※本記事は、株式会社フタバ産業 の有価証券報告書(第111期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フタバ産業ってどんな会社?
フタバ産業は、自動車のマフラーやボデー部品を主力とする部品メーカーです。トヨタ自動車の関連会社として強固な基盤を持ち、グローバルに事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1945年、当時の技術者の成型・複合技術を活かし、魚網編機やパイプ製家具等のモノづくりから創業しました。1948年には自動車部品の生産を開始し、1969年には自動車マフラー専門工場を新設するなど事業を拡大しました。1986年には東京証券取引所及び名古屋証券取引所の市場第一部に上場を果たし、1990年代以降は米国、英国、中国などへ積極的に海外進出を進めています。
2025年3月31日現在、同社グループは連結従業員数10,480名、単体従業員数3,812名を擁する企業規模です。筆頭株主は、主要な販売先でもあるトヨタ自動車で31.41%を保有しています。第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は取引先持株会であるフタバ協力会持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 31.41% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.18% |
| フタバ協力会持株会 | 3.79% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名(社外取締役および社外監査役含む)の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は魚住吉博氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 魚住 吉博 | 代表取締役社長 | トヨタ自動車にて元町工場長、常務役員、中国本部副本部長などを歴任。2021年よりフタバ産業執行役員、2022年6月より現職。 |
| 横田 利夫 | 代表取締役 | 1987年フタバ産業入社。排気系開発部長、技術本部長、事業開発本部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 今井 英樹 | 取締役 | トヨタ自動車入社後、同社財務部部長、経理部部長、経理・財務本部長などを歴任。2025年4月より現職。 |
社外取締役は、市川昌好(元豊田合成取締役副社長)、宮島元子(弁護士)、宮部義久(トヨタ自動車元町工場長)、山本英男(元小糸製作所常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「欧州」「中国」「アジア」の5つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
国内においては、自動車等車両部品、環境機器部品および外販設備等の製造販売を行っています。自動車部品では排気系部品やボデー系部品が主力であり、環境機器部品では農業用機器なども手掛けています。
収益は主に自動車メーカー等への製品販売から得ています。運営はフタバ産業および株式会社フタバ九州などの国内連結子会社が行っています。
■(2) 北米
北米地域(米国、カナダ)において、自動車等車両部品の製造販売を行っています。現地の自動車メーカー工場向けに、マフラーや車体部品などを供給しています。
収益は現地の自動車メーカー等への製品販売から得ています。運営はフタバノースアメリカE&M株式会社、FICアメリカ株式会社、FIOオートモーティブカナダ株式会社などの現地法人が行っています。
■(3) 欧州
欧州地域(英国、チェコ)において、自動車等車両部品の製造販売を行っています。地域の需要に合わせた自動車部品の生産体制を構築しています。
収益は現地の自動車メーカー等への製品販売から得ています。運営はフタバマニュファクチャリングUK株式会社およびフタバチェコ有限会社などの現地法人が行っています。
■(4) 中国
中国地域において、自動車等車両部品の製造販売を行っています。広州や天津などに拠点を持ち、成長する中国自動車市場向けに製品を供給しています。
収益は現地の自動車メーカー等への製品販売から得ています。運営は双叶(天津)企業管理有限会社、天津双叶協展機械有限会社、広州双叶汽車部件有限会社などの現地法人が行っています。
■(5) アジア
アジア地域(インド、インドネシア等)において、自動車等車両部品の製造販売を行っています。新興市場での需要獲得に向けた生産活動を行っています。
収益は現地の自動車メーカー等への製品販売から得ています。運営はFMIオートモーティブコンポーネンツ株式会社および株式会社フタバインダストリアルインドネシアなどの現地法人が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年3月期まで増加傾向にありましたが、2025年3月期は減少に転じました。利益面では、2024年3月期に大きく伸長しましたが、2025年3月期は減益となっています。利益率は1%~2%台で推移しており、薄利多売の傾向が見られます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,668億円 | 5,721億円 | 7,081億円 | 7,958億円 | 7,071億円 |
| 経常利益 | 80億円 | 78億円 | 78億円 | 185億円 | 133億円 |
| 利益率(%) | 1.7% | 1.4% | 1.1% | 2.3% | 1.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 27億円 | 57億円 | 107億円 | 128億円 | 62億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しました。利益面では、売上総利益率、営業利益率ともに低下しており、収益性がやや低下している状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,958億円 | 7,071億円 |
| 売上総利益 | 475億円 | 458億円 |
| 売上総利益率(%) | 6.0% | 6.5% |
| 営業利益 | 192億円 | 152億円 |
| 営業利益率(%) | 2.4% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が102億円(構成比33%)、運賃及び荷造費が69億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全ての地域セグメントで売上高が前期を下回りました。特に日本、欧州、中国での減収幅が大きくなっています。利益面では、欧州やアジアで増益となりましたが、主力の日本セグメントで大幅な減益となり、全体として減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 3,567億円 | 3,174億円 | 98億円 | 59億円 | 1.9% |
| 北米 | 2,228億円 | 2,063億円 | 35億円 | 27億円 | 1.3% |
| 欧州 | 745億円 | 616億円 | 21億円 | 25億円 | 4.0% |
| 中国 | 833億円 | 705億円 | 22億円 | 23億円 | 3.2% |
| アジア | 585億円 | 513億円 | 14億円 | 19億円 | 3.7% |
| 連結(合計) | 7,958億円 | 7,071億円 | 192億円 | 152億円 | 2.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
フタバ産業は財務体質強化のため、有利子負債の削減と自己資本比率の向上に取り組んでいます。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少等により、前年度に比べ大幅に減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得支出の増加等により、前年度に比べ支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の増加等により、前年度に比べ支出が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 574億円 | 248億円 |
| 投資CF | -162億円 | -232億円 |
| 財務CF | -277億円 | -104億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「環境」「安心」「豊かな生活」の分野で価値を提供していくことをミッションとしています。外部環境が複雑化し変化する中でも、従業員一人ひとりが能力を発揮しグループ一丸となって取り組む「全員活躍」の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「Purpose(存在意義)」「Mission(使命)」「Values(価値観)」に基づき、共に働く仲間が共感し新しい価値の創出に挑戦する文化を重視しています。創業時の厳しい環境下で培われた、技術者の持つ成型・複合技術を活かしたモノづくりの精神が根底にあります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、企業価値向上に向け、売上高、営業利益率、ROEを重要な経営指標としています。2025~2027年度を計画期間とする中期経営計画では、以下の目標を設定しています。
* 営業利益率(支給品を除く売上高):5.0%
* ROE:10.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
2025年度から2027年度の中期経営計画を成長投資の期間と位置付け、2030年のグローバルでの安定的成長を目指しています。ボデー系部品の売上拡大や排気系部品の電動化対応、新規事業の早期事業化、インド事業の拡大などを推進します。また、稼ぐ力の強化やカーボンニュートラルへの対応も重要課題としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「全員活躍」を掲げ、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりを進めています。「一人ひとりの強み」「働きがいの向上」「チャレンジ」を柱とし、「人材マネジメント改革」や「人事制度改革」を通じて、適材適所での配置や多様な人材の採用・育成を推進しています。また、健康経営にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.6歳 | 15.6年 | 6,755,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.8% |
| 男性育児休業取得率 | 70.7% |
| 男女賃金差異(全従業員) | 72.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 76.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主要な得意先への依存
同社グループの売上高の大半は自動車部品が占めており、特にトヨタ自動車への依存度が高くなっています。同社の生産動向や購買政策の変更などが生じた場合、グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(2) 資材調達に関するリスク
生産に必要な資材の調達において、需給状況の変化などにより、安定的な調達が困難になったり、価格が高騰したりする場合、グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 海外事業展開のリスク
海外での生産拠点拡充に伴い、各国の法律・規制の変更、政治・経済情勢の変動、金利・為替などの市場動向の影響を受ける可能性があります。特に米国やカナダに主要な製造拠点を有しているため、関税政策の変更などが経営成績に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。