ホシザキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホシザキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場およびプレミア市場に上場しています。製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機などフードサービス機器の研究開発、製造、販売、保守サービスをグローバルに展開しています。直近の業績は、国内外の飲食・飲食外市場での積極的な拡販により増収を達成した一方、為替差益の減少等により経常利益は微減となりました。


※本記事は、ホシザキ株式会社の有価証券報告書(第80期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホシザキってどんな会社?


世界トップクラスのシェアを誇る製氷機をはじめ、各種フードサービス機器をグローバルに展開するメーカーです。

(1) 会社概要


1947年2月に星崎電機として設立されました。1965年1月に製氷機の販売を開始し、1981年12月には米国に現地法人を設立して海外進出を本格化させました。1989年12月にホシザキ電機(現ホシザキ)へ社名変更し、2008年12月に上場を果たしました。直近では2025年7月に米国のショーケースメーカーを買収しています。

同社グループは、連結で17,041名、単体で1,157名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位および第3位には創業家関連の財団や資産管理会社が名を連ねており、安定した資本基盤のもとでグローバルな事業展開を支えています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.81%
坂本ドネイション・ファウンデイション 8.76%
公益財団法人ホシザキグリーン財団 8.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は小林靖浩氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
小林靖浩 代表取締役社長 元アルペン。同社入社後、経営企画室長、経理部長等を経て2017年3月より現職。
坂本精志 取締役会長 同社入社後、ネスター代表取締役社長、同社代表取締役社長等を経て2019年6月より現職。
西口史郎 取締役専務執行役員 元松下電器産業役員、元三井住友トラスト・パナソニックファイナンス副社長。2023年3月より現職。
関隆一郎 取締役常務執行役員 元三井物産。同社入社後、執行役員を経て2025年3月より現職。
丹嶌俊一 取締役常務執行役員 同社入社後、本社工場第二製造部長、経営企画部長等を経て2025年3月より現職。
家田康嗣 取締役 元キャタピラージャパン。同社入社後、本社工場長等を経て2019年3月より現職。
水谷正 取締役(常勤監査等委員) 元三井住友信託銀行。同社入社後、総務部長等を経て2022年3月より現職。


社外取締役は、友添雅直(元中部国際空港代表取締役社長)、後藤昌彦(マキタ名誉会長)、柘植里恵(柘植公認会計士事務所所長)、堀西良美(堀西経営法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米州」「欧州」「アジア」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


国内の飲食市場および飲食外市場に向けて、製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機などのフードサービス機器の研究開発、製造、販売、保守サービスを提供しています。
主に直接販売の比率が高く、機器の販売代金や保守・修理サービス料から収益を得ています。ホシザキが開発と製造を担い、国内15の地域別販売会社が地域に密着した販売とアフターサービスを展開しています。

(2) 米州


米国を中心に北中南米市場の顧客に対して、製氷機、冷蔵庫、飲料ディスペンサなどの各種フードサービス機器の開発、製造、販売、保守サービスを提供しています。
代理店を通じた卸販売の比率が高く、機器の販売および保守サービスから収益を得ています。事業の運営はHOSHIZAKI AMERICA,INC.や飲料ディスペンサを手掛けるLANCER CORPORATIONなどが主体となって行っています。

(3) 欧州


欧州およびトルコなどの市場において、製氷機、冷蔵庫などのフードサービス機器の開発、製造、販売、保守サービスを展開しています。
代理店を通じた販売を中心に、機器の提供と保守サービスによる収益基盤を構築しています。事業運営はHOSHIZAKI EUROPE LIMITEDのほか、業務用製氷機を展開するBrema Group S.p.A.などが担っています。

(4) アジア


インドや中国、東南アジア各国において、冷蔵庫や製氷機などのフードサービス機器の開発、製造、販売、保守サービスを提供しています。
成長市場であるアジア地域において、機器販売およびサービスによる収益を獲得しています。インドのWestern Refrigeration Private Limitedや中国の星崎商厨智造(蘇州)などが各地域の事業を牽引しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して右肩上がりで成長を続けています。海外でのM&Aや飲食外市場の積極的な開拓が奏功し、事業規模の拡大が進んでいます。一方、経常利益は着実に増加していましたが、直近では為替の影響や投資費用の増加などにより微減に転じています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 2,744億円 3,213億円 3,736億円 4,455億円 4,859億円
経常利益 312億円 372億円 503億円 574億円 563億円
利益率(%) 11.4% 11.6% 13.5% 12.9% 11.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 126億円 178億円 127億円 135億円 254億円

(2) 損益計算書


売上高の順調な伸びに伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。また、人件費などのコストアップやM&A関連の費用増加により、営業利益の伸びは売上高の伸びを下回り、営業利益率はやや低下傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 4,455億円 4,859億円
売上総利益 1,664億円 1,814億円
売上総利益率(%) 37.4% 37.3%
営業利益 511億円 519億円
営業利益率(%) 11.5% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が406億円(構成比31.3%)、賞与・賞与引当金繰入額が122億円(同9.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、すべての地域で増収を達成しています。特に米州やアジア地域での売上拡大が大きく全体を牽引しています。日本国内でも自然冷媒を採用した製品の拡販や飲食外市場へのアプローチが奏功し、堅調な成長を維持しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
日本 2,175億円 2,267億円
米州 1,077億円 1,212億円
欧州 530億円 576億円
アジア 673億円 803億円
連結(合計) 4,455億円 4,859億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ホシザキのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が堅調であったものの、法人税等の支払いや退職給付信託の設定等により、前期と比較して収入額が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得や有価証券等の取得により、支出額が大きく増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いにより支出となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 473億円 305億円
投資CF -374億円 -759億円
財務CF -402億円 -150億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「多様化する『食』に対するニーズの変化に対応し、お客様のみならず社会に貢献できる『進化する企業』を目指す」ことを掲げています。独自の技術に基づくオリジナル製品を創造し、より快適で効率的な食環境への新たな提案と高品質なサービスを提供することで、社会と社員から信頼される会社づくりに努めています。

(2) 企業文化


行動指針である「夢を持とう」から始まる「ホシザキ・イズム」を社員一人ひとりが意識し、行動することを重視しています。「勤勉実直」という言葉が表すように、与えられた課題に対して誠実かつ確実な答えを導き出す風土が根付いており、多様な価値観を共有し互いに尊重しあう活力あふれる職場環境の構築を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2022年度を初年度とする5ヵ年経営ビジョンを策定し、経済価値および社会・環境価値の継続的な向上を目指しています。2026年度の連結ベースでの数値目標として以下を掲げています。

* 売上高 4,500億円
* 売上高営業利益率 14%以上(M&Aのれん償却前)
* ROE 12%以上

(4) 成長戦略と重点施策


持続可能な事業モデルへの変革を推進し、多様化する顧客ニーズや社会課題の解決に向けて積極的な取り組みを強化しています。国内では既存飲食市場を深掘りしつつ飲食外市場の開拓を加速し、海外ではM&Aを活用しながら伸び行く市場への先行進出を図っています。また、自然冷媒採用製品の拡充など環境対応も推進しています。

* 飲食外売上高 1,000億円
* 自然冷媒採用製品売上高 260億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長を実現するための最重要課題として「社員の働きがいの向上」を掲げ、「働きやすさ」と「仕事のやりがい」を両立する環境整備を行っています。人事ポリシーおよび中期人材戦略を策定し、人事制度改革、人材育成・開発、意識・風土改革の3軸を一体的に進め、社員が最大限の力を発揮できる環境構築を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 44.4歳 17.1年 7,887,459円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.5%
男性育児休業取得率 93.3%
男女賃金差異(全労働者) 69.8%
男女賃金差異(正規) 70.4%
男女賃金差異(非正規) 60.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役職者比率(9.2%)、新卒社員に占める女性比率(26.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動に関連するリスク


冷媒規制の強化や炭素税の導入に伴うコスト増加が想定されます。同社は、省エネ型設備の導入や太陽光発電設備の設置、自然冷媒を採用した製品のラインナップ拡充などを通じて、環境負荷低減に取り組むことでリスクの軽減と新たなビジネス機会の創出を図っています。

(2) 製品の品質低下や不具合発生


市場クレーム等により想定を超える品質問題が発生した場合、製品の点検・交換による費用負担や企業イメージの低下を招く恐れがあります。これに対し、品質保証部が中心となってグローバルな設計・製造品質支援を強化するとともに、万一の事態に備えてPL保険を付保するなどの対策を講じています。

(3) 原材料・部品の調達コスト高騰


市況の変動や地政学的リスクによる世界的サプライチェーンの混乱等により、部材の調達価格が高騰する可能性があります。同社は、代替可能材料の積極的な採用や調達先の複線化を進めるとともに、製造原価の低減や生産性向上に努め、利益体質の強化を図っています。

(4) 情報セキュリティインシデントの発生


サイバー攻撃等による不正アクセスや情報漏洩が発生した場合、事業継続に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。同社は、入口対策や出口対策を含む技術的なセキュリティ強化に加え、従業員への定期的な訓練を実施し、グローバルでのサイバー保険を付保することでリスクの最小化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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