住友商事は三菱商事や三井物産、伊藤忠、丸紅と合わせて、5大商社と呼ばれている会社です。また他社とは異なり、戦後に設立された総合商社でもあります。
商社と言えば「高給」のイメージがあります。それでは、住友商事の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
2022年08月04日
【年収研究シリーズ】住友商事の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
住友商事は三菱商事や三井物産、伊藤忠、丸紅と合わせて、5大商社と呼ばれている会社です。また他社とは異なり、戦後に設立された総合商社でもあります。
商社と言えば「高給」のイメージがあります。それでは、住友商事の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
住友商事の有価証券報告書によると、平均年収は1406.3万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考に住友商事の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で820〜870万円、30歳代で1150〜1200万円、40歳代で1470〜1520万円となりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約2.84倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 1406.3万円 | 43.1歳 | 18.5年 | 5150人 |
2021年3月期 | 1356.3万円 | 42.7歳 | 18.1年 | 5240人 |
2020年3月期 | 1437万円 | 42.5歳 | 17.1年 | 5207人 |
2019年3月期 | 1389.6万円 | 42.6歳 | 18.1年 | 5126人 |
2018年3月期 | 1304.1万円 | 42.7歳 | 18.3年 | 5091人 |
出典:住友商事・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
住友商事の平均年収は前年を上回り1406.3万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 844.4万円 | 55.7万円 | 137万円 | 759.96万円 |
30代 | 1173.6万円 | 77万円 | 190.5万円 | 1056.24万円 |
40代 | 1486.8万円 | 97.2万円 | 241.5万円 | 1338.12万円 |
50代 | 1763.4万円 | 115万円 | 286.4万円 | 1587.06万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
住友商事の競合や同業界である双日、三菱商事、豊田通商、丸紅、伊藤忠商事、三井物産の7社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、住友商事が1406.3万円、双日が1038.2万円、三菱商事が1558.8万円、豊田通商が1114.1万円、丸紅が1469.2万円、伊藤忠商事が1579.7万円、三井物産が1549.1万円です。
この7社の中で最高額は伊藤忠商事の1579.7万円で、最低額が双日の1038.2万円。その差はおよそ542万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では住友商事は5番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
伊藤忠商事 | 1579.7万円 | 42.2歳 | 1.2年 | 4170人 | 33172.88億円 |
三菱商事 | 1558.8万円 | 42.8歳 | 18.5年 | 5571人 | 20173.1億円 |
三井物産 | 1549.1万円 | 42.1歳 | 18.2年 | 5495人 | 40535.87億円 |
丸紅 | 1469.2万円 | 42.3歳 | 17.6年 | 4379人 | 17556.53億円 |
住友商事 | 1406.3万円 | 43.1歳 | 18.5年 | 5150人 | 5184.95億円 |
豊田通商 | 1114.1万円 | 42.8歳 | 17.1年 | 2648人 | 15140.45億円 |
双日 | 1038.2万円 | 41.8歳 | 15.4年 | 2558人 | 6782.62億円 |
住友商事の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
総合商社は、収益と利益額が大きいことが挙げられます。
住友商事の2019年3月期決算の発表によると、収益は5兆3392億3800万円(連結・IFRS)、最終利益は3205億2300万円でした。
個別経営成績(単体)で見ても、売上高は2兆3536億4200万円で、人件費含む諸経費を除いた純利益は2573億6100万円に上ります。こうした業績を従業員5126人で割り出してみると、一人当たり5020万円の利益を出している計算になります。
会社として良好な利益があるため、住友商事の従業員の昇給額や賞与額は高く設定されており、賞与額だけで見ても、年間の基本給分に値するほどの支給があるのです。
加えて各種の手当額も高い基準であるため、手厚い待遇が配慮されてることが判ります。手当の種類としては、出張手当や住宅手当などの他、海外に駐在した場合の海外赴任手当や、駐在地域によっては危険手当があります。
住友商事社員の給与明細(キャリコネ)
30代に入ると、さらにアップ!
20代・海外営業(非管理職)の 給与明細
30代・海外営業(非管理職)の 給与明細
賞与の有無で、圧倒的な差が!
20代・海外営業・賞与あり(非管理職)の 給与明細
20代・海外営業・賞与なし(非管理職)の 給与明細
住友商事に限らず、総合商社での業務は何と言っても激務であることが挙げられます。
残業は深夜まで及ぶことがしばしばあり、休日出勤が多いことも免れません。時間外勤務の手当が高いことが、給料が高い大きな要因の一つです。
国内や海外のいずれを問わず、出張も多くあります。出張先によっては、テロ多発地域や山奥などの危険な場所であっても行かざるを得ません。
商社には「ものを左から右へ動かすだけの仕事」というイメージが付いていることもあって、利益率が非常に高いと思われがちですが、実際は「薄利多売」であることが多いです。
モノを大量に動かすことによる「スケールメリット」で、総合商社は利益を得ているため、ひとつの事業がうまくいかなくなった場合は、業績への影響が著しく大きくなってしまいます。
とくに「資源系」ビジネスの割合が大きく、需要に左右される傾向があり、業績の乱高下が激しいといった面が懸念されます。
住友商事では、「資源系」だけでなく「非資源系」である「ICT」「バイオ」「ヘルスケア」など、最新分野にも取り組みを始めています。
資源系分野が市況に左右されやすいことに比べ、非資源系は安定収益が見込める分野でもあります。
住友商事は2019年3月期の連結最終利益も過去最高を更新し、いまだに右肩上がりの成長を続けているところです。
こうした会社に携わることで、資源や食品、インフラなど、人の役に立つものを動かしているという確かなやりがいが感じられるはずです。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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