となりました。
【注目ポイント】大型開発プロジェクト向けの販売は底堅く推移したものの、中東情勢緊迫化による第4四半期の需要減少が響きました。しかしパキスタンのレコディク銅・金鉱プロジェクトで初の大規模受注を獲得するなど底力は高く、全社的リスク管理やグローバル供給網の最適化を推進できる専門人材が必要とされています。
建設機械・車両:オセアニア地域
【事業内容】鉄鉱石などの巨大マイニング現場が集積し、無人ダンプトラック運行システム等のコト売り戦略の先進地域です。
【業績推移】外部顧客向け売上高は4,716億円(前年比 +2.3%)の堅調な伸びを確保しました。
【注目ポイント】主要鉱山向けの販売が底堅く推移しました。無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数がグローバルで1,000台を超える中、さらなる高度自動化や遠隔化のニーズが高まっています。現場のシステム運用保守や自動運転の社会実装を担うIT・デジタル人材の存在感が急速に増しています。
建設機械・車両:アジア地域
【事業内容】インドネシアなど東南アジア地域の主要鉱山や農業・林業などの多角的なセクターをカバーしています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は3,349億円(前年比 ▲32.9%)の大幅な減収となりました。
【注目ポイント】インドネシアでの石炭価格低迷に伴う鉱山機械の需要冷え込みが直撃しました。一方で、インドネシア政府による大規模農園開発(フードエステート)プロジェクト向けの建機需要など、非マイニング分野(農業・林業)の開拓を加速させており、新たな産業ドメインにアプローチできる営業人材が求められています。
建設機械・車両:中国地域
【事業内容】独自の経済圏を持つ中国市場において、一般建機および鉱山機械のローカル展開を行っています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は757億円(前年比 ▲5.5%)のマイナス成長となりました。
【注目ポイント】長期化する不動産市況の低迷や鉱山機械の需要縮小が業績に影響しました。市場がダウントレンドにある局面だからこそ、徹底したコスト削減や代理店網の効率化、現地でのリマニュファクチャリング推進など、バリューチェーンの最適化を推進できる経営管理・財務のスペシャリストが不可欠です。
建設機械・車両:CIS地域
【事業内容】中央アジアなどの資源大国を対象に、過酷な環境下で稼働する建機の供給およびプロダクトサポートを行っています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は625億円(前年比 +1.7%)の微増を確保しました。
【注目ポイント】中央アジアでの鉱山機械の販売は減少したものの、一般建機においてインフラ関連プロジェクト向けの販売増加が下支えしました。激変する地域情勢に対応しつつ、マルチソーシングを活用した安定的で最適な物流・製品供給網を維持・管理できるロジスティクス人材が強固に求められています。
建設機械・車両:日本地域
【事業内容】先進技術の実験場としての役割も担う国内市場において、建機の販売・レンタル・ICT建機浸透を推進しています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は3,145億円(前年比 ▲4.6%)の減収となりました。
【注目ポイント】人件費増や深刻な労働力不足を背景に、一般ユーザー・レンタル向けの需要低迷が続いています。この課題を打破するため、建機の自動運転化技術(ティアフォー社等との協業)や、現場を可視化するスマートコンストラクションの拡大が急務であり、先進ITソリューションを推進できるデジタル人材が極めて重宝されます。
リテールファイナンス
【事業内容】国内外の建機購入顧客に対し、販売金融やリース、資金調達サポート等の金融サービスを一体提供しています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は1,261億円(前年比 +2.4%)、利益は366億円(前年比 +24.4%)の増収増益です。
【注目ポイント】北米や欧州での新規取組高が拡大し、さらに資金調達コストの低下が大幅な利益改善をもたらしました。建機ビジネスの販売促進に直結する戦略部門であり、グローバルな金利変動や為替リスクを緻密にコントロールしながら財務健全性を維持し、営業をファイナンス面から支えるプロフェッショナルが不可欠です。
産業機械他
【事業内容】自動車向けの大型プレス、工作機械のほか、半導体製造用のエキシマレーザー関連製品等を広く手掛けています。
【業績推移】外部顧客向け売上高は2,388億円(前年比 +6.8%)、利益は379億円(前年比 +38.5%)の好決算です。
【注目ポイント】自動車産業向けの大型プレスの販売増や、半導体産業向けのギガフォトンによる利益率の高いメンテナンス売上の増加が業績を大きく牽引しました。EV化や微細化など世界の先端産業の投資トレンドに直結しており、次世代の精密機械設計やグローバルな保守サービスに対応できる高度技術人材が渇望されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 決算説明会 P.17
次期(2026年度通期)の見通しは、売上高4兆1,180億円(前年比▲0.4%)、営業利益5,080億円(前年比▲10.5%)の減収減益を見込んでいます。中東情勢に伴う石油価格高騰・サプライチェーン混乱(売上影響▲901億円)、さらに鉄鋼アルミ関税の見直しを含む米国関税政策に伴うコスト増(▲378億円)といった不透明な外部環境が重くのしかかる前提です。
このような厳しい状況下でも、中期経営計画に基づき多様な動力源への対応や自動運転技術(次世代鉱山機械向けソフトウェア開発など)への重点投資の手は緩めず、研究開発費を1,300億円へ拡大、固定費の増加も許容する姿勢を明確に示しています。構造改革の成果を活かしつつイノベーションを推進するため、現場の日常業務を刷新するAIソリューションの導入やDX業務変革に携わった経験を持つ、ITシステムおよびプロジェクト管理の専門人材の採用・育成が次期における最大の鍵となります。
4 求職者へのアドバイス
コマツは伝統的な「建機の製造・販売」から、スマートコンストラクションや自動運転システム(AHS)といった「施工現場全体のソリューション(コト売り)」への業態変革を強力に進めています。志望動機を構築する際は、同社が目指す「現場の安全・生産性向上とクリーン化」のビジョンに共感を示した上で、自身のIT・デジタルスキルやサプライチェーン管理、あるいはグローバルなアフターマーケット事業での経験を活かし、次世代の価値共創を推進する最前線で貢献したいという強い成長意欲を押し出すのが効果的です。
・次世代鉱山機械向けのソフトウェア開発(SDV)推進や建設機械の自動運転技術の実用化といったイノベーションが加速していますが、入社後にこうしたプロジェクトへ即戦力として貢献するにあたり、現時点で中途採用者に最も期待される専門知識やマインドセットについて詳しく教えてください。
・米国SRC社の事業買収によるリマニュファクチャリング事業の強化や、スウェーデンMalwa Forest社の買収など、環境負荷低減を志向する海外企業のM&Aが非常に活発ですが、これらの海外新組織とのシナジー最大化やグローバル供給網の最適化を推進するプロジェクトにおいて、中途入社者が担える役割や裁量権の大きさを伺いたいです。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
給与及び福利厚生はしっかりしている
現時点では悪くないので、ストレスが多ければ部署移動の希望を出すなり、車屋に転職するなりした方がいい。安易にコンサルに行くと失敗しているケースが多い。
(30代前半男性・その他・正社員) [キャリコネの口コミを読む]年休取得は部署によっては非常に計画的に取得していた
一方で、上司の采配が大きすぎるため、会社から決められた年休取得日数を達成するために、休日出勤をして平日休むことや、上司「この日があなたの年休」とカレンダーに一方的に記載してくることなどがあり、完全に部署によるものが多く感じました。福利厚生サービスはWELBOXという福利厚生サービスに登録しているため、カラオケや居酒屋の割引などのクーポンは多くもらえました。
(30代前半女性・機械設計・正社員) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社小松製作所 2025年度 決算説明会資料(2026年4月28日発表)
- 株式会社小松製作所 2026年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)(2026年4月28日発表)



上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。