※本記事は、みずほフィナンシャルグループの有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. みずほフィナンシャルグループってどんな会社?
みずほフィナンシャルグループは、銀行、信託、証券など多様な金融サービスをグローバルに展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2003年に設立され、銀行、信託、証券等を直接管理する体制を整備しました。2013年には中核銀行の合併により現在のみずほ銀行が発足し、2016年にアセットマネジメントOneを設立しました。直近では2025年にUPSIDERホールディングスを連結子会社化、2026年にみずほリサーチ&テクノロジーズとみずほ銀行を統合するなど事業基盤の強化を進めています。
同社グループの従業員数は連結で52,427名、単体で2,867名です。大株主の筆頭は資産管理業務等を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は日本カストディ銀行(信託口)、第3位はSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANYとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 15.91% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.74% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 2.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性22名、女性6名の計28名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表者は執行役社長(代表執行役)グループCEOの木原正裕氏です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木原 正裕 | 取締役 執行役社長(代表執行役)グループCEO | 1989年入社。リスク管理、財務企画等の要職を歴任。グローバルプロダクツユニット長等を経て、2022年より現職。 |
| 菅原 正幸 | 執行役副社長(代表執行役)業務執行統括補佐 兼 国内ホールセール統括兼 コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー長 | 1988年入社。営業や国際業務に携わり、バンコック支店長、東アジア地域本部長等を歴任。2026年より現職。 |
| 武 英克 | 取締役会長 | 1988年入社。国際業務や営業に従事し、大企業・金融・公共法人カンパニー長等を経て、2026年より現職。 |
| 今井 誠司 | 取締役 | 2014年ソウル支店長、2018年グローバルコーポレートカンパニー長、2022年取締役会長等を経て、2026年より現職。 |
| 平間 久顕 | 取締役 | 2014年丸の内中央支店長、2017年内部監査グループ長等を経て、2019年より現職。 |
| 金澤 光洋 | 取締役 | 2020年リスク統括部長、2024年グループCIO等を経て、2026年より現職。 |
| 米澤 武史 | 取締役 兼 執行役常務 リサーチ&コンサルティングユニット長 兼 グループCSuO兼 特命事項担当 | 2019年財務企画部長、2023年グループCFO等を経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、小林喜光(元三菱ケミカルホールディングス社長)、月岡隆(元出光興産社長)、大野恒太郎(元検事総長)、篠原弘道(元日本電信電話副社長)、野田由美子(元ヴェオリア・ジャパン社長)、内田貴和(元三井物産CFO)、手塚正彦(元日本公認会計士協会会長)、生野由紀(元UBS証券マネージングディレクター)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リテール・事業法人カンパニー」「コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー」「グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー」「グローバルマーケッツカンパニー」「アセットマネジメントカンパニー」および「その他」の事業を展開しています。
■リテール・事業法人カンパニー
国内の個人、中小企業、中堅企業の顧客に対し、グループ一体となった総合資産コンサルティングや、先進技術を活用した金融・非金融サービス等を提供しています。
貸出・預金・決済といった金融仲介機能やコンサルティングから得られる各種手数料、金利収益等を主な収益源としています。事業運営はみずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券などが連携して行っています。
■コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
国内の大企業法人、金融法人、公共法人の顧客向けに、M&Aや不動産関連ビジネスなどの投資銀行プロダクツを通じて、オーダーメイド型のソリューションを提供しています。
各種ファイナンスやアドバイザリー業務、不動産仲介等に伴う手数料や利息等を主な収益源としています。みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券などのグループ各社が一体となって事業を展開しています。
■グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー
海外に進出する日系企業および非日系企業の顧客を対象に、事業への深い理解と銀証連携を軸とした金融ソリューションを提供し、グローバルな事業展開を支援しています。
海外での貸出金利息や資本市場ビジネス、トランザクションバンキングに伴う手数料等を主な収益源としています。みずほ銀行やみずほ証券の海外拠点などが連携して事業を運営しています。
■グローバルマーケッツカンパニー
顧客のヘッジや運用ニーズに対してマーケット商品全般を提供するセールス&トレーディング業務や、資金調達・ポートフォリオ運営などのALM・投資業務を行っています。
金融商品のセールス・トレーディングに伴う収益や、投資ポートフォリオからの運用収益等を主な収益源としています。みずほ銀行やみずほ証券などが連携し、市場動向に応じた柔軟な運用を実施しています。
■アセットマネジメントカンパニー
個人から機関投資家まで幅広い顧客のニーズに応じた商品開発や資産運用サービスを提供し、顧客の中長期的な資産形成をサポートしています。
投資信託の運用報酬や投資顧問料、年金基金向けのコンサルティング手数料等を主な収益源としています。みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券およびアセットマネジメントOneなどが一体で事業を展開しています。
■その他
上記の各報告セグメントに含まれない事業や、グループ全社横断的な機能を提供するユニットに関する業務を含んでいます。
リサーチ機能やコンサルティング機能の提供、トランザクション分野のソリューション提供等による各種手数料が収益源となります。みずほ銀行やみずほリサーチ&テクノロジーズなどが事業を運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、経常利益は5,598億円から15,732億円へと持続的な拡大傾向にあり、堅調な成長を遂げていることが分かります。当期利益についても安定した推移を示しており、収益基盤の強化が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | 5,598億円 | 7,896億円 | 9,140億円 | 11,681億円 | 15,732億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4,055億円 | 2,656億円 | 5,530億円 | 5,328億円 | 5,631億円 |
■(2) 損益計算書
本業の収益力を示す営業利益は、直近の2期間において安定的な成長を維持しています。堅調なビジネス基盤を背景に、着実に利益を積み上げていることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 5,287億円 | 5,586億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が171億円、土地建物機械賃借料が162億円、業務委託費が124億円となっています。
■(3) セグメント収益
各セグメントにおいて前期間から収益と利益が順調に拡大しています。特にコーポレート&インベストメントバンキングカンパニーが高い利益率を維持しており、全体業績を牽引していることが分かります。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リテール・事業法人カンパニー | 8,322億円 | 9,846億円 | 1,403億円 | 2,375億円 | 24.1% |
| コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー | 6,367億円 | 7,393億円 | 4,060億円 | 4,998億円 | 67.6% |
| グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー | 8,094億円 | 8,570億円 | 3,654億円 | 3,677億円 | 42.9% |
| グローバルマーケッツカンパニー | 5,086億円 | 6,649億円 | 1,569億円 | 2,600億円 | 39.1% |
| アセットマネジメントカンパニー | 598億円 | 736億円 | 119億円 | 197億円 | 26.8% |
| その他 | 1,189億円 | 1,964億円 | 638億円 | 765億円 | 39.0% |
| 連結(合計) | 29,657億円 | 35,157億円 | 11,443億円 | 14,611億円 | 41.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる末期型のキャッシュ・フロー状況です。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に特定取引資産の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -38,208億円 | -48,385億円 |
| 投資CF | 37,931億円 | -6,668億円 |
| 財務CF | -2,990億円 | -5,232億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は3.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
基本理念は、「みずほは、フェアでオープンな立場から、時代の先を読み、お客さま、経済・社会、そして社員の〈豊かな実り〉を実現する。」です。また、グループの存在意義を示すパーパスとして「ともに挑む。ともに実る。」を掲げ、すべての活動の根幹となる価値観を通じて社会課題の解決と企業の持続的成長の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
パーパスを実現するための価値観と行動軸として「変化の穂先であれ。」というバリューを定めています。Integrity(誠心誠意行動する)、Passion(楽しく働く)、Agility(果敢に実践する)、Creativity(創造力を磨く)、Empathy(協力する)の5つの要素を重視し、多様な意見を取り入れながら前例のないイノベーションを創出する自律的な組織文化の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
「個人の幸福な生活とそれを支えるサステナブルな社会・経済」を目標とする「ありたき世界」から逆算し、2028年度に向けた中期財務目標を設定し経営を行っています。
・ROE:12%超を安定的に実現
・連結業務純益:1.8〜2.0兆円
■(4) 成長戦略と重点施策
「マスリテール」「ウェルスマネジメント&アセットマネジメント」「企業成長支援」「グローバルCIB」の4つの領域を重点戦略と位置づけています。デジタル技術の活用による顧客利便性の向上や、脱炭素化・サステナビリティ実現に向けた支援を強化し、各カンパニーの機能を相互に連携させる「4+α」戦略を通じて、グループ一体での価値創造と競争力向上を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「社員ナラティブ」を重視し、社員一人ひとりが自分らしくキャリアに向き合い成長できる環境の提供に取り組んでいます。また、ビジネス戦略と人事戦略を連動させる「戦略人事」を徹底し、年次や経験によらず役割の大きさに応じた適材適所の配置や多様な人材の確保・育成を進めることで、組織全体のモチベーション向上と持続的な人材力の強化を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.5歳 | 16.9年 | 11,665,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 21.4% |
| 男性育児休業取得率 | 96.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 53.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 59.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 35.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(65%)、インクルージョンスコア(69%)、海外現地採用社員の管理職比率(87%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 金融経済環境の変化と市場リスク
国内外のインフレ再燃や景気減速、金融政策の変更等により、資産価格の下落や金利変動が発生し、保有する有価証券の評価損や与信関係費用が増加する可能性があります。
(2) 情報漏えいとサイバーセキュリティ
高度化するサイバー攻撃や人為的ミスにより、重要な顧客情報の漏えいや大規模なシステム障害が発生した場合、損害賠償や行政処分を受け、社会的信用が大きく毀損するおそれがあります。
(3) 気候変動への対応と環境リスク
脱炭素社会への移行に伴う政策変更や自然災害の激甚化により、取引先の業績悪化を通じた与信リスクが高まるほか、不適切な事業活動を支援したとみなされた場合のレピュテーション低下が懸念されます。
(4) コンプライアンス・金融犯罪対策
複雑化するマネー・ローンダリングやテロ資金供与等への対策が不十分な場合、あるいは役職員の法令違反が発覚した場合には、業務停止命令や巨額の制裁金が科されるリスクが存在します。



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