イートアンドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イートアンドホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、中華惣菜を中心とする冷凍食品の製造・販売および「大阪王将」などの外食チェーン展開を主力事業としています。2025年2月期の連結業績は、売上高373億円(前期比3.9%増)、営業利益11億円(前期比2.9%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社イートアンドホールディングス の有価証券報告書(第48期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イートアンドホールディングスってどんな会社?

「大阪王将」ブランドの餃子を主軸に、食品メーカー機能と外食チェーン運営の二軸で事業を展開する企業です。

(1) 会社概要

1977年に大阪王将食品として設立され、1993年に生協向けの冷凍食品販売を開始しました。2011年に大阪証券取引所JASDAQ市場へ上場後、2013年には東京証券取引所市場第一部へ指定替えしました。2020年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。

連結従業員数は558名、単体では40名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社である文野屋で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は代表取締役会長CEOの文野直樹氏です。創業者一族が主要株主として影響力を持っています。

氏名 持株比率
文野屋 23.34%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.91%
文野 直樹 2.83%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表者は代表取締役会長CEOの文野直樹氏と代表取締役社長COOの仲田浩康氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
文野 直樹 代表取締役会長CEO 1980年4月同社入社。1985年代表取締役就任。2017年代表取締役会長を経て、2020年10月より現職。
仲田 浩康 代表取締役社長COO 2000年8月同社入社。取締役常務執行役員トレーディング本部長、専務取締役等を経て、2022年6月より現職。イートアンドフーズ代表取締役社長を兼任。
山本 浩 常務取締役 2007年1月同社入社。商品本部商品部ゼネラルマネジャー、執行役員商品本部長等を経て、2024年5月より現職。イートアンドフーズ取締役専務執行役員を兼任。
植月 剛 取締役 1995年4月同社入社。常務取締役外食事業統括等を歴任。大阪王将代表取締役社長を経て、2024年5月より現職。イートアンドインターナショナル代表取締役社長を兼任。
椎木 孝 取締役経営管理本部長 2010年3月同社入社。管理本部経理部ゼネラルマネジャー、経営企画室ゼネラルマネジャー、取締役(監査等委員)を経て、2023年5月より現職。
柿原 聡 取締役(監査等委員)(常勤) 2010年1月同社入社。管理本部人事総務部法務グループマネジャーを経て、2023年5月より現職。


社外取締役は、林恭子(グロービス経営大学院教授)、錦見光弘(公認会計士)、池田佳史(弁護士法人栄光代表社員)です。

2. 事業内容

同社グループは、「食品事業」および「外食事業」事業を展開しています。

(1) 食品事業

「大阪王将」ブランドの冷凍食品(特に餃子)を中心に、中華惣菜や常温調味料などを製造・販売しています。主な顧客は全国の生活協同組合や一般量販店であり、一般消費者向けにインターネットを通じた通信販売も行っています。

収益は、卸売業者や一般消費者への製品販売による対価です。運営は主に連結子会社のイートアンドフーズが行っており、EC事業はナインブロックが展開しています。製造はグループ工場および提携生産者への委託により行われています。

(2) 外食事業

大衆中華料理「大阪王将」、ラーメン専門店「よってこや」「太陽のトマト麺」、ベーカリーカフェ「R Baker」などの直営店運営およびフランチャイズ展開を行っています。国内外で多様なブランドを展開し、日常食を提供しています。

収益は、直営店での飲食代金に加え、加盟店に対する食材等の商品販売、ロイヤリティ、加盟金収入などから構成されています。運営は主に連結子会社の大阪王将、アールベイカー、一品香、イートアンドインターナショナルなどが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、原材料価格高騰などの影響を受けつつも黒字を維持しており、第48期には当期純利益が大きく回復しました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 260億円 309億円 330億円 359億円 373億円
経常利益 3億円 15億円 11億円 11億円 10億円
利益率(%) 1.1% 4.8% 3.2% 3.0% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -2億円 8億円 4億円 -1億円 9億円

(2) 損益計算書

売上高は増加しましたが、原材料費や物流費の上昇により売上総利益率は改善したものの営業利益の伸びは小幅にとどまっています。コストコントロールを進めつつ、売上拡大による利益確保を図っている状況です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 359億円 373億円
売上総利益 143億円 156億円
売上総利益率(%) 39.9% 41.7%
営業利益 11億円 11億円
営業利益率(%) 2.9% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が40億円(構成比27%)、運賃が21億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益

食品事業は売上の過半を占める主力事業ですが、工場火災の影響や原材料価格高騰により減益となりました。一方、外食事業は新規出店や既存店の回復により増収となり、利益も大幅に伸長して全体の収益性を支えています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
食品事業 214億円 215億円 13億円 11億円 5.2%
外食事業 145億円 159億円 3億円 5億円 3.2%
調整額 - - -5億円 -5億円 -
連結(合計) 359億円 373億円 11億円 11億円 2.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動で得た資金に加え、借入等の財務活動による資金調達も行いながら、設備投資などに積極的に資金を投じる「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 21億円 38億円
投資CF -34億円 -52億円
財務CF 24億円 11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「食を通じて、持続可能な社会の実現に貢献し、+&の発想で、ワクワクする未来を生み出し続けます。」というパーパスを掲げています。ステークホルダーの幸せを創造し続けるため、環境と社会の持続的な発展に独自の「+&の発想」で貢献することを目指しています。

(2) 企業文化

同社は「+&の発想」を大切にしており、ふとした気づきやちょっとした工夫を積み重ねることで、食シーンに新しい価値を生み出すことを重視しています。この発想を広く推進し、世界の食シーンに価値を提供し続ける姿勢が組織全体に共有されています。

(3) 経営計画・目標

長期ビジョン「Eat&チャレンジ2030」において、2030年にグローバル売上高1,000億円を目指しています。また、中期経営計画『Sustainable Growth 2024』の期間を延長し、2026年度(2027年2月期)の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:500億円
* 営業利益:25億円
* 売上高営業利益率:5%
* ROE:8%

(4) 成長戦略と重点施策

持続的な成長に向け、外食事業と食品事業の両輪を深化させるとともに、次世代の柱となる新規事業(海外アジアへの出店拡大、外食EC、M&A等)を探索しています。食品事業では新工場建設による供給体制強化、外食事業では主力ブランドの関東ドミナント出店やロボティクス活用による効率化を推進します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

人材を「財」と捉え、職位・職能ごとの研修や自律的なキャリア構築支援を行っています。リスキリングや学び直しによる継続的な育成に取り組み、挑戦する姿勢を評価する人事制度を構築しています。また、「女性活躍推進センター」を設置し、多様な人材が活躍できる風土づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 39.4歳 5.1年 6,542,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 46.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.8%
男女賃金差異(正規雇用) 64.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 29.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人従業員数(443名)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食品業界の動向および事業展開

外食および冷凍食品市場は成熟し競争が激化しています。特に「大阪王将」ブランドへの依存度が高く、同ブランドの価値が毀損された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料価格やエネルギーコストの高騰、消費者の選別強化も経営環境を厳しくする要因となり得ます。

(2) 食材および商品の安定確保

安全な食材の確保や、製造委託先を含めた商品の安定供給が重要です。食材の安全性問題、天候不順や疫病による原材料価格の高騰、委託工場の事故等による供給停止が発生した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。また、キャベツや米などの主要原材料の価格変動リスクも抱えています。

(3) 外食事業の店舗展開

「大阪王将」等のフランチャイズ展開を積極的に進めていますが、出店予定地の確保や加盟店開拓が計画通り進まない場合、業績に影響する可能性があります。また、加盟店の運営品質や評判がブランド全体に波及するリスク、賃貸物件からの退去リスク、人件費上昇や社会保険適用拡大によるコスト増も懸念されます。

(4) 食品の安全性

ISO22000認証取得やHACCPに基づく衛生管理を行っていますが、異物混入や食中毒などの品質問題が発生した場合、商品の回収や営業停止処分、ブランドイメージの低下を招き、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。過去の事例からも、食の安全に対する消費者の信頼確保は最重要課題です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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