※本記事は、株式会社 木曽路 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
木曽路は、料理および飲食物の加工調理提供を主要業務とする飲食業です。しゃぶしゃぶ・日本料理の「木曽路」を中心に、焼肉、居酒屋、和食旬彩処、からあげ専門店など多様な業態を展開しています。物販、不動産賃貸の経営、食肉の加工販売も行っています。
単体従業員数は1,359名、連結従業員数は1,364名です。事業は飲食店としての事業がほとんどを占める単一セグメントです。
主な国内グループ会社は、建部食肉産業(食肉の・加工販売)などです。
第75期において、同社連結子会社であった株式会社大将軍を吸収合併し、連結の範囲から除外しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
木曽路は、外食産業において「食」を通じて豊かな暮らしと持続可能な社会の実現を目指しています。同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置付け、創業以来、人材育成と教育訓練に注力しています。多様な人材が能力を発揮し、キャリアアップできる環境づくりを推進していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
木曽路では、従業員の平均年齢が40代半ばであり、平均勤続年数も比較的長い傾向が見られます。これは、同社が従業員の長期的なキャリア形成を支援し、安定した職場環境を提供していることを示唆しています。多様な人材が長く活躍できるような取り組みも進められています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,572,773円 |
| 平均勤続年数 | 12.5年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 1,359人 |
| 連結従業員数 | 1,364人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.6% |
木曽路は、従業員向けに退職給付制度を設けています。制度の種類としては、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型を採用しています。
退職給付制度は、同社単体の従業員を対象としています。退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、確定給付型の退職給付債務は24.8億円、年金資産は13.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
木曽路は、「よろこびの食文化の創造」という理念のもと、人材を最も重要な経営資源と位置付け、人的資本経営を推進しています。質の高い商品・サービス提供のため、人材の確保・育成・定着を経営上の重要課題としています。
人材戦略の基本方針として、計画的な人材採用と育成による安定的な人員体制の構築、職種・役割に応じた専門性およびマネジメント能力の向上、多様な人材が安心して働き能力を最大限に発揮できる職場環境の整備、そして従業員エンゲージメントの向上を掲げています。給与や賞与は、職務内容、役割・責任、業績への貢献度、能力、経験を総合的に勘案し、社内規程に基づき決定されます。基本給は職種・職務階級に応じて設定され、賞与は会社業績と個人の評価結果を反映する仕組みです。年俸制、月給制に加え、成果配分制度も導入し、外部市場動向も考慮した定期的な見直しや同一労働同一賃金への配慮も行われています。
次世代を担う幹部人材の育成を喫緊の課題と認識し、選抜型育成プログラムやキャリア面談を通じて経営知識や戦略思考、マネジメント能力の向上に取り組んでいます。また、新入社員研修、中途入社研修、接客・調理技術勉強会に加え、店長・料理長・接客長らを対象とした「木曽路ビジネススクール(KBS)」を実施し、店舗運営能力やマネジメント能力の向上を図っています。さらに、満一歳お祝いマイスターやお食い初めマイスターといった独自の制度を通じて、知識・技能の高度化と従業員のモチベーション向上を支援しています。
多様な人材の活躍推進にも力を入れており、女性管理職比率の向上、障がい者雇用の推進、外国人従業員の積極採用に取り組んでいます。従業員のウェルビーイング向上も重視し、健康診断受診推進、メンタルヘルス対応、産業医面談による復職支援などを実施しています。定期面談制度や社内アンケートを通じて、従業員エンゲージメントと働きがいの向上にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 20.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 47.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 72.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 116.0% |
人的資本
| 指標 | 目標 | 実績(2026年3月末) |
|---|---|---|
| 女性管理職比率 | 2027年3月までに30.0% | 20.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
木曽路グループは、料理および飲食物の加工調理提供を主要業務とする飲食業を展開しています。事業は飲食店としての事業がほとんどを占める単一セグメントで構成されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に店舗での飲食提供と商品の販売から収益を得ています。これに加えて、食肉等の卸売り販売も行っています。
主力である「木曽路」部門では、しゃぶしゃぶ・日本料理を提供しており、慶事・祝事といった特別な日の需要を深掘りしています。社内マイスターによる上質なおもてなしや、季節限定メニュー、肉の量を選択できるしゃぶしゃぶコースなど、商品ラインナップの拡充に注力しています。
焼肉部門では、特選和牛「大将軍」と国産牛焼肉「くいどん」を展開しています。顧客管理の徹底や戦略的な販促活動により来店動機の創出を図っており、「大将軍」では企業宴会需要の取り込みが進んでいます。「くいどん」ではランチメニューの刷新や、食べ放題主体から高付加価値メニュー中心への業態再構築を進めています。
その他の部門では、居酒屋の「とりかく」「大穴」や、和食 旬彩処「鈴のれん」を運営しています。居酒屋業態は新規出店や宴会需要の回復により来店客数が増加しています。「鈴のれん」は屋号変更を行い、本格的な和食を気軽に楽しめる強みを活かして集客力強化に努めています。その他には、食肉加工卸売、からあげ専門店「からしげ」、物販、不動産賃貸なども手掛けています。
同社グループの売上高は、本邦以外の外部顧客からの売上高がなく、特定の顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の10%以上を占めることもありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。経常利益も概ね増加傾向で推移していますが、親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られます。特に直近の当期は、前期と比較して減少となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 368億円 | 459億円 | 530億円 | 532億円 | 546億円 |
| 経常利益 | 18.2億円 | △5.2億円 | 22.8億円 | 27.5億円 | 29.3億円 |
| 経常利益率 | 4.9% | △1.1% | 4.3% | 5.2% | 5.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 6.5億円 | △10.8億円 | 4.4億円 | 31.7億円 | 17.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 25.15 | △38.64 | 15.50 | 112.44 | 61.36 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から当期にかけて増加しており、従業員あたりの収益創出力と利益創出力がともに向上していることが示されています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 39.7百万円 | 40.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 2.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、自己資本比率が高く、手元資金も厚い堅実な基盤を示しています。キャッシュフローも本業で資金を生み出し、投資を賄う優良な状態です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって堅実な状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均を大きく上回っており、財務的な安定性がうかがえます。一方で、ROE(自己資本利益率)は前期から減少しており、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営における資金の安定供給に寄与しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 303億円 | 316億円 |
| 自己資本比率 | 64.9% | 65.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.9% | 5.6% |
| 現金及び預金 | 134億円 | 153億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが54.3億円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益、減価償却費、棚卸資産の減少によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、18.1億円のマイナスとなっています。
その結果、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは36.2億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、借入金の返済や配当金の支払いにより17.4億円のマイナスとなっています。これらの資金の流れは、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、事業投資を行いながらも、財務的な健全性を維持している状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.3億円 | 54.3億円 |
| 投資CF | △15.6億円 | △18.1億円 |
| 財務CF | △10.8億円 | △17.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.2億円 | 36.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力業態であるしゃぶしゃぶ・日本料理「木曽路」の売上が全体の約8割を占めています。この主力業態の売上が著しく減少した場合、他の商品で補うことが困難になる可能性があります。また、外食産業は参入障壁が低く競争が激しいことに加え、国内市場の飽和状態もリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは積極的な店舗展開を進める方針であり、人材の確保と育成が重要な課題となっています。特に外食産業の店舗運営における知識や経験を持つ人材の確保、育成、定着が求められています。パートタイマーの確保に伴う賃率の上昇も、総額人件費の高騰要因として認識されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
木曽路は、「よろこびの食文化の創造」を経営理念に掲げ、お客様に感動を提供する日本一質の高い外食企業を目指しています。食を通じて人生の喜びを深める文化を創造することに注力している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は「よろこびの食文化の創造」であり、「お客様の感動が私たちの喜びとし、日本一質の高い外食企業を目指す」ことを掲げています。
同社グループは「食べる」ことを単なる栄養摂取にとどめず、潤いのある人生の喜びとして、ひとつの文化にまで高めたいと考えています。
この理念のもと、各部門が付加価値の高い料理・サービス・商品を手頃な価格で提供し、会社の業績進展と企業価値の向上を図ることを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念を実現するために、常に上質な食材の使用、他店にない特長を持つ商品の提供、落ち着ける店舗づくり、良いサービスの心がけ、お値打ち感のある価格設定を重視しています。
人材を最も重要な経営資源と位置付け、人的資本への投資を通じて企業価値向上を図る人的資本経営を推進している会社です。
多様な視点や価値観が持続的成長の源泉であるとの認識のもと、多様な人材が能力を発揮できる環境整備に努め、安心して働ける職場環境づくりや働きがい向上に取り組む企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、2026年度の経営方針「~伝統を未来につなぐために~」に基づき、持続的な成長と企業価値向上に向けた課題に取り組んでいます。
顧客起点経営の徹底として、お客様ニーズの多様化に対応するため、商品力・サービス品質の向上や推奨力の強化を推進しています。
また、人材力の強化と組織力の向上、経営基盤の強化も重点テーマであり、育成プログラムの見直しや多様な人材の活躍推進、コンプライアンスの徹底、QSCAの向上に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社グループは、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会等の会社関係者と良好な関係形成に努め、経営の透明性確保と適正性・妥当性の堅持を目指しています。2023年6月28日より監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会の監督機能強化と監視体制の充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位に名を連ねています。また、同社グループの関連団体である木曽路共栄会も上位株主として存在しています。複数の事業会社も大株主として名を連ねており、幅広い関係者に支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.86% |
| 木曽路共栄会 | 3.54% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 1.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は中川晃成氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉江 源之 | 代表取締役会長 (代表取締役) | 1977年4月同社入社、1987年6月同社代表取締役、1993年6月同社代表取締役社長、2006年6月同社代表取締役会長、2025年6月同社代表取締役会長より現職。 |
| 中川 晃成 | 代表取締役社長 (代表取締役) | 1989年4月大阪ガス㈱入社、2005年1月㈱キンレイ取締役外食カンパニーCEO、2014年4月㈱KRフードサービス代表取締役社長、2021年6月㈱ジェイグループホールディングス代表取締役社長、2025年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 松岡 利朗 | 常務取締役 人事総務本部長兼 人事部長 | 1987年4月同社入社、2008年6月同社執行役員人事本部長兼人事部長兼人材開発部長、2011年6月同社取締役人事本部長兼人事部長兼人材開発部長、2025年4月同社常務取締役人事総務本部長兼人事部長より現職。 |
| 大橋 浩 | 常務取締役 事業サポート本部長 | 1987年4月同社入社、2011年4月同社執行役員企画部長、2013年6月同社取締役企画部長、経理部、事務能率センター担当、2025年10月同社常務取締役事業サポート本部長より現職。 |
| 中根 昌秋 | 取締役 営業統括本部長 | 2003年12月同社入社、2020年6月同社執行役員東京第二営業部長、2023年6月同社取締役営業本部副本部長兼中部本部長兼木曽路名古屋営業部長、2026年2月同社取締役営業統括本部長より現職。 |
社外取締役は、松井常芳氏(MA企画代表取締役)、伊藤邦昭氏(明輝商会代表取締役社長)、熊田登与子氏(熊田法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)、平野善得氏(公認会計士平野善得事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は取締役7名と監査等委員である取締役3名で構成されています。このうち4名が社外取締役であり、取締役会の監督機能強化と監視体制の充実を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、業務執行取締役に対しては基本報酬と業績連動報酬で構成され、社外取締役には基本報酬のみが支給される体系です。業績連動報酬は、当該連結会計年度の売上高や当期純利益を基準とした業績指標(KPI)を反映した現金報酬となっています。報酬の種類ごとの比率の目安は、基本報酬と業績連動報酬が85:15と設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.6億円 | 27.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 11百万円 | 5.5百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 20百万円 | 5.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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