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編集部が注目した重点ポイント
①デジタル領域の組織再編とTOBにより事業構造を刷新する
2026年3月期上期、デジタル広告領域のコア会社を統合した新会社「Hakuhodo DY ONE」を設立しました。さらに現在、株式会社デジタルホールディングスへのTOB(株式公開買付け)を実施中であり、成立すれば約500億円強のデジタルメディア売上が加わる見込みです。グループフォーメーションをデジタル中心へと大胆にシフトさせており、デジタルマーケティング職のキャリア機会が劇的に拡大しています。
②北米の構造改革と内製化促進により営業利益を大幅に増加させる
国内外での徹底した費用コントロールが功を奏しています。北米での人員削減やオフィス集約、さらにグループ全体での制作内製化を促進した結果、調整後営業利益は前年同期比91.1%増の107億円と急伸しました。収益重視の経営管理体制への移行に伴い、効率的なプロジェクト運用や組織マネジメントを担えるプロフェッショナル人材の需要が高まっています。
③AI活用を事業の核に据えて創造性と業務効率を拡張する
独自の「生活者発想Platform」を構築し、1万人を超えるグループ社員がAIツールを活用。ビジュアル制作を革新する「AI Craft Studio」の始動や、若手が経営層を指導する「AIメンタリング」制度の導入など、テクノロジーを文化レベルで浸透させています。AIを使いこなして新たな価値を創出できるクリエイターやコンサルタントにとって、最先端の挑戦環境が整っています。
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連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 上期 連結決算概要 P.4
※調整後:持分法適用会社ユナイテッド社が保有するメルカリ株売却益を除く主力事業の数値。
売上高は、ユナイテッド社の連結除外や前年の大型BPO案件の反動により減収となりましたが、利益面では飛躍的な改善を見せました。特に売上総利益率が1.3ポイント上昇し、徹底した経費削減によって営業利益は大幅なプラスを確保。構造改革の成果が明確に数値として現れています。
通期予想の営業利益400億円に対する上期進捗率は26.8%と数値上は進捗が遅れているように見えます。しかし、広告業界は例年第4四半期に収益が集中する傾向があり、下期の大型案件獲得への期待も示されていることから、通期目標達成に向けて概ね順調な推移と捉えられます。
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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 上期 連結決算概要 P.5
国内事業(日本・調整後)
事業内容:博報堂、大広、読売広告社などによる広告、プロモーション、コンサルティングおよびコンテンツ制作。
業績推移:売上高5,980億円(前年比-3.8%)、営業利益292億円(前年比+11.5%)。
注目ポイント:売上は特殊要因で減少しましたが、一部案件の収益性改善により増益を確保しました。特にコンサルティング、テクノロジー、コンテンツ、インキュベーションからなる「国内4事業領域」が二桁成長しており、既存の広告枠販売にとどまらないクライアントの事業変革パートナーとしての役割が強まっています。
海外事業
事業内容:北米(kyuなど)、中国、ASEANを中心としたグローバル拠点の広告・クリエイティブ支援。
業績推移:売上高1,013億円(前年比-11.9%)、営業損失26億円(赤字幅が30億円縮小)。
注目ポイント:中国やタイのトップラインが伸び悩む中、北米での人員削減やオフィス集約といった費用構造改革の成果が現れ始めています。アメリカのコンサル領域では復調の兆しが見えており、AI導入に伴う組織変革ニーズが高まっていることから、グローバルレベルでのDX支援スキルの重要性が増しています。
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今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 上期 連結決算概要 P.13
中期経営計画の最終年度に向けて、デジタル・コマース領域の規模拡大と費用の最適化を両立させる方針です。特にデジタルHDへのTOBが成就すれば、約500億円強の売上が上積みされ、デジタルメディア市場での存在感は一層強まります。質疑応答でも、単なる枠売りからの脱却と、クライアントの経営課題をAIで解決するニーズの増大が語られました。
今後は「広告代理店」から「クリエイティビティ・プラットフォーム」への進化が加速します。AI Crafts StudioのようにAIを制作工程の核に組み込む動きが活発化しており、テクノロジーと創造性を高度に融合できるハイブリッド型人材にとって、自身の市場価値を最大限に高められるフェーズに突入しています。
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求職者へのアドバイス
同グループは今、広告の枠を超えて企業の仕組みそのものを変える変革期にあります。志望動機では「生活者発想」という根幹の哲学を理解した上で、Hakuhodo DY ONEの設立やデジタルHDへのTOBといったデジタル中心の構造改革に注目し、自身の専門スキルを「新しい顧客体験の創出」や「クライアントのDX支援」にどう繋げられるかを具体的に語るのが有効です。
「AI Craft Studioの始動により、現場のクリエイターとAIエンジニアの協働の仕方はどう進化しましたか?」や、「デジタルHDとのTOBを経て、現場レベルでの他部門とのシナジー創出はどのように具体化されていますか?」といった質問が、事業変革への深い理解と当事者意識を示す上で効果的です。
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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
クライアントをがっちりグリップ
残業はどのクライアントにアサインされているかによって大きく異なる。必然的に、休日出勤もそれに準じるような形になる。業界全体に言えることだが、冷え込んでいることは否めないので、クライアントをがっちりとグリップしておかなければならない気はする。
(20代後半・代理店営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社博報堂DYホールディングス 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
- 株式会社博報堂DYホールディングス 2026年3月期 上期 連結決算概要
- 株式会社博報堂DYホールディングス 2026年3月期 上期 決算説明会 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。