0 編集部が注目した重点ポイント
① 全10セグメントへの組織再編を断行する
当第1四半期より、従来の16セグメントから全10セグメントへの大規模な再編を実施しました。この再編は、戦略プラットフォーム型事業の強化を目的としており、転職者にとっては組織の壁を越えた新たなキャリア機会の拡大が期待できる重要な変化です。
② 電子部品関連事業の新規取得で成長を加速させる
次世代事業開発セグメントにおいて、日本オーエスエレクトロニクス社の株式取得を完了しました。これにより約80億円の負ののれん(割安に買収できた際の利益)が発生し、事業利益を押し上げています。成長領域における専門人材の採用意欲が高まっている象徴的な動きと言えます。
③ 最終利益が1,544億円と過去最高水準で推移する
市況下落による資源分野の減益を、北米貨車リース事業の売却益などの非資源分野が補い、前年同期比で8.3%の増益を達成しました。通期予想に対する進捗も極めて好調であり、経営基盤の強固さが挑戦的な新規投資を支える好循環を生み出しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第1四半期 決算 IR資料 P.1
収益
2兆1,637億円
前年同期比 +5.5%
営業利益
854億円
前年同期比 -8.5%
四半期利益(純利益)
1,544億円
前年同期比 +8.3%
※営業利益 = 売上総利益 + 販売費及び一般管理費 + 貸倒引当金繰入額(日本の会計慣行に従った自主的な表示指標)
当第1四半期の収益は、金属や次世代事業開発セグメントの増収により、前年同期比1,124億円増の増収を記録しました。営業利益は販管費の増加などで微減となりましたが、北米貨車リース事業の売却といった資産入替戦略が功を奏し、最終的な純利益は過去最高の水準となっています。これは、市況に左右されにくい「稼ぐ力」の強化が着実に進んでいる証左です。
通期利益予想5,100億円に対する進捗率は30.3%に達しており、第1四半期として極めて順調な滑り出しを見せています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第1四半期 決算 IR資料 P.4
ライフスタイル
事業内容: 衣料、住生活、森林製品など、消費者に近い領域で多様なライフスタイル価値を創造する。
業績推移: 純利益は70億円。豪州のチップ事業やブラジルの衛生用品事業の減益が影響した。
注目ポイント: 利益は微減ですが、タイでのカーメンテナンス事業(B-Quik)は増益を継続しており、アジア圏でのリテール・サービス展開に強みを持ちます。現場主導の事業改善スキルを持つ人材が不可欠です。
食料・アグリ
事業内容: 穀物、油脂、畜産、肥料販売など、川上から川下までの食料サプライチェーンを担う。
業績推移: 純利益は355億円と前年比40億円の増益。国内鶏肉事業などが好調に推移した。
注目ポイント: 米国肥料卸売事業(MacroSource)がマージン改善により大幅増益。一方でHelena社は天候不順の影響を受けており、気候リスクに対応した高付加価値な農業支援サービスへの転換に注力しています。
金属
事業内容: 鉄鋼原料、軽金属、銅鉱山開発など、資源の安定供給と循環型ビジネスを推進する。
業績推移: 純利益は287億円。原料炭や鉄鉱石の価格下落により前年比で減益となった。
注目ポイント: チリ銅事業は操業コストの改善と銅価格の堅調な推移により増益を達成。資源価格のボラティリティに耐えうる「操業の磨き込み」を担える、現場に強い技術的・経営的視点を持つ人材が求められています。
エネルギー・化学品
事業内容: 石油・ガス、化学品、新エネルギーなど、エネルギートランジションを主導する。
業績推移: 純利益は91億円。石油・ガス開発事業の減益があったが、概ね計画通りに推移。
注目ポイント: トレード主体の収益構造へのシフトを強化中。既存の石油・ガス資産の最適化を図りつつ、脱炭素関連の新規事業への資源配分を加速しており、エネルギー業界の変化をリードする挑戦の場が豊富です。
電力・インフラサービス
事業内容: 海外発電(IPP)、上下水道、電力卸売・小売、社会インフラプロジェクトを展開。
業績推移: 純利益は168億円。昨年の市場価格上昇の反動で海外発電事業が減益となった。
注目ポイント: 英国SmartestEnergyでの小売事業拡大やシンガポールSenoko社への追加出資など、収益基盤の「巡航化(安定化)」を推進しています。市場変動に左右されない確かなサービスモデルを構築する専門性が重視されています。
金融・リース・不動産
事業内容: 自動車金融、航空機リース、貨車リース、不動産、保険など広範な金融サービス。
業績推移: 純利益は309億円と大幅増益。北米貨車リース事業の売却益が大きく貢献した。
注目ポイント: みずほリースとの連携強化やWheels事業の本格寄与により、実態利益も大きく伸長。資産を保有するだけでなく、高度なアセットマネジメントで価値を最大化する金融のプロフェッショナルが活躍しています。
エアロスペース・モビリティ
事業内容: 航空、船舶、建設機械、自動車などの輸送機器バリューチェーンを展開。
業績推移: 純利益は115億円。船舶保有運航事業の減益があったが、全体として堅調。
注目ポイント: 航空機部品トレードや米国の自動車販売金融(Nowlake)など、周辺サービス領域の収益貢献が拡大中。商材の売買に留まらず、保守や金融を組み合わせた高付加価値モデルを構想できる人材を求めています。
情報ソリューション
事業内容: IT・デジタル全般、通信、ロジスティクスなど、産業のDXを支援するサービス基盤。
業績推移: 純利益は7億円。前年同期の赤字から黒字転換を果たした。
注目ポイント: 中核の「丸紅I-DIGIO(アイデジオ)」を核に、戦略プラットフォームとしてM&Aとオーガニック成長を両輪で推進中。国内のDX需要を確実に取り込んでおり、ITと商社ビジネスの融合を担う中核人材が急務です。
次世代事業開発
事業内容: 電子部品、産業機械、次世代ビジネスモデルの構築を推進する。
業績推移: 純利益は100億円。電子部品関連事業の取得による割安買収利益(負ののれん)が大きく寄与。
注目ポイント: 日本オーエスエレクトロニクスの取得により、高成長なエレクトロニクス領域の基盤を確保。商社の伝統的なネットワークに最新テクノロジーの知見を掛け合わせ、新たな勝ち筋を創出する野心的なステージです。
次世代コーポレートディベロップメント
事業内容: 高成長なコンシューマービジネスへの独自の投資・M&Aを推進する。
業績推移: 純利益は14億円の損失。投資先行の段階にあり、将来の収益源を育成中。
注目ポイント: 東南アジアや米国での消費者関連ビジネスに特化し、従来の部門の枠を超えた機動的な投資判断を行っています。ゼロから事業を立ち上げるアントレプレナーシップを持つ人材にとって、最もエキサイティングな部署の一つです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第1四半期 決算 IR資料 P.7
今期からスタートした中期経営戦略「GC2027」では、「戦略プラットフォーム型事業」への優先的な資本配分を明言しています。第1四半期の新規投資889億円のうち、多くがこれらの成長領域に投じられており、単発のトレードから持続的な収益モデルへの転換が加速しています。
質疑応答で言及された通り、米国Creekstone事業(牛肉加工)などの一部厳しい事業環境はありますが、国内鶏肉事業の好調などで相殺できており、ポートフォリオ全体の耐性は高まっています。また、第一生命HDとの不動産事業統合に伴う評価益(約700億円)も第2四半期以降に予定されており、業績の上振れ要因も豊富です。転職者にとっては、資源価格の変動に左右されず、個人の専門性が事業価値に直結する機会が増えていると言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
丸紅は今、単なる「商社」から「事業運営会社」への進化を遂げようとしています。特に「戦略プラットフォーム型事業」における「磨き込み(事業価値向上)」は、同社が最も注力しているテーマです。自身の持つ特定の業界専門性や、現場でのオペレーション改善経験が、どのように丸紅のプラットフォーム化を加速させるかを伝えると、強力な志望動機になります。
面接での逆質問例
「今回のセグメント再編により、現場の意思決定スピードやシナジー創出にどのような変化が生じていますか?」という質問は、組織の変化をポジティブに捉えていることをアピールできます。また、「米国関税やマクロ環境の影響を最小化するために、中途採用者に期待される『非資源分野での防衛・攻め』の役割は何でしょうか?」といった、リスク管理と攻めの姿勢を問う質問も有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
多様な成長機会を提供してくれる企業
多様な事業領域を持つ企業で、エネルギーや食料、ICTなど幅広い分野に携わることができ、特に若手社員にとっては大規模なプロジェクトや海外案件に関わるチャンスが豊富です。
(20代後半・コンサルティング営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]配属先によっては成長の実感が薄い場合もあり
ただし、配属先によっては成長の実感が薄い場合もあり、転職を考える人も少なくありません。
(20代後半・システムエンジニア・女性 ) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度 第1四半期 決算 IR資料
- 2025年度第1四半期 決算説明会 主な質疑応答(要旨)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。