※本記事は、ローツェ株式会社 の有価証券報告書(第40期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ローツェってどんな会社?
半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造工程で不可欠な「搬送装置」を開発・製造するグローバルニッチトップ企業です。
■(1) 会社概要
1985年に広島県福山市で設立され、モータ制御機器の開発を開始しました。翌年にはクリーンロボットの製造・販売を始め、1996年にはベトナムや米国などに子会社を設立しグローバル展開を加速させました。2016年に東証一部へ指定替えとなり、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。直近では2024年に米国のNanoverse Technologies, Ltd.を連結子会社化するなど、技術力強化に向けた投資を続けています。
2025年2月28日時点で、連結従業員数は4,402名、単体従業員数は244名です。筆頭株主は創業者の崎谷文雄氏で、第2位および第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 崎谷 文雄 | 35.12% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.26% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は藤代祥之氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤代 祥之 | 代表取締役社長 | 2006年入社。ソフトウエアソリューション部長、専務取締役を経て2015年より現職。ベトナム子会社取締役などを兼任。 |
| 中村 秀春 | 取締役 | 1989年入社。半導体装置部製造課長などを経て1997年より現職。ベトナム子会社代表取締役会長を兼任。 |
| 早﨑 克志 | 取締役 | 1998年入社。海外事業部長を経て2003年より現職。執行役員海外事業本部長などを歴任。 |
| 崎谷 文雄 | 取締役相談役 | 1985年同社設立、代表取締役社長に就任。代表取締役会長を経て2017年より現職。 |
社外取締役は、羽森寛(オー・エイチ・ティー社長)、森下秀法(アドテック プラズマ テクノロジー社長)、青砥なほみ(元マイクロンメモリジャパン シニアディレクター)です。
2. 事業内容
同社グループは、「半導体・FPD関連装置事業」および「ライフサイエンス事業」を展開しています。
■(1) 半導体・FPD関連装置事業
半導体製造工程の前工程で使用されるウエハ搬送ロボットや、これらを組み込んだEFEM、ウエハソータなどの無塵搬送システムを提供しています。また、テレビやスマートフォン等のディスプレイ製造工程で使用される大型ガラス基板搬送装置やガラスカッティングマシンも手掛けています。主な顧客は半導体デバイスメーカーや製造装置メーカーです。
収益は、顧客である装置メーカー等への製品販売およびメンテナンス等から得ています。運営は、日本の同社およびRORZE TECHNOLOGY,INC.(台湾)、RORZE SYSTEMS CORPORATION(韓国)、RORZE AUTOMATION,INC.(米国)、RORZE ROBOTECH CO.,LTD.(ベトナム)などの海外子会社が地域ごとの開発・製造・販売・サービスを担っています。
■(2) ライフサイエンス事業
創薬研究や再生医療分野向けに、細胞培養処理を自動化するインキュベータ(細胞培養装置)や関連ソフトウェアを開発・提供しています。研究者が手作業で行っていた工程を自動化することで、研究の効率化や再現性の向上に貢献しています。
収益は、研究機関や製薬会社等への装置販売から得ています。運営は主に子会社のローツェライフサイエンス株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は508億円から1244億円へと約2.4倍に拡大しており、力強い成長トレンドにあります。経常利益も85億円から355億円へと大幅に増加しました。高い利益率を維持しながら規模を拡大しており、特に当期は売上高・利益ともに過去最高水準を更新しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 508億円 | 670億円 | 945億円 | 932億円 | 1,244億円 |
| 経常利益 | 85億円 | 178億円 | 303億円 | 271億円 | 355億円 |
| 利益率(%) | 16.7% | 26.6% | 32.1% | 29.0% | 28.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 31億円 | 92億円 | 97億円 | 132億円 | 147億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しています。売上総利益率は約40%と高く、営業利益率も25%を超える高水準を維持しています。前期と比較しても、収益性を保ちながら事業規模を拡大させていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 932億円 | 1,244億円 |
| 売上総利益 | 353億円 | 496億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.8% | 39.9% |
| 営業利益 | 241億円 | 320億円 |
| 営業利益率(%) | 25.9% | 25.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が36億円(構成比20%)、支払手数料が18億円(同10%)を占めています。また、研究開発費は12億円(同7%)となっています。
■(3) セグメント収益
半導体・FPD関連装置事業が全社売上の大半を占めており、当期は前期比で大幅な増収増益となりました。一方、ライフサイエンス事業は売上規模が小さく、当期は減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 半導体・FPD関連装置事業 | 920億円 | 1,233億円 | 246億円 | 330億円 | 26.7% |
| ライフサイエンス事業 | 12億円 | 11億円 | 1億円 | 1億円 | 11.4% |
| 調整額 | -0億円 | -1億円 | -6億円 | -11億円 | - |
| 連結(合計) | 932億円 | 1,244億円 | 241億円 | 320億円 | 25.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って借入金を返済しつつ(財務CFマイナス)、設備投資等を行っている(投資CFマイナス)ことから「健全型」と言えます。営業CFは前期比で倍増しており、資金創出力が高まっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 155億円 | 368億円 |
| 投資CF | -59億円 | -65億円 |
| 財務CF | -8億円 | -92億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.8%でプライム市場(製造業)平均を上回っています。高い収益性と安全性を兼ね備えています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「世の中にないものをつくる」を合言葉に、独自の技術と経験をもとに最先端技術への貢献を目指しています。半導体・FPD業界において、他社にはない技術で社会の発展に寄与することを基本的な方針としています。
■(2) 企業文化
創業より培ってきた技術力とアイデアをベースに、「Co-innovation(共創という独創)」という発想を重視しています。グローバルに展開する営業・サービスネットワークを通じて顧客とのコミュニケーションを大切にし、顧客に寄り添いながら最高のソリューションを提供することを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
企業価値の向上を目的とし、売上高及び経常利益の成長を目標としています。また、中期的には資本・資産効率をより意識した経営を進めていく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
半導体業界を中心として強固な成長基盤を構築するため、「技術力強化」「グローバルサポート体制の強化」「生産体制の強化」の3つを重点項目としています。特許技術による差別化や提案力の向上、世界各地の顧客へのきめ細やかなサポート、そしてベトナム・韓国子会社を中心とした効率的な生産体制の構築と自動化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様性を尊重し、個性を最大限発揮することで新たな価値観を創出することを目指しています。キャリアアップの機会を公平に提供し、柔軟なキャリアパスを描ける仕組みを構築する方針です。また、女性管理職を増やす企業風土の醸成やハラスメント研修の実施など、働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 43.8歳 | 16.1年 | 10,190,684円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 35.1% |
※正規雇用の男女賃金差異は、有報の表において管理職とそれ以外に区分して記載されており、正規雇用全体の合計値がないため「-」としています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 半導体及びFPD業界における設備投資の影響
同社製品はデバイスメーカー等の設備投資計画に従って市場投入されるため、業界の需給バランスや技術動向により顧客の投資計画が変動すると、受注や業績に影響を与える可能性があります。これに対し、顧客動向の把握や柔軟な生産体制の整備により対応しています。
■(2) 事業展開エリアによる影響
グローバルに事業展開しているため、各国の地政学的対立や法規制の変更、米国の関税政策などが業績に影響を及ぼす可能性があります。国際情勢を注視し、外部専門家とも連携しながら適切な対応に努めています。
■(3) 材料調達の変動による影響
アルミ等の素材や加工部品など多岐にわたる部材を調達しており、市場変動や価格高騰により調達遅延やコスト増が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。サプライヤーとの関係強化や適正な在庫確保によりリスク低減を図っています。
■(4) 為替相場の変動による影響
海外子会社との取引や顧客への販売において外貨建て取引を行っているため、為替レートの変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、必要に応じて為替予約を行うことで変動リスクの軽減に努めています。



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