ブラザー工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ブラザー工業の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

ブラザー工業の2026年3月期2Q決算は、売上高4,377億円と増収。カラオケ店舗事業の譲渡やマシナリー事業の急回復など、中期戦略「CS B2027」に基づく構造改革が鮮明です。「不確実な市場で利益を確保する管理能力」と「産業用領域への大胆なシフト」を軸に、転職者が担える新たな役割を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

カラオケ店舗事業を売却し構造改革を加速する

N&C事業においてカラオケ店舗運営を担う株式会社スタンダードの全株式を、2025年11月1日付でコシダカホールディングスへ譲渡しました。中期戦略「CS B2027」に基づき、不採算領域からの撤退とリソースの最適化を断行しています。店舗運営から「エンターテインメント・プラットフォーム」への転換を図るなど、同事業内でのキャリア機会が大きく変化する局面を迎えています。

通期業績予想を売上・利益ともに上方修正する

上期の好調な業績と想定以上の円安推移を反映し、通期の売上収益を9,000億円、営業利益を820億円へと引き上げました。特に営業利益は前回予想から90億円の大幅な積み増しとなっており、事業譲渡益約45億円の計上も寄与しています。収益性の向上が鮮明になっており、新規事業や成長領域への積極投資が期待される健全な財務状況です。

マシナリー事業の産業機器が大幅な回復を見せる

中国を中心としたアジア市場で自動車・一般機械市場向けの設備投資需要が回復し、産業機器の売上収益が前年同期比+35.4%と急伸しています。これに伴いマシナリー事業全体の利益も大幅に改善しました。さらに、2026年1月には欧州のKonrad Busche社から自動車部品向け部門の事業譲受を予定しており、産業用領域でのグローバルな活躍フィールドが拡大しています。

1 連結業績ハイライト

円安のプラス影響に加え、P&S事業の底堅い需要とマシナリー事業の回復により増収。構造改革に伴う一時的な利益押し上げもあり、通期利益目標を上方修正しました。
2026年3月期第2四半期 連結業績概要

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.4

売上収益

4,377億円

+2.5% (YoY)

事業セグメント利益

408億円

△5.0% (YoY)

営業利益

387億円

+0.5% (YoY)

※事業セグメント利益 = 売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出した事業の経常的な収益力を測る指標です。

上期の売上収益は前年同期比2.5%増と着実に成長しています。事業セグメント利益は販促費の増加や為替のマイナス影響により5.0%の減益となりましたが、第2四半期単体では価格対応の効果等により増益に転じています。営業利益については、固定資産の売却益約23億円を計上したことで前年同期を上回る水準を確保しました。

通期予想に対する売上収益の進捗率は約48.6%、事業セグメント利益は約51.1%に達しています。下期に計上予定のカラオケ店舗譲渡益などを踏まえると、業績は「堅調」に推移しており、目標達成に向けた確度は高い状況です。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力のプリンティング事業に加え、回復著しいマシナリー事業、構造改革が進むネットワーク事業など、各セグメントで専門人材のニーズが高まっています。
セグメント別実績分析

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.5

P&S (プリンティング&ソリューションズ)

事業内容:レーザー・インクジェット複合機、ラベルプリンターなどの通信・印字機器を展開する同社の最大セグメントです。

業績推移:売上収益は2,708億円(前年同期比+1.7%)。国内以外の地域で販売が伸長し、消耗品も堅調に推移しました。

注目ポイント:米国における関税負担増加に対し、価格対応や経費コントロールによって影響を完全に吸収する卓越した管理能力を見せています。価格戦略やグローバルな供給網の最適化を担う人材にとって、高度な経営判断が求められる現場です。

注目職種:海外営業、サプライチェーンマネジメント(SCM)、製品企画

IP (インダストリアル・プリンティング)

事業内容:ドミノブランドのコーディング機器や産業用ガーメントプリンター等を扱う、2025年度からの新設セグメントです。

業績推移:売上収益は666億円(前年同期比△3.6%)。ドミノの消耗品は堅調ですが、産業用プリンターが欧米市場で苦戦しています。

注目ポイント:(注:前年同期はセグメント区分が異なるため組み替え比較) 競争環境の変化に直面しており、収益性改善とデジタル印刷領域の再構築が急務です。産業用インクジェット技術の展開や新規顧客開拓など、事業再生に近いダイナミックな経験が可能です。

注目職種:技術開発(インクジェット)、海外マーケティング、事業開発

マシナリー

事業内容:工作機械(産業機器)および工業用ミシンを展開。産業用領域の成長ドライバーです。

業績推移:売上収益は384億円(前年同期比+20.2%)。産業機器の需要回復により、セグメント利益が+679.7%と爆発的に増加しました。

注目ポイント:中国のアジア圏での設備投資需要を的確に捉えています。自動車産業の変革期において、ソリューション提案力を強化するための事業譲受も進めており、グローバルなエンジニアリング集団への進化を加速させています。

注目職種:フィールドエンジニア、機械設計、海外技術営業

ニッセイ

事業内容:減速機や歯車を製造・販売。工場の自動化を支える基盤事業です。

業績推移:売上収益は105億円(前年同期比+5.7%)。価格対応の効果もあり、利益は224.6%増と大きく伸長しました。

注目ポイント:市場全体の設備投資回復は遅れているものの、着実な価格転嫁と高付加価値製品へのシフトで収益性を高めています。製造業の根幹を支える高い技術力を活かし、ニッチ領域でのシェア拡大を目指す志向の方に適した環境です。

注目職種:生産技術、品質管理、国内営業

P&H (パーソナル&ホーム)

事業内容:家庭用ミシンやカッティングマシンなど、趣味・家庭用機器を展開しています。

業績推移:売上収益は273億円(前年同期比+6.9%)。最高級機の投入効果により製品ミックスが改善し、増収増益を達成しました。

注目ポイント:インフレによる高級機市況の軟化という課題に対し、普及機・中級機の販売強化で対抗しています。ユーザー体験を重視した付加価値の高いモノづくりが強みであり、BtoC領域でのブランディングやデザインに強みを持つ人材の活躍が期待されます。

注目職種:プロダクトデザイン、マーケティングプランナー、UI/UX設計

N&C (ネットワーク&コンテンツ)

事業内容:通信カラオケ「JOYSOUND」を軸としたエンターテインメント事業です。

業績推移:売上収益は189億円(前年同期比△2.4%)。店舗事業の売却に伴い規模は縮小しますが、収益性改善を見込んでいます。

注目ポイント:カラオケ店舗運営という重い固定費を切り離し、プラットフォームビジネスへの転換を鮮明にしました。デジタルコンテンツの配信や新規エンタメサービスの創出など、ソフト面でのイノベーションを担う人材の重要性が増しています。

注目職種:ソフトウェア開発、コンテンツ企画、データアナリスト

3 今後の見通しと採用の注目点

中期戦略「CS B2027」の推進により、事業ポートフォリオの変革が加速。米国関税リスクへの対応など、変化に強い組織づくりを進めています。
2025年度通期連結業績予想

出典:2025年度 第2四半期 決算説明会 P.15

通期業績予想の上方修正は、外部環境の変化を柔軟に経営に反映させた結果と言えます。営業利益は前期比+17.3%の大幅増を見込んでおり、財務的な余力は極めて高い状態です。米国関税政策による約140億円の負担増という大きなリスクに対しても、米国での値上げやコストダウンによって「全て吸収する」という強気の見通しを公表しています。

採用面では、マシナリー事業における自動車部品分野の譲受や、N&C事業の構造改革により、「従来の枠組みにとらわれない新領域の専門性」を持つ人材への需要が高まっています。また、設備投資や研究開発費の見通しを一部引き下げていますが、これは「進捗状況に鑑みた見直し」であり、中期的な成長に向けた戦略的投資の姿勢に変化はありません。事業ポートフォリオの入れ替えが進行する今、変化をチャンスと捉えられる人材にとって、同社は非常に刺激的なフェーズにあります。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

同社の「変化を恐れない構造改革」に注目してください。例えば、カラオケ店舗事業の売却という大きな決断は、同社が「モノづくり+サービス」の新しい形を模索している証拠です。自身のスキルを活かして、どのように事業ポートフォリオの変革に貢献できるかを具体的に語ることで、経営層の視点に立った説得力のある志望動機が構築できます。

Q&A 面接での逆質問例

「米国関税等の外部リスクに対し、価格対応で利益を確保する強い管理体制が印象的でした。下期以降、さらなる不確実性が高まった際、現場にはどのような判断基準が求められますか?」や、「マシナリー事業の譲受により、産業用領域でのキャリア機会はどのように広がるとお考えですか?」といった、決算資料に基づく踏み込んだ質問が有効です。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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新規事業に関わる機会が多いのが魅力

新しいプロジェクトに積極的に挑戦できる環境が整っており、特に新規事業に関わる機会が多いのが魅力です。自分の意見を自由に発言できる雰囲気があり、上司や先輩ともフラットに意見交換ができるため、能動的に仕事に取り組むことができます。また、海外の同僚とのコミュニケーションを通じて、異文化に触れる機会が多く、視野が広がります。全体として、成長と挑戦の機会が豊富な職場です。

(20代後半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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評価の透明性に疑問を持つ社員もいる

年功序列の影響が強いため、若手や中途採用者にとっては昇進や昇給のスピードがやや遅く感じられることがあります。また、評価基準が部署や上司によって異なるため、評価の透明性に疑問を持つ社員もいるようです。中途入社の場合、採用時の説明と実際の待遇に大きな差はなく、契約通りの年収が保証されますが、成果を出した際の評価は厳しい一面もあります。

(20代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2025年度 第2四半期 決算説明会資料(2025年11月10日発表)
  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)(2025年11月10日発表)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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