オリエンタルランド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリエンタルランド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のオリエンタルランドは、東京ディズニーランド・シーの経営・運営を主軸とする企業です。2025年3月期の連結業績は、新エリア開業効果等により売上高6,794億円(前期比9.8%増)、営業利益1,721億円(同4.0%増)、当期純利益1,156億円(同3.3%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社オリエンタルランド の有価証券報告書(第65期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリエンタルランドってどんな会社?


東京ディズニーリゾートの経営・運営を行い、年間数千万人のゲストを迎える日本最大級のテーマパーク事業者です。

(1) 会社概要


同社は1960年、千葉県浦安沖の海面埋立とレジャー施設建設を目的に設立されました。1983年に「東京ディズニーランド」を開業し、2001年には「東京ディズニーシー」を開業して複数パーク体制へ移行しました。2024年6月には新テーマポート「ファンタジースプリングス」を開業し、同年7月にはクルーズ事業への参入契約を締結しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は10,507名、単体では6,068名です。筆頭株主は同社の設立母体の一つであり鉄道事業などを営む京成電鉄で、第2位は信託銀行、第3位は同じく設立に関与した三井不動産となっており、強固な資本関係のもと事業を展開しています。

氏名 持株比率
京成電鉄 20.05%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.60%
三井不動産 5.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性3名の計16名で構成され、女性役員比率は18.8%です。代表者は代表取締役社長(兼)COO社長執行役員の高橋 渉氏です。社外取締役比率は31.3%です。

氏名 役職 主な経歴
髙野 由美子 代表取締役会長(兼)CEO 1980年同社入社。ミリアルリゾートホテルズ社長、同社会長などを経て、2023年6月より現職。
高橋 渉 代表取締役社長(兼)COO社長執行役員 1981年同社入社。イクスピアリ社長、同社執行役員、取締役常務執行役員などを経て、2025年4月より現職。
加賀見 俊夫 代表取締役取締役会議長 1958年京成電鉄入社。同社社長、ミリアルリゾートホテルズ社長、同社会長(兼)CEOなどを経て、2023年6月より現職。
金木 有一 取締役常務執行役員マーケティング本部長・エンターテイメント本部長 1989年同社入社。執行役員、常務執行役員を経て、2025年4月より現職。
片山 雄一 取締役 1979年日本興業銀行入行。みずほ銀行常務執行役員、同社取締役副社長執行役員などを経て、2025年4月より現職。
吉田 謙次 取締役 1984年同社入社。執行役員、取締役執行役員、代表取締役社長(兼)COO社長執行役員を経て、2025年4月より現職。
神原 里佳 取締役 1990年同社入社。執行役員、常務執行役員、取締役常務執行役員人事本部長を経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、花田 力(元京成電鉄社長)、茂木 友三郎(キッコーマン取締役名誉会長)、田尻 邦夫(元デサント社長)、菊池 節(京葉瓦斯会長)、渡邉 光一郎(元第一生命保険社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「テーマパーク」「ホテル」および「その他」事業を展開しています。

(1) テーマパーク


「東京ディズニーランド」および「東京ディズニーシー」の経営・運営を行っています。アトラクションやショーを通じた体験価値の提供、およびパーク内での商品・飲食販売が主な事業内容です。国内ゲストに加え、近年は訪日外国人ゲストの来園も増加しています。

収益源は、ゲストからのチケット収入、商品販売収入、飲食販売収入などが柱です。運営は主に親会社であるオリエンタルランドが行っていますが、一部の業務はグループ会社が担っています。

(2) ホテル


東京ディズニーリゾート内および周辺エリアにおいて、ホテル事業を展開しています。ディズニーホテルでは、テーマパークとのシナジーを生み出し、独自の体験価値を提供することで高い客室稼働率を維持しています。

収益源は、宿泊客からの宿泊料、料飲収入、宴会収入などです。運営は主に連結子会社のミリアルリゾートホテルズが行っていますが、一部のホテルはブライトンコーポレーションが運営しています。

(3) その他


テーマパークおよびホテル事業以外の関連事業を展開しています。商業施設「イクスピアリ」や、リゾート内を周回するモノレールの運営などが含まれます。

収益源は、テナントからの賃料収入、モノレールの運賃収入などです。運営は、商業施設についてはイクスピアリ、モノレールについては舞浜リゾートラインが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響で赤字となりましたが、その後は回復基調にあります。特に2023年3月期以降は売上高、利益ともに大きく伸長し、2025年3月期には売上高6,700億円超、経常利益1,700億円超の高水準に達しています。利益率も25%前後と高い収益性を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,706億円 2,757億円 4,831億円 6,185億円 6,794億円
経常利益 -492億円 113億円 1,118億円 1,660億円 1,733億円
利益率(%) -28.8% 4.1% 23.1% 26.8% 25.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -542億円 81億円 715億円 1,100億円 1,156億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が増加しています。営業利益率は25%を超える高水準を維持していますが、販売費及び一般管理費の増加などにより、利益率は前期と比較してわずかに低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 6,185億円 6,794億円
売上総利益 2,495億円 2,732億円
売上総利益率(%) 40.3% 40.2%
営業利益 1,654億円 1,721億円
営業利益率(%) 26.7% 25.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が219億円(構成比22%)、業務委託費が157億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、主力のテーマパーク事業は入園者増やゲスト単価向上により増収となり、利益も安定して推移しています。ホテル事業は新ホテル開業効果等で大幅な増収増益となりました。その他事業は増収ながら、費用増により減益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
テーマパーク 5,138億円 5,521億円 1,395億円 1,404億円 25.4%
ホテル 884億円 1,105億円 248億円 305億円 27.6%
その他 163億円 168億円 7億円 6億円 3.7%
調整額 204億円 209億円 4億円 6億円 2.8%
連結(合計) 6,185億円 6,794億円 1,654億円 1,721億円 25.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は、営業活動で得た資金を使って投資を行い、借入金の返済なども進める「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1,977億円 1,954億円
投資CF -213億円 -2,531億円
財務CF -456億円 -269億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供する」という企業使命を掲げています。この使命のもと、日本国内のみならず海外からも愛され、親しまれる企業であり続けること、そしてあらゆるステークホルダーから信頼と共感を集めることで、長期持続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「夢・感動・喜び・やすらぎ」の提供を重視し、ホスピタリティ溢れる従業員や魅力的な空間作りを強みとしています。2035年に目指す姿として「あなたと社会に、もっとハピネスを。」を掲げ、従業員が心から誇れる企業であり続けることや、持続可能な社会作りへの貢献を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は長期的な視点で経営目標を定めており、2035年までの期間において持続的成長と企業価値向上を目指しています。具体的な財務目標として、2029年度時点で営業キャッシュ・フロー3,000億円レベル、2035年度時点で売上高1兆円以上を掲げています。また、ROEについては早期に2024中期経営計画期間より上の水準を目指すとしています。

(4) 成長戦略と重点施策


国内市場の縮小に備え、テーマパーク事業とホテル事業の魅力向上による集客基盤の強化に取り組みます。テーマパークではエリア刷新や新技術活用による体験価値向上、ホテルでは新規開発の検討を行います。さらに、クルーズ事業への参入により新たな成長ドライバーを育成し、既存事業のリスク低減と収益拡大を図ります。また、CVCを通じた新規事業創出やESGマテリアリティへの対応も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を価値創出の源泉と位置づけ、自立した人材の育成と確保に注力しています。職種ごとの人事制度設計やマネジメント経験を通じた成長基盤の確立、対話を基盤とした組織力の向上、そして安心して働ける環境や制度の整備を重点戦略としています。これらにより、従業員の働きがいを高め、事業競争力の強化を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.1歳 10.3年 6,007,766円


※平均年間給与は税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.8%
男性育児休業取得率 97.9%
男女賃金差異(全労働者) 78.7%
男女賃金差異(正規) 78.9%
男女賃金差異(非正規) 95.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、月の所定外労働時間(13時間32分)、有給休暇取得率(社員)(98.7%)、有給休暇取得率(社員以外)(86.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要マーケットの変化


同社の主力であるテーマパーク事業は国内ゲストが多いため、日本の少子化や人口減少、経済環境の変化が入園者数や売上高に影響を与える可能性があります。また、レジャーの選択肢の多様化や顧客価値観の変化に対応しきれない場合も、業績への悪影響が懸念されます。

(2) 従業員エンゲージメントの変化


事業運営は多くの従業員のホスピタリティに支えられているため、人事制度や職場環境、組織風土の不備によりエンゲージメントが低下すると、サービス品質や信頼性が損なわれるリスクがあります。これにより、経営戦略の遂行や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保


テーマパーク運営には多数の人材が必要ですが、労働人口の減少等により採用難が生じた場合、採用コストや人件費が増加する可能性があります。十分な人材を確保できない場合、事業運営や成長戦略に重大な支障をきたす恐れがあります。

(4) クルーズ事業開業


2028年度就航予定のクルーズ事業について、造船スケジュールの遅延、サプライヤーの経営難、または運航体制構築の遅れ等により開業が大幅に遅れた場合、経営戦略や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

オリエンタルランドの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

オリエンタルランドの2026年3月期2Q決算は、売上高6.4%増と好調。組織改正により機能別体制へ移行し、DX推進や「体験価値」の高度化に向けた改革が加速しています。「なぜ今オリエンタルランドなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


【平均年収491.8万円】オリエンタルランド社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【年収研究シリーズ】オリエンタルランド社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。


【面接対策】オリエンタルランドの中途採用面接では何を聞かれるのか

テーマパークを主力事業とするオリエンタルランドへの転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われるほか、キャリアシートでは見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、そして一緒に仕事をする仲間としても多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。