0 編集部が注目した重点ポイント
① 機工事業が好調に推移し通期業績予想を上方修正する
2026年3月期中間決算において、売上高が半期決算として過去最高額を更新しました。特に鉄鋼・化学分野の設備更新需要が旺盛な機工事業が牽引し、通期の売上高を65億円、営業利益を10億円上方修正しています。プラント建設やメンテナンスの領域で、大規模な案件に挑戦したい技術職にとって、さらなる活躍の場が広がっています。
② 中東・サウジアラビアでのメンテナンス体制を強化する
中東事業の拡大に向け、サウジアラビアに設置したメンテナンスセンターを核とした人材育成と流動化を推進しています。現地の教育プログラムを通じた機工人材の育成や、東南アジアからのリクルートを強化中。グローバルなプロジェクトマネジメントや、海外拠点での技術指導に携わりたい人材にとって、キャリアを飛躍させるチャンスです。
③ 物流事業の適正単価収受とコスト改善を徹底する
物流事業では、コスト上昇分をカバーするため、主要客先との価格転嫁(値上げ交渉)と不採算事業からの撤退を優先的に進めています。中国事業でも拠点集約によるスリム化を1年前倒しで実行。単なる物量確保ではなく、収益性を重視した事業構造への転換をリードできる、管理部門や営業企画の人材が強く求められています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.4
上期実績は、機工事業における設備更新や脱炭素(デカーボナイゼーション)需要の獲得により、当初予想を上回る増収増益となりました。一方で、海外機工事業の一部で貸倒引当金(約8.3億円)を計上するなどの課題もありましたが、機工セグメントの圧倒的な動員力がそれらを補い、全体の実績を押し上げています。
修正後の通期営業利益予想(420億円)に対する中間期の進捗率は約49.0%に達しており、業績の推移は順調と言えます。機工事業の下期受注見込みも高水準で、年間配当も従来の232円から236円へ増配予定と、強気の経営姿勢が鮮明です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.5
物流事業
事業内容
港湾荷役、3PL(物流一括受託)、一般貨物、および国内外の工場内物流(構内作業)を一貫して担う。
業績推移
売上高 1,466億円(+0.1%)、営業利益 47億円(+15.4%)。不採算撤退により利益率は改善。
注目ポイント
コスト上昇を価格転嫁で吸収し、営業利益率3.2%(+0.4pt)へ向上させました。現在は「物流2024年問題」等への対応を含めた陸運事業の構造改革や、化成品分野の強化に注力しています。サプライチェーン全体を俯瞰し、高付加価値な物流提案ができるコンサルティング型の営業人材が活躍できる環境です。
機工事業
事業内容
鉄鋼、化学、エネルギー等のプラント建設・据付、および定修(シャットダウンメンテナンス)等の保守管理。
業績推移
売上高 1,545億円(+11.3%)、営業利益 147億円(-2.6%)。引当金計上が利益に影響。
注目ポイント
半期売上高として過去最高を記録。国内設備の老朽化に伴う更新需要に加え、風力発電や水素・アンモニア関連のインフラ整備が新たな成長ドライバーとなっています。大型重量物の輸送から据付までワンストップで完結できる独自ノウハウは唯一無二。世界を舞台にする施工管理や設計のプロフェッショナルには最適なステージです。
その他事業
事業内容
情報システム開発、人材派遣、機材賃貸、および建築・土木一式工事に関連するサービス提供。
業績推移
売上高 144億円(+4.0%)、営業利益 11億円(+26.5%)。機材賃貸が堅調。
注目ポイント
物流・機工をIT面から支えるシステム投資や、建設機材の効率的な運用により増益を達成しました。2025年9月には日野建設工業(株)を完全子会社化し、土木・建築機能の補完を進めています。グループ全体のデジタル化を加速させるIT人材や、M&Aを通じたPMI(買収後の組織統合)に関心がある人材にとっても注目すべきセグメントです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料 P.32
山九は「中期経営計画2026」の折り返し地点にあり、さらなる高みを目指して「ROE 10%」の持続的な達成を掲げています。そのために、Taskforce on Enterprise Value Acceleration(企業価値向上タスクフォース)を新設。事業、財務、非財務(人的資本)の3つの戦略を横断的に機能させ、成長事業への再投資体制を強化しています。
今後は、2027年5月に発表予定の新長期経営計画「Vision 2040」に向け、アセットライト経営の推進や保有株式の売却資金を成長投資に充当する方針です。人的資本を経営の根幹とし、人材のリスキリングやグローバルな適正配置にも注力しています。「変革を加速させる主体」として組織に貢献できる、経営企画や次世代リーダー層の獲得が、今後の持続的な成長に向けた最大の採用注目点となります。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
山九は「物流」と「機工」が密接に連携する独自のビジネスモデルを持っており、これは競合他社にはない圧倒的な差別化要因です。「プラントの設計・建設から、完成後の工場内物流、メンテナンスまでを一気通貫で支えたい」といった、一歩踏み込んだ顧客貢献を軸に据えると評価が高いでしょう。また、現在進めているグローバルな機工ネットワークの構築に対し、自身の専門性(語学、技術、営業力など)がどう貢献できるかを明確に伝えることが成功の鍵です。
面接での逆質問例
・「物流2024年問題への対応と、収益性向上のための価格転嫁(交渉)において、現場と本部はどのような連携体制を組んでいますか?」
・「中東サウジアラビアのメンテナンスセンターでの事業拡大において、日本からの出向者にはどのような役割とマインドセットが最も求められますか?」
・「長期ビジョン『Vision 2040』の策定に向け、私の所属予定部署にはどのような新しい変化や挑戦が期待されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
技術力とサポート体制が非常に充実
技術力の高さとそのサポート体制が非常に充実しており、特に理系出身者には1年間の研修が用意されているため、専門性を高めることができます。また、新卒社員に対する奨学金返済支援制度もあり、最大10年間の代理返済が可能です。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]若手社員には昇給の機会が限られる
プライム上場企業としての安定性は魅力ですが、年功序列の文化が根強く、若手社員には昇給の機会が限られています。特に独身者には家賃補助がなく、生活面でのサポートが不足していると感じます。
(40代後半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明会資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。