ハイデイ日高 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハイデイ日高 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハイデイ日高は東京証券取引所プライム市場に上場する、「日高屋」を主力とする飲食店チェーンです。中華そばや餃子などを低価格で提供し、首都圏の駅前繁華街を中心に直営展開しています。2025年2月期の売上高は556億円で過去最高を更新、営業利益も55億円となり増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ハイデイ日高 の有価証券報告書(第47期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年05月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハイデイ日高ってどんな会社?


ハイデイ日高は、低価格で高品質な中華料理を提供する「日高屋」を中心に、首都圏でドミナント展開する外食企業です。

(1) 会社概要


1973年2月に中華料理「来々軒」として創業し、1978年に法人化されました。1999年に株式を店頭登録後、2002年に現在の主力業態「日高屋」の1号店を開店。2006年には東証一部へ指定替えを果たしました。自社工場での食材製造と物流機能の集約により、低価格での提供を実現しています。近年では北関東への出店拡大や新業態の開発も進めています。

同社(単体)の従業員数は988名です。大株主は、筆頭株主が創業者で会長の神田正氏、第2位が親族の神田賢一氏、第3位が資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
神田 正 13.95%
神田 賢一 8.10%
BNYM AS AGT/CLTS 10 PERCENT 7.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長執行役員社長は青野敬成氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
神田 正 代表取締役会長執行役員会長 1973年2月中華料理来来軒開業、1978年3月日高商事設立。2009年5月より現職。
青野敬成 代表取締役社長執行役員社長 1999年4月入社。営業部長、営業管理部長、情報システム室長等を経て2022年5月より現職。
原田隆行 取締役執行役員営業本部長兼営業部長 1994年4月入社。採用教育部長、人事部長、お客様相談室長等を経て2024年5月より現職。
島崎幸司 取締役執行役員行田工場長 2013年8月入社。2024年5月執行役員行田工場長を経て2025年5月より現職。


社外取締役は、石田徹(アイ・アール・ディレクションズ社長)、齊藤三希子(エスエムオーCEO)、小山茂和(水町クリニック事務総長)、奥村太久実(むさしの税理士法人代表社員)、平栗敬子(リンク総合法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日高屋」および「その他の業態」事業を展開しています。

(1) 日高屋事業


「美味・廉価」を追求した中華料理店「日高屋」を展開しています。駅前繁華街やロードサイドに出店し、「中華そば」や「野菜たっぷりタンメン」などの低価格メニューを提供しています。「中華そば日高屋」「中華食堂日高屋」などのバリエーションがあり、幅広い顧客層に日常的な食事の場を提供しています。

収益は、来店客からの飲食代金およびテイクアウト商品の販売代金です。運営はハイデイ日高が行っています。

(2) その他の業態


中華料理の「中華一番」、焼鳥業態の「焼鳥日高」、居酒屋「大衆酒場日高」、定食業態「大衆食堂日高」、台湾屋台料理「台南」、鶏白湯ラーメン「らーめん日高」などを展開しています。多様なニーズに対応するため、立地や客層に合わせた業態開発を行っています。

収益は、各店舗における飲食および商品販売による代金です。運営はハイデイ日高が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復基調にあり、特に直近では過去最高を更新しています。利益面でも、厳しい環境下から脱し、経常利益および当期純利益ともに大きく伸長しています。利益率も改善傾向にあり、収益性が高まっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 296億円 264億円 382億円 488億円 556億円
経常利益 -28億円 26億円 25億円 48億円 57億円
利益率(%) -9.4% 9.8% 6.5% 9.8% 10.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -29億円 16億円 15億円 32億円 41億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。利益率も高い水準を維持しており、効率的な店舗運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 488億円 556億円
売上総利益 351億円 391億円
売上総利益率(%) 71.9% 70.3%
営業利益 46億円 55億円
営業利益率(%) 9.5% 9.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が166億円(構成比50%)、賃借料が48億円(同14%)、水道光熱費が27億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


全業態で売上が増加しました。主力の「日高屋」が大きく伸長したほか、「焼鳥日高」も堅調に推移しています。人流の回復や価格改定、キャンペーン施策などが奏功しました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
日高屋 460億円 529億円
焼鳥日高 21億円 22億円
その他業態等 6億円 6億円
連結(合計) 488億円 556億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金の範囲内で投資を行い、さらに株主還元や財務体質の強化にも資金を充当している健全型です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 60億円 54億円
投資CF -23億円 -15億円
財務CF -11億円 -34億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美味しい料理を真心込めて提供します」「夢に向かって挑戦し、進化し続けます」「常に感謝の心を持ち、人間形成に努めます」を経営理念としています。駅前に「日高屋」がある当たり前の風景を目指し、低価格で美味しい料理を提供することで、顧客にハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしてもらうことをビジョンとしています。

(2) 企業文化


創業者の想いである「分かち合う資本主義」を大切にし、社員の幸せと成長を重視する文化があります。社内教育制度「ハイデイユニバーシティ」などを通じて人間形成とスキル向上を図り、店長自主管理経営を推進しています。また、感謝の心を持ち、地域社会への貢献やチームワークを尊重する風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「Hiday Challenge」を策定し、2030年2月期までの長期目標を掲げています。

* 2026年2月期:売上高600億円、売上高営業利益率10%、ROE15%以上、店舗数475店
* 2030年2月期:売上高750億円、売上高営業利益率10%、ROE17%以上、店舗数550店

(4) 成長戦略と重点施策


「Hiday Challenge」に基づき、店舗網の拡大と収益力の強化を推進しています。関東圏に加え北関東への出店やロードサイド展開を加速させるほか、DXによる省人化、海外進出やM&Aも視野に入れています。

* 店舗戦略:1都3県に加え北関東への出店拡大、ロードサイド店の加速、既存店改装。
* DX推進:配膳ロボットやセルフオーダーシステムの拡充、将来的なアプリ開発。
* 人的資本投資:賃金ベースアップ、女性管理職比率向上、特定技能外国人の活用。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員の成長と活躍を支え、活き活きと働ける環境づくりを重視しています。採用ではSNSやWebを活用し、新卒・中途・外国籍人材を幅広く確保しています。育成面では、社内大学による研修や資格制度を充実させ、調理・接客技術の向上を図っています。また、賃上げや休日増など処遇改善も継続的に実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 35.8歳 9.3年 523万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.8%
男性育児休業取得率 28.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.9%
男女賃金差異(正規雇用) 69.6%
男女賃金差異(非正規) 109.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業展開と競合リスク

首都圏の駅前繁華街を中心に直営店を展開していますが、希望条件に合う物件が確保できない場合、出店計画に影響が出る可能性があります。また、競合との競争激化、原材料価格の高騰、天候不順や感染症等の社会的混乱が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人財確保のリスク

業容拡大に伴い採用活動や処遇改善を進めていますが、雇用情勢の変化や若年層の減少等により、計画通りの人財確保が困難になる可能性があります。また、労務管理の問題等で人財が定着しない場合、店舗運営やブランドイメージに支障をきたす恐れがあります。

(3) 敷金及び保証金の回収リスク

店舗の多くが賃借物件であり、総資産に占める敷金及び保証金の割合が高くなっています。貸主の経営状況悪化による返還遅延や、契約解除による退店を余儀なくされるリスクがあり、これらが顕在化した場合は財政状態や業績に影響を与える可能性があります。

(4) 衛生管理と製造機能の集中リスク

食材の購買・製造を行田工場に集約しています。食中毒や異物混入等の事故が発生した場合、営業停止処分やブランド毀損を招く恐れがあります。また、工場でのトラブルにより操業停止や稼働率低下が生じた場合、全店舗への供給に支障が出ることが懸念されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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