アイダエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイダエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のアイダエンジニアリングは、プレス機械を中心とする成形システムビルダとして、自動装置やロボット等の製造・販売・サービスをグローバルに展開しています。2025年3月期は、中・大型プレス機やサービス売上が好調に推移し、売上高は前期比4.5%増、営業利益は53.0%増の増収増益を達成しました。


※本記事は、アイダエンジニアリング株式会社 の有価証券報告書(第90期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイダエンジニアリングってどんな会社?


プレス機械を主力とする成形システムビルダとして、金属加工機械や自動装置の開発・製造・販売・サービスをグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1917年に東京都墨田区で会田鉄工所として創業し、プレス機械製造を開始しました。1959年に神奈川県相模原市に工場を新設し、1962年に東京証券取引所市場第二部に上場しました。1970年に現社名へ変更し、翌年には市場第一部へ昇格しました。2017年には産業機械用駆動装置を扱う日本リライアンスを子会社化しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は1,958名、単体では806名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行、第3位は生命保険会社の第一生命保険となっており、主に金融機関や機関投資家が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.78%
日本カストディ銀行 (信託E口) 7.03%
第一生命保険 4.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名、計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は鈴木利彦氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木 利彦 代表取締役社長開発本部長 2011年入社。技術本部長、営業本部長、生産本部長等を歴任。2020年代表取締役副社長、2023年4月より社長および最高経営責任者(CEO)。
会田 仁一 代表取締役会長 1976年入社。1992年取締役社長、2001年最高経営責任者(CEO)を経て、2018年6月より現職。
鵜川 裕光 取締役管理本部長 1984年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2014年同社入社、管理本部財経部長、常務執行役員等を経て、2020年6月より現職。
ヤップ テック メン 取締役 1996年現地法人入社。2007年執行役員、2010年常務執行役員を経て、2013年6月より現職。


社外取締役は、五味廣文(元金融庁長官)、望月幹夫(元IHI取締役)、井口功(元三菱電機専務執行役)、五味廣文(元金融庁長官)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「中国」「アジア」「米州」「欧州」の各セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


プレス機械や自動装置等の製造・販売およびサービスを行っています。国内市場向けのほか、海外市場への製品輸出も担当しており、同社グループの中核を担うセグメントです。

製品やサービスの提供対価として顧客から収益を得ています。運営は主にアイダエンジニアリングが行っており、その他事業として産業機械用駆動装置を扱うREJも含まれています。

(2) 中国


中国市場において、プレス機械および関連製品の製造・販売・サービスを展開しています。現地の製造拠点から製品を供給する体制を構築しています。

製品販売およびメンテナンス等のサービス提供により収益を得ています。運営は、製造を担う会田鍛圧机床有限公司や、販売・サービスを担う会田工程技術有限公司などが行っています。

(3) アジア


シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア等、アジア地域におけるプレス機械の製造・販売・サービスを行っています。多様な市場ニーズに対応した製品供給を行っています。

顧客からの製品代金およびサービス料が主な収益源です。運営はアイダエンジニアリング(M) SDN.BHD.(製造・サービス)やアイダグレイターアジア PTE.LTD.(販売・サービス)などが行っています。

(4) 米州


アメリカ、カナダ、メキシコ等を含む米州地域で、プレス機械の製造・販売・サービスを展開しています。北米を中心とした自動車産業等の需要に対応しています。

製品の販売代金およびアフターサービス等の対価を収益としています。運営はアイダアメリカ CORP.(製造・販売・サービス)などが担当しています。

(5) 欧州


イタリア、ドイツ等を含む欧州地域において、プレス機械の製造・販売・サービスを行っています。現地の技術力を活かした製品展開を行っています。

製品およびサービスの提供対価として顧客から収益を得ています。運営はアイダ S.r.l.(製造・販売・サービス)やアイダジャーマニー GmbH(販売・サービス)などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、第86期の581億円から第90期には760億円まで拡大しています。利益面では第87期、第88期に一時的な落ち込みが見られましたが、その後回復し、第90期は経常利益56億円、当期純利益41億円と大きく伸長しました。利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 581億円 625億円 688億円 727億円 760億円
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 37億円 24億円 17億円 36億円 56億円
利益率(%) 6.5% 3.9% 2.5% 4.9% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 44億円 -0.1億円 13億円 13億円 41億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で約33億円増加し、760億円となりました。売上原価の増加を抑えつつ増収を達成したことで、売上総利益は24億円増加し、売上総利益率は21.1%に向上しました。これにより営業利益は前期の36億円から55億円へと大幅に増加し、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 727億円 760億円
売上総利益 137億円 160億円
売上総利益率(%) 18.8% 21.1%
営業利益 36億円 55億円
営業利益率(%) 5.0% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が33億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が4億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントは売上が30億円増加し、利益も倍増以上の28億円となりました。米州セグメントも増収増益で好調です。一方、中国セグメントは売上が減少しましたが、利益率は改善しています。アジア、欧州セグメントは利益が減少しており、地域によって業績の明暗が分かれる結果となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 235億円 265億円 11億円 28億円 10.6%
中国 114億円 106億円 8億円 8億円 7.9%
アジア 71億円 72億円 12億円 5億円 7.0%
米州 154億円 180億円 4億円 13億円 7.2%
欧州 154億円 137億円 3億円 2億円 1.5%
連結(合計) 727億円 760億円 36億円 55億円 7.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アイダエンジニアリングは、営業活動により資金を創出し、投資活動や財務活動に充当しています。当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益や売上債権の減少などが営業活動による資金の増加に寄与しました。一方で、定期預金の預入が投資活動による資金の支出を増加させました。また、自己株式の取得や配当金の支払いが財務活動による資金の支出を増加させる要因となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 32億円 65億円
投資CF -20億円 -18億円
財務CF -11億円 -38億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「成形システムビルダとして発展し、人と社会に貢献する」ことを企業理念として掲げています。この理念に基づき、金属をはじめとする各種素材に対応する独創的な成形システムの開発・製造・販売・サービスを通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーと長期的な信頼関係を構築し、社会への貢献を実現していく方針です。

(2) 企業文化


同社は、従業員を最も重要な財産と位置づけ、「働きがい」向上のための環境整備を継続する文化を持っています。多様な人財の活用や「働き方の多様化」を推進し、従業員の能力を最大限に引き出すことを重視しています。また、健康経営にも注力しており、「こころ」と「からだ」の健康増進に向けた取り組みが評価され、健康経営優良法人に認定されるなど、人を大切にする企業風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は2023年度より新たな中期経営計画(2023年度~2025年度)をスタートさせています。最終年度となる2025年度に向けて、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:780億円
* 営業利益:58億円
* ROE:8%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「事業ポートフォリオの変革」「新たな付加価値の創出」「経営基盤の強化」等を基本施策として展開しています。具体的には、EV化に伴う自動車部品構成の変化に対応し、高速プレス機や環境関連製品へのシフトを進めています。また、DX・AIを活用した予兆診断や生産性向上ソリューションの提供により、サービス事業の拡大を図ります。さらに、米国自動機メーカーの買収を通じて北米での事業拡大を目指すなど、グローバルな競争力強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人財こそが最も重要な財産」と位置づけ、従業員が能力を最大限発揮できる環境整備を継続しています。成熟分野から成長分野へのリソースシフト支援や、DX人財育成のための社内リスキリング研修などを積極的に実施し、専門性の向上を図っています。また、中途採用者、女性、外国人、シニアなど多様な人財の活用・登用を進めるとともに、「働き方の多様化」を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.0歳 15.5年 6,228,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.6%
男女賃金差異(正規) 70.0%
男女賃金差異(非正規) 57.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員採用者数に占める女性割合(24.0%)、有給休暇の取得率(63.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国際的活動及び海外進出について


同社グループは世界各国で生産・販売活動を行っています。海外市場への進出には、予期しない政策や規制の変更、急激な為替変動、テロや疫病、戦争による社会的混乱などのリスクが内在しており、現地の状況によっては業績や財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

(2) 特定業種(自動車産業)への依存度


同社グループの製品売上高の多くを自動車産業向けが占めています。そのため、自動車業界の好不況や設備投資動向の影響を受けやすく、同業界の需要が大幅に変動した場合、同社グループの事業、業績および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料仕入価格の変動について


主要製品であるプレス機械等の主材料は鋼材をはじめとする鉄鋼製品です。これらの原材料価格に大幅な変動が生じた場合、製造コストの上昇などを通じて、同社グループの業績および財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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