※本記事は、丸紅株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
丸紅は、国内外のネットワークを通じて、輸出入や国内取引、各種サービス業務、内外事業投資、資源開発など多角的な事業活動を展開する総合商社です。ライフスタイルから食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメントといった広範な分野で事業を展開しています。
単体従業員数は4,225名、連結従業員数は52,658名です。同社グループのオペレーティング・セグメントは、ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメントの10です。
主な国内グループ会社は、子会社などです。
当連結会計年度より、丸紅グループはオペレーティング・セグメントを再編し、10のセグメント体制となりました。また、国内不動産事業を第一生命ホールディングス株式会社と統合しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
丸紅は、グローバルに多角的な事業を展開する総合商社として、多様な専門性を持つ人材が活躍できる環境を提供しています。社員一人ひとりの成長と組織の戦略実行力を重視し、長期的なキャリア形成を支援する働き方が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
丸紅では、社員の定着性が高く、長期的なキャリアを築く傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、安定した組織基盤を形成していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 17,843,699円 |
| 平均勤続年数 | 17.8年 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 単体従業員数 | 4,225人 |
| 連結従業員数 | 52,658人 |
| 単体のグループ内比率 | 8.0% |
同社および一部の連結子会社は、確定給付企業年金法に基づくキャッシュバランスプランやその他の確定給付型企業年金制度を設けており、ほぼ全ての従業員が対象となっています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は2,851億円、年金資産は3,284億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
丸紅は、人材を同社グループの最大の資本であり、価値創造の原動力と位置付けています。中期経営戦略「GC2027」では、「Global crossvalue platformの追求」を成長ドライバーの一つとし、「グループ人財戦略の強化」に取り組んでいます。これは、事業経営人材による「勝ち筋の実践」と事業投資人材による「勝ち筋の伝搬」を通じて、グループ全体の価値創造力を高めることを目指すものです。
人事制度においては、「ミッションを核とする人事制度」を導入し、「ミッション本位・実力本位」の徹底を図っています。社員一人ひとりが自らのミッションに挑戦し成長を続ける仕組みを講じるとともに、グループ全体で実力本位の適材適所を追求しています。報酬は、基本報酬と変動報酬で構成され、基本報酬はミッションの大きさに応じた処遇上の資格(Zone・Band)に基づいて決定されます。変動報酬は、基本報酬に全社業績と個人の前年度評価に応じた比率を乗じて決定される仕組みです。
また、社員が株主と同じ目線に立ち企業価値向上に邁進するため、従業員持株会を通じた自社株式保有を推進し、業績連動の特別奨励金制度も設けています。人財の成長を加速させるため、現場での経験伝承を重視する「On the Job Training」と、新たな知識・スキル獲得のための「Off the Job Training」を組み合わせています。さらに、組織を超えた人材のつながりを強化するため、「丸紅キャリアマーケット」や、就業時間の15%をグループの価値向上に繋がる活動に充当できる「15%ルール」といったオープンイノベーションを促す仕組みも導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異については、管理職に占める女性比率が少ないことや、従来の職掌区分における女性比率の高さが主な要因として挙げられています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 男性育児休業等取得率 | 91.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 61.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 48.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 丸紅ファッションリンク
管理職に占める女性比率が少ない又はいないこと、及びパート・有期労働者では元役職者の継続雇用嘱託社員の多くが男性であることが賃金差異の主な要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.8% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 67.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 60.4% |
▼ 丸紅インテックス
管理職に占める女性比率が少ない又はいないこと、及びコース別人事制度を採用しており、主に事務・実務を担う原則転居を伴う転勤のないコースの女性比率が高いことが賃金差異の主な要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.3% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 62.6% |
▼ 丸紅フォレストリンクス
管理職に占める女性比率が少ない又はいないこと、及びコース別人事制度を採用しており、主に事務・実務を担う原則転居を伴う転勤のないコースの女性比率が高いことが賃金差異の主な要因です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.6% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 64.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 64.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 59.5% |
多彩な人財が「集う」
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性採用比率(新卒) | 42.3% |
| 女性採用比率(新卒+キャリア採用) | 39.0% |
| 女性正社員比率 | 31.0% |
| 自己都合離職率 | 1.3% |
多彩な人財が「活きる」
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントサーベイスコア | 63.1 |
| エンゲージメントサーベイスコアが高い組織割合 | 67.0% |
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 会社法上の役員に占める女性比率 | 31.3% |
多彩な人財が「繋がる」
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| クロスバリューコイン付与件数 | 669件 |
| M-Alumni累計登録者数 | 484名 |
健康経営
健康問題による出勤時の生産性低下率(プレゼンティーズム)は、ストレスチェックの東大1項目版への回答結果の平均値を算出し、100%から減算したものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 定期健康診断受診率(国内勤務者) | 100% |
| 定期健康診断受診率(海外勤務者) | 99.6% |
| ストレスチェック受検率 | 98.7% |
| 健康問題による出勤時の生産性低下率(プレゼンティーズム) | 17.6% |
ワークライフマネジメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 71.4% |
| 育児休業等取得率(男性) | 91.9% |
| 育児休業等取得率(女性) | 95.3% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
丸紅は、国内外の広範なネットワークを通じて、多角的な事業活動を展開する総合商社です。ライフスタイルから次世代事業開発まで、幅広い分野で輸出入、国内取引、各種サービス、事業投資、資源開発などを手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、国内外のネットワークを活かし、多岐にわたる商品やサービスを提供しています。輸出入や国内取引に加え、各種サービス業務、内外事業投資、資源開発といった多角的な事業活動を展開し、収益を得ています。連結子会社324社、関連会社等153社、合計477社から構成されており、幅広い分野で事業を推進しています。特定の顧客への収益集中は見られません。
同社グループの事業は、ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメントの10のオペレーティング・セグメントに分類されています。当連結会計年度の収益は、食料・アグリ、エネルギー・化学品、金属の各セグメントが特に大きな割合を占めています。
食料・アグリ
農業、肥料、基礎食品、飲料、畜水産、穀物等、農業と食に関する多様な商品・サービスを展開しています。原料調達から高付加価値商品の生産・加工・卸までサプライチェーン全体で事業を展開し、農業資材販売及び食品製造・マーケティング事業を推進しています。収益は、食料・アグリ関連商材のトレード、農業資材販売、食品製造・マーケティング事業から得ています。運営は、Helena Agri-Enterprises、ADUBOS REAL、MacroSource、Bubbies、Olympus Holdingなどが行っています。当期は国内鶏肉事業や米国肥料卸売事業の増益により、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加しました。
エネルギー・化学品
天然ガス事業、石油・ガス開発・生産、石油・LPGのトレード・物流・マーケティング、原子力事業、環境価値の開発・売買等の幅広いエネルギー関連事業を展開しています。化学品領域では、石油化学品や工業塩等の川上分野からディスプレイ・半導体・電池材料等のエレクトロニクス分野、スペシャリティケミカル分野まで、幅広い領域で製品・サービスを提供しています。収益は、エネルギー関連事業、化学品関連製品・サービスの提供から得ています。運営は、丸紅ケミックス、丸紅プラックスなどが行っています。当期はカタールLNG事業終了に伴う為替換算調整勘定の実現益の反動や石油・ガス開発事業における評価損などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少しました。
金属
鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源の海外開発事業、及び鉄鋼製品全般・非鉄軽金属の製造・加工・販売、原料資源やセメント関連資材の売買、鉄・非鉄軽金属・EV用バッテリーのリサイクル等を行っています。収益は、金属資源の開発、鉄鋼・非鉄軽金属製品の製造・加工・販売、トレード、リサイクル事業から得ています。運営は、丸紅テツゲン、丸紅メタル、Marubeni LP Holdingなどが行っています。当期は商品価格の上昇に伴うチリ銅事業の増益などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加しました。
エアロスペース・モビリティ
航空機・防衛宇宙関連機器・建設機械・鉱山機械・自動車等の輸出入、及びこれらの多様な商材を取り扱う卸売・小売・製品開発・各種サービス等の分野への事業展開・投融資を行っています。貨物船・タンカー・LNG船等各種船舶の取引仲介・ファイナンス、保有・運航・管理等の事業も展開しています。収益は、航空機・モビリティ関連機器のトレード、リース、サービス、船舶関連事業から得ています。運営は、丸紅アビエーション、Aircastle、MAI Holding、Westlake Services、Nowcom、Nowlake Technology、MAI Holding Ⅳ、Wheels Topco、MARUBENI FUYO AUTO INVESTMENT (CANADA)、The Driving Force、MAIHO Ⅲ、XL Parts、TPH Holdings、Automotive Parts and Services Holdings、Gearbulk、LGMなどが行っています。当期は船舶保有運航事業の減益などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少しました。
ライフスタイル
アパレル、服飾雑貨、生活用品、ゴム、産業資材、繊維資材、コンベヤベルト、タイヤ、チップ、パルプ、紙・板紙製品、衛生用品、スマートデバイス等多岐にわたる商品を取り扱っています。企画・製造・卸売/小売販売から事業投資・運営まで様々な事業を展開しています。収益は、多岐にわたるライフスタイル関連商品のトレード、製造、小売、事業投資から得ています。運営は、丸紅インテックス、丸紅テクノラバー、丸紅ファッションリンク、丸紅コンシューマーブランズ、SAIDE GROUP DIS TICARET、MRGB Holdなどが行っています。当期は豪州チップ製造販売・植林事業やムシパルプ事業の減益などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少しました。
電力・インフラサービス
電力卸売・小売事業、再エネ・蓄電池等の分散型電源事業、水・鉄道の運営保守事業等を行う電力・インフラサービス事業を展開しています。発電・水・ガス・交通等の開発・投資・事業管理を行うインフラ事業、アンモニアやSAFの製造・トレード等の新エネルギー事業、及びインフラ資産を対象としたファンド運営事業も手掛けています。収益は、電力・インフラ関連サービスの提供、事業投資、ファンド運営から得ています。運営は、丸紅新電力、SmartestEnergy、Senoko Energy、Maynilad Water Services、Southern Cone Waterなどが行っています。当期は電力卸売・小売事業の減益やインドネシア地熱発電事業投資の減損損失などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が減少しました。
情報ソリューション
ICT分野ではシステムソリューション事業、ネットワーク事業等、物流分野ではフォワーディング事業、物流センター運営事業等、デジタル技術を活用した多様なサービスを提供しています。収益は、ICT関連サービス、物流関連サービスから得ています。運営は、丸紅I-DIGIOホールディングス、ドルビックスコンサルティングなどが行っています。当期はIT・デジタルソリューション事業の増益により、親会社の所有者に帰属する当期利益が増加しました。
次世代事業開発
医薬品・医療機器、医療サービス、卓越技術、次世代産業基盤、DX・ITサービス、ビューティー・パーソナルケア、コンシューマーブランド、産業機械、電子部品ディストリビューション、エンターテインメント・コンテンツ等、今後飛躍的な市場成長が見込まれる領域で事業投資・事業開発を推進しています。収益は、成長領域における事業投資、医薬品販売、電子部品ディストリビューション、ビューティー・パーソナルケア事業などから得ています。運営は、丸紅グローバルファーマ、丸紅ファーマシューティカルズ、Lunatus Marketing & Consulting、Phillips Healthcareなどが行っています。当期は電子部品関連事業取得に伴う負ののれん発生益や医薬品販売事業の増益により、親会社の所有者に帰属する当期利益が大幅に増加しました。
次世代コーポレートディベロップメント
東南アジア・インド、米国、日本を中心にコンシューマービジネスへの規模感のある投資を通じ、新たな戦略プラットフォーム型事業の創出を目指しています。革新的な技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップ企業への投資を行うコーポレートベンチャーキャピタルも運営しています。収益は、コンシューマービジネスへの投資、スタートアップ企業への投資から得ています。運営は、Marubeni Consumer Platform Asia、Marubeni Growth Capital Asia、Marubeni Consumer Platform U.S.、MGCU Holdings、MCPU Management、Marubeni Growth Capital U.S.、MGCA Cafe、R.G.Barryなどが行っています。当期は親会社の所有者に帰属する当期損失が縮小しました。
金融・リース・不動産
金融・リース分野では、自動車販売金融、航空機・航空機エンジンリース、商用車フリートマネジメント、総合リース及びノンバンク、次世代金融、PEファンド運営、国内企業投資事業等を行っています。保険分野では保険仲介、キャプティブ事業等、不動産分野では国内のアセットマネジメント、海外の不動産開発・運用事業を手掛けています。収益は、金融・リース事業、保険事業、不動産事業から得ています。運営は、丸建リース、第一ライフ丸紅リアルエステートなどが行っています。当期は国内不動産事業の統合に伴う評価益や北米貨車リース事業の売却益などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が大幅に増加しました。
| セグメント | 収益(2025年3月期) | 収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 食料・アグリ | 3兆5,269億円 | 3兆7,205億円 |
| エネルギー・化学品 | 1兆4,201億円 | 1兆3,658億円 |
| 金属 | 6,592億円 | 9,189億円 |
| エアロスペース・モビリティ | 6,521億円 | 6,913億円 |
| ライフスタイル | 6,583億円 | 6,441億円 |
| 電力・インフラサービス | 5,198億円 | 4,853億円 |
| 情報ソリューション | 1,953億円 | 2,029億円 |
| 次世代事業開発 | 802億円 | 1,824億円 |
| 次世代コーポレートディベロップメント | 328億円 | 379億円 |
| 金融・リース・不動産 | 542億円 | 246億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、収益は増加傾向にあります。税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益も同様に増加傾向を示しています。直近の当期においては、収益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも前期から増加となりました。一方で、営業利益は売上総利益の増益があったものの、販売費及び一般管理費の増加により前期から減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 収益 | 8兆5,086億円 | 9兆1,905億円 | 7兆2,505億円 | 7兆7,902億円 | 8兆2,658億円 |
| 税引前利益 | 5,288億円 | 6,517億円 | 5,671億円 | 6,292億円 | 6,645億円 |
| 税引前利益率 | 6.2% | 7.1% | 7.8% | 8.1% | 8.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 4,243億円 | 5,430億円 | 4,714億円 | 5,030億円 | 5,439億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 242.89 | 316.11 | 279.62 | 302.78 | 330.42 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり収益(連結)は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり税引前利益(連結)も前期から増加する傾向が見られます。これらの指標の増加は、同社グループの事業規模の拡大や効率性の向上を示唆していると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり収益(連結) | 150.3百万円 | 157.0百万円 |
| 従業員1人あたり税引前利益(連結) | 12.1百万円 | 12.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動で得た資金を元手に健全な投資を行っており、財務基盤は安定している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、収益性の高さを示しています。手元資金も潤沢に確保されており、安定した財務基盤が雇用や給与の安定性につながるものと考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 3兆6,292億円 | 4兆3,637億円 |
| 自己資本比率 | 39.4% | 41.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.2% | 13.6% |
| 現金及び現金同等物 | 5,691億円 | 5,511億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、営業資金負担等の増加があったものの、営業収入や配当収入により収入を確保しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、持分法適用会社の株式売却収入等があった一方で、海外事業における資本的支出や子会社及び持分法適用会社の株式取得等を行った結果、支出となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債及び借入金等の返済、配当金の支払、自己株式の取得により支出が増加しました。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは収入となっており、本業で安定的に資金を創出し、投資活動を賄いつつ、株主還元も行える健全な資金状況を示しています。この資金状況は、同社グループの事業の安定性と将来への成長投資の余力があることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5,979億円 | 5,354億円 |
| 投資CF | △3,953億円 | △1,180億円 |
| 財務CF | △1,220億円 | △4,662億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2,026億円 | 4,174億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、日本を含む60ヵ国以上の国々に拠点を置き、幅広い産業分野で事業活動を展開する総合商社です。世界経済の悪化や低迷、産業構造の変化への不十分な対応は、同社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、商品売買取引における各種商品価格の変動、為替変動、金利変動、活発な市場のある有価証券の価格変動といった市場リスクも、同社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
丸紅は、社是「正・新・和」の精神を経営理念とし、公正明朗な企業活動を通じて経済・社会の発展と地球環境の保全に貢献することを目指しています。環境・社会課題へのプロアクティブなソリューション提供を通じて、価値創造と成長を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
丸紅グループは、社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じて経済・社会の発展と地球環境の保全に貢献し、誇りある企業グループを目指すことを経営理念としています。長期戦略として、この経営理念を実践し、環境・社会の課題にプロアクティブにソリューションを提供することで価値を創造し、成長することを目指しています。
同社グループは、中期経営戦略「GC2027」を策定し、次の成長ステージに向けた経営のギアチェンジと利益成長・企業価値向上を加速させています。企業価値向上に向けた3つの成長ドライバーとして、「既存事業の磨き込み・拡張」「成長への資本配分・投資戦略」「Global crossvalue platformの追求」を実践しています。丸紅グループの在り姿であるGlobal crossvalue platformの追求とは、世界最善との掛け合わせにより、自らを常に新しくしていくこととされています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
丸紅グループは、社是「正・新・和」の精神を経営理念とし、公正明朗な企業活動を通じて経済・社会の発展と地球環境の保全に貢献することを目指しています。人財は同社グループの最大の資本であり、価値創造の原動力であると位置づけられています。
同社グループの強みであり価値創造の源泉は、人財、地域、セクター、ビジネスモデルの4つの多様性を差別化要因の一つとし、自らも変化し続けることであると認識されています。「Global crossvalue platformの追求」では、世界最善を謙虚に学び、「規律ある資本配分」と「オペレーショナルエクセレンス・改善」、そして「次の世代への仕掛け=永続成長力向上」を継続していくことが求められています。
「多彩な人財が集い、活き、繋がる場」を重要な基盤とし、異なる視点や経験を持つ人財が個々の「違い」を積極的に活かしながら切磋琢磨し、有機的につながり、判断の精度を高め合うことが不可欠であると考えています。ダイバーシティ・マネジメントはグループ経営そのものに直結する課題であり、一人ひとりが自分らしくミッションに心を込め、日々力を発揮できる環境づくりに注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
丸紅グループは、生成AI等の急速な発展による産業変革の加速やビジネスモデルのライフサイクル短期化、地政学的リスクの続発、サステナビリティ経営への要請などを、機会と脅威として認識しています。同社グループは、各国政府及び国際社会の対応、制裁措置の動向並びにエネルギー・物流市場の変化を注視し、個別案件への影響の有無及びその程度について、継続的に評価・分析を行っています。引き続き安全確保を前提として、既存事業の安定的な運営及び中長期的な成長機会の両面から適切に対応していく方針です。
同社グループは「グリーンへの取組み」を推進し、グリーンを事業価値の構成要素の一つとして捉え、収益力強化を図っています。気候変動長期ビジョンに基づき、2050年までにGHG排出ネットゼロを達成し、「自然と共生する社会」に向けた脱炭素社会・循環経済への移行に貢献し、ネイチャーポジティブを実現することを目指しています。
サステナビリティに関する重要事項は経営会議及び取締役会で審議・決定され、社長直轄のサステナビリティ委員会で管理・モニタリングが行われています。人財戦略においては「グループ人財戦略の強化」を掲げ、女性活躍推進をはじめとするダイバーシティ・マネジメント、健康経営、ワークライフマネジメント施策等、人財一人ひとりがエンゲージメントを高く保ち活躍し続けられる環境の更なる充実に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
丸紅は、取締役会が経営の重要事項を決定し、業務執行を監督する体制を採っています。執行と監督の分離を明確にし、取締役会長が取締役会の議長を務めることが特徴です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
丸紅の株主構成を見ると、信託銀行や海外の金融機関が上位を占めています。これは、幅広い投資家層に支えられている資本構成を示しています。特定の創業家や事業会社が突出して強い影響力を持つ構造ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.56% |
| ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505104 | 9.83% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 6.35% |
| ザ チェース マンハッタン バンク エヌエイ ロンドン エス エル オムニバス アカウント | 2.78% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 2.30% |
なお、2026年5月7日付で、ナショナル・インデムニティー・カンパニーが総株主の議決権の10%を超えた旨の報告があり、主要株主の異動が確認されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性10名・女性5名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は大本晶之氏が務めています。社外取締役比率は63.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柿木 真澄 | 取締役会長 | 1980年4月同社入社、電力・インフラ部門長、常務執行役員、北中米支配人、電力・プラントグループCEO等を経て、2019年4月同社社長、2025年4月より現職。 |
| 大本 晶之 | 代表取締役 社長 | 1992年4月同社入社、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て同社に再入社、次世代事業開発本部長、CDIO等を経て、2025年4月社長、2025年6月より現職。 |
| 及川 健一郎 | 代表取締役副社長執行役員 CDIO、情報ソリューション部門、次世代事業開発部門、次世代コーポレートディベロップメント部門統括役員、バリュークリエーションオフィス担当役員補佐 | 1986年4月同社入社、保険・金融・不動産本部長、金融・リース事業本部長、CDIO、CSO、東アジア総代表、国内統括等を経て、2025年4月副社長執行役員、2026年4月より現職。 |
| 古谷 孝之 | 代表取締役専務執行役員 | 1987年4月同社入社、経営企画部長、デジタル・イノベーション部長、CFO等を経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、翁百合氏(元日本総合研究所理事長)、石塚茂樹氏(元ソニーグループ副会長)、安藤久佳氏(元経済産業事務次官)、南壮一郎氏(ビジョナル代表取締役社長)、小島啓二氏(元株式会社日立製作所取締役代表執行役執行役社長兼CEO)、梶原ゆみ子氏(元富士通執行役員EVP CSuO)、岩村水樹氏(グーグル合同会社バイスプレジデントアジア太平洋・日本地区マーケティング)です。
同社は現在、監査役会設置会社ですが、2026年6月19日開催予定の定時株主総会で承認されれば、指名委員会等設置会社へ移行する予定です。社外取締役が取締役会の過半数を占め、経営の監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、社是「正・新・和」の精神に基づき、社会・顧客の課題解決と新しい価値創造を促すことを重視しています。報酬水準は外部専門機関のデータと比較し、競争力のある水準を設定しています。中長期的な企業価値向上を重視した報酬構成となっており、代表取締役社長については月例報酬、短期インセンティブ報酬、中長期インセンティブ報酬が概ね1:1:1となるように設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 17.6億円 | 2.52億円 |
| 社外取締役 | 9名 | 1.3億円 | 14.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 86百万円 | 28.7百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 59百万円 | 14.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、柿木真澄氏(5.81億円)、大本晶之氏(4.15億円)、及川健一郎氏(1.88億円)、古谷孝之氏(2.81億円)、國分文也氏(1.79億円)、寺川彰氏(1.16億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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