マックスバリュ東海 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マックスバリュ東海 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マックスバリュ東海は、東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、静岡県や愛知県などの東海地区を中心にスーパーマーケットを展開するイオングループの中核企業です。総菜の製造やミスタードーナツなどのフランチャイズ事業も手掛けています。直近の業績では、経常利益・当期利益ともに増加傾向にあります。


※本記事は、マックスバリュ東海株式会社の有価証券報告書(第64期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マックスバリュ東海ってどんな会社?


東海地区を中心にスーパーマーケットを展開し、食生活を豊かにする店舗づくりを進める企業です。

(1) 会社概要


同社は1948年に八百半商店として設立されました。1997年に会社更生手続開始の決定を受けましたが、2000年にジャスコ(現イオン)の100%子会社となりました。2002年にマックスバリュ東海へ商号を変更し、2019年にはマックスバリュ中部を吸収合併して現在の事業基盤を構築しています。

同社グループの従業員数は連結で2,510名、単体で2,457名です。筆頭株主は親会社であり純粋持株会社のイオンで、過半数の株式を保有しています。第2位は同社の従業員持株会、第3位は金融機関である百五銀行となっており、グループ企業や従業員、地域金融機関が上位株主を占めています。

氏名 持株比率
イオン 63.86%
マックスバリュ東海従業員持株会 1.71%
百五銀行 1.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。作道政昭氏が代表取締役社長を務めており、取締役の社外取締役比率は42.9%となっています。

氏名 役職 主な経歴
作道政昭 代表取締役社長社長執行役員 1992年に北陸ジャスコ(現イオン)に入社。マックスバリュ中部の営業本部副本部長や商品本部長などを歴任し、2019年に同社取締役に就任。2022年より現職。
二上芳彦 取締役執行役員人事総務本部長 1992年にジャスコ(現イオン)に入社。イオンアイビスなどで業務を経験し、イオングループで人事システム構築等を担当。2020年より現職。
齋藤論 取締役執行役員商品本部長 1997年にハックキミサワに入社。同社でマーケティング室長や経営管理本部長などを歴任し、2025年より現職。
久保田義彦 取締役執行役員営業本部長 1988年に同社に入社。店長や鮮魚事業部長、生鮮商品統括本部長などを歴任し、2024年より現職。


社外取締役は、矢部謙介(中京大学国際学部教授)、梶本丈喜(ケーイーコーポレーション代表取締役会長)、足羽由美子(足羽会計事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「スーパーマーケット事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) スーパーマーケット・デリカ食品事業


静岡県、愛知県、三重県などの東海地区を中心に、地域特性を踏まえた商品を提供する食品スーパーマーケットを展開しています。また、寿司や米飯、総菜などのデリカ食品の製造や加工も手掛けており、地域の食生活をより豊かにすることを使命として店舗運営を行っています。

顧客から商品の販売代金を受け取ることで収益を得ています。スーパーマーケット事業の運営は主に同社が担っており、デリカ食品事業における総菜などの製造業務は子会社のデリカ食品が行っています。また、イオンのプライベートブランドであるトップバリュ商品の仕入も行っています。

(2) その他事業


スーパーマーケット事業のほかに、その他の事業としてフランチャイズ展開による飲食店の運営などを行っています。具体的には、静岡県内および愛知県内において、ミスタードーナツや不二家の店舗を展開しており、地域のお客さまに対して幅広い食のサービスを提供しています。

フランチャイズ店舗における商品販売を通じて顧客から代金を受け取り、収益を上げています。これらの事業運営は同社が直接行っており、スーパーマーケット事業と併せて展開することで、事業基盤の多角化と地域密着型の店舗展開を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、経常利益は一時的な減少を挟みつつも概ね堅調に推移しており、近年は高い水準を維持しています。また、当期利益についても右肩上がりの成長を見せており、収益力の継続的な向上がうかがえます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
経常利益 112億円 103億円 135億円 141億円 138億円
当期利益(親会社所有者帰属) 73億円 61億円 81億円 92億円 100億円

(2) 損益計算書


利益構成を比較すると、売上総利益は微増となっている一方で、営業利益はわずかに減少しています。利益水準自体は安定しているものの、コスト環境の変化などにより営業利益段階での確保額に変化が見られます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上総利益 1009億円 1016億円
営業利益 141億円 136億円


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が403億円(構成比42.0%)、不動産賃借料が120億円(同12.5%)を占めています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で十分な利益を確保し、借入金の返済や積極的な投資を自己資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 98億円 197億円
投資CF -109億円 -67億円
財務CF -22億円 -27億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も63.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「何よりもお客さまの利益を優先しよう。」という企業理念を掲げています。一つひとつの店舗が地域をつなぐ架け橋として継続的な貢献を果たし、お客さまのより豊かな食生活の実現を応援する、地域最良のスーパーマーケットチェーンの構築を目指して事業を展開しています。

(2) 企業文化


「想いをつなぎ、一途に「かたち」に。マックスバリュ東海は、「笑顔」と「元気」、「幸せ」あふれる地域を共創します。」という基本方針を定めています。従業員一人ひとりが自ら考え、行動し、やり遂げる主体的行動力を重視し、地域の声に真摯に耳を傾け誠実かつ迅速に行動する文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


経営効率を測る重要指標として、売上高営業利益率とROE(自己資本当期純利益率)を設定しています。収益力の一層の強化を図り、重点課題を明確にして改善施策を着実に実行していく方針です。

・売上高営業利益率:4%以上
・ROE:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「事業構造の変革」「テクノロジーの活用を通じた付加価値の創造」「サステナビリティ経営の推進」を基本戦略としています。具体的には、新規出店や既存店の改装による競争力強化、デジタルの積極的な活用による業務の効率化、そして地域密着型の経営を深耕するための地域商品の開発などを推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「『やりたい』『ありたい』を応援する組織づくり」を人的資本・多様性に関する方針の核としています。個性や能力を活かしたいと考える従業員が自主・自律的にキャリアを描けるよう支援制度を充実させるほか、多様な人材が活躍できる人事制度の整備と柔軟な働き方の実現に取り組み、働きがいの向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 43.9歳 10.0年 5,742,962円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 82.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 108.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(50.2)、障がい者雇用率(3.52%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) スーパーマーケット市場の競争激化


スーパーマーケット業界では業種業態を超えた競争が激化しており、景気や商品価格の値上げによる消費動向の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はライフスタイルの変化に対応し、地域密着型の商品やデジタル活用を通じた競争力の強化を図っています。

(2) 食品の安全性に関するリスク


生鮮・デリカ部門でのインストア製造や、子会社での総菜製造を行っているため、予期せぬ異物混入等の品質事故が発生した場合、社会的信用の低下や業績への影響が懸念されます。衛生管理や従業員教育の徹底、迅速な品質管理体制の構築により安全確保に努めています。

(3) 出店開発と店舗賃借に関するリスク


東海地区等でのドミナント化を目指して新規出店を進めていますが、競争激化や消費マインドの変化により計画通りの利益創造が遅れるリスクがあります。また、多くの店舗が賃借物件であり、契約更新が合意に至らない場合は営業終了を余儀なくされる可能性があります。

(4) 優秀な人材の確保と育成


店舗運営などの各分野において人材への依存度が高く、少子高齢化や労働需給の逼迫によって人材確保が難航し、人件費が増加するリスクがあります。これに対し、多様な人材が活躍できる環境整備や、複数業務をこなす「多能工」の推進、設備導入による省力化を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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