すかいらーくホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

すかいらーくホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の外食大手です。「ガスト」「バーミヤン」「しゃぶ葉」など多彩なブランドでレストラン事業を展開しています。2024年12月期は、既存店の回復や価格改定効果に加え、海外事業の拡大も寄与し、売上収益4,011億円、営業利益242億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社すかいらーくホールディングス の有価証券報告書(第14期、自 2024年1月1日 至 2024年12月31日、2025年3月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. すかいらーくホールディングスってどんな会社?


ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉など、和洋中をはじめとする多様なブランドを国内外で展開するテーブルサービスレストラン企業です。

(1) 会社概要


1962年に前身のことぶき食品が設立され、1970年にファミリーレストラン1号店を出店しました。2006年のMBOによる非上場化を経て、2014年に東京証券取引所第一部に再上場を果たしました。2016年には持株会社体制へ移行し、現在はグループ経営の高度化を推進しています。直近では2024年に「資さんうどん」を展開する株式会社資さんを子会社化しました。

連結従業員数は6,150名、単体では566名が在籍しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第3位には資本業務提携関係にあるアサヒビールが名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.59%
日本カストディ銀行(信託口) 1.96%
アサヒビール 1.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表者は代表取締役会長の谷真氏と、代表取締役社長の金谷実氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
谷 真 代表取締役会長 1977年入社。ニラックス社長等を経て2008年旧すかいらーく社長。2014年現法人社長、2018年より会長兼社長。2023年より現職。
金谷 実 代表取締役社長 野村證券出身。2008年旧すかいらーく専務。人事・財務等の要職を経て2023年社長就任。2025年より現職。
平野 曉 取締役マーケティング本部マネージングディレクター アクセンチュア等を経て2015年入社。IT本部長等を歴任し、2022年よりマーケティング本部長。2025年より現職。
中島 尚志 取締役株式会社すかいらーくレストランツ代表取締役社長 1995年バーミヤン入社。事業本部長、営業本部長等を経て2022年すかいらーくレストランツ社長。2025年より現職。


社外取締役は、田原文夫(元水産庁長官)、佐野綾子(弁護士)、井村公彦(元住友商事代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「レストラン事業」および「その他」事業を展開しています。

レストラン事業


国内および海外において、「ガスト」「バーミヤン」「しゃぶ葉」「ジョナサン」「夢庵」などのファミリーレストランやブッフェレストランを展開しています。一般消費者を対象に、店舗での飲食サービスのほか、デリバリーやテイクアウトサービスも提供しています。

収益は、来店客やデリバリー利用者からの飲食代金が主な源泉です。国内の運営は主に株式会社すかいらーくレストランツ、ニラックス株式会社、株式会社トマトアンドアソシエイツなどが担い、2024年より株式会社資さんも加わりました。海外では台湾、マレーシア、米国において現地法人が運営を行っています。

その他


レストラン事業以外の関連事業として、食材等の配送、店舗清掃・保守・施設管理、食品の販売などを行っています。

グループ会社への支援事業が中心ですが、外部顧客向けの収益も含まれます。運営は、株式会社フロジャポン(洋菓子・惣菜販売)、株式会社ジャパンカーゴ(運送事業)、株式会社すかいらーくD&M(店舗清掃・保守等)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2020年12月期から2024年12月期までの5期間の推移を見ると、売上収益はコロナ禍の影響を受けた2020年、2021年を経て、その後は右肩上がりで回復・成長しています。利益面でも、2020年は大きな赤字でしたが、コスト構造改革や売上の回復により黒字化し、直近の2024年12月期には利益率も5%台まで改善しています。

項目 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
売上収益 2,884億円 2,646億円 3,037億円 3,548億円 4,011億円
税引前利益 -264億円 143億円 -82億円 87億円 215億円
利益率(%) -9.2% 5.4% -2.7% 2.4% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -172億円 87億円 -64億円 48億円 140億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を見ると、売上収益の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しています。特に営業利益率は3.3%から6.0%へと改善しており、増収効果に加えて収益性の向上が見られます。

項目 2023年12月期 2024年12月期
売上高 3,548億円 4,011億円
売上総利益 2,399億円 2,702億円
売上総利益率(%) 67.6% 67.4%
営業利益 117億円 242億円
営業利益率(%) 3.3% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が1,307億円(構成比53%)、その他経費が523億円(同21%)を占めています。売上原価においては、材料費や労務費が含まれますが、同社は製造・物流・販売の垂直統合モデルを採用しており、効率的なコスト管理を行っています。

(3) セグメント収益


主力のレストラン事業が売上・利益ともに全体の大半を占めており、同事業の増収増益が連結業績を牽引しています。その他事業も黒字を維持しています。

区分 売上(2023年12月期) 売上(2024年12月期) 利益(2023年12月期) 利益(2024年12月期) 利益率
レストラン事業 3,450億円 3,911億円 - - -
その他 99億円 100億円 - - -
連結(合計) 3,548億円 4,011億円 117億円 242億円 6.0%


※セグメント利益の開示がないため、売上収益のみ表示しています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で稼いだ資金(プラス)をもとに、投資活動(マイナス)を行い、借入金の返済(マイナス)を進めている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。営業キャッシュ・フローは安定してプラスを維持しており、成長投資と財務体質の改善をバランスよく進めています。

項目 2023年12月期 2024年12月期
営業CF 707億円 679億円
投資CF -149億円 -392億円
財務CF -445億円 -364億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均(9.4%)をやや下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.7%で市場平均(非製造業平均24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として「価値ある豊かさの創造」を掲げています。パーパス(存在意義)を「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する」と定め、ひとりでも多くのお客様に、安くておいしい料理を、気持ちのよいサービスと快適な空間で提供するというミッションの実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「すべてはお客様の笑顔のために」という精神のもと、5つのバリューを掲げています。「お客様」の笑顔をやりがいとし、「現場主義」で現地・現物・現実を重視します。また、働く仲間と協力する「職場環境・働きがい」、日々の「知識・技術の向上」、そしてスピード感を持って挑戦する「目標達成」を行動の指針としています。

(3) 経営計画・目標


2025年戦略ビジョンとして「強固な基盤を構築し、一人ひとりの挑戦で地域一番店となり、連続成長を達成する」ことを掲げています。また、2030年長期ビジョンでは「一人ひとりの豊かな生活の実現」「豊かな社会づくりへの貢献」「環境への配慮」を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、①既存店成長(業態転換・リモデル)、②国内新規出店、③海外展開、④M&Aの4つを重点施策としています。特に、地域特性に合わせたブランド転換や、DX活用による店舗生産性の向上、海外(台湾、マレーシア、米国)での出店拡大を推進しています。また、M&Aによる事業規模拡大も目指しています。

* 2025年度の新規出店計画:約65~75店舗
* 2025年度の業態転換計画:約60~70店舗
* 2025年度の店舗改装計画:約230~240店舗

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最大の成長戦略と位置づけ、多様な人材の確保と活躍推進に取り組んでいます。女性、シニア、外国人など多様な属性の従業員が働きやすい環境整備や、DX活用による業務効率化を進めています。また、従業員の知識・スキル向上を目的とした研修制度の充実や、ワークエンゲージメントの向上にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均(763万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年12月期 47.7歳 20.3年 7,342,050円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.3%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.3%
男女賃金差異(正規) 72.4%
男女賃金差異(非正規) 109.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(63%)、喫煙率(19%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内市場環境の変化及び他社との競合


外食市場において、他のレストランやファストフードに加え、中食・内食とも競合する可能性があります。価格、品質、立地、サービス等で競合他社に対し優位性を保てない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、デリバリー市場の拡大に伴う競争激化もリスク要因となり得ます。

(2) 消費者の嗜好の変化


飲食に関する消費者の嗜好や流行の変化は売上に大きく影響します。特に主力ブランドであるガストのコンセプトが支持を得られない場合、業績への影響は大きくなります。ニーズの変化を正確に把握し、メニュー開発やブランド転換等の施策を講じる必要があります。

(3) 食材・間接材の調達困難・価格高騰


原材料価格の高騰や調達難は、原価率の上昇を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。要因としては、インフレ、天候不順、疫病、地政学的リスク、為替変動などが挙げられます。特に海外からの調達においては為替リスクの影響を受けやすくなっています。

(4) 労務関連および人材確保


多くの従業員を抱える同社において、最低賃金の引き上げや労働関連法規制の変更は人件費の高騰につながる可能性があります。また、労働力不足により必要な人員を確保できない場合、営業機会の損失や採用コストの増加が生じ、事業運営に支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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