損益計算書(PL):営業費用増が利益圧迫
LINEは会計基準にIFRS(国際会計基準)を採用しています。
2018年12月期通期の営業収益は、前期比31.3%増の2353億円と過去最高。一方、営業利益は同35.8%減の161億円、営業利益率は前期比7.2pt減の6.8%でした。
営業収益のうち「その他の営業収益」281億円の内訳には、連結子会社であったLINEモバイルが持分法適用関連会社になったこと(ソフトバンクとの資本業務提携に伴う第三者割当増資)により計上された支配喪失による利益が248億円、関連会社であるSnow Corporationgが行った第三者割当増資にかかる持分変動利益が26億円が含まれています。
営業利益が出ていない理由は、言うまでもなくコスト増によるものです。2018年12月期のLINEの営業費用2192億円の内訳は、以下の通りです。
- 従業員報酬費用 26.2%
- 外注費及びその他サービス費用 14.5%
- 決済手数料及びライセンス料 14.1%
- マーケティング費用 9.3%
- 販売手数料 7.3%
- 減価償却費及び償却費 5.1%
- インフラ及び通信費用 4.8%
- その他の営業費用 18.8%
LINEの従業員数(連結)は、2016年12月末(3,661人)から2018年12月末(6,488人)までの2年間で2,827人、率にして77.2%増えており、「従業員報酬費用」に影響を与えています。
「外注費及びその他サービス費用」は、AI・社内システムの開発コストなど。「決済手数料」はLINEスタンプ等購入に必要なポイントを他社サービスを用いて決済した場合に発生する費用、「ライセンス料」はスタンプ等に用いる肖像権等に対する費用を指します。
「その他の営業費用」のうち、ポイント費用が前期比5.5倍の55億円に増加しており、LINE Pay強化に伴うLINEポイントへの引当金が増えている点も減益に影響しています。
2020年12月期第3四半期の連結累計営業利益は、275億円の赤字となっています。
前年同期との比較では、主にフィンテックをはじめとした各種プロモーションに伴い「マーケティング費用」が111億円増、人員増に伴い「従業員報酬費用」が95億円増、フィンテックの開発費用で「外注費」が76億円増、売上収益の増加に伴う「決済手数料およびライセンス料ならびに販売手数料」は計49億円増となっています。
セグメント分析:広告事業が成長
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コンサル会社員をしながら、副業ライターとして執筆活動を行っています。証券アナリスト取得を目指し日々邁進しております。