【平均年収783.1万円】森永製菓の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

かつては常識でなかったものが、いつの間にか日常に溶け込んでいる ー そんな仕掛けを次々と繰り出しているのが、お菓子でお馴染みの森永製菓です。

森永製菓は、菓子業界ではロッテや明治ホールディングス、江崎グリコに次いで第4位の売上高を誇ります。同社のトップシェア商品は、1994年に誕生した「inゼリー」です。これは体が必要とするエネルギーや栄養をすばやく摂取ができる商品で、エネルギーやマルチビタミン、プロテインなど複数の種類があることで知られています。利便性が高いことから、体調不良や多忙を極める人の栄養補給として、また体作りのためなど幅広く利用されています。

その他に代表的な商品として、夏でも溶けないチョコ「ベイク」やソフトな食感のキャンディー「ハイチュウ」、「ミルクキャラメル」など、身近な商品としてご存知の方も多いことでしょう。

また森永製菓は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

森永製菓では、若手社員間での職種や査定評価による年収の違いはさほど大きくないようです。賞与は収益の状況によってボーナスの支給額が変動する「業績連動型」の仕組みを取り入れているため、利益が上がれば支給額は増え、利益が出なければ支給額は下がることが特徴です。収益の結果で増減するものの、業績を上げることで年収を増やすことが可能といえます。

特異なポジションにいない限り周囲と差はつきづらく、定期昇給は数千円程度で決して多くはありませんが、主任や課長に昇格した時に年収が大きく上がるようです。勤続年数や年齢が増すことで地位や賃金が上がっていく、いわゆる年功序列式が強く反映されているといえるでしょう。

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

懸念点として、近年高騰している原材料費と設備投資額の増加があります。
チョコレート原料のカカオ豆や乳製品の価格が相次いで上昇しており、2019年3月期は原材料費全体で約7億円のコスト増加を予想しています。また2020年9月に群馬県高崎市でオープンする新工場に約93億円もの額を投資し、主力のチョコレート商品の増産に備える予定ですが、この巨額な投資額にも留意しなければなりません。

また今後の市場展望として、少子化のリスク問題も念頭に置いておくとよいでしょう。出生数が年々減少していることは周知のとおりですが、ついに2017年に94万6060人となり過去最少を更新しました。お菓子の購買層である子供の減少、そして人口減につながることによる国内胃袋の数の減少という、2つの不安材料を抱えているといっても過言ではありません。

ここまで森永製菓の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか？

前述の懸念材料に対して、森永製菓はどのような対策を打っているのでしょうか。
調べてみると森永製菓は、対大人、対イスラム、対女性など多様なターゲットに対する転換策を打ち出していることがわかりました。

「頭が食べたがる」というキャッチフレーズのついたラムネは、90％がブドウ糖でできていることから、脳のエネルギー補給に有効で、仕事で頭と使う大人や受験生の中で話題です。また、イスラム教徒向けのハラル認証を取得した「ハイチュウ」をインドネシアで製造し、東南アジアやイスラム圏へ向けて販売を開始しました。さらに甘酒のシェア拡大に貢献するなど、常に新たな分野に挑戦し続けています。

110年以上の歴史を重ねるにあたり、常に外部環境の変化に晒され、それを乗り越えてきた森永製菓の「パイオニアスピリット」に注目が集まっています。身近なお菓子やアイスはトレンドに敏感な商品であるがゆえに、そこで働く人には常にアイデアとイノベーションが求められますが、それを心から楽しめる人に、ぜひお勧めしたい企業です。

結論的には、努力や覚悟は必要ですが、就職・転職先として素晴らしい企業であるといって問題ないでしょう。