0 編集部が注目した重点ポイント
①子会社譲渡による事業ポートフォリオ再構築を完遂する
2024年10月31日付で、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担っていた子会社アズビルテルスター(ATL)の譲渡を完了しました。この構造的変化により、LA事業の売上規模は一時的に縮小しますが、リソースを成長領域へ集中させる体制が整いました。転職者にとっては、新生アズビルとしてより鮮明になった事業戦略の下でキャリアを築ける好機といえます。
②収益力強化が奏功し通期業績予想を上方修正する
2025年度上期の好調な結果を受け、通期の営業利益計画を当初の430億円から455億円へ上方修正しました。価格転嫁の進展やDXによる業務効率化が利益率の向上に寄与しており、5期連続の営業増益を見込んでいます。盤石な経営基盤の中で、新たな付加価値を創造する専門人材の重要性がかつてないほど高まっています。
③人的資本へ320億円を追加投資し成長を加速させる
中期経営計画(2025~2027年度)の3年間で、人的資本投資を320億円増額する方針を打ち出しました。信託型従業員持株インセンティブ・プランの再導入や、キャリア自律型の育成プログラムの整備など、社員のWell-being実現に向けた具体的施策が進行中です。自ら成長を志向するプロフェッショナルにとって、手厚い支援環境が約束されています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.5
売上高(上期)
1,328億円
前年比 -4.6%
営業利益(上期)
177億円
+21.0%
営業利益率
13.3%
+2.8pp
2025年度上期の連結業績は、子会社アズビルテルスターの譲渡により売上高こそ減少したものの、実質的には増収増益のトレンドを維持しています。特に営業利益は前年同期比21.0%増と大きく伸長しました。これはビルディングオートメーション(BA)事業およびアドバンスオートメーション(AA)事業における収益力強化施策が、人件費や研究開発費の増加を上回る成果を出しているためです。
通期予想に対する営業利益の進捗率は38.9%(177億円 / 455億円)となっています。一見低く見えますが、azbilグループの売上・利益は例年第4四半期に集中する季節性があるため、上期実績は計画を上回る水準であり、進捗状況は「概ね順調」と評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.6
ビルディングオートメーション(BA)事業
事業内容:商業ビルやオフィス向けに、空調制御機器・システムや省エネソリューションを提供。都市再開発や建物の改修需要に応える。
業績推移:売上高645億円(前年比+3.2%)、セグメント利益83億円(前年比+36.3%)。既設建物向けサービスが大きく伸長。
注目ポイント:国内の大型再開発案件が踊り場にあるものの、改修需要は極めて堅調です。特にGX(グリーントランスフォーメーション)ソリューションへの関心が高く、BIM(Building Information Modeling)を活用した高度なエンジニアリング力が求められています。クラウドアプリ開発や他社提携によるデータセンター向け施策など、新技術を現場に実装できる人材の活躍の場が広がっています。
アドバンスオートメーション(AA)事業
事業内容:工場やプラント向けに計測・制御機器を提供。プロセスオートメーション(PA)およびファクトリーオートメーション(FA)を展開。
業績推移:売上高529億円(前年比+2.7%)、セグメント利益90億円(前年比+15.1%)。国内PA市場の保守・改造需要が下支え。
注目ポイント:「シン・オートメーション」の創造を掲げ、MEMSセンサや自動調節弁の自律化技術を強化しています。FA市場の回復は緩やかですが、脱炭素化や人手不足対応といった生産現場の根深い課題に対し、AIやクラウドを融合させた高付加価値な製品投入を加速させています。グローバル展開も加速しており、技術とビジネスの両輪を回せる人材が不可欠です。
ライフオートメーション(LA)事業
事業内容:ガス・水道メーター等のライフライン分野、および住宅用全館空調システムを提供。子会社譲渡の影響を最も受けた領域。
業績推移:売上高160億円(前年比 -38.0%)。※(注:前年同期はATLが連結されていたため単純比較不可)
注目ポイント:ATL譲渡後の再定義が進んでいます。ライフライン分野(アズビル金門)では、デンマークのKamstrup社との協業により、次世代超音波式スマートメーターと漏水検知クラウドサービス(SMaaS)の日本展開を開始しました。従来型の「モノ売り」から、データ利活用によるインフラ課題解決へシフトしており、データサイエンスやクラウド構築のスキルが重用されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期決算説明資料 P.21
azbilグループは、2030年度に売上高4,200億円、営業利益650億円を目指す長期目標に向けた「第2ステージ」に突入しています。今後は「基盤事業」での安定収益を元手に、半導体製造装置やデータセンター、GXといった「成長事業」へのリソース投入を一層加速させます。
特筆すべきは、研究開発費への投資です。2025年度は通期で142億円(前年比+15億円)を計画しており、クラウドやAI、独自のMEMSセンシング技術の強化に充てられます。また、DX推進にも3年間で50億円を追加投資し、社内業務の自律化と顧客提供サービスの高度化を同時に進める方針です。持続可能な社会に「直列」に繋がる貢献を掲げる同社にとって、技術を社会価値に変える情熱を持った人材が、今まさに必要とされています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
アズビルの強みは、独立系として蓄積した膨大な「現場データ」と「計測・制御のコア技術」の融合にあります。単なるIT導入ではなく、現実の社会インフラや工場の生産性を改善することに意義を感じる方にとって、同社は理想的な環境です。また、子会社譲渡を経て事業ポートフォリオの再構築が完了した今、新しい挑戦を歓迎する社風が強まっています。「オートメーションで脱炭素社会を実現したい」という意志を、具体的な戦略(シン・オートメーションやGX等)と紐づけて語るのが有効です。
面接での逆質問例
- 「中期経営計画で掲げられている320億円の人的資本投資において、私の担当領域ではどのようなスキル習得が期待されていますか?」
- 「BA事業のGXソリューション拡大において、他社との共創(アライアンス)を加速させるための最大の課題は何だとお考えですか?」
- 「LA事業のスマート化において、従来のメーター販売からSMaaS(サービス型モデル)への移行は、現場のエンジニアの役割をどう変えていくのでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
若手でも責任ある仕事に挑戦する機会が多い
幅広い業務を経験できる環境で、若手でも責任ある仕事に挑戦する機会が多くあります。全体として、成長を実感できる職場です。
(40代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]若手社員の待遇については改善の余地がある
若手社員の待遇については、改善の余地があると感じます。評価基準が明確でないため、モチベーションの維持が難しいと感じることもあります。
(20代後半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年度(2026年3月期) 第2四半期(中間期)決算説明資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。