※本記事は、株式会社日立製作所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
日立製作所は、ITとOT、高品質なプロダクトを融合し、社会インフラをデジタルで革新するグローバルリーダーです。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4つのセクターで幅広い事業を展開します。
単体従業員数は25,934名、連結従業員数は287,901名です。セグメントはデジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズ、その他の5つです。
主な国内グループ会社は、〔BU〕、社会BU、金融BU、AI&ソフトウェアサービスBU、デジタルエンジニアリング&AIソリューションBUなどです。
同社グループは、2026年4月1日付で事業群の再編を実施し、報告セグメントの区分を変更しました。また、AI関連企業の買収や一部事業の資本再編など、事業ポートフォリオ改革を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日立製作所は、社会イノベーション事業を通じてグローバルな社会・環境課題の解決に貢献し、サステナブルな社会の実現をめざしています。人こそが価値の源泉であるという考えのもと、経営計画「Inspire 2027」と連動した人的資本への積極的な投資を進めています。グローバルな競争環境に対応するため、人材の獲得・育成・配置、報酬制度、そしてHRプラットフォームの強化に注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も比較的高い水準であり、経験豊富な人材が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,949,714円 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 単体従業員数 | 25,934人 |
| 連結従業員数 | 287,901人 |
| 単体のグループ内比率 | 9.0% |
退職給付制度は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を設けています。当社および一部の子会社において、ほぼ全ての従業員が対象となっています。
退職一時金制度があり、退職者に対し一時金を支給するもので、給付は退職時の給与水準および勤続年数等に基づき算定されます。なお、退職給付債務は1兆114億円、年金資産は1兆114億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日立製作所は「人こそが価値の源泉である」という考えのもと、経営計画と連動した人材戦略を推進しています。世界中の従業員の力を強化・結集し、「真のOne Hitachi」として顧客と社会に価値を提供することを目指しています。グローバル共通の「グローバル報酬フィロソフィー」を定め、「市場競争力の確保」「ペイ・フォー・パフォーマンス」「透明性の維持」の三原則に基づき報酬設計を行っています。
新たなグローバル人材戦略では、「タレントマネジメント」「トータルリワード」「One HRプラットフォーム」の3つを重点領域と位置づけ、体系的に取り組みを進めています。具体的には、職務を基軸とした人材の獲得・育成・配置の促進によるシナジー強化、持続的な成長に向けたリーダー育成に取り組んでいます。また、ハイパフォーマンス文化の醸成や、譲渡制限付株式報酬ユニット(RSU)制度、従業員持株制度(従業員持株会およびESPP)を通じた従業員へのインセンティブ付与により、企業価値向上を目指しています。
さらに、AIの専門性強化と実装推進、そして「One Hitachi」の連携に向けたグローバル人材プラットフォームの強化も進めています。日本においては、ジョブ型人材マネジメントを推進し、社内公募制度の活用や新卒採用におけるジョブマッチング型採用を導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。育児休業取得率の「(*)」は、育児目的休暇の取得者を分子に含みます。適用する人事処遇制度において性別による差異はありませんが、当社の人員構成を背景に、管理職を含む上位の等級における男性の割合が高いこと、短時間勤務を行う従業員の割合が男性に比べ女性の方が高いこと等により、男女一人あたりの賃金に差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合 | 8.9% |
| 男性の育児休業取得率 | 94.5% (*) |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員) | 71.6% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員) | 72.8% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員) | 59.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。育児休業取得率の「(*)」は、育児目的休暇の取得者を分子に含みます。「(**)」は、育児目的休暇の取得者を分子に含みません。適用する人事処遇制度において性別による差異はありませんが、各社の人員構成を背景に、管理職を含む上位の等級における男性の割合が高いこと、短時間勤務を行う従業員の割合が男性に比べ女性の方が高いこと等により、男女一人あたりの賃金に差が生じています。
▼ 日立アイイーシステム
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合 | 1.4% |
| 男性の育児休業取得率 | 100.0% (*) |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員) | 74.9% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員) | 76.4% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員) | 49.6% |
▼ 日立ICTビジネスサービス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合 | 13.4% |
| 男性の育児休業取得率 | 75.0% (*) |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員) | 79.3% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員) | 71.6% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員) | 84.2% |
▼ 日立アカデミー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合 | 26.0% |
| 男性の育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員) | 94.8% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員) | 92.6% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員) | 103.1% |
グループ全体(連結)
当連結会計年度における実績を記載しています(一部海外グループ会社を除く)。自社から他社への出向者および休職者を含め、他社から自社への出向者を除いた在籍人員数に基づきます。当グループ(日本以外連結)については、一部直接員、一部新規連結対象会社従業員およびグレード未登録の従業員は含みません。男女の賃金の額の差異は、原則従業員250名以上の会社が対象で、年間基本賞与、手当、変動賞与を含めた想定される現金報酬を基本として算出しています。適用する人事処遇制度において性別による差異はありませんが、人員構成を背景に、管理職を含む上位の等級における男性の割合が高いこと、短時間勤務を行う従業員の割合が男性に比べ女性の方が高いこと等により、男女一人あたりの賃金に差が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合(当社及び当グループ) | 17.4% |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員)(当社及び当グループ) | 82.4% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員)(当社及び当グループ) | 83.5% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員)(当社及び当グループ) | 67.1% |
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合(うち、当グループ(日本国内連結)) | 6.8% |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員)(うち、当グループ(日本国内連結)) | 72.9% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員)(うち、当グループ(日本国内連結)) | 73.9% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員)(うち、当グループ(日本国内連結)) | 65.1% |
| 管理的地位にある労働者に占める女性従業員の割合(うち、当グループ(日本以外連結)) | 22.7% |
| 男女の賃金の額の差異(全従業員)(うち、当グループ(日本以外連結)) | 91.2% |
| 男女の賃金の額の差異(無期雇用・フルタイム従業員)(うち、当グループ(日本以外連結)) | 91.3% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期雇用従業員)(うち、当グループ(日本以外連結)) | 83.7% |
PLEDGESにおける指標
従業員株式報酬におけるRSU付与対象人数は、海外法規制により株式を交付することが困難な国の居住者等に対しては、信託による当社株式の交付に代えて、RSU相当額の金銭を給付します。TRIFR(総災害発生率)は、20万労働時間当たりの死傷者数を示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 成長戦略を実現するグローバルリーダー数 | 約550人 |
| AIプロフェッショナル人財数 | 約39,000人 |
| 従業員成長マインドセットスコア | 69.2ポイント |
| 従業員エンゲージメントスコア | 73.3ポイント |
| 従業員株式報酬におけるRSU付与対象人数 | 約1,800人 |
| ESPP対象人数 | 約130,000人 |
| 死亡災害件数 | 年間4件 |
| TRIFR(総災害発生率) | 0.15 |
その他重要指標
役員層における女性比率は、当社単体の目標および実績で、役員層は、当社執行役および理事をいいます。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 役員層における女性比率 | 15.9% |
| 役員層における民族的・文化的多様性比率(グローバル目標) | 23.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日立製作所グループは、最先端のデジタル技術であるIT、現場の知見に基づく制御・運用技術(OT)、そして高品質なプロダクトを組み合わせ、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーを目指しています。事業を通じて幅広い業界の現場で得たドメインナレッジを活かし、世界中の社会インフラが抱える課題解決に挑んでいます。
同社グループは、社会やビジネスが生み出すデータから新たな価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するためのエンジンとしてLumada(ルマーダ)を展開しています。Lumadaは、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称であり、顧客の持つデータに光をあてて新たな価値や知見を創出し、顧客や社会全体の課題解決や成長に貢献することを目的としています。
Lumada3.0では、グローバルに展開するプロダクトやITシステムを「デジタライズドアセット」と位置づけ、そこからリアルタイムに収集されるデータを日立のドメインナレッジとAIを用いて分析し、「デジタルサービス」として提供しています。このデジタルサービスの代表例が、AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX」であり、モビリティ、エネルギー、インダストリーなどの業界に向けて展開を進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
日立製作所グループは、「デジタルシステム&サービス」「エナジー」「モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の4つのセクターを成長分野と位置付け、関連するビジネスユニットを各セクターに配置しています。これに「その他」を加えた合計5セグメントにわたり、製品の開発、生産、販売、サービスに至る幅広い事業活動を展開しています。
デジタルシステム&サービス
デジタルソリューション(システムインテグレーション、クラウドサービス、コンサルティングサービス)、ITプロダクツ(ストレージ、サーバ)、ソフトウェア、ATMなどを提供しています。収益は、国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)及びモダナイゼーションを中心としたフロントビジネス事業の堅調な推移やLumada事業の拡大により得ています。欧米顧客の投資抑制影響によりサービス&プラットフォーム事業は減収となりましたが、セグメント全体では増収となりました。
エナジー
エネルギーソリューション(パワーグリッド、原子力)を提供しています。収益は、パワーグリッド事業における大型プロジェクト等の好調な推移、受注残の着実な売上転換及び為替影響等により得ています。セグメント全体で増収となり、Adjusted EBITAも増加しました。
モビリティ
鉄道システムを提供しています。収益は、為替影響に加え、Thales社の鉄道信号関連事業の買収影響や信号システム事業を含むLumada事業の堅調な推移等により得ています。セグメント全体で増収となり、Adjusted EBITAも増加しました。
コネクティブインダストリーズ
ビルシステム(エレベーター、エスカレーター)、生活・エコシステム(家電、空調)、産業機器・ソリューション、計測分析システム(半導体製造装置、医用分析装置)、産業・流通ソリューション、水・環境ソリューションなどを提供しています。収益は、半導体製造装置事業が堅調に推移した計測分析システム事業や産業機械事業が堅調に推移したインダストリアルプロダクツ&サービス事業等が増収となった一方で、中国における新設昇降機の需要減少等に伴いビルシステム事業が減収となったこと等により、セグメント全体では減収となりました。Adjusted EBITAは増益となりました。
その他事業
不動産の管理・売買・賃貸などを行っています。売上収益は前年度に比べて増加し、Adjusted EBITAも増加しました。
同社グループの売上収益全体に占める海外売上収益の比率は、前年度に比べて2ポイント増加し、63%となっています。特に欧州や北米で増収となりました。特定の単一顧客に売上収益が集中している状況はありません。
| セグメント | 売上収益(2025年3月期) | 売上収益(2026年3月期) | セグメント利益(2025年3月期) | セグメント利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| コネクティブインダストリーズ | 3兆2,803億円 | 3兆2,628億円 | 3,454億円 | 3,674億円 | 11.3% |
| エナジー | 2兆6,270億円 | 3兆2,200億円 | 2,520億円 | 4,160億円 | 12.9% |
| デジタルシステム&サービス | 2兆8,326億円 | 2兆9,401億円 | 3,941億円 | 4,501億円 | 15.3% |
| モビリティ | 1兆1,714億円 | 1兆3,216億円 | 949億円 | 1,081億円 | 8.2% |
| その他事業 | 4,975億円 | 5,311億円 | 119億円 | 230億円 | 4.3% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
日立製作所グループの過去5期間の業績を見ると、売上収益は変動しつつも直近では増加傾向にあります。税引前当期利益および親会社株主に帰属する当期利益も、直近の期において大きく増加しています。特に当連結会計年度では、売上収益、税引前当期利益、親会社株主に帰属する当期利益のいずれも前年度から大幅な増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 10兆2,646億円 | 10兆8,812億円 | 9兆7,287億円 | 9兆7,834億円 | 10兆5,868億円 |
| 税引前利益 | 8,393億円 | 8,200億円 | 8,258億円 | 9,627億円 | 1兆2,731億円 |
| 税引前利益率 | 8.2% | 7.5% | 8.5% | 9.8% | 12.0% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 5,835億円 | 6,491億円 | 5,899億円 | 6,157億円 | 8,024億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 120.75 | 136.91 | 126.91 | 133.85 | 176.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
日立製作所グループの従業員1人あたりの売上収益(連結)は、当期において前期から増加しています。また、従業員1人あたりの税引前利益(連結)も、当期において前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と組織効率化の進展を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 34.6百万円 | 36.8百万円 |
| 従業員1人あたり税引前利益(連結) | 3.4百万円 | 4.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、堅実な事業活動を通じて安定した資金を創出し、財務基盤を強化しています。これにより、将来に向けた投資余力も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と比較して同水準にあり、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な資本活用が進んでいることがうかがえます。手元資金も潤沢に確保されており、事業環境の変化や不測の事態にも対応できる耐性があると考えられます。これらの要素は、長期的な雇用や給与の安定性につながる基盤となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 5兆8,471億円 | 6兆5,684億円 |
| 自己資本比率 | 44.0% | 43.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.7% | 12.9% |
| 現金及び現金同等物 | 8,662億円 | 1兆3,235億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが大幅な収入超過となっています。これは、当期利益の増加や契約負債の獲得によるもので、事業の収益性が高いことを示しています。投資活動によるキャッシュフローは支出超過ですが、前年度の大型買収の反動やJCH株式売却による収入もあり、戦略的な投資と資産の最適化を進めている状況です。
財務活動によるキャッシュフローは支出超過となっており、自己株式の取得や借入金の純支出が増加しています。結果として、営業活動によるキャッシュフローが投資活動によるキャッシュフローを大きく上回るフリーキャッシュフローを創出しており、本業で安定的に資金を生み出し、成長投資と株主還元を両立できる財務体質であることがうかがえます。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長を期待できる要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1兆1,722億円 | 1兆6,681億円 |
| 投資CF | △5,736億円 | △3,416億円 |
| 財務CF | △4,241億円 | △9,710億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5,986億円 | 1兆3,265億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、幅広い事業分野において多様な競合相手が存在し、AIやロボティクス等の先端技術の進展により競争環境が大きく変化するリスクを認識しています。また、社会イノベーション事業の強化を戦略として掲げていますが、この戦略が期待通りの効果を得られない可能性もリスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業遂行に必要な優秀な人材の採用と確保が競争力維持に不可欠であると認識しています。特に、グローバルに活躍できる人材やAIプロフェッショナル人材の獲得競争が激化しており、これらの人材を確保し続けられない可能性をリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日立製作所は、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、グローバルな社会課題の解決と持続的な成長を目指しています。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、多様性を尊重する企業文化を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」ことを企業理念としています。同社グループは、顧客に対し、より高い価値をもたらす競争力のある製品・サービスを提供することで、一層の発展を遂げることを目指しています。
経営計画「Inspire 2027」のもと、デジタルを軸とした企業への変革を進め、持続的な成長を実現するとともに、環境・人々の幸福・経済成長が調和する「ハーモナイズドソサエティ」の実現に貢献することを目指しています。顧客、株主、従業員を含むステークホルダーの期待に応え、企業価値の向上を図っていくことを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「人こそが価値の源泉である」との考えを基盤とし、人的資本への積極的な投資を進めています。グループ一体で日立ならではの価値を創出する「真のOne Hitachi」を掲げ、グローバルに選ばれる雇用者(Employer of choice)となることを目指しています。
サステナビリティを事業戦略の中核に据えた「サステナブル経営」を実践し、地球を守ることと一人ひとりが快適で活躍できる社会が両立する未来の実現に貢献しています。従業員一人ひとりの持つ価値が認められ、尊重され、能力が最大限に発揮できるインクルーシブな職場環境の醸成にコミットしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、長期的な企業価値向上を支える人的資本の強化に取り組んでいます。具体的には、持続的成長をけん引する次世代リーダーの育成やAIプロフェッショナル人財の拡充を進めています。
また、AIによる社内改革とカスタマーゼロ(自社を最初の顧客と捉え、デジタル技術やAIを活用した変革を先行して実践する)としてのAI活用に取り組んでいます。不確実な事業環境下においても、地域ごとに自律的に事業機会を探索することができるグローバル自律分散経営を実践することで、全社の成長を実現しています。
サステナブル経営の深化として、ERM(Enterprise Risk Management:事業環境の変化に伴うリスクと機会を全社的に把握し、経営戦略や意思決定に反映する仕組み)の高度化を通じてアジリティの高い経営を推進しています。次の成長をけん引する新事業・新技術の開発にも継続して取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日立製作所は、会社法に規定する指名委員会等設置会社です。監督と執行の分離を徹底し、迅速な事業運営と透明性の高い経営を実現することを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日立製作所の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。上位の株主には、複数の信託銀行や海外の金融機関が名を連ねています。幅広い機関投資家によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 16.50% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.53% |
| ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001 | 3.28% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は45名(男性38名・女性7名)で構成され、女性役員比率は16.0%です。代表執行役執行役社長兼CEOは德永俊昭氏が務めています。社外取締役比率は72.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 東原 敏昭 | 取締役会長 | 1977年4月 同社入社、情報・通信グループCOO、執行役常務、日立プラントテクノロジー代表執行役社長などを経て、2022年4月 同社取締役会長兼代表執行役より現職。 |
| 德永 俊昭 | 取締役 | 1990年4月 同社入社、日立アプライアンス取締役社長、同社執行役常務、執行役専務、代表執行役執行役副社長などを経て、2025年6月 同社代表執行役執行役社長兼CEO兼取締役より現職。 |
社外取締役は、井原勝美氏(元ソニーフィナンシャルホールディングス取締役会長・指名委員長・監査委員・報酬委員)、桜井恵理子氏(元ダウ・ケミカル日本代表取締役社長・指名委員)、菅原郁郎氏(元経済産業事務次官・指名委員・監査委員)、西島剛志氏(元横河電機取締役会長・監査委員・報酬委員)、ヘルムート・ルートヴィッヒ氏(Southern Methodist大学教授・監査委員)、山本高稔氏(元カシオ計算機顧問・報酬委員長)、ラヴィ・ヴェンカテイサン氏(Capria Ventures Advisors社ベンチャーパートナー)、イザベル・デシャン氏(Rio Tinto社Chief Legal, Governance & Corporate Affairs Officer)です。
同社は会社法に規定する指名委員会等設置会社であり、取締役の過半数を占める社外取締役が独立した立場から執行役の職務執行を監督する体制です。これにより、グローバルかつ多様な視点を取り入れた経営監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日立製作所では、取締役と執行役で異なる報酬体系を採用しています。取締役の報酬は固定報酬である基本報酬と株式報酬で構成され、執行役の報酬は基本報酬に加えて短期インセンティブ報酬と中長期インセンティブ報酬が組み合わされています。特に執行役の報酬では、グローバルな事業成長と企業価値向上を重視し、中長期的な企業価値の向上に報いる株式報酬の拡大を図っています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 1.8億円 | 89.5百万円 |
| 社外取締役 | 11名 | 4.3億円 | 38.7百万円 |
| 執行役 | 28名 | 69.7億円 | 2.49億円 |
合計41名に対し、総額75.7億円の報酬が支給されています。
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった延べ人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、報酬総額には期中に退任した役員の中長期インセンティブ報酬やセベランスが含まれています。
個人別報酬が開示されている役員は、東原敏昭氏(5.27億円)、德永俊昭氏(7.61億円)、阿部淳氏(2.63億円)、ブリス・コッホ氏(13.90億円)、網谷憲晴氏(1.69億円)、加藤知巳氏(1.81億円)、シャシャンク・サマント氏(10.48億円)、アンドレアス・シーレンベック氏(8.19億円)、谷口潤氏(2.01億円)、ロレーナ・デッラジョヴァンナ氏(8.27億円)、永野勝也氏(1.88億円)、長谷川雅彦氏(1.87億円)、ジュゼッペ・マリノ氏(6.33億円)、明田篤弥氏(1.42億円)、小豆島秀典氏(1.04億円)、稲田康徳氏(1.27億円)、今井泰樹氏(1.01億円)、マイケル・グッドマン氏(4.38億円)、久米正氏(1.24億円)、斎藤隆氏(1.26億円)、鮫嶋茂稔氏(1.05億円)、瀧本晋氏(1.00億円)、竹内康浩氏(1.37億円)、中北浩仁氏(1.39億円)、中津英司氏(1.24億円)、貫井清一郎氏(1.64億円)、平井裕秀氏(1.11億円)、ミケーレ・フラッキオーラ氏(1.88億円)、細矢良智氏(1.25億円)、馬島知恵氏(1.24億円)、松村祐土氏(1.10億円)、依田隆氏(1.25億円)、小島啓二氏(4.09億円)、アンドリュー・バー氏(1.44億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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