マックスバリュ東海 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マックスバリュ東海 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マックスバリュ東海は東証スタンダード上場の食品スーパーマーケットチェーンです。イオングループにおける東海エリアの中核企業として、静岡県を中心に7県で店舗を展開しています。2025年2月期の連結業績は、営業収益3,774億円、経常利益141億円で、前期比で増収増益を達成しました。


※本記事は、マックスバリュ東海株式会社 の有価証券報告書(第63期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マックスバリュ東海ってどんな会社?


イオングループに属し、静岡県を地盤に東海・中部エリアで食品スーパーマーケットを展開する企業です。

(1) 会社概要


1930年に前身となる八百半商店が創業し、1962年に実質上の存続会社となる和田商事が設立されました。2000年に会社更生計画に基づきイオンの完全子会社となり、2002年に現社名へ変更しました。2004年に東証二部へ上場し、2019年にはマックスバリュ中部を吸収合併して営業エリアを拡大しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

2025年2月28日時点で、連結従業員数は2,647名、単体従業員数は2,472名です。筆頭株主は持株会社のイオンで、第2位は従業員持株会、第3位は地方銀行の百五銀行となっています。

氏名 持株比率
イオン 63.88%
マックスバリュ東海従業員持株会 1.72%
百五銀行 1.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は作道政昭氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
作道 政昭 代表取締役社長社長執行役員 1992年北陸ジャスコ入社。同社商品本部長、取締役などを経て、2022年5月より現職。
二上 芳彦 取締役執行役員人事総務本部長 1992年ジャスコ入社。イオンアイビスBS業務部長、同社執行役員などを経て、2020年5月より現職。
齋藤 論 取締役執行役員商品本部長 1997年ハックキミサワ入社。同社経営管理本部長、執行役員などを経て、2025年3月より現職。
久保田 義彦 取締役執行役員営業本部長 1988年同社入社。生鮮商品統括本部長、マックスバリュ第一統括本部長などを経て、2024年5月より現職。


社外取締役は、矢部謙介(中京大学国際学部教授)、梶本丈喜(ケーイーコーポレーション代表取締役会長)、足羽由美子(足羽会計事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット事業


静岡県、愛知県、三重県、岐阜県、滋賀県、神奈川県、山梨県の7県において、地域密着型の食品スーパーマーケットを展開しています。イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」をはじめとする食品や日用品を提供し、地域の食生活を支えています。

収益は、一般消費者への商品販売による代金が主な源泉です。運営は主に同社が行っていますが、中国の連結子会社であるイオンマックスバリュ(広州)商業有限公司も事業を行っていました(同子会社は2025年5月に解散・清算を決議)。

(2) その他事業


静岡県内および愛知県内における「ミスタードーナツ」事業や、静岡県内における「不二家」事業をフランチャイズ展開しています。また、連結子会社のデリカ食品では、寿司、米飯、総菜等の製造を行っています。

収益は、店舗での商品販売による代金や、製造した商品のグループ会社への供給などが源泉となります。運営は同社および連結子会社のデリカ食品が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年2月期から2025年2月期までの5期間において、営業収益は緩やかな増加傾向にあります。特に直近の2025年2月期は前期比で増収となり、過去5年間で最高水準に達しました。利益面では、経常利益が100億円台で安定して推移しており、当期純利益も2023年2月期以降、回復基調にあります。利益率は低い水準ながらも安定した黒字経営を継続しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
営業収益 3,559億円 3,549億円 3,511億円 3,667億円 3,774億円
経常利益 117億円 112億円 103億円 135億円 141億円
利益率(%) 3.3% 3.2% 2.9% 3.7% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 53億円 76億円 62億円 83億円 94億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、営業収益の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は26〜27%程度で安定しており、営業利益率も3.7%前後を維持しています。原材料価格の高騰などの影響を受けつつも、増収効果により各段階利益で増益を確保しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業収益 3,667億円 3,774億円
売上総利益 987億円 1,009億円
売上総利益率(%) 26.9% 26.7%
営業利益 135億円 141億円
営業利益率(%) 3.7% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が396億円(構成比42%)、不動産賃借料が117億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


スーパーマーケット事業が全社売上の大部分を占めており、前期比で増収となっています。その他事業も規模は小さいものの増収となりました。主力のスーパーマーケット事業における新規出店や既存店の活性化、商品政策の推進が全体の増収に寄与しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
スーパーマーケット事業 3,551億円 3,651億円
その他事業 39億円 44億円
その他(営業収入等) 78億円 78億円
連結(合計) 3,667億円 3,774億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業活動で得た資金を、設備投資や株主還元に充てつつ、借入金の返済も進めている健全型です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 182億円 98億円
投資CF -65億円 -109億円
財務CF -21億円 -22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「何よりもお客さまの利益を優先しよう。」という理念を掲げています。店舗こそがお客さまとの直接のふれあいの場であると考え、地域ごとの特性を踏まえた商品・サービスの質的向上に取り組み、地域社会から信頼される店舗構築を目指しています。

(2) 企業文化


一人ひとりが「自ら考え、自ら行動し、自らやり遂げる」という主体的行動力の向上を重視しています。地域社会との共生を図りながら、顧客の声に真摯に耳を傾け、誠実かつ迅速に行動することを重要な価値観としています。

(3) 経営計画・目標


経営効率の重要指標として、売上高営業利益率、経常ROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)を設定しています。これらを通じて収益力の一層の強化を図り、改善施策の着実な実行を目指しています。

* 売上高営業利益率:4%以上
* 経常ROA:10%以上
* ROE:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


国内スーパーマーケット事業においては、安全安心な店舗運営を最優先としつつ、事業部制による地域密着経営の深耕や、新規出店・改装による競争力強化を進めています。また、デジタルの活用による業務効率化、地域商品の開発、サステナブルな社会への対応など、環境変化に応じた施策を実行し、持続的な成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「やりたい」「ありたい」を応援する組織づくりを掲げ、従業員が仕事を通じて自己実現できる環境を目指しています。多様な人材が活躍できる人事制度の整備や、キャリア支援体制の構築、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けたエンゲージメント強化に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 43.8歳 9.3年 591万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.3%
男性育児休業取得率 93.3%
男女賃金差異(全労働者) 65.2%
男女賃金差異(正規雇用) 80.6%
男女賃金差異(非正規) 98.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、基本理念への共感度(3.38)、エンゲージメントスコア(49.9)、障がい者雇用率(3.46%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場動向及び競争環境の変化


スーパーマーケット業界は業種業態を超えた競争が激化しており、景気や個人消費の動向、異常気象等の影響を受けやすい環境にあります。ライフスタイルの変化や競争環境の変動により、同社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) 食品の安全性と品質管理


生鮮食品や惣菜を含む多様な食品を取り扱っており、インストア製造や子会社での製造も行っています。万が一、不適切な食材や異物の混入等の品質事故が発生した場合、社会的信用の低下を招き、業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3) 出店戦略と店舗運営


ドミナント化を志向した新規出店を進めていますが、競合激化や消費マインドの変化により、計画通りの利益創造が進まない可能性があります。また、多くの店舗物件を賃借しており、契約更新ができない場合の営業終了リスクも存在します。

(4) 人材の確保と育成


労働集約的な事業特性上、店舗運営等の各分野で優秀な人材の確保が不可欠です。少子高齢化による労働力不足や労働需給の逼迫に伴う人件費の上昇が発生した場合、業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。