ベイカレント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベイカレント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態


※本記事は、株式会社ベイカレントの有価証券報告書(第12期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

0. まとめ

ベイカレントは東京証券取引所プライム市場に上場し、様々な業界を代表する企業に対し戦略やデジタル、オペレーション等の幅広いテーマを支援する総合コンサルティングファームです。DXやAIを活用した企業変革支援の需要拡大を背景に事業を拡大しており、直近の業績は大幅な増収増益を達成しています。

1. ベイカレントってどんな会社?

総合コンサルティングファームとして、企業の課題解決と変革支援を展開しています。

(1) 会社概要

1998年に有限会社ピーシーワークスとして設立され、2006年にベイカレント・コンサルティングへ商号変更しました。2016年に東証マザーズへ上場し、2018年には東証一部へ市場変更しています。その後、事業基盤の強化を目的として、2024年9月に持株会社体制へ移行し、現在のベイカレントへと商号変更しました。

同社グループの従業員数は連結で6,788名、単体で866名体制となっています。筆頭株主ならびに第2位株主は資産管理業務などを行う信託銀行が占めており、第3位には個人投資家である江口新氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 24.36%
日本カストディ銀行(信託口) 10.64%
江口 新 5.31%


(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長兼社長は阿部義之氏が務めており、社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
阿部 義之 代表取締役会長兼社長 2008年9月旧ベイカレント・コンサルティング入社。2016年12月同社代表取締役社長を経て、2025年11月より現職。
池平 謙太郎 代表取締役副社長 2007年9月旧ベイカレント・コンサルティング入社。2015年4月同社執行役員、同年6月取締役営業本部長を経て、2021年5月より現職。
中村 公亮 取締役最高財務責任者 2007年1月旧ベイカレント・コンサルティング入社。2015年5月同社取締役管理本部長を経て、2021年5月より現職。


社外取締役は、小路敏宗(弁護士・山下・柘・二村法律事務所パートナー)、佐藤真太郎(弁護士・佐藤真太郎法律事務所代表)、奥山芳貴(元野村證券フランス現地法人CEO)、糟谷祐一郎(公認会計士・糟谷公認会計士・税理士事務所代表)、藤本哲也(税理士・藤本哲也税理士事務所代表)、緑川芳江(弁護士・三浦法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容

同社グループは、「コンサルティング事業」を展開しています。

同社グループは、様々な業界のリーディングカンパニーに対し、戦略立案やデジタル技術の活用、オペレーションの改善など幅広いテーマを支援する総合コンサルティングサービスを提供しています。特定の企業グループに属さない中立的な立場から、クライアントの企業風土や価値観を理解した実現性の高い提案を行っています。

プロジェクトベースの支援が主な収益源であり、クライアント企業の経営課題解決に対するコンサルティング報酬を受け取っています。横断的で柔軟な組織構造を持ち、各課題に最適な専門性を有するチームを組成してサービスを提供しており、事業の運営は主にベイカレント・コンサルティングが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

同社の業績は過去5期にわたり一貫して力強い成長を続けています。デジタル化や企業変革の支援ニーズが高まる中、コンサルティングサービスへの需要拡大を的確に捉え、売上収益と利益の双方で大幅な増加を達成しています。利益率も継続的に高い水準を維持しており、成長性と高収益性を兼ね備えた事業展開を実現しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 576億円 761億円 939億円 1161億円 1483億円
税引前利益 215億円 299億円 342億円 425億円 510億円
利益率(%) 37.2% 39.3% 36.4% 36.7% 34.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 155億円 219億円 254億円 308億円 378億円


(2) 損益計算書

旺盛なコンサルティング需要を背景に売上収益と営業利益が大きく拡大しています。事業規模の拡大にともなう組織強化を進める中で、高い営業利益率を維持しており、効率的な事業運営と収益力の高さが窺えます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 1161億円 1483億円
売上総利益 373億円 332億円
売上総利益率(%) 32.2% 22.4%
営業利益 426億円 509億円
営業利益率(%) 36.7% 34.3%


販売費及び一般管理費のうち、採用費が65億円(構成比24%)、給与が25億円(同9%)を占めています。また、売上原価のうち、労務費が23億円(構成比74%)、経費が8億円(同26%)となっています。

(3) セグメント収益

同社はコンサルティング事業の単一セグメントで事業を展開しています。DXやAIを活用したビジネスプロセスの改革支援など、付加価値の高いサービス需要の増加を背景に、売上収益と利益がともに伸長しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
連結(合計) 1161億円 1483億円 426億円 509億円 34.3%


(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 326億円 376億円
投資CF -35億円 -65億円
財務CF -143億円 -194億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は35.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も78.5%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、様々な業界のリーディングカンパニーが抱える課題を解決し、成果を生み出すことでクライアントの持続的な発展に貢献し続けることをミッションとしています。また、パーパスに「Beyond the Edge - 変化の一番先に立ち、次への扉をともに開く。 -」を掲げ、顧客の成長への最大の貢献や、誰よりも付加価値を追求することを目指しています。

(2) 企業文化

ベストプラクティスの提示にとどまらず、固有の企業風土や価値観を共有して伴走する真のパートナーとしてクライアントを支援する文化があります。特定の企業グループに属さない中立的な立ち位置から、コンサルタントが多様な業界や領域のプロジェクトを経験し、高品質なサービスを提供するプロフェッショナルとしての成長を重んじています。

(3) 経営計画・目標

同社は新たな中期経営計画において、2025年2月期から2029年2月期にかけて年率平均20%を目安とした継続的な成長を実現することを目指しています。事業規模の拡大と高い収益性を両立させながら、継続的な成長基盤の構築に取り組んでおり、具体的な数値目標として以下を掲げています。

・2029年2月期売上収益:2,500億円
・EBITDAマージン:30~40%

(4) 成長戦略と重点施策

同社は成長戦略として「コアクライアント戦略の推進」「ケイパビリティの拡充」「優秀な人材の採用・育成」を進めています。クライアントの潜在的なニーズを捉えた高付加価値なサービスの提供に取り組むとともに、様々なバックグラウンドを持つ優秀な人材の採用と、個人の成長を引き出す育成に注力しています。また、積極的な人材投資を進めつつ、適切な稼働率を維持することで高収益の持続を目指しています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は公正な採用活動を基本方針とし、多様な人材の確保を進めています。社員が真のプロフェッショナルとして能力と人格の両面を磨き、社会のリーダーとして活躍できる人材へと成長するための育成体制を整えています。さらに、健康経営を重要な経営テーマと位置づけ、社員が安心して仕事に専念でき、いきいきと働くことができる環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 31.3歳 3.8年 13,310,922円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.4%
男性育児休業取得率 55.6%
男女賃金差異(全労働者) 17.8%
男女賃金差異(正規雇用) 22.5%
男女賃金差異(非正規) 76.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健康診断受診率(98.4%)、ストレスチェック受検率(96.7%)、所定外労働の発生率(2.3%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンサルティング人材の採用と育成の遅滞

コンサルティング業界における人材獲得競争が激化する中、優秀な人材の採用や育成が計画通りに進まない場合、競争力の低下やサービス品質の劣化を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 企業買収に伴うのれんの減損

過去の企業買収等に伴い計上されているのれんについて、将来の収益性が低下し投資効果が見込めなくなった場合、減損損失を計上する必要が生じ、同社の財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) クライアントの機密情報の漏洩

コンサルティングサービスの提供にあたり、クライアントの重要な機密情報や個人情報を取り扱うため、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏洩した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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