※本記事は、株式会社ハイデイ日高の有価証券報告書(第48期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハイデイ日高ってどんな会社?
ラーメンや中華料理を低価格で提供する飲食店チェーン「日高屋」を首都圏中心に展開する企業です。
■(1) 会社概要
1973年2月に創業者が中華料理「来々軒」を開業し、1978年に日高商事を設立、1983年に同社を改組して設立されました。1999年に株式を店頭登録し、2006年に東京証券取引所市場第一部に指定されています。2002年に主力業態の「日高屋」1号店を開店し、事業拡大を進めてきました。
従業員数は単体で1,088名です。筆頭株主は創業者の神田正氏で、第2位も創業家の神田賢一氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 神田 正 | 10.05% |
| 神田 賢一 | 8.38% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は青野敬成氏が務めています。また、社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 神田 正 | 代表取締役会長執行役員会長 | 1973年来来軒開業。1978年日高商事設立、社長。1983年改組しハイデイ日高設立、社長。2009年より現職。 |
| 青野 敬成 | 代表取締役社長執行役員社長 | 1999年入社。営業部長、営業管理部長、情報システム室長、取締役執行役員などを経て、2022年より現職。 |
| 原田 隆行 | 取締役執行役員営業本部長兼営業部長 | 1994年入社。営業部長、採用教育部長、お客様相談室長、人事部長などを経て、2024年より現職。 |
| 島崎 幸司 | 取締役執行役員行田工場長 | 2013年入社。執行役員行田工場長などを経て、2025年より現職。 |
| 石田 淳 | 取締役執行役員経営企画部長 | 2022年入社。経営企画部長、執行役員経営企画部長などを経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、石田徹(元アイ・アール・ディレクションズ社長)、齊藤三希子(元エスエムオー社長)、小山茂和(元水町クリニック事務総長)、奥村太久実(元むさしの税理士法人代表社員)、平栗敬子(リンク総合法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「中華系レストランの展開」の単一セグメントで事業を展開しています。
ラーメン、餃子、中華料理などを主とした飲食店チェーン「日高屋」をはじめ、「焼鳥日高」やその他業態を首都圏および北関東を中心に直営で展開しています。食材の購買から麺や餃子などの製造、各店舗への物流までの機能を行田工場に集約することで、品質の安定と均一化を図りながら、おいしい料理を低価格で提供しています。
主な収益源は、直営店舗を訪れる顧客からの飲食代金です。「中華そば」や「野菜たっぷりタンメン」などの人気メニューを中心にお手頃価格で提供することで売上を獲得しています。これらの事業運営ならびに工場における食材製造や物流の管理は、すべてハイデイ日高が主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、一時的な利益水準の低下があったものの、その後は右肩上がりの成長を続けています。積極的な新規出店や既存店の改装、キャンペーンの実施などにより、客数を持続的に増加させ、力強い増収増益基調を維持しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 264億円 | 382億円 | 488億円 | 556億円 | 623億円 |
| 経常利益 | 26億円 | 25億円 | 48億円 | 57億円 | 66億円 |
| 利益率(%) | 9.8% | 6.5% | 9.8% | 10.2% | 10.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 15億円 | 32億円 | 41億円 | 47億円 |
■(2) 損益計算書
両期間において、売上高の拡大に伴い売上総利益も順調に増加しています。各種食材価格の高騰等の影響を受けつつも、増収効果により人件費や物流費などのコスト上昇分を吸収し、営業利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 556億円 | 623億円 |
| 売上総利益 | 391億円 | 431億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.3% | 69.2% |
| 営業利益 | 55億円 | 66億円 |
| 営業利益率(%) | 9.9% | 10.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が181億円(構成比50%)、賃借料が50億円(同14%)、水道光熱費が29億円(同8%)を占めています。売上原価(192億円)は、当期店舗食材仕入高が142億円(構成比74%)、当期店舗食材製造原価が51億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は飲食店チェーン関連事業の単一セグメントですが、業態別に見ると主力である「日高屋」が売上の大部分を占めています。「焼鳥日高」やその他業態も含め、全業態で前年同期を上回る好調な販売実績を記録しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 日高屋 | - | 591億円 |
| 焼鳥日高 | - | 24億円 |
| その他業態等 | - | 7億円 |
| 連結(合計) | 556億円 | 623億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で事業に必要な資金を稼ぎ出し、借入への依存を避けながら自前の資金で投資や還元をまかなう健全型のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 54億円 | 60億円 |
| 投資CF | -15億円 | -25億円 |
| 財務CF | -34億円 | -58億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)が18.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率が72.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「私たちは、美味しい料理を真心込めて提供します。」「夢に向かって挑戦し、進化し続けます。」「常に感謝の心を持ち、人間形成に努めます。」という経営理念を掲げています。駅前に「日高屋」がある当たり前の風景を夢見て、おいしい料理を低価格で提供し、顧客にハッピーな一日を過ごしてもらうことを目指しています。
■(2) 企業文化
創業者の想いである「分かち合う資本主義」を大切にし、働く社員の幸せを第一の目的としています。多様な価値観を尊重し、従業員が活き活きと働きがいを実感できる環境づくりや、人間形成を通じたビジネスパーソンとしての成長を重視する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
長期ビジョンとして、8年後のありたい姿を目指し、以下の具体的な数値目標を掲げています。
* 売上高1,000億円
* 営業利益率10.0%以上
* ROE18.0%以上
* 店舗数(含むFC)700店
■(4) 成長戦略と重点施策
新中期経営計画「Hiday Challenge」のもと、店舗戦略の推進、国内シェア拡大・海外進出、採用強化と人財育成、DX推進戦略などに取り組んでいます。新規出店や経年店舗の改装を加速させるとともに、配膳ロボットやセルフレジなどのデジタル化を進めることで、省人化と顧客の利便性向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員の成長と活躍を支え、活き活きと働ける環境を充実させる方針です。多様な人材を意欲的に採用し、各種研修やオンライン学習を通じて調理や接客のスキル向上を図っています。また、フレンド社員(パート・アルバイト)の正社員登用や、意欲のある社員の積極的な管理職への登用も推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 35.4歳 | 8.8年 | 5,497,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.8% |
| 男性育児休業取得率 | 51.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期雇用労働者) | 110.2% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した全従業員に占める女性の割合(51.0%)、特定技能2号資格の合格者(4名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店計画と競合環境の影響
同社は首都圏の駅前繁華街やロードサイドを中心に出店を進めていますが、希望条件に合致する物件が見つからず計画通りに出店できない場合や、競合他社との競争激化、原材料価格の高騰、不採算店の撤退等が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人財の確保と労働環境の変化
業容拡大に伴い採用や処遇改善を図っていますが、雇用情勢の変化や退職者の増加により計画通りに人材が確保できない場合、業績に影響を与える可能性があります。また、短時間労働者に関する法令の改廃や社会保険適用拡大によるコスト増も懸念されます。
■(3) 衛生管理と製造拠点の集中
食材の購買や麺・餃子などの製造機能を行田工場に集約しています。店舗での食中毒発生や工場での衛生問題により営業許可が取り消しまたは停止された場合、全店舗への食材供給に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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