リクルートホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リクルートホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。HRテクノロジー、マッチング&ソリューション、人材派遣の3事業を展開。直近決算では、為替のプラス影響やHRテクノロジー事業の成長等により、売上収益は3兆5,575億円で増収、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,085億円で増益となりました。


※本記事は、株式会社リクルートホールディングス の有価証券報告書(第65期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. リクルートホールディングスってどんな会社?

HRテクノロジー、販促メディア、人材派遣等をグローバルに展開し、テクノロジーでマッチングを進化させる企業です。

(1) 会社概要

1960年に大学新聞広告社として創業し、1962年に「企業への招待」を創刊してマッチング事業を確立しました。2012年にIndeedを買収し、持株会社体制へ移行して商号を変更しました。2014年に東京証券取引所へ上場し、2018年にはGlassdoorを買収してグローバル展開を加速させています。

連結従業員数は49,480名、単体従業員数は116名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 19.27%
日本カストディ銀行(信託口) 7.28%
STATE STREET BANK AND TRUSTCOMPANY 505001 4.14%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性4名の計12名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表者は代表取締役社長 兼 CEOの出木場 久征氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
出木場 久征 代表取締役社長 兼 CEO 1999年入社。Indeed, Inc. CEO等を経てHRテクノロジー事業を成長させ、2021年4月より現職。
峰岸 真澄 代表取締役会長 兼 取締役会議長 1987年入社。2012年よりCEOとしてグローバル化と上場を牽引。2021年4月より現職。
瀬名波 文野 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO 2006年入社。英国子会社再建やIndeed幹部を経て、2021年4月より現職。
Rony Kahan 取締役 Indeed, Inc.共同創業者。同社CEO等を経て2013年より会長。2018年6月より現職。


社外取締役は、泉谷 直木(元アサヒグループホールディングス会長)、十時 裕樹(ソニーグループ社長CEO)、本田 桂子(元多数国間投資保証機関長官CEO)、Katrina Lake(Stitch Fix創業者)です。

2. 事業内容

同社グループは、「HRテクノロジー」「マッチング&ソリューション」「人材派遣」事業を展開しています。

HRテクノロジー事業

求職者と企業をつなぐオンライン求人プラットフォーム「Indeed」や「Glassdoor」を提供しています。

求人広告のクリック課金や掲載課金、採用課金等により、企業クライアントから収益を得ています。運営は、RGF OHR USA, Inc.やIndeed, Inc.、Glassdoor LLCなどが行っています。

マッチング&ソリューション事業

住宅、美容、旅行等の販促領域および人材領域で、オンラインプラットフォームや業務支援SaaSを提供しています。

広告掲載料や課金、SaaS利用料等を企業クライアントから受け取ります。運営は主に株式会社リクルートが行っています。

人材派遣事業

国内および海外で、事務職、製造業務、専門職等の人材派遣サービスを提供しています。

派遣スタッフの稼働実績に応じた派遣料金を顧客企業から受け取ります。運営は、株式会社リクルートスタッフィング、株式会社スタッフサービス・ホールディングス、RGF Staffing B.V.などが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

連結業績は拡大傾向にあります。売上収益は3兆円台半ばまで伸長し、利益面でも税引前利益が5,000億円を超える水準に達しています。利益率は10%台前半から半ばで推移しており、高い収益性を維持しながら成長を続けています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 22,693億円 28,717億円 34,295億円 34,165億円 35,575億円
税引前利益 1,685億円 3,827億円 3,678億円 4,262億円 5,271億円
利益率(%) 7.4% 13.3% 10.7% 12.5% 14.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 1,314億円 2,968億円 2,698億円 3,537億円 4,085億円

(2) 損益計算書

直近2期間の業績を見ると、売上収益および各段階利益ともに増加しています。売上総利益率は58%前後で安定しており、営業利益率も改善傾向にあります。コストコントロールを行いながら、収益性の向上を実現しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 34,165億円 35,575億円
売上総利益 19,645億円 20,856億円
売上総利益率(%) 57.5% 58.6%
営業利益 4,025億円 4,905億円
営業利益率(%) 11.8% 13.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が7,502億円(構成比48.1%)、広告宣伝費が2,472億円(同15.9%)を占めています。

(3) セグメント収益

全セクションで増収となりました。HRテクノロジー事業は為替影響やIndeed PLUSの貢献等により増収、マッチング&ソリューション事業も販促領域が好調で増収、人材派遣事業は国内が堅調で増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
HRテクノロジー 10,118億円 11,266億円
マッチング&ソリューション 8,078億円 8,160億円
人材派遣 16,342億円 16,670億円
調整額 -374億円 -521億円
連結(合計) 34,165億円 35,575億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ資金を、投資や株主還元、借入返済に充当する安定した財務状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 5,354億円 6,104億円
投資CF -688億円 -611億円
財務CF -3,346億円 -8,805億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は、基本理念として「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」を掲げています。また、ビジョンとして「Follow Your Heart」、ミッションとして「まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。」を定めています。

(2) 企業文化

同社は、「バリューズ(大切にする価値観)」として、「新しい価値の創造」「個の尊重」「社会への貢献」の3つを掲げています。常識を疑い変化を楽しむこと、一人ひとりの好奇心や情熱に投資すること、企業活動を通じて持続可能で豊かな社会に貢献することを重視しています。

(3) 経営計画・目標

同社は、長期的な利益成長と企業価値の最大化に向け、主な経営指標として「調整後EBITDA」を設定しています。この指標の達成度を役員報酬に連動させることで、株主との価値共有を促進しています。

(4) 成長戦略と重点施策

同社は、経営戦略として「Simplify Hiring」(採用プロセスの効率化)、「Help Businesses Work Smarter」(企業クライアントの生産性向上)、「Prosper Together」(ステークホルダーとの共存共栄)を掲げています。

* HRテクノロジー事業や人材派遣事業によるグローバル人材マッチング市場でのソリューション提供
* マッチング&ソリューション事業によるSaaS等の業務・経営支援ツールの提供拡大
* 環境・社会・ガバナンス(ESG)目標の達成に向けた取り組み

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は、創業以来の価値観である「個の尊重」に基づき、従業員一人ひとりの違いを大切にし、好奇心や情熱に投資することで新たな価値を創造することを目指しています。多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、ジェンダーパリティ(男女比率の均等化)の実現に向けた取り組みを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.5歳 8.5年 11,453,407円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 47.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.0%
男女賃金差異(正規雇用) 82.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 161.7%


※上記データは提出会社(単体)のものです。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員に占める女性の割合(50.3%)、管理職に占める女性の割合(45.8%)、上級管理職に占める女性の割合(27.5%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

事業運営において大量の個人情報や機密情報を扱っており、各国の複雑化する法規制への対応が必要です。サイバー攻撃や人為的ミス等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償や行政処分、社会的信用の毀損を招く恐れがあります。また、法規制の強化によりデータの利活用が制限された場合、競争優位性が低下する可能性があります。

(2) 景気の動向等のマクロ環境に関するリスク

同社グループの業績は、日本、米国、欧州等の経済・社会情勢の影響を受けます。特に人材マッチング事業は企業の雇用環境に、販促領域は個人消費や広告宣伝費の動向に左右されます。急激なインフレ、金利上昇、地政学的リスク等が顕在化し、景気が後退した場合、求人需要や広告出稿が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合に関するリスク

事業展開する市場には多数の競合が存在し、新規参入も容易なため競争が激化する傾向にあります。巨大テクノロジー企業を含む競合他社に対し、技術、資金、ブランド等で劣後した場合や、ユーザーニーズへの対応が遅れた場合、市場シェアを失う可能性があります。また、価格競争や新サービス開発競争により収益性が低下する恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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