コメリ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コメリ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コメリは東京証券取引所プライム市場に上場する企業です。主に金物・工具、資材・建材、園芸・農業用品などを扱うホームセンター事業を全国に展開し、地域社会の生活インフラとしての役割を担っています。直近の業績は、売上高および経常利益がともに前年を上回る増収増益を達成しており、堅調な成長を維持しています。


※本記事は、株式会社コメリの有価証券報告書(第65期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. コメリってどんな会社?


ホームセンターを全国展開し、資材・建材や園芸・農業用品を提供する企業です。

(1) 会社概要


1952年に米穀商として創業し、1962年に会社設立。1977年にホームセンター事業へ進出し第1号店を開店しました。その後、1987年に新潟証券取引所に上場、1997年に東京証券取引所市場第一部に指定され、現在はプライム市場に上場しています。プロ向けや農業関連店舗など独自の店舗展開を進めています。

現在の従業員数は連結で3,750名、単体で3,432名です。筆頭株主は事業会社である米利で34.20%を保有し、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
米利 34.20%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.30%
日本カストディ銀行(信託口) 5.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役社長最高経営責任者は捧雄一郎氏です。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
捧雄一郎 代表取締役社長最高経営責任者 1988年4月入社。2003年6月代表取締役社長・COO就任。2014年6月より現職。
田邊正 取締役常務執行役員オペレーション担当兼海外事業統括兼コンプライアンス担当 1981年3月入社。2018年5月常務取締役就任常務執行役員就任。2018年9月より現職。
早川博 取締役常務執行役員財務経理・経営企画・関係会社・広報担当 1985年8月入社。2021年6月常務執行役員就任。2024年4月より現職。
保坂直志 取締役常務執行役員開発建設担当兼店舗企画部ゼネラルマネジャー 1994年3月入社。2020年6月開発建設担当。2023年6月より現職。
森茂行 取締役執行役員組織開発・人事総務担当兼人事教育部ゼネラルマネジャー 1993年3月入社。2021年6月取締役就任。2026年1月より現職。
住吉正二郎 取締役(常勤監査等委員) 1976年ケーヨー入社。2002年入社。2020年6月より現職。


社外取締役は、松田修一(早稲田大学名誉教授)、菊地美佐子(元三井物産フォレスト代表取締役社長)、竹川倫恵子(アットインテリア代表取締役社長)、藤田善六(元関東弁護士会連合会理事長)、三谷香(合同会社三谷会計パートナーズ代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「その他事業」を展開しています。

(1) ホームセンター事業


金物・工具、資材・建材、園芸・農業用品の販売、物流サービス、システム開発、クレジットカード関連サービスなどを提供しています。パワー、PRO、ハード&グリーンといった多様な店舗形態で、一般顧客からプロの事業者まで幅広い層のニーズに対応しています。

収益源は、各店舗での商品販売による売上や、クレジットカードの利用に伴う手数料などです。事業の運営は主にコメリが行うほか、商品の保管や配送業務を北星産業、情報処理システムの開発・運用をビット・エイ、クレジットカード関連サービスをコメリキャピタルが担うなど、複数の子会社と連携して事業を展開しています。

(2) その他事業


ホームセンター事業以外の領域として、LPガスやガソリン等の燃料販売、書籍等の販売、および不動産賃貸業などを手掛けています。グループ各社への燃料納入だけでなく、一般消費者向けの販売も行っています。

収益源は、燃料や書籍の販売代金、不動産賃貸による賃貸収入などです。運営は、燃料関連をライフコメリ、書籍の販売をムービータイム、中国での不動産賃貸業を大連米利海辰商場有限公司がそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は安定して推移しており、直近の2期間では連続して増収を達成しています。経常利益と当期利益についても、一時期減少が見られたものの、直近では増益に転じており、利益率も回復傾向にあります。全体として堅調な事業基盤を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,761億円 3,794億円 3,708億円 3,792億円 3,854億円
経常利益 282億円 258億円 222億円 222億円 234億円
利益率(%) 7.5% 6.8% 6.0% 5.9% 6.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 179億円 171億円 137億円 137億円 146億円

(2) 損益計算書


2期間の損益構成を比較すると、売上高の成長に伴い売上総利益と営業利益がともに増加しています。売上総利益率および営業利益率は前年からほぼ横ばいまたは微増となっており、コストコントロールを維持しながら安定した収益性を確保していることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3,792億円 3,854億円
売上総利益 1,161億円 1,183億円
売上総利益率(%) 30.6% 30.7%
営業利益 224億円 231億円
営業利益率(%) 5.9% 6.0%


販売費及び一般管理費(1,101億円)のうち、給料及び手当が380億円(構成比35%)、賃借料が140億円(同13%)、減価償却費が133億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの増減要因を分析すると、主力のホームセンター事業は、園芸・農業・ペット用品などが堅調に推移し増収となりました。一方、その他事業は暖冬の影響による燃料等の販売量の低下により減収となっています。全体としては増収を確保しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ホームセンター事業 3,746億円 3,809億円
その他事業 46億円 45億円
連結(合計) 3,792億円 3,854億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金で投資と借入金の返済を賄う「健全型」となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 231億円 238億円
投資CF -182億円 -181億円
財務CF -53億円 -100億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループの経営理念は、「企業とは人々の幸せのために存在すべきものであり、それでこそ社会から支持され、存続することができる」という考えに根ざしており、創業以来不変のものです。「遅れた分野の流通近代化」の実現のため、金物・工具、資材・建材分野と園芸・農業資材分野を核に、流通改革に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社グループは、誠実かつ公正な企業活動を実践することを重視し、「コメリのねがい」や「コメリグループ行動指針」を具体的な行動基準として定めています。全てのステークホルダーを幸せにすることを目指し、地域社会のインフラとして持続可能な社会の実現に貢献する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


「2026年3月期-2028年3月期 中期経営計画」を策定し、中長期的な企業価値の向上を図っています。最終年度の目標として以下の数値を掲げています。

* 営業収益:4,500億円
* 営業利益:320億円
* ROA:8.0%以上
* ROE:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「出店戦略」「立地与件、競合与件に対応」「商品力の強化」「マス化を可能にするグローバル物流」「B2Bの仕組みづくり」等の重点施策を着実に実行しています。また、各種フォーマットを組み合わせた船団方式による出店を推進し、プライベートブランド商品の開発や、全店フルリフォームサービス等の拡充に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、教育カリキュラム「賢和塾」を中心とした人的資本投資を行っています。性別や年齢に関係なく、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を推進するとともに、DX投資を拡充して業務フローを進化させ、業務生産性の向上と働きがいのある環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.9歳 13.0年 4,901,289円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.3%
男性育児休業取得率 34.1%
男女賃金差異(全労働者) 50.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 101.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性店長人数(135人)、正社員月平均残業時間(19.5時間)、2026年4月入社女性社員比率(31.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店・閉店リスク


同社は店舗網の拡大を進めていますが、法規制による出店の長期化や建築コストの増加が生じる可能性があります。また、少子高齢化や労働力不足に伴う市場規模の縮小、コスト上昇により店舗の営業継続が困難となり閉店が発生した場合、業績や財務状況に影響を及ぼす恐れがあります。

(2) 季節や気候変動の影響


園芸・農業用品をはじめとする季節性の高い商品を多く扱っているため、冷夏や暖冬などの天候不順が生じた場合、販売動向が鈍化し、売上高の減少や過剰在庫の発生につながる可能性があります。また、自然災害による店舗や物流網の被害も懸念されます。

(3) 流通ネットワーク障害と調達リスク


自然災害、システム障害、または感染症拡大等に伴う物流網の停滞により、商品供給が遅延するリスクがあります。また、海外からの商品調達も行っており、中東情勢の悪化や海外拠点のロックダウンなどがサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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