今回取り上げるのは、明石海峡大橋などの超重量物輸送から鉄・化学系工場のプラント工事まで、多角的に事業を展開する100年企業、山九株式会社です。
山九の平均年収は601.9万円
山九の有価証券報告書によると、平均年収は601.9万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考に山九の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で400〜450万円、30歳代で520〜570万円、40歳代で600〜650万円となりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.22倍の額です。
■山九の平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 601.9万円 | 40.4歳 | 14.4年 | 12467人 |
2021年3月期 | 605.2万円 | 40.1歳 | 14年 | 12453人 |
2020年3月期 | 604.8万円 | 40歳 | 13.9年 | 12249人 |
2019年3月期 | 591.5万円 | 40歳 | 13.9年 | 12059人 |
2018年3月期 | 583.8万円 | 39.9歳 | 14.2年 | 11663人 |
出典:山九・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
山九の平均年収は前年を下回り601.9万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
山九の年代別平均年収と中央値
■山九の年収中央値は30代で540.5万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 419.4万円 | 27.8万円 | 72.3万円 | 377.46万円 |
30代 | 540.5万円 | 35.5万円 | 93.3万円 | 486.45万円 |
40代 | 615.6万円 | 40.2万円 | 106.3万円 | 554.04万円 |
50代 | 638.2万円 | 41.7万円 | 110.2万円 | 574.38万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
山九の給与制度
■マネージャークラスで1000万円台
同社では昇格することで順当に給与は上がっていきます。ただし、待っていれば無条件で昇格するわけではありません。上司の推薦があってようやく受けられる昇格試験に合格することが必須。甘くはないようです。
順当にいけば、総合職の場合、最短で入社6年目から係長クラスに、11年目からはマネージャークラス、25年目からは支店長クラスへと昇格していきます。年収は係長クラスで600~ 800万円、マネージャークラスで700~1000万円、支店長クラスで1100~1500万円と、高水準であることがわかります。
一方地域限定社員の場合は、総合職とは昇格スピードが異なり、係長クラスから上がらないケースも少なくないようです。
山九社員の給与明細(キャリコネ)
たった2歳違いで年収が倍違う!?
20代技術職(非管理職)の 給与明細
30代技術職(非管理職)の 給与明細
ほぼ同年齢、職種の違いで月5万円もの差が
20代技術職(非管理職)の 給与明細
20代営業職(非管理職)の 給与明細
■近年は業績賞与を毎年支給
基本給は、職能給と仕事給で構成されています。仕事給は、一般的には業績給と言われるものです。
職能給は、年に1度4月の人事評価で号棒が上がっていきます。一定水準までは上がるものの、昇格しなければそれ以上は上がらないという暗黙のルールもあるようです。仕事給の支給額は、業績考課によって公平に決定されます。
ボーナスは通常6・12月の年2回が基本。会社の業績によっては5月にも業績賞与が支給され、年3回のボーナスになります。業績好調が続いているため、ここ数年は毎年年3回支給されています。
他に、マイホームを建てると合計240万円程度を5年に分けて支給されるというユニークな手当も存在します。
山九社員の口コミ(キャリコネ)
サービス残業はなしで、質量共にとりあえずは納得!?
「世にはサービス残業が横行している会社もあるが、残業はつけられる。 全国的に見れば平均的にもらえてると思われる。しかし、その… 」
資格の有無で年収に大きな差!
「資格取得に力を入れている。試験費用を会社が2回分まで負担してくれる。公的資格(1級以上限定)さえ取得すれば順調に…」
山九と競合他社の平均年収を比較
山九の競合や同業界である千代田化工建設、日立物流、東洋エンジニアリングの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、山九が601.9万円、千代田化工建設が926.6万円、日立物流が818.2万円、東洋エンジニアリングが684.7万円です。
この4社の中で最高額は千代田化工建設の926.6万円で、最低額が山九の601.9万円。その差はおよそ325万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では山九は4番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
千代田化工建設 | 926.6万円 | 41.5歳 | 14.2年 | 1603人 | 1777.43億円 |
日立物流 | 818.2万円 | 42.9歳 | 20年 | 1224人 | 549.03億円 |
東洋エンジニアリング | 684.7万円 | 43.8歳 | 17.5年 | 968人 | 1014.16億円 |
山九 | 601.9万円 | 40.4歳 | 14.4年 | 12467人 | 3984.69億円 |
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」