ベイカレント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベイカレント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベイカレントは東証プライム市場に上場する日本発の総合コンサルティングファームです。戦略から業務改革、デジタル技術の活用まで幅広いテーマで企業の経営課題解決を支援しています。直近の業績は売上収益が前期比23.6%増、税引前利益が24.5%増となり、大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ベイカレント の有価証券報告書(第11期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ベイカレントってどんな会社?


同社は日本発の総合コンサルティングファームとして、様々な業界のリーディングカンパニーに対し、戦略策定から実行支援までを一気通貫で提供しています。

(1) 会社概要


同社の源流は1998年に設立された有限会社ピーシーワークスにあり、2014年にMBOを実施し現在の体制となりました。2016年に東証マザーズへ上場し、2018年には東証一部へ市場変更を果たしています。2024年9月には持株会社体制へ移行し、商号を現在のベイカレントに変更しました。

2025年2月末時点の連結従業員数は5,467名、単体では593名です。筆頭株主は信託銀行ですが、第2位株主には個人投資家の江口新氏が名を連ねています。また、資産管理を行う信託口や海外の機関投資家なども主要株主となっており、特定の事業会社による支配関係は見られません。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.72%
江口 新 10.23%
日本カストディ銀行(信託口) 5.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は北風大輔氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
北風 大輔 代表取締役社長 2009年4月旧ベイカレント・コンサルティング入社。執行役員、常務執行役員、副社長執行役員アカウント統括本部長を経て、2025年5月より現職。
阿部 義之 取締役会長 2008年9月旧ベイカレント・コンサルティング入社。取締役コンサルティング&IT事業本部長、代表取締役社長を経て、2025年5月より現職。
池平 謙太郎 代表取締役副社長 2007年9月旧ベイカレント・コンサルティング入社。執行役員、取締役営業本部長を経て、2021年5月より現職。
中村 公亮 取締役最高財務責任者 2007年1月旧ベイカレント・コンサルティング入社。執行役員、取締役管理本部長を経て、2021年5月より現職。


社外取締役は、小路敏宗(弁護士)、佐藤真太郎(弁護士)、奥山芳貴(元野村アセットマネジメント出向)、糟谷祐一郎(公認会計士)、藤本哲也(税理士)、緑川芳江(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) コンサルティングサービス


同社グループは、様々な業界の日本を代表するリーディングカンパニーに対し、全社戦略や事業戦略の立案、デジタル技術を活用したビジネスオペレーションの検討支援などを行っています。特定の企業系列に属さない独立性を活かし、ニュートラルな立場から、クライアントの課題解決に向けた企画検討や実行支援を提供しています。

収益は、クライアント企業から受け取るコンサルティングフィーによって構成されています。案件の内容に応じて、トップマネジメントの意思決定支援から現場での実行支援まで幅広く対応します。事業の運営は、主に子会社であるベイカレント・コンサルティングおよびベイカレント・テクノロジーが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は毎期大幅な成長を続けており、4年前と比較して約2.7倍の規模に拡大しています。利益面においても、税引前利益および当期利益ともに右肩上がりの成長を持続しており、高い利益率を維持しながら規模を拡大させていることが読み取れます。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上収益 429億円 576億円 761億円 939億円 1,161億円
税引前利益 135億円 215億円 299億円 342億円 425億円
利益率(%) 31.4% 37.2% 39.3% 36.4% 36.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 100億円 155億円 219億円 254億円 308億円

(2) 損益計算書


売上収益の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに順調に拡大しています。売上総利益率は50%を超える高水準を維持しており、営業利益率も30%台後半で推移しています。販管費は増加しているものの、売上の伸びがそれを上回り、高い収益性を確保しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上収益 939億円 1,161億円
売上総利益 515億円 625億円
売上総利益率(%) 54.8% 53.8%
営業利益 342億円 426億円
営業利益率(%) 36.4% 36.7%


販売費及び一般管理費のうち、採用費が45億円(構成比23%)、給与が33億円(同17%)を占めています。積極的な人材獲得投資を行いつつも、高い利益率を維持しているコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


コンサルティング事業単一セグメントであるため、全社的な増収増益トレンドがそのまま事業の状況を反映しています。DX関連案件などの旺盛な需要を背景に、売上収益は前期比で大幅に伸長しました。営業利益率も30%台後半を維持しており、高付加価値なサービス提供ができていることがうかがえます。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
コンサルティング事業(連結) 939億円 1,161億円 342億円 426億円 36.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスであり、本業で稼いだ現金を投資や借入返済、株主還元に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 243億円 326億円
投資CF -38億円 -35億円
財務CF -114億円 -143億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は36.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は75.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、日本発の総合コンサルティングファームとして、様々な業界のリーディングカンパニーが抱える課題を解決し、成果を生み出すことでクライアントの持続的な発展に貢献し続けることをミッションとしています。また、パーパスとして「Beyond the Edge - 変化の一番先に立ち、次への扉をともに開く。 -」を掲げています。

(2) 企業文化


同社グループは、コンサルティングファームとして「あらゆる業界のリーディングカンパニーの成長に最も貢献している」こと、「付加価値を誰よりも追求している」こと、「未来を担う人材が集結している」ことを目指しています。クライアントに対し、固有の企業風土・価値観を共有して伴走する真のパートナーとして支援を行う文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、2024年4月に公表した中期経営計画において、2025年2月期から2029年2月期にかけて継続的な成長を実現することを目標としています。

* 2029年2月期 売上収益:2,500億円
* 年率平均成長率:20%目安

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の達成に向け、同社は「コアクライアント戦略の推進」「ケイパビリティの拡充」「優秀な人材の採用・育成」の3点を成長戦略として掲げています。コンサルティングサービスのさらなる高付加価値化を進めるとともに、人材への投資を強化することで、継続的な成長と高収益の実現を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、今後の事業を支える優秀な人材の採用と育成を最重要課題と位置づけています。激しく変化するクライアントの課題に対応するため、新卒・中途採用を積極的に実施するとともに、専門部門による研修やOJTを通じてコンサルタントの専門性を高めています。また、縦割りの組織ではなく横断型の柔軟な組織構造を採用し、多様なキャリア形成を促進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 31.2歳 4.0年 13,497,765円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 4.6%
男性労働者の育児休業取得率 84.6%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 54.0%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 65.6%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 69.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健康診断受診率(99.0%)、ストレスチェック受検率(96.3%)、所定外労働の発生率(0.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動リスク


主要クライアントは各業界のリーディングカンパニーですが、国内外の景気動向や為替変動、税制改正等によりクライアントが事業投資やIT投資を抑制した場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症拡大等によるクライアントの企業活動への制約も間接的な影響を与える可能性があります。

(2) 人材の採用・確保及び育成


コンサルティング業界における人材獲得競争が激化する中、優秀な人材の採用・育成が計画通り進まない場合や、人材の社外流出が生じた場合、競争力の低下やサービスレベルの低下を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) のれんの減損リスク


2014年の企業買収に伴い多額ののれんを計上しています。将来の収益力が低下した場合には減損損失を計上する必要が生じ、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティリスク


コンサルティング業務においてクライアントの機密情報や個人情報を取り扱っています。情報管理を徹底していますが、万が一情報の漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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