アルトナー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アルトナー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、機械・電気電子・ソフトウエア分野に特化した技術者派遣および請負・受託事業を展開しています。第63期の連結売上高は111億円(前期比10.0%増)、当期純利益は13億円(同19.8%増)となり、旺盛な技術者需要を背景に増収増益を達成しました。


※本記事は、アルトナー の有価証券報告書(第63期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アルトナーってどんな会社?


同社は、設計開発技術者の派遣および請負・受託を主力事業とし、高度な専門技術教育によるエンジニア育成に強みを持つ企業です。

(1) 会社概要


1962年、設計製作および設計製図を主業務とする大阪技術センターとして設立されました。1998年に現在の商号へ変更し、2007年にJASDAQ証券取引所へ上場しました。その後、2017年に東証二部、2018年に東証一部へ指定替えを行い、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しています。

同社の従業員数(単体)は1,397名です。筆頭株主は関口興業社で、第2位はアルトナー従業員持株会、第3位は公的な投資育成会社である大阪中小企業投資育成となっています。

氏名 持株比率
関口興業社 20.00%
アルトナー従業員持株会 7.55%
大阪中小企業投資育成 4.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は関口 相三氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
関口 相三 代表取締役社長経営戦略本部長兼エンジニア事業本部長 1983年メイテック(現メイテックグループホールディングス)入社。1988年同社入社。取締役副社長等を経て2002年より現職。
張替 朋則 常務取締役管理本部長兼エンジニアエージェンシー事業本部長 1978年東洋紡インテリア入社。1982年同社入社。関東事業部長、総務部長等を歴任し、2025年4月より現職。
奥坂 一也 取締役能力開発本部長 1978年同社入社。人材開発部長、事業統括本部長、ヒューマンリソース事業本部長等を歴任し、2025年3月より現職。


社外取締役は、野村龍一郎(元みずほ不動産販売専務執行役員)、寺村泰彦(元マブチ専務取締役)、森井眞一郎(元タカラスタンダード常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「技術者派遣事業」および「請負・受託事業」等を展開しています。

(1) 技術者派遣事業


機械、電気・電子、ソフトウェア開発などの設計技術者を、自動車や半導体製造装置などのメーカー等へ派遣しています。顧客企業は主に輸送用機器、電気機器、精密機器メーカーなどであり、設計開発部門を技術面から支援します。

収益は、顧客企業から受け取る派遣料金(技術者単価×稼働時間)から成ります。運営はアルトナーが行っています。

(2) 請負・受託事業


顧客企業の事業所内または同社の自社拠点(受託開発センター等)において、設計開発業務を請け負います。技術者派遣とは異なり、同社が業務遂行の指示や労務管理の責任を負い、成果物を納品します。

収益は、業務の完了や成果物の納品に対して顧客企業から支払われる請負代金です。運営はアルトナーが行っています。

(3) その他


技術者派遣および請負・受託以外の事業が含まれますが、全売上に占める割合は極めて限定的です。

収益は、当該事業に関連する対価として顧客から受領します。運営はアルトナーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けています。経常利益および当期純利益についても、売上の伸長に伴い増加傾向にあり、利益率も高水準で推移しています。特に直近では2桁台の増収増益を達成しており、安定した成長基調にあることがわかります。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 72億円 81億円 92億円 101億円 111億円
経常利益 9億円 10億円 12億円 15億円 18億円
利益率(%) 12.7% 12.7% 13.0% 15.2% 16.4%
当期純利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 9億円 11億円 13億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。売上総利益率は前年の35.0%から37.0%へ上昇しており、収益性が向上しています。営業利益率も改善傾向にあり、増収効果が利益拡大に寄与している構造が見て取れます。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 101億円 111億円
売上総利益 35億円 41億円
売上総利益率(%) 35.0% 37.0%
営業利益 15億円 18億円
営業利益率(%) 15.1% 16.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8億円(構成比33%)、支払手数料が3億円(同13%)を占めています。売上原価においては、労務費が67億円(売上原価比95%)と大半を占めており、労働集約的な事業構造となっています。

(3) セグメント収益


技術者派遣事業、請負・受託事業ともに売上が伸長しています。特に請負・受託事業は積極的な営業展開や派遣からの契約変更により大幅な増収となりました。技術者派遣事業も稼働人員の増加や技術者単価の上昇により堅調に推移しています。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期)
技術者派遣事業 91億円 98億円
請負・受託事業 9億円 13億円
その他 0.5億円 0.4億円
合計 101億円 111億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や配当・借入返済に充てている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 11億円 12億円
投資CF -0.1億円 -0.5億円
財務CF -8億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は28.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「エンジニアサポートカンパニー」という経営理念を掲げています。これは、顧客企業の持続的な成長に貢献するテクニカル・パートナーとして活動するとともに、エンジニアの成長と自己実現をサポートし、技術者の夢を支える存在であり続けることを意味しています。

(2) 企業文化


同社は「人づくり」を重視する文化を持っています。独自の「T字型スペシャリスト教育システム」などを通じて、専門知識・業務スキル(ヨコ軸)と教養・コミュニケーション能力(タテ軸)を兼ね備えた人材の育成に注力しています。また、「全従業員の幸福」を掲げ、従業員がやりがいを持って働ける職場環境の整備にも努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は「Make Value for 2025 to 2029」と題する中期経営計画を策定し、持続的成長および次世代成長のための基盤構築を進めています。2030年1月期を最終年度とする長期的な視点での目標設定を行っており、技術者数などのKPI向上を目指しています。

* 期末技術者数:2,100名(2030年1月期目標)

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向け、カーボンニュートラル対応(EV、HV、FCV等)や半導体関連を戦略重点マーケットと位置づけ、ハイエンド領域の人員拡大を図ります。また、請負・受託事業へのシフトや、シニア・女性・外国人労働者などの多様な人材活用、M&Aやアライアンスによる新たな事業機会の創出を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社はエンジニアを「日本の共有財産」と捉え、その成長と自己実現をサポートするプラットフォームとしての役割を重視しています。採用では多種多様な人材の確保、教育では独自の研修システムによるスキルアップ、営業では適材適所の配属、サポートでは定期的な面談による定着率向上というサイクルを回し、質の高い人材の育成と組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 30.6歳 6.7年 4,635,841円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 46.7%
男女賃金差異(全労働者) 89.5%
男女賃金差異(正規雇用) 96.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 56.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、人財育成に関する研修の受講率(85.0%)、離職率(技術系)(9.7%)、採用コスト(技術系)(4.4億円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製造業の業績動向について


同社の主要顧客は製造業であり、特に自動車関連メーカーへの売上構成比率が高くなっています。主要顧客が景気後退等の影響を受けて設備投資や研究開発費を削減した場合、外部技術者の活用が減少し、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 同業他社との競合について


技術者派遣業界において、市場の縮小や新規参入による競争激化が進み、価格競争に陥った場合、同社の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 教育研修の効果について


同社は研修を通じた技術者のスキルアップに注力していますが、研修効果が想定通りに表れず顧客評価や単価上昇につながらない場合、あるいは顧客の要望を満たせずクレームが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 理工系学生の確保について


同社は理工系出身の学生を重要な経営資源としていますが、少子化等の影響で学生人口が減少し、優秀な新卒学生の確保が著しく困難になった場合、将来的な業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

アルトナーの転職研究 2026年1月期決算に見るキャリア機会

アルトナーの2026年1月期決算は、初の連結決算移行とIT企業のM&A実施により事業規模を拡大。エンジニア稼働率98.1%と高い需要を維持する中、キャリア採用枠を120名へ大幅拡充しています。「なぜ今アルトナーなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。