コジマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コジマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、家庭用電化製品等の販売を主要事業とする企業です。直近の業績は、携帯電話やエアコンの販売が好調に推移し、売上高は前期比4.8%増、経常利益は同16.7%増と増収増益を達成しました。ビックカメラグループの一員として、店舗網の再編やEC事業の強化を推進しています。


※本記事は、株式会社コジマ の有価証券報告書(第63期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コジマってどんな会社?


同社は「くらし応援コジマ」を掲げ、北は北海道から南は沖縄まで全国に店舗網を持つ家電量販店です。

(1) 会社概要


1963年に小島電機として設立され、1993年に現商号へ変更しました。1996年に東証二部に上場し、1998年には東証一部(現プライム市場)へ指定替えとなりました。2012年にビックカメラと資本業務提携契約を締結して同社の子会社となり、現在はグループの相乗効果を活かした事業運営を行っています。

直近の従業員数は単体で2,919名です。筆頭株主は同社の親会社にあたる家電量販店のビックカメラで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。安定した資本関係のもと、地域密着型の店舗運営とグループ連携を進めています。

氏名 持株比率
ビックカメラ 50.44%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.25%
小島章利 3.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長社長執行役員は中澤裕二氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中澤 裕二 代表取締役社長社長執行役員 1995年入社。店舗店長、営業本部営業企画・管理部長等を経て2020年11月より現職。ビックカメラ取締役を兼務。
荒川 忠士 代表取締役専務専務執行役員経営企画本部長 1991年入社。情報システム本部長、経営企画室長等を経て2020年9月より現職。
紫藤 竜二 取締役常務執行役員総務人事本部長兼内部統制担当 1995年入社。店舗店長、営業本部ブロックマネージャー等を経て2025年9月より現職。
久保田 一史 取締役執行役員営業本部長 1997年入社。店舗店長、営業本部開発部長等を経て2025年9月より現職。
秋保 徹 取締役 1997年ビックカメラ入社。同社取締役常務執行役員等を経て2022年11月より現職。ビックカメラ代表取締役社長を兼務。
水沼 貞夫 取締役(監査等委員) 1993年入社。店舗店長、総務人事本部総務人事部長等を経て2017年11月より現職。


社外取締役は、相澤光江(TMI総合法律事務所パートナー)、土井充(中和有限責任監査法人代表社員)、髙井章光(髙井総合法律事務所代表パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物品販売事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) 物品販売事業


家庭電化商品、音響映像商品、情報通信機器商品などの家電製品全般を、一般消費者向けに販売しています。全国に展開する実店舗およびECサイト「コジマネット」を通じて商品を提供し、顧客の快適な生活をサポートしています。

収益は、顧客への商品販売代金や配送設置料、修理代金などが主な源泉です。運営は同社が行っており、親会社であるビックカメラとの連携により、商品仕入や物流面での効率化を図っています。

(2) その他の事業


物品販売事業に付随する不動産賃貸業などを展開しています。保有する店舗物件の一部をテナントへ賃貸することなどが含まれます。

収益は、テナントからの賃貸料収入などが主な源泉です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2,600億円台後半から2,800億円台で推移しており、底堅い動きを見せています。経常利益については、一時的に50億円台へ低下した時期もありましたが、直近では77億円まで回復し、利益率も改善傾向にあります。当期純利益も増益基調を維持しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 2,975億円 2,794億円 2,679億円 2,699億円 2,828億円
経常利益 92億円 85億円 51億円 66億円 77億円
利益率(%) 3.1% 3.1% 1.9% 2.5% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 63億円 58億円 29億円 40億円 47億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は約27%の水準を維持しており、安定した収益性を確保しています。営業利益も増加しており、増収効果が利益面に波及しています。全体として堅調な収益構造となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 2,699億円 2,828億円
売上総利益 742億円 768億円
売上総利益率(%) 27.5% 27.2%
営業利益 64億円 73億円
営業利益率(%) 2.4% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が120億円(構成比17%)、運送費が110億円(同16%)、地代家賃が90億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の物品販売事業は、携帯電話やエアコン、住宅設備関連の販売が好調で増収となりました。その他の事業は微減となりましたが、全体への影響は限定的です。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期)
物品販売事業 2,684億円 2,814億円
その他の事業 14億円 14億円
連結(合計) 2,699億円 2,828億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持し、利益計上に伴う資金流入がありました。投資活動では有形固定資産の取得等でマイナスとなり、財務活動では長期借入による収入が支出を上回りプラスとなりました。全体として、営業で稼いだ資金と調達した資金を投資に回す積極的な姿勢が見られます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 132億円 40億円
投資CF -11億円 -30億円
財務CF -17億円 11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」をパーパスとして掲げています。また、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンとし、地域から最も身近で愛され、必要とされる企業の実現を目指しています。

(2) 企業文化


従業員一人ひとりが自主性・主体性を持って取り組み、いきいきと働ける職場環境を整えることを重視しています。お客様の潜在ニーズを汲み取る提案力を高めるため、接客に集中できる環境づくりや従業員エンゲージメントの向上を推進しており、全部門が連携して「くらし応援」の姿勢を体現する風土があります。

(3) 経営計画・目標


5ヵ年の中期経営計画を策定し、その遂行を通じて経営目標の達成を目指しています。

* 営業利益 90億円

(4) 成長戦略と重点施策


「生産性向上戦略」と「成長戦略」の2大戦略を推進しています。生産性向上においては、営業利益の向上や人的資本経営の推進、事業継続基盤の確立に取り組みます。成長戦略としては、自社ブランド強化による店舗での販売力向上に加え、EC事業、法人事業、住設事業の3つの成長事業への継続投資を行い、収益拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員エンゲージメント」の向上を重視し、活躍できる人財の育成や健康経営を推進しています。具体的には、理念研修や階層別研修などの教育プログラムの充実、資格取得支援、接客技術の向上に向けた研修センターの活用などを行い、自律的に成長できる環境づくりと専門性の強化に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 41.2歳 16.9年 5,518,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%
男性育児休業取得率 82.1%
男女賃金差異(全労働者) 50.4%
男女賃金差異(正規) 83.6%
男女賃金差異(非正規) 86.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均残業時間(15.6時間)、有給休暇取得率(64.1%)、離職率(3.85%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 同業他社との競争激化


家電小売業界では低価格競争が激しく、厳しい経営環境が続いています。同社は収益改善や生活提案力の強化を進めていますが、他社との競争激化や消費低迷により、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) 季節商品の販売変動


冷夏や暖冬などの異常気象により、エアコン等の季節商品の需要が大きく変動することがあります。需要が著しく低下した場合、売上高の減少などにより、同社の業績に影響を与える可能性があります。

(3) 法的規制への対応


大規模小売店舗立地法や景品表示法、下請法などの法的規制の適用を受けています。従業員の錯誤等により法令違反が生じた場合、課徴金の納付や社会的信用の失墜を招き、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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