七十七銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

七十七銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

七十七銀行は東京証券取引所プライム市場および札幌証券取引所に上場し、銀行業務を中心にリース業務等の各種金融サービスを提供する地方銀行です。直近の業績では資金運用収益の増加などを背景に、経常収益は2112億円と増収、経常利益も784億円へと大幅な増益を達成し、堅調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社七十七銀行の有価証券報告書(第142期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月15日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 七十七銀行ってどんな会社?


銀行業務を中心にリースや各種金融サービスを幅広く展開する地方銀行です。

(1) 会社概要


同社は1932年に七十七銀行、東北実業銀行、五城銀行の3行が合併し設立されました。1972年に東京証券取引所及び札幌証券取引所に上場し、その後各種金融サービスの拡充を図るため、七十七リースや七十七カードなどを設立しました。近年もコンサルティングや証券子会社を設立し事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で2,456名、単体で2,190名体制となっています。筆頭株主ならびに第2位株主は資産管理業務等を行う信託銀行が名を連ねており、第3位には事業会社である明治安田生命保険相互会社が名を連ねる株主構成となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.27%
日本カストディ銀行(信託口) 8.44%
明治安田生命保険相互会社 4.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役頭取は小林英文氏が務めており、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小林英文 (代表取締役)取締役頭取 1981年入行。総合企画部長、取締役総合企画部長、常務取締役などを経て、2017年取締役副頭取に就任。2018年より現職。
小林寛 (代表取締役)取締役副頭取 1991年入行。総合企画部長、執行役員総合企画部長、常務取締役などを経て、2024年専務取締役に就任。2025年より現職。
井深修一 (代表取締役)専務取締役 1989年入行。市場国際部長、執行役員石巻支店長兼湊支店長、上席執行役員本店営業部長などを経て、2025年より現職。
黒田隆士 常務取締役 1990年入行。コンサルティング営業部長、執行役員コンサルティング営業部長、上席執行役員人事部長などを経て、2023年より現職。
小田島祥之 常務取締役 1992年入行。名掛丁支店長兼仙台駅前支店長、執行役員営業統轄部長などを経て、2024年より現職。
青木一洋 常務取締役 1992年入行。資金証券部長、執行役員資金証券部長、常務取締役資金証券部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、奥山恵美子(元仙台市長)、大滝精一(ローカルグッド創成支援機構代表理事)、小山茂典(トーキン科学技術振興財団理事長)、牛尾陽子(真正総合事務所代表取締役)、三浦直人(元トークネット社長)、遠藤信哉(みやぎ産業振興機構理事長)、福田一雄(元日本銀行仙台支店長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業務」「リース業務」および「その他」の事業を展開しています。

(1) 銀行業務


同社グループの中核として、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国為替および外国為替業務などを展開し、広く地域のお客さまへ金融機能を提供しています。

収益源は、企業や個人に対する貸出金利息や、各種金融サービス提供に伴う手数料などです。運営は同社が主体となって行っています。

(2) リース業務


各種機器や設備のリースを行い、顧客企業の設備投資ニーズや効率的な資産運用ニーズに応えるサービスを提供しています。

収益源は、顧客に貸与する設備等のリース料です。運営は連結子会社である七十七リースが担当しています。

(3) その他


信用保証業務やクレジットカード業務、証券業務、コンサルティングや人材紹介など、銀行業務を補完し多角的なソリューションを提供する事業です。

収益源は、各種サービス提供に対する手数料や保証料などです。運営は七十七信用保証、七十七カード、七十七証券など複数の連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績は、資金運用収益の増加などを背景に経常収益が拡大傾向にあります。経常利益も右肩上がりで推移し、直近では利益率が40%を超えるなど、収益性が着実に向上していることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常収益 1,046億円 1,083億円 1,356億円 1,567億円 1,949億円
経常利益 330億円 358億円 442億円 563億円 785億円
利益率(%) 31.5% 33.0% 32.6% 35.9% 40.3%
当期純利益 208億円 244億円 288億円 386億円 528億円

(2) 損益計算書


預出金利息や有価証券利息配当金の増加により経常収益が大きく伸びました。これに伴い経常利益も大幅な増益となっており、堅調な財務基盤を築いています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
経常収益 1,716億円 2,112億円
経常利益 563億円 785億円
経常利益率(%) 32.8% 37.2%


経常費用のうち、営業経費が554億円(構成比42%)、その他業務費用が436億円(同33%)、資金調達費用が202億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


経常収益の構成を見ると、有価証券投資業務および貸出業務が収益の柱となっています。当期はいずれの業務においても前年を上回る収益を計上し、全体の成長を牽引しています。

区分 経常収益(2025年3月期) 経常収益(2026年3月期)
貸出業務 605億円 790億円
有価証券投資業務 685億円 859億円
リース業務 118億円 125億円
その他 308億円 338億円
連結(合計) 1,716億円 2,112億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -3,372億円 -4,546億円
投資CF 691億円 709億円
財務CF -108億円 -157億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も6.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営の基本理念である「行是」として、「奉仕の精神の高揚」「信用の向上」「和協の精神の涵養」の3つを掲げています。銀行の発展は地域社会の繁栄とともにあるという認識のもと、常に奉仕の精神を高め、信用を第一としながら職務遂行の根幹である和協の精神を大切にして業務にあたることを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、積極的な情報開示を通じて透明性の高い経営を実践し、ステークホルダーから強く支持される企業グループを目指す文化を重んじています。「地域の持続的成長に向けて、コンサルティング力を磨き上げるとともに、ビジネスチャンスを拡げ、地域を豊かにするリーディングカンパニー」を目指すという考えが根付いています。

(3) 経営計画・目標


2030年度までの長期経営計画「Vision 2030 (R.V.) ~地域を豊かにするリーディングカンパニー~」において、財務基盤の強化に向けた目標を定めています。

・当期純利益(連結):900億円
・ROE(連結):10%
・自己資本比率(連結):10%程度
・コアOHR:35%以下

(4) 成長戦略と重点施策


人口減少やデジタル技術の進化といった環境変化に対応し、国内外の広域ネットワーク活用やソリューション機能の強化に注力しています。成長に向けた投資を通じ、組織と役職員一人ひとりのレベルアップを図るとともに、取引先の課題解決支援を推進し、地域の持続的な成長に貢献していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を価値創造の源泉である「人的資本」と位置付け、「人材戦略(R.V.)」を策定しています。人とAIの融合による業務の効率化・高度化を通じた人員シフトを進めるほか、自律的なキャリア形成支援やリスキリング支援を含む「トータルリワード」の充実により、働きやすく働きがいのある職場環境の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.0歳 16.0年 7,726,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.3%
男性育児休業取得率 98.2%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 36.4%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 59.8%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 50.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(挑戦指数)(3.6点)、定着率(入行3年在職者割合)(90.4%)、障がい者雇用率(2.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変動と競争激化


特定の地域(宮城県)を主な営業基盤としているため、地域経済の悪化が業容拡大の制約や不良債権の増加につながるリスクがあります。また、異業種の参入やデジタル技術の革新等により競争が激化し、優位性が失われる可能性があります。

(2) 金利・価格・為替変動リスク


市場性のある債券・株式および外貨建資産等に投資を行っており、急激な長期金利の上昇や株式相場の下落、為替相場の変動により、評価額の減少や為替差損が発生し、業績に影響を及ぼすリスクが想定されています。

(3) システムリスクおよび情報漏洩


預金・貸出・為替取引などの膨大な事務処理はシステムを前提としており、サイバー攻撃やシステム障害等により業務停止や顧客情報の流出が発生した場合、経済的損失や信用失墜につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

七十七銀行の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

七十七銀行の2026年3月期中間決算は、貸出金利息の増加により中間純利益が前年同期比22.8%増の243億円と大幅増益。通期予想を上方修正し、増配も発表しました。投資事業組合の新規連結など、地域経済支援の枠組みを広げる同行で、転職者が担える役割と将来性を分析します。


【面接対策】七十七銀行の中途採用面接では何を聞かれるのか

宮城県仙台市に本店を置く、東北最大の地方銀行である七十七銀行への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。