【18年12月期】LINEの赤字要因はマーケティング費用 ヤフーとの統合で消耗防ぐ

【18年12月期】LINEの赤字要因はマーケティング費用 ヤフーとの統合で消耗防ぐ

2019年11月18日に突如発表されたヤフーとの経営統合のニュースで、多くの人を驚かせたLINE。日本や東南アジアで約1.9億人のユーザーを抱え、コミュニケーションアプリとして欠かせない存在となっています。今回は財務面からLINEの特徴を分析し、ヤフーとの経営統合の背景を探ります。


損益計算書(PL):営業費用増が利益圧迫

LINEは会計基準にIFRS(国際会計基準)を採用しています。

2018年12月期通期の営業収益は、前期比31.3%増の2353億円と過去最高。一方、営業利益は同35.8%減の161億円、営業利益率は前期比7.2pt減の6.8%でした。

営業収益のうち「その他の営業収益」281億円の内訳には、連結子会社であったLINEモバイルが持分法適用関連会社になったこと(ソフトバンクとの資本業務提携に伴う第三者割当増資)により計上された支配喪失による利益が248億円、関連会社であるSnow Corporationgが行った第三者割当増資にかかる持分変動利益が26億円が含まれています。

営業利益が出ていない理由は、言うまでもなくコスト増によるものです。2018年12月期のLINEの営業費用2192億円の内訳は、以下の通りです。

  • 従業員報酬費用 26.2%
  • 外注費及びその他サービス費用 14.5%
  • 決済手数料及びライセンス料 14.1%
  • マーケティング費用 9.3%
  • 販売手数料 7.3%
  • 減価償却費及び償却費 5.1%
  • インフラ及び通信費用 4.8%
  • その他の営業費用 18.8%

LINEの従業員数(連結)は、2016年12月末(3,661人)から2018年12月末(6,488人)までの2年間で2,827人、率にして77.2%増えており、「従業員報酬費用」に影響を与えています。

「外注費及びその他サービス費用」は、AI・社内システムの開発コストなど。「決済手数料」はLINEスタンプ等購入に必要なポイントを他社サービスを用いて決済した場合に発生する費用、「ライセンス料」はスタンプ等に用いる肖像権等に対する費用を指します。

「その他の営業費用」のうち、ポイント費用が前期比5.5倍の55億円に増加しており、LINE Pay強化に伴うLINEポイントへの引当金が増えている点も減益に影響しています。

出典:2019年12月期第3四半期決算説明会

2020年12月期第3四半期の連結累計営業利益は、275億円の赤字となっています。

前年同期との比較では、主にフィンテックをはじめとした各種プロモーションに伴い「マーケティング費用」が111億円増、人員増に伴い「従業員報酬費用」が95億円増、フィンテックの開発費用で「外注費」が76億円増、売上収益の増加に伴う「決済手数料およびライセンス料ならびに販売手数料」は計49億円増となっています。

セグメント分析:広告事業が成長

お読み頂きありがとうございます。続きで読めるコンテンツは

この記事の執筆者

コンサル会社員をしながら、副業ライターとして執筆活動を行っています。証券アナリスト取得を目指し日々邁進しております。


関連記事

【19年12月期】LINE、初の営業赤字 気になるユーザー数の伸び悩みと財務状況の悪化

2020年10月にZホールディングスの子会社として経営統合予定で、5月に上場廃止を控えるLINEが2019年12月期決算を発表しました。上場以来初の営業赤字を390億円計上。激しい競争環境の下でライセンス料やマーケティング費用が重荷になっていたことが分かりました。財務諸表などを基に会社の現状と課題を整理します。


【18年12月期】戦略事業に1400人増員! LINEの「決算説明会資料」を読む

LINE株式会社は2019年1月31日、2018年12月期の通期決算を公表した。売上高は2000億円を超えたが、最終損益が赤字となったと報じられている。これを受けて株価は一時急落したが、すぐ反発。今後の経営の見通しはどうなるのか。


【面接対策】LINEの中途採用面接では何を聞かれるのか

インターネット事業やウェブサービスを展開するLINEへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われるほか、キャリアシートでは見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、そして一緒に仕事をする仲間としても評価されるので、事前にしっかり対策して転職を成功させましょう。


LINEに転職したい人のための企業研究【有給消化率70%超】

LINEに転職したい人のための企業研究【有給消化率70%超】

口コミと公開データを元に転職者目線で企業研究。業績と待遇の2つの面で志望企業を掘り下げます。今回取り上げるのはIT企業のLINE(株)です。


wiget_w300
wiget_w300
wiget_w300