すかいらーくホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

すかいらーくホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するすかいらーくホールディングスは、ガストやバーミヤン、しゃぶ葉など和洋中を中心とした各種テーブルレストランの運営等のレストラン事業を主力としています。直近の業績は、消費の二極化に対応した施策やオペレーション改革が奏功し、前年比で増収増益を達成し成長を続けています。


※本記事は、株式会社すかいらーくホールディングスの有価証券報告書(第15期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. すかいらーくホールディングスってどんな会社?


和洋中を中心とした各種テーブルレストランを展開する外食産業のリーディングカンパニーです。

(1) 会社概要


1962年にことぶき食品有限会社として設立され、1970年にファミリーレストラン1号店を出店しました。1984年の東証一部上場後、2006年にMBOで上場廃止となりましたが、2014年に再上場しました。2018年に現在のすかいらーくホールディングスへ商号変更し、2024年に資さんを子会社化しています。

現在の同社グループは、連結従業員数6,744名、単体従業員数572名の体制で事業を展開しています。筆頭株主及び第2位株主は資産管理業務を行う信託銀行であり、第3位には事業会社であるアサヒビールが名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.70%
日本カストディ銀行(信託口) 2.08%
アサヒビール 1.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役会長CEOは谷真氏が務めています。社外取締役比率は50.0%(取締役12名中6名)です。

氏名 役職 主な経歴
谷真 代表取締役会長CEO 1977年旧すかいらーく入社。ニラックス代表取締役社長、旧すかいらーく社長等を経て、2018年3月代表取締役会長兼社長に就任。2023年3月より現職。
金谷実 代表取締役社長COO 1981年野村證券入社。野村プリンシパル・ファイナンス執行役員等を経て、2008年旧すかいらーく専務取締役。2023年3月代表取締役社長、2025年3月より現職。
北義昭 常務取締役CFO財務本部マネージングディレクター 1986年三和銀行入行。UBS証券マネージングディレクター、日商エレクトロニクス取締役等を経て、2025年4月より現職。
平野曉 取締役IT本部マネージングディレクター 1994年中央監査法人入社。アクセンチュア入社等を経て、2015年同社入社。IT本部マネージングディレクター等を経て、2026年1月より現職。
中島尚志 取締役すかいらーくレストランツ代表取締役社長 1995年バーミヤン入社。すかいらーくレストランツ執行役員等を経て、2025年3月より現職。
鈴木誠 取締役常勤監査等委員長 1979年旧すかいらーく入社。社長室長、常勤監査役等を経て、2023年3月より現職。


社外取締役は、田原文夫(元水産庁長官)、佐野綾子(あや総合法律事務所代表)、井村公彦(元住友商事代表取締役会長)、青柳立野(ハートワース・パートナーズ代表取締役)、奥原玲子(光和総合法律事務所パートナー弁護士)、岡田貴子(岡田貴子公認会計士・税理士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レストラン事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) レストラン事業


ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン等のブランドを展開し、和洋中を中心とした多様なジャンルの料理を提供するテーブルサービスレストラン事業です。国内だけでなく、台湾やマレーシア、米国など海外でも店舗を展開し、ファミリー層からシニア層、学生まで幅広い顧客層にサービスを提供しています。

収益は、レストラン店舗に来店する顧客からの飲食代金、およびデリバリーやテイクアウトの販売代金から得ています。運営は主にすかいらーくレストランツやニラックス、トマトアンドアソシエイツ、資さんなどのグループ子会社各社が行っています。

(2) その他事業


商業施設内や駅構内等でのケーキや惣菜の販売を行う事業、マーチャンダイジングセンターから店舗への食材や一般品の配送を担う運送事業、およびグループ会社の店舗清掃や修繕、保守、施設管理、リネンサプライなどの支援事業を展開しています。

収益は、店舗での商品販売代金のほか、グループ会社からの業務受託などにより得ています。運営は、フロジャポンが食品販売を、ジャパンカーゴが運送事業を、すかいらーくD&Mが店舗の清掃や保守管理などのグループ会社支援事業をそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は右肩上がりで順調に拡大しています。税引前利益については、2022年12月期に原材料価格や光熱費の高騰などの影響により一時的に赤字を計上したものの、その後の各種施策や価格改定、オペレーション改善が奏功し、翌期以降は黒字に回復しており、直近では利益率も向上し増益傾向が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 2,646億円 3,037億円 3,548億円 4,011億円 4,578億円
税引前利益 143億円 -82億円 87億円 215億円 263億円
利益率(%) 5.4% -2.7% 2.4% 5.4% 5.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 87億円 -64億円 48億円 140億円 167億円

(2) 損益計算書


売上収益の順調な拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から増加しています。原材料費の高騰などが影響し売上総利益率は微減していますが、生産性の向上等により販管費の増加をコントロールした結果、営業利益率は改善しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 4,011億円 4,578億円
売上総利益 2,702億円 3,051億円
売上総利益率(%) 67.4% 66.7%
営業利益 242億円 300億円
営業利益率(%) 6.0% 6.5%


販売費及び一般管理費(2,721億円)のうち、人件費が1,454億円(構成比53.4%)、減価償却費及び償却費が480億円(同17.6%)、水道光熱費が203億円(同7.5%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるレストラン事業が同社の収益の大部分を牽引しており、当期も前年比で大きく売上を伸ばしています。その他事業も食品の販売増やグループ内支援の継続により堅調に推移しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
レストラン事業 3,911億円 4,474億円
その他 100億円 104億円
連結(合計) 4,011億円 4,578億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 679億円 745億円
投資CF -392億円 -341億円
財務CF -364億円 -255億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「価値ある豊かさの創造」を掲げています。また、パーパス(存在意義)として「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する」と定め、時代に即した「お値打ち」と、店舗で楽しい時間を過ごしてもらうという真の豊かさを他に先駆けて創り出していくことを目指しています。

(2) 企業文化


ミッションとして「ひとりでも多くのお客様に、安くておいしい料理を、気持ちのよいサービスで、快適な空間で味わっていただく」ことを掲げています。また、バリューとして「お客様の笑顔」「現場主義」「職場環境・働きがい」「知識・技術の向上」「目標達成」の5つを重視し、明るい職場づくりと挑戦を大切にする文化があります。

(3) 経営計画・目標


キャッシュ・フロー経営を重要視し、成長のための投資、株主還元、有利子負債返済へのバランス良い配分により株主リターン最大化を目指しています。財務目標として、調整後当期利益に対して約30%の還元を配当政策の基本方針と定めており、事業利益やEBITDA等を重要な経営指標として位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な売上成長と生産性向上のため、「既存店成長」「国内新規出店」「海外展開」「M&A」「店舗中心経営」の5つを並行して推進しています。

* 2026年度は国内50店舗、海外20店舗の出店を計画
* 資さんうどんなど商圏特性に合わせた業態転換と店舗改装
* ムスリム向けブランドのM&Aによる事業規模拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人財の成長こそが最大の成長戦略と考え、すべての従業員の知識やスキル向上と教育機会の最大化に向けた投資を積極的に行っています。多様な人材が活躍できるよう、女性やシニア、外国人雇用の推進に加え、配膳ロボットやセルフレジなどのDX推進による業務効率化を図り、働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 47.5歳 19.6年 7,561,508円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 106.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社女性管理職比率(15.2%)、平均月間残業時間(31時間)、有給休暇取得率(68%)、喫煙率(17%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格の高騰や調達難リスク


国内外のインフレ、異常気象、物流上の障害等により、食材や間接材の調達コストが上昇するリスクがあります。同社は世界各地から食材を仕入れており、急激な為替変動や供給途絶が業績に影響を及ぼす可能性があるため、複数サプライヤーからの調達や代替ルートの確保によりリスク低減を図っています。

(2) 外食業界における人材確保の困難化


店舗や工場、配送などで多くの従業員を雇用している同社にとって、少子高齢化や賃金上昇による人材不足は大きなリスクです。必要な従業員を確保できなければ、人件費の増加や店舗の営業停止に繋がる恐れがあるため、従業員ポイント制度の導入や配膳ロボットの活用などDXによる生産性向上に取り組んでいます。

(3) 重大な食品事故による信用低下


レストラン事業やデリバリー・テイクアウトにおいて、集団食中毒などの重大な食品事故が発生した場合、ブランドイメージの低下や売上の減少を招くリスクがあります。同社はセントラルキッチンから店舗に至るサプライチェーン全体でISO22000を取得し、厳格な衛生管理体制を構築して事故防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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