0 編集部が注目した重点ポイント
① 経営再建計画「Re:Nissan」で5,000億円のコスト削減を断行する
2025年5月に発表された経営再建計画「Re:Nissan」に基づき、2026年度までに合計5,000億円のコスト削減を目指しています。内訳は固定費と変動費で各2,500億円となっており、上期時点ですでに800億円超の経費削減を達成しました。エンジニアリングコストの20%削減目標に対しても12%まで進捗しており、収益構造の抜本的な改善を急いでいます。
② 本社ビルの売却と生産拠点の再編で固定費を大幅に圧縮する
2025年11月にグローバル本社ビルのセール・アンド・リースバックを決定しました。これにより約739億円の売却益を特別利益に計上する見込みです。また、グローバルで7つの生産拠点を統合・削減する方針のうち、追浜工場や日産車体湘南工場、海外ではインドやメキシコなど6拠点の再編を決定しました。資産の最適化により、財務基盤の安定化を図っています。
③ 2026年度の黒字化に向けた商品ラインナップの刷新を推進する
中国市場での販売苦戦を受け、次世代EV「N7」などの新型車投入を加速させています。2026年度までに自動車事業の営業利益およびフリーキャッシュフローの黒字化を目指しており、下期からは新型キックスなどの投入により台数回復を狙います。また、ファーウェイのスマートコックピット採用など、地域ニーズに合わせた技術提携も強化しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結) P.1
売上高
5兆5,787億円
(前年同期比 -6.8%)
営業利益
△277億円
(前年同期は 329億円)
中間純利益
△2,219億円
(親会社株主帰属)
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比6.8%減の5兆5,787億円となり、営業利益は277億円の赤字に転落しました。主な要因は、北米市場での販売費用増加や米国関税の影響、そして中国市場での販売苦戦によるものです。特に特別損失として減損損失708億円や特別退職加算金614億円を計上したことが、最終赤字の拡大に繋がっています。
通期予想については、売上高を11兆7,000億円、営業利益を2,750億円の損失へと大幅に下方修正しています。現在は「Re:Nissan」の枠組みの中で固定費削減と在庫適正化を最優先しており、下期のフリーキャッシュフローのプラス化と、年度末時点でのネットキャッシュ1兆円の維持を目指しています。進捗状況としては、構造改革の実行段階にあり、厳しい経営環境下での立て直しを急いでいる状況です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度上期 決算報告 P.13
自動車事業(日本・北米・欧州・中国)
事業内容:乗用車、商用車の開発・製造・販売および海外生産用部品の供給。e-POWERやEV技術が強み。
業績推移:売上高4兆9,750億円、セグメント損失は2,019億円と大幅に悪化。北米の台数成長はあるものの、利益率が低下しています。
注目ポイント:現在、生産拠点の最適化とサプライチェーンの再構築が急務となっています。特に米国市場での環境規制対応や、中国市場における現地ブランドとの競争激化を受け、ソフトウェア定義車両(SDV)の開発や原価低減を推進できる専門人材の需要が極めて高まっています。
販売金融事業
事業内容:車両購入者向けのクレジット、リース、および販売店向けのファイナンス提供。
業績推移:売上高6,036億円、セグメント利益は1,490億円を確保。為替影響を受けつつも、前年並みの利益水準を維持しています。
注目ポイント:自動車事業が苦戦する中で、グループ全体のキャッシュフローを支える重要な収益柱です。クレジットロスの管理を業界平均並みに抑えつつ、資産担保証券(ABS)を用いた多様な資金調達を実行しており、金融の専門知識を持つ人材が活躍できるフィールドが広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度上期 決算報告 P.11
今後の見通しとして、経営再建計画「Re:Nissan」の加速による早期の黒字化が最優先課題です。2025年度下期からは新型キックスの本格稼働や、中国での新型EV「N7」の投入、欧州での新型リーフの準備など、商品ラインナップの刷新が相次ぎます。また、コスト削減目標5,000億円のうち、変動費2,500億円の削減に向けては、部品種類の60%削減や生産プロセスの効率化が計画されています。
採用面では、単なる自動車開発に留まらず、ビジネスモデルの変革を推進できる人材が求められています。質疑応答でも言及された通り、在庫適正化やインセンティブ管理の徹底など、データに基づいた経営判断を現場レベルで実行できる能力が重要視されています。また、Wayve社との次世代運転支援技術の開発や、ファーウェイとのコックピット連携など、異業種提携をマネジメントできるプロフェッショナルにとっても大きなチャンスがあるフェーズです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
日産は今、過去最大級の構造改革「Re:Nissan」の真っ只中にあります。この「変化の激しい再建局面」を成長の機会と捉え、自身のコストマネジメント能力や、プロセス改善、あるいは最先端のデジタル技術を活かして、「日産の再生を自らの手で加速させたい」という強い当事者意識を打ち出すことが効果的です。特に、上期で800億円超の固定費削減を達成している事実に触れ、その実行力をさらに高める具体的な提案ができると高く評価されるでしょう。
面接での逆質問例
「Re:Nissan計画において、変動費2,500億円の削減目標に向けたエンジニアリング部門や調達部門の具体的な連携体制はどのようになっていますか?」
「中国市場でのN7投入やスマートコックピット採用など、地域別の迅速な意思決定を支える組織構造の変化について教えてください」
「中途採用者が、入社後早期に再建施策のフロントラインで役割を果たすための期待値について伺いたいです」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
経営の立て直しが急務
最近の経営状況は厳しく、工場の閉鎖や人員削減が続いています。企業としての方向性が不明確で、社員がそれぞれ独自の方向に進んでいる印象を受けます。トップダウンの組織でありながら、リーダーシップが不安定で、社内政治が影響を及ぼしているようです。役員の削減が行われたものの、実際には大きな変化が見られず、危機感が薄いと感じます。ブランドイメージの統一が必要で、経営の立て直しが急務です。
(40代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]海外での業務を経験することができた
現在の職場では、社員の入れ替わりが激しいため、新たに加わる人材には大きなチャンスが広がっています。特に、日々のコミュニケーションが良好であれば、大規模なプロジェクトに参加する機会も増えます。私自身も、入社して数年で海外での業務を経験することができました。
(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度上期 決算報告(プレゼンテーション資料)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。