※本記事は、豊田合成の有価証券報告書(第103期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 豊田合成ってどんな会社?
セーフティシステム製品や内外装部品を中心に、グローバルで自動車部品を製造・販売しています。
■(1) 会社概要
同社は1949年に国華工業の第2会社として名古屋ゴムの名称で分離独立して創立され、1973年に現在の豊田合成へ社名を変更しました。1999年に東証一部に上場を果たし、近年では2025年11月に芦森工業の株式を追加取得し連結子会社化(2026年3月に完全子会社化)するなど、セーフティシステム事業のさらなる体制強化を推進しています。
現在の従業員数は連結で41,304名、単体で6,657名です。筆頭株主は事業会社のトヨタ自動車で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 21.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.76% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEOは齋藤克巳氏が務めています。取締役9名のうち4名が社外取締役であり、社外取締役比率は約44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋藤 克巳 | 取締役社長(代表取締役)CEO | 1988年同社入社。執行役員を経て、2023年6月より現職。 |
| 安田 洋 | 取締役副社長(代表取締役)COO CMO 総合戦略本部長 カーボンニュートラル・環境推進部担当本部長 内外次世代育成室担当 | 1982年同社入社。常務執行役員、専務執行役員を経て、2023年6月より現職。 |
| 宮﨑 直樹 | 取締役会長 | トヨタ自動車専務役員を経て2014年同社副社長。社長を経て、2024年6月より現職。 |
| 苗代 光博 | 取締役CTO 営業本部管掌 開発本部管掌 新価値事業本部管掌 | 1997年同社入社。執行役員を経て、2023年6月より現職。 |
| 蜂須賀 正義 | 取締役CFO 総合戦略本部副本部長 | 日本長期信用銀行、トヨタ自動車を経て2023年同社経理部長。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、和田節(元サンケン電気社長)、古川雅典(元多治見市長)、前田茂樹(元駐キルギス特命全権大使)、粟生万琴(LEO代表取締役CEO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」、「米州」、「欧州・アフリカ」、「中国」、「アジア」、「インド」の各地域を報告セグメントとして事業を展開しています。
■(1) 日本
自動車用セーフティシステム製品や内外装部品、機能部品、ウェザストリップ製品、管路更生工法用資機材などの製造・販売を行っています。主にトヨタ自動車等の完成車メーカーが顧客です。
同社および国内連結子会社(芦森工業など)を通じて顧客に製品を供給し、販売対価を受け取る収益モデルとなっています。
■(2) 米州
北中米地域において、セーフティシステム製品や内外装部品、ウェザストリップ製品などの自動車部品を製造・販売しています。現地の完成車メーカーが主な顧客です。
運営は主に豊田合成ノースアメリカなどの米州現地子会社が行っており、顧客からの製品販売による収益を得ています。
■(3) 欧州・アフリカ
欧州およびアフリカ地域における自動車部品の製造・販売を担っており、現地の自動車メーカー等に向けて製品を供給しています。
運営は豊田合成チェコなどの現地子会社が行い、製品販売によって収益を上げています。
■(4) 中国
中国市場において、各種自動車部品の製造・販売を行っています。急速に変化する現地市場の完成車メーカーなどが顧客です。
豊田合成(中国)投資や豊田合成(佛山)汽車部品などの現地子会社が事業を運営し、販売対価を得ています。
■(5) アジア
アセアンを中心としたアジア地域において自動車部品の製造・販売を展開しています。
運営は豊田合成アジアや豊田合成タイランドなどの現地子会社が行い、顧客への製品供給を通じて収益を獲得しています。
■(6) インド
成長市場であるインドにおいて、セーフティシステム製品や内外装部品などの製造・販売を行っています。
豊田合成ウノミンダインディアなどの現地子会社が運営を担い、販売対価を受け取る収益モデルです。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上収益が継続的に拡大し、順調なトップラインの成長を示しています。利益面では2023年3月期に一時的な減益となったものの、その後は収益性の改善が進み、直近の2026年3月期には税引前利益と当期利益ともに大幅な増益を達成しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 8,302億円 | 9,519億円 | 10,711億円 | 10,598億円 | 11,468億円 |
| 税引前利益 | 377億円 | 353億円 | 718億円 | 592億円 | 902億円 |
| 利益率(%) | 4.5% | 3.7% | 6.7% | 5.6% | 7.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 234億円 | 160億円 | 515億円 | 363億円 | 620億円 |
■(2) 損益計算書
直近の業績では、売上収益が前年比で増加したことに伴い、売上総利益および営業利益も大きく伸びています。特に営業利益率は前年の5.6%から6.9%へと上昇しており、収益力の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 10,598億円 | 11,468億円 |
| 売上総利益 | 549億円 | 658億円 |
| 売上総利益率(%) | 5.2% | 5.7% |
| 営業利益 | 598億円 | 796億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 6.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が74億円(構成比7%)、荷造運搬費が113億円(同11%)、研究開発費が94億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの売上および利益は全体的に増加傾向にあります。特に日本や米州、アジア、インド市場での増販効果や原価改善が利益成長を牽引しました。一方、中国市場では売上が減少しましたが、固定費の削減等により赤字幅が縮小しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 4,399億円 | 4,886億円 | 114億円 | 235億円 | 4.8% |
| 米州 | 4,039億円 | 4,284億円 | 342億円 | 350億円 | 8.2% |
| 欧州・アフリカ | 327億円 | 346億円 | 27億円 | 27億円 | 7.7% |
| 中国 | 949億円 | 908億円 | -72億円 | -21億円 | -2.3% |
| アジア | 1,386億円 | 1,539億円 | 142億円 | 149億円 | 9.7% |
| インド | 424億円 | 519億円 | 44億円 | 58億円 | 11.1% |
| 連結(合計) | 10,598億円 | 11,468億円 | 598億円 | 796億円 | 6.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、その資金で借入の返済と将来への投資を手元資金で賄っている健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 920億円 | 1,317億円 |
| 投資CF | -718億円 | -496億円 |
| 財務CF | -507億円 | -709億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「限りない創造 社会への奉仕」という社是のもとに経営理念を掲げています。社会・株主・顧客・仕入先・従業員等のあらゆるステークホルダーに信頼される企業として発展成長することを目指し、事業活動を通じた社会への貢献や持続的な成長を追求しています。
■(2) 企業文化
労使相互信頼・責任を基本に、一人ひとりの個性を尊重するとともに、チームワークによる総合力を高め、活力と働きがいのある企業風土の実現を重視しています。また、法令遵守や企業倫理の徹底に向けた体制構築など、適正な事業活動を行う文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
「2030事業計画」において、社会的価値と経済的価値の両立による持続的な成長を目指しています。資本効率の向上と株主還元にも注力しており、具体的な数値目標としてROE10%の持続的な達成を掲げています。また、独自指標であるTG-ROICを活用した効率的な事業運営を進めています。
* ROE10%
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略として、国内外の環境変化に合わせた経営資源の積極的な投入を掲げています。セーフティシステムおよび内外装部品を重点事業と定め、成長性の高い北米、インド、ブラジル等の地域へ投資を継続し、幅広い顧客への拡販をグローバルで加速させることで強靭な事業ポートフォリオへの変革を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
2030事業計画の実現に向け、「多様な人材のウェルビーイングの実現」と「成長に向けたリソーセス確保」をテーマとする人材戦略を進めています。従業員一人ひとりが輝ける居場所・舞台づくりを通じてエンゲージメントを向上させ、イノベーションの源泉となる組織力の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.1歳 | 20.2年 | 7,453,067円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.0% |
| 男性育児休業取得率 | 82.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 79.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 78.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 81.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、サーベイスコア肯定率結果(61%)、平均残業時間(15.9H/月・人)、年休取得率(94%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 国際的活動および海外進出に潜在するリスク
日本をはじめとする各地域での事業展開において、予期しえない法規制の変更、不利な政治的・経済的要因の発生、社会的共通資本の未整備、地政学的リスクによる社会的または経済的混乱などが業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 災害や停電等による影響
生産施設で発生する災害や停電、または調達先や納入先での災害発生による影響を受けるリスクがあります。特に、国内工場や仕入先が多く所在する中部地方において大規模な災害が発生した場合、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 退職給付債務による影響
従業員退職給付費用や退職給付債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されており、実際の金利水準の変動や制度資産の運用利回りが悪化した場合に、財政状態および経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。



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