※本記事は、豊田通商株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
豊田通商グループは、国内および海外で多岐にわたる商品の売買を主要事業とし、製造・加工・販売、事業投資、サービス提供などをグループ各社とともに展開しています。自動車関連を基盤に、資源・エネルギー、インフラ、ライフスタイル、デジタルソリューションなど幅広い分野で事業を展開しています。
同社の単体従業員数は2,466名、連結従業員数は74,927名です。事業セグメントは、メタル+(Plus)、サーキュラーエコノミー、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、アフリカの8つです。
主な国内グループ会社は、豊田スチールセンター、、他 43社、豊通マテリアル、、豊通ケミプラス、、三洋化成工業 (持)、などです。
同社グループは、米国Radius Recycling, Inc.の完全子会社化や、㈱ユーラスエナジーホールディングスとテラスエナジー㈱の経営統合など、事業拡大に向けたM&Aや提携を積極的に進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
豊田通商は、総合商社として多岐にわたる事業を展開しており、その給与水準や働き方には、グローバルな事業特性が反映されています。同社グループは、持続的な成長を支える人材戦略を重視し、多様な働き方を支援する環境整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
豊田通商では、従業員の平均勤続年数が長く、安定したキャリア形成が可能な環境がうかがえます。平均年齢も比較的高い水準にあり、経験豊富な人材が多数在籍している傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 14,213,845円 |
| 平均勤続年数 | 16.7年 |
| 平均年齢 | 43.0歳 |
| 単体従業員数 | 2,466人 |
| 連結従業員数 | 74,927人 |
| 単体のグループ内比率 | 3.3% |
豊田通商は、確定給付型の年金制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型の年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を設けています。これらの制度は、同社及び一部の連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。年金資産は1,346億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
豊田通商は、中期経営計画における「異能の総合商社」実現に向け、「人と組織の中期ビジョン」を定めています。社員一人ひとりがMission・Vision・Valuesに共感し、潜在能力を開放する「DNAの覚醒」と、多様な社員が自律し協創を推進する「躍動する生命体組織」の実現を目指しています。これにより、グローバル7万人の多様な人材が自律的な挑戦・協業を促し、「7万人の大旅団の次元上昇」を通じた成長につなげる方針です。
従業員の報酬制度は、人材戦略の実現と企業価値の持続的向上を支える観点から、成果と役割に公平公正に報いることを目指しています。報酬は固定報酬としての基本給と、業績連動報酬としての賞与で構成されています。固定報酬は職能等級制度に基づき、賞与は全社業績を基礎として標準支給水準が決定され、個人の成果や役割発揮の状況を踏まえて支給額が決定されます。報酬水準は、外部労働市場や同業他社の動向も踏まえ、競争力のある水準となるよう努めています。
具体的な取り組みとしては、豊田通商DNAに共感し価値創造に主体的に取り組める人材の採用を重視し、留学生や外国籍人材に特化したアプローチも充実させています。配置においては、グローバルポストの後継者育成計画をモニタリングし、社員の自律的なキャリア形成を促す「チャレンジポスト制度」や「チャレンジローテーション制度」を設けています。個の育成では、社員の成長を「志す(WILL)」「任される(NEED)」「自ら挑む(CAN)」「タグをつくる(GROW)」の4つのプロセスとして定義し、Global Advanced Leadership Program(GALP)やCEO Essential Program(CEP)などを展開しています。
評価・報酬制度では、コンピテンシーに基づく発揮能力評価、個別目標の達成状況を評価する成果評価、職務評価を導入し、評価者/被評価者研修を通じて納得度を高めています。活力ある組織づくりとして、社員エンゲージメントを重要な経営指標と位置づけ、タウンホールミーティングや「組織づくりの実践道場」を実施しています。また、社員が安心・安全に働ける環境として「豊田通商グループ健康宣言」に基づき健康経営に取り組み、「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に6年連続で選定されています。DE&Iの推進も事業の根幹と捉え、女性マネジメント職比率の向上、定年後キャリア支援施策、障がい者雇用(トスWork)を通じて多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の差異は、相対的に賃金の高い管理職やグローバル職における女性比率が低いこと、および60歳以上の再雇用嘱託社員における上位等級者の女性比率が低いことが主な要因となっています。全労働者には派遣社員を含んでいません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.5% |
| 男性育児休業取得率 | 91.9% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 61.9% |
| うち正規雇用労働者 | 60.5% |
| うちパート・有期労働者 | 43.8% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
男女の賃金の差異については、同一価値労働の賃金に差はなく、比較的賃金の高い職種、等級や労働時間別の人員構成の差によるものです。全労働者には派遣社員を含んでいません。
▼ 豊田スチールセンター
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 73.0% |
| うち正規雇用労働者 | 71.3% |
| うちパート・有期労働者 | 75.6% |
▼ 豊通マテリアル
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 44.4% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 61.7% |
| うち正規雇用労働者 | 61.0% |
| うちパート・有期労働者 | 157.5% |
▼ ㈱ユーラスエナジーホールディングス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 68.2% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 62.4% |
| うち正規雇用労働者 | 63.1% |
| うちパート・有期労働者 | 33.5% |
人財・組織戦略
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 社員エンゲージメント | 68% | 72% | 維持・良化 |
採用
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 女性の採用比率 | 25.2% | 26.7% | 2031年3月期 30% |
配置
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| グローバルポストにおける後継者準備割合 | 97.3% | 100.0% | 100% |
個の育成
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 経営人財育成プログラム累計参加者数 | 700人 | 775人 | 継続的な増加 |
活力ある組織づくり/社員の潜在能力を最大化する基盤づくり
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 健康経営優良法人(ホワイト500)の取得 | 取得 | 取得(6年連続) | 継続取得 |
| 社員を活かす環境 | 67% | 70% | 維持・良化 |
DE&I
| 指標 | 前事業年度実績 | 当事業年度実績 | 目標 |
|---|---|---|---|
| 女性マネジメント職比率 | 8.4% | 9.5% | 2031年3月期 20%超 |
| 男性の育児休業取得率 | 61.9% | 91.9% | 2031年3月期 90% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
豊田通商は、国内外で多岐にわたる事業を展開し、各種商品の売買から製造、加工、販売、事業投資、サービス提供まで手掛ける総合商社です。同社グループは、8つの営業本部を軸にグローバルなビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、国内外で幅広い事業を展開し、各種商品の売買を主要事業としています。これらの商品の製造・加工・販売、事業投資、サービスの提供など、多角的なビジネスモデルで収益を上げています。主要な顧客はトヨタ自動車グループであり、全てのセグメントにおいて収益を計上しています。
同社グループの事業は、メタル+(Plus)、サーキュラーエコノミー、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、アフリカの8つの営業本部に関係する事業として区分されています。それぞれの事業は、同社の営業本部および営業本部直轄の関係会社により推進されています。
サーキュラーエコノミー
非鉄金属地金、貴金属地金、レアアース・レアメタル、電子材料・電池材料、鉄くず、使用済み自動車・部品、再生樹脂、有機化学品、医薬原料などを主要取扱品目としています。これらの加工・製造・処理・販売等を行っており、資源市況の上昇が収益に影響を与えています。運営は、米国Radius Recycling, Inc.の完全子会社化を通じて、循環型静脈事業の拡大を図っています。
アフリカ
新車および中古車販売・アフターサービス・生産支援等のモビリティ事業、再生可能エネルギー・港湾開発等のグリーンインフラ事業、医薬品の生産・卸売・小売等のヘルスケア事業、リテール事業の開発等のコンシューマー事業を展開しています。西アフリカ地域を中心とした自動車販売台数増加が収益に貢献しています。運営は、CFAO SAS傘下のTOYOTA TSUSHO MANUFACTURING GHANA CO. LIMITEDがガーナにおけるトヨタ自動車および日野自動車の代理店事業を譲り受け、製造から販売までを担っています。
メタル+(Plus)
自動車用鋼板・アルミ板、特殊鋼板・ステンレス鋼板、条鋼鋼管、電磁鋼板、建材などを主要取扱品目としています。これらの加工・製造・処理・販売等を行っており、北米を中心とした自動車生産関連の取り扱い増加が収益に寄与しています。運営は、CO₂排出量が少ない「グリーンスチール」の原料となる電解鉄を製造する米国のElectra Steel Inc.への出資を通じて、鉄鋼業界および自動車業界におけるグリーンスチールの普及を支援しています。
デジタルソリューション
自動車用構成部品、半導体・電子部品、モジュール製品、自動車用組込みソフト、ネットワーク構築・保守・運用・ヘルプデスク、情報通信機器、海外ITインフラ輸出、パソコン・周辺機器および各種ソフトウェア等の販売・サービスを行っています。サイバーセキュリティ、ソフト開発等も手掛けており、デバイス関連の取り扱い増加およびICT事業における案件増加が収益に貢献しています。運営は、同社グループのユーラスエナジーホールディングスと共同で、風力発電由来の再生可能エネルギーを活用したグリーンデータセンター事業「宗谷グリーンデータセンターI」を開始しています。
サプライチェーン
ロジスティクス、モビリティパーツ製造・組付、モビリティアクセサリー開発・設計・販売、テクノパーク、空港運営、環境ソリューション、サプライチェーン・モビリティ関連事業開発等を行っています。豪亜を中心とした自動車部品の取り扱い増加が収益に寄与しています。運営は、アイシン、Minth Group Limitedと共同で、カナダ・オンタリオ州にアルミボデー骨格部品の生産を行う合弁会社ATM Automotive Parts Inc.を設立しています。
モビリティ
乗用車、商用車、二輪車、トラック、バス、産業車輌などを主要取扱品目としています。補給部品の輸入・販売事業、販売周辺事業(架装、中古車、販売金融等)、車両組み立て(ノックダウン生産)事業等を行っており、豪亜を中心とした海外自動車販売台数増加が収益に貢献しています。運営は、オーストラリアにおいて中古車の買取・販売事業を展開するMCT Automotive Group Pty Ltdを、現地法人であるToyota Tsusho (Australasia) Pty. Ltd.を通じて買収し、完全子会社化しています。
グリーンインフラ
自動車産業を中心とした製造・物流設備、部品・工具類、建設機械等、風力・太陽光、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業、バイオ燃料、水素、LNG等各種燃料、カーボンクレジット、石油製品等の事業、電力・空港・港湾等のインフラ事業等を行っています。国内発電事業における一過性損失があったものの、再生可能エネルギー事業を手掛けるユーラスエナジーホールディングスがテラスエナジーと経営統合し、国内でNo.1の風力・太陽光の発電容量を有する発電事業者となりました。
ライフスタイル
飼料原料、穀物、加工食品、食品原料、農水畜産物、酒類、繊維製品、衣料、介護・医療関連用品、建築・住宅資材、オフィス家具などを主要取扱品目としています。これらの加工・製造・販売・サービスを行うほか、保険代理店事業・保険仲介事業、総合病院事業、ホテルレジデンス事業等も手掛けています。国内不動産事業における一過性利益が収益に寄与しています。運営は、廃漁網を100%再生したナイロン素材ブランド「NetPlus®」を活用した資源循環事業において、米国のBureo Inc.および千葉県のEllangeと協働し、日本における廃漁網リサイクルスキームを推進しています。
| セグメント | 収益(2025年3月期) | 収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| サーキュラーエコノミー | 1兆7,849億円 | 2兆2,277億円 |
| アフリカ | 1兆6,495億円 | 1兆9,283億円 |
| メタル+(Plus) | 1兆9,136億円 | 1兆8,142億円 |
| デジタルソリューション | 1兆3,492億円 | 1兆6,615億円 |
| サプライチェーン | 1兆2,837億円 | 1兆3,312億円 |
| モビリティ | 1兆240億円 | 1兆1,515億円 |
| グリーンインフラ | 8,243億円 | 9,273億円 |
| ライフスタイル | 5,471億円 | 5,927億円 |
| その他の事業セグメント | 95.2億円 | 98.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、収益は一貫して増加傾向にあります。税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益も同様に増加傾向を示しており、安定した成長を続けていることがうかがえます。特に当連結会計年度においては、自動車販売の増加や自動車生産関連の取り扱い増加などにより、収益が大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 収益 | 8兆280億円 | 9兆8,486億円 | 10兆1,890億円 | 10兆3,096億円 | 11兆5,619億円 |
| 税引前利益 | 3,301億円 | 4,271億円 | 4,696億円 | 5,369億円 | 5,649億円 |
| 税引前利益率 | 4.1% | 4.3% | 4.6% | 5.2% | 4.9% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,222億円 | 2,842億円 | 3,314億円 | 3,625億円 | 3,705億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 210.54 | 269.19 | 313.98 | 343.40 | 350.95 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり収益(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しており、従業員一人ひとりの稼ぐ力が高まっている傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループが事業規模の拡大とともに、組織全体の生産性向上にも取り組んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり収益(連結) | 149.2百万円 | 154.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.2百万円 | 7.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
豊田通商グループは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で得た資金を成長投資に充てながら、手元資金も厚く保たれている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
豊田通商の財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)から安定していることがうかがえます。自己資本比率は非製造業のプライム市場平均を上回っており、手元資金も潤沢に確保されています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 2兆6,243億円 | 3兆1,575億円 |
| 自己資本比率 | 37.2% | 37.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.2% | 12.8% |
| 現金及び現金同等物 | 9,519億円 | 1兆4,038億円 |
当期の自己資本比率は37.0%となっており、前期の37.2%からほぼ横ばいで推移しています。これは非製造業のプライム市場平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期12.8%であり、前期の14.2%からやや減少しています。しかし、プライム市場平均(9.4%)と比較すると高い水準を維持しています。
現金及び現金同等物は、当期末に1兆4,038億円となり、前期末の9,519億円から増加しました。これは、不況時における事業継続の耐性を示すものとなっています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
豊田通商グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは増加を示しています。これは税引前利益によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは減少となりましたが、これは有形固定資産及び子会社の取得による支出等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは減少しており、主に配当金の支払いによる支出が要因となっています。結果として、フリー・キャッシュ・フローは増加しており、本業で安定的に資金を創出し、投資活動も効率的に行われている状況です。このようなキャッシュフローの状況は、同社グループの事業が安定しており、将来に向けた投資余力も確保されていることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5,119億円 | 4,612億円 |
| 投資CF | △1,238億円 | △281億円 |
| 財務CF | △3,090億円 | △333億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3,880億円 | 4,331億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、海外の多岐にわたる地域で商取引及び事業活動を行っており、各国の政府による規制や政治的不安、資金移動の規制等によるリスクが存在しています。また、国内及び海外における自動車関連商品、その他各種商品の販売を主要事業としているため、日本及び関係諸国の政治経済状況の影響を受ける可能性があります。
さらに、同社グループの収益のうち、トヨタ自動車グループへの収益が占める比率は20.0%となっています。そのため、トヨタ自動車グループとの取引の動向が、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、各国・各地域で事業を行うにあたり、ストライキなどの労働争議を原因として操業が停止・制限される事態が発生した場合、サプライチェーンや同社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
豊田通商は、持続的な企業価値向上を目指し、地球課題の解決と事業成長の両立を図ることを経営の根幹に据えています。グローバルに展開する事業を通じて、社会に貢献する企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、Missionとして「未来の子供たちにより良い地球を届ける」ことを掲げています。このミッションの実現を目指し、地球課題の解決と事業成長の両立を図っています。
また、Visionには「Be the Right ONE(唯一無二の存在)」を掲げ、同社ならではの価値創出を追求しています。ステークホルダーから選ばれ続ける企業を目指すことを示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、Valuesとして「豊田通商DNA(Humanity、Gembality、Beyond)」を全ての事業活動の基盤としています。一人ひとりの行動につなげることで、グループ一体となった競争力の発揮と中長期的な成長の実現を図っています。
社員一人ひとりがMission・Vision・Values(MVV)に共感しながら「志をつなぐ」こと、様々な挑戦・経験を経て「潜在能力を開放する」、「DNAの覚醒」を促すことを目指しています。多様な社員が自ら考えながら「自律し調和する」ことで新たなアイディアを生み出し、組織間での協創を推進する「多様に・革新的に」な「躍動する生命体組織」の実現を目指しています。
サステナビリティを「経営そのもの」と位置付け、環境・社会課題を新たな機会と捉え、持続可能な事業モデルへの進化を加速することで、より信頼される企業を目指すとしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、成長戦略の実現を目指し、事業を通じた地球課題の解決に取り組んでいます。サプライチェーンにおいては、半導体やその原材料となるレアアース等の安定した調達が課題として顕在化しており、複数拠点によるサプライチェーンの構築が不可欠であるとしています。
原材料の調達にとどまらず、リサイクルを含むサプライチェーン全体を守り、事業をつなぎ続ける存在として、その責任を果たすことを掲げています。モビリティを中心とした基盤ビジネスだけでなく、サーキュラーエコノミーやアフリカのビジネスに対しても積極的に投資を行っています。
社会の変化に素早く柔軟に対応するため、「人財・組織」の次元上昇も非常に重要なテーマであるとしています。世界130ヵ国以上の多様性に富む社員一人ひとりが、それぞれの異能を持ち寄り、挑戦しながら前に進むことが必要であると考えています。ジェンダー・経験にとらわれない「異能」な人財の活躍を実現していくことが求められており、女性マネジメント職比率の向上、定年後キャリア支援施策、障がい者雇用を通じた多様な人財が活躍できる環境整備を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
豊田通商の取締役会は、監査役制度を採用しており、経営の効率化と内部統制の強化を推進する体制となっています。非業務執行取締役が取締役会議長を務め、監督と執行の分離を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
豊田通商の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるトヨタ自動車です。その他にも、日本マスタートラスト信託銀行や豊田自動織機といった主要な事業会社が上位株主として名を連ねており、安定した資本基盤を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 21.69% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.16% |
| 豊田自動織機 | 11.18% |
なお、豊田自動織機は2026年6月24日付で、豊田通商の大株主に該当しないこととなります。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性11名・女性3名)で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長CEOは今井斗志光氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 今井 斗志光 | 取締役社長 (代表取締役) CEO(Chief Executive Officer) | 1988年4月同社入社、販売品質強化部長、執行役員CFAO社副社長、トヨタ自動車常務役員、同社CDTO本部COO極CEO補佐、副社長CDTOを経て、2025年6月より現職。 |
| 岩本 秀之 | 取締役 (代表取締役) 副社長 CFO(Chief Financial Officer) | 1985年4月トーメン入社(現豊田通商)、経営企画部長、執行役員、常務執行役員、取締役CFO、取締役副社長CFO極CEOを経て、2026年4月より現職。 |
| 綿貫 辰哉 | 取締役 (代表取締役) 副社長 本部CEO(Chief Executive Officer) | 1990年4月同社入社、人事部長、執行役員、極CEO補佐CTO補佐、極CEO、副社長本部CEOを経て、2025年6月より現職。 |
| 貸谷 伊知郎 | 取締役副会長 | 1983年4月同社入社、自動車企画部長、執行役員、常務執行役員、常務取締役、取締役専務執行役員、専務執行役員、社長、取締役社長CEOを経て、2025年4月より現職。 |
| 村上 晃彦 | 取締役会長 | 1982年4月トヨタ自動車工業入社(現トヨタ自動車)、商品企画部長、常務役員、富士重工業常務執行役員、専務執行役員、トヨタ自動車専務役員、執行役員を経て、2022年6月より現職。 |
| ディディエ ルロワ | 取締役 | 1982年4月ルノー入社、トヨタモーターマニュファクチャリングフランス取締役副社長、トヨタ自動車常務役員、トヨタモーターヨーロッパ取締役社長兼CEO、トヨタ自動車専務役員を経て、2018年6月より現職。 |
社外取締役は、井上ゆかり氏(ANAホールディングス社外取締役)、松田千恵子氏(東京都立大学経済経営学部教授)、山口悟郎氏(京セラ代表取締役会長)です。
同社は監査役制度を採用しています。非業務執行取締役である取締役会長が取締役会議長を務め、取締役会による職務執行状況の監督機能を強化し、監督と執行の分離を推進しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
豊田通商の取締役の報酬は、固定報酬、業績連動報酬としての賞与、および譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役には固定報酬のみが支給され、業務執行から独立した立場が保たれています。報酬の決定にあたっては、役員報酬委員会が設置されており、連結当期利益や人的資本経営、GHG排出量といった指標が報酬算定に用いられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 9.7億円 | 1.62億円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 84百万円 | 28.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 1.1億円 | 16.3百万円 |
役員報酬等の総額は11億68百万円であり、対象となる役員の員数は合計16名です。
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、村上晃彦氏(2.31億円)、貸谷伊知郎氏(2.09億円)、今井斗志光氏(2.69億円)、岩本秀之氏(1.29億円)、綿貫辰哉氏(1.21億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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