【20年3月期】ファナック、2期連続減収減益も「第4次産業革命」対応で株価上昇

【20年3月期】ファナック、2期連続減収減益も「第4次産業革命」対応で株価上昇

工作機械の動作を制御するCNC(コンピュータ数値制御装置)と産業用ロボットで世界トップシェアのファナック。2020年3月期は米中貿易摩擦などの影響で営業利益がおよそ半減しました。コロナ禍の影響で21年3月期はさらなる業績悪化も予想される中、株価が上昇しているのはなぜでしょうか。財務諸表などを基に現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):2期連続の大幅減収減益

ファナックの2020年3月期の売上高は前期比20.0%減の5083億円、営業利益は同45.9%減の884億円の減収減益でした。営業利益率は同8.3pt減の17.4%に悪化しましたが、20%を割り込むのは1994年3月期以来26年ぶりのことです。

売上原価は前期比11.8%減の3261億円と抑制し、売上総利益は同31.5%減の1822億円。粗利率は同6.0pt減の35.8%にとどめました。販売費及び一般管理費も前期比8.5%減の938億円に抑えましたが、減収の影響をカバーできませんでした。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比52.4%減の734億円と半減しています。

2021年3月期通期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の拡大の程度や収束時期を現時点で合理的に予想することが困難なことなどから未定としていますが、第2四半期までの連結業績を予想しています。

それによると2021年3月期上期は、売上高は1979億円(前年同期比24.2%減)、営業利益は198億円(同61.4%減)、当期純利益は164億円(同59.2%減)と前期を上回る減収減益となる予想です。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の影響については今後大きく変動する可能性があるとしています。

セグメント分析:「コンピュータ数値制御装置」と「産業用ロボット」で世界トップ

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金融機関で法人融資に従事した後、ベンチャー企業で財務経理を経験。わかりやすく読みやすい記事になることを心がけます。


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