0 編集部が注目した重点ポイント
① 国内建設事業の好調により過去最高を更新する
2026年3月期の連結業績は、国内建設事業の順調な工事進捗と利益率向上を主因に、5期連続の増収増益を達成しました。売上高3兆672億円、営業利益2,407億円、当期純利益1,773億円はいずれも過去最高を更新しています。施工管理や積算等の専門人材において、これまでにない規模でのキャリア機会が拡大しています。
② 財務戦略を刷新しサプライチェーンを強化する
2026年5月に財務戦略を更新し、持続的な成長を支えるサプライチェーンの強靭化施策に1,000億円程度を投じる事業管理体制の変更を決定しました。協力会社への支払早期化や現金比率の引き上げ、技能者向けポイントサービスの導入を推進します。パートナー連携や調達部門を主導するマネジメント人材の需要が高まっています。
③ 開発物件の売却により当期純利益1700億円を予想する
2027年3月期の通期予想では、国内外における不動産開発物件の確実な売却を見込み、連結当期純利益1,700億円を計画しています。これは中期経営計画の目標である「1,300億円以上」を大きく上回る高水準な見通しです。投資回収フェーズが本格化するなか、グローバルに活躍できる不動産開発や資産運用の専門人材に強い追い風が吹いています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 決算説明会資料 P.5
売上高
3兆672億円
前期比:+5.3%
営業利益
2,407億円
前期比:+58.5%
経常利益
2,404億円
前期比:+49.6%
当期純利益
1,773億円
前期比:+40.9%
当連結会計年度の業績は、売上高が3兆672億円(前期比5.3%増)、営業利益が2,407億円(前期比58.5%増)と大幅な増益を記録しました。手持ち工事の順調な進捗に加え、土木・建築の両事業において徹底した原価低減や追加変更契約の獲得が進んだ結果、売上総利益率が大きく向上しました。建設受注高についても、国内外ともに大型案件の獲得が相乗効果を生み、3兆2,639億円と過去最高を塗り替える極めて高いモメンタムを維持しています。
当期実績は、期中に公表されていた通期予想(売上高3兆300億円、営業利益2,280億円、当期純利益1,700億円)をすべての項目で上回って着地しており、業績の進捗および目標達成に向けた足取りは非常に順調かつ堅調であったと評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 決算説明会資料 P.7
土木事業
【事業内容】国内のインフラ整備や大型公共工事、エネルギー関連施設などの土木工事事業を担っています。
【業績推移】売上高は4,307億円(前期比6.6%増)、営業利益は767億円(前期比114.9%増)となりました。
【注目ポイント】最盛期にある大型工事が順調に進展したほか、適切な施工体制の確保と施工中のリスク管理徹底により、売上総利益率が24.6%と驚異的な水準へ向上しました。今後もインフラ更新や洋上風力発電などの大型プロジェクトへの挑戦が続くため、高度な施工管理や原価管理の専門スキルを持つ人材が強く求められています。
建築事業
【事業内容】先端生産施設、オフィス、都市再開発、宿泊施設にわたる建築工事全般を展開しています。
【業績推移】売上高は1兆1,829億円(前期比12.3%増)、営業利益は832億円(前期比62.6%増)となりました。
【注目ポイント】当期竣工を迎えた大型工事が施工高を大きく押し上げ、売上総利益率は4期ぶりに10%を超える11.8%へと回復しました。受注時採算の改善傾向も続いており、豊富な繰越高を抱えるなかで、全自動墨出しロボットなどのデジタル技術を現場へ導入・応用し、次世代の生産性向上を主導できる技術人材が不可欠となっています。
開発事業等
【事業内容】不動産開発全般、ならびに意匠・構造設計やエンジニアリング全般の事業を行っています。
【業績推移】売上高は964億円(前期比5.8%減)、営業利益は176億円(前期比36.8%減)となりました。
【注目ポイント】大型分譲マンションの引渡しがあった前年同期比では減少したものの、複数のオフィスビル売却を達成し予想を上回る利益を確保しました。今後は優良な賃貸資産の積み上げに加え、外部パートナーとの共同事業化によるリスク低減・資金効率向上に舵を切る戦略を進めており、アセットマネジメントや不動産企画の経験者にとって魅力的なフィールドです。
国内関係会社
【事業内容】国内における建設資機材の販売、専門工事請負、総合リース業、ビル賃貸事業などを担っています。
【業績推移】売上高は4,146億円(前期比16.9%増)、営業利益は357億円(前期比118.1%増)となりました。
【注目ポイント】建設系関係会社の好調な業績に加え、開発系関係会社が保有する販売用不動産の売却が計画通りに実現したことで利益が大幅に倍増しました。グループ内の多角的な事業運営を支え、シナジー創出を統括する経営管理や組織マネジメントのスペシャリストの重要性が年々増しています。
海外関係会社
【事業内容】北米、欧州、アジア、大洋州における建設事業および不動産開発事業を展開しています。(注:カジマ ユーエスエー インコーポレーテッドの連結子会社3社等、計5社が当期より新規連結されています)
【業績推移】売上高は1兆919億円(前期比2.0%減)、営業利益は266億円(前期比32.8%増)となりました。
【注目ポイント】欧州や東南アジアでの建設事業における収益性向上が利益を牽引しました。一方で開発事業は、市況を慎重に見極めて米国等の物件売却時期を次期以降に先送りしたため純利益は減少しましたが、次期以降の確実な回収へと繋げています。金融環境の変化に機動的に対応し、海外での投資・回収サイクルを推進できるグローバル人材が求められています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 決算説明会資料 P.18
2027年3月期の連結業績は、国際情勢の緊迫化にともなうインフレ再燃懸念などを考慮し、売上高2兆9,000億円(当期比5.5%減)、営業利益2,000億円(同16.9%減)と慎重な減収減益の予想を立てています。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は1,700億円を見込んでおり、中期経営計画に掲げる経営目標「1,300億円以上」を大きく上回る好調な推移を維持する見通しです。
質疑応答で言及された情報によると、現時点で中東情勢にともなう工事の中止や延期はないものの、石油由来製品の調達コスト上昇をあらかじめ業績予想に織り込んでいます。成長セクターであるデータセンター(2025年度は約600億円受注)や原子力再稼働に向けた安全対策工事(毎年1,000億円規模の売上高が持続する見通し)が今後の牽引役となります。さらに、先送りした米国流通倉庫をはじめ、欧州の再エネ施設、アジアのオフィスなど海外の開発物件が次期に本格的な回収フェーズへ移行し、全地域で黒字化と大きな利益貢献が見込まれています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
鹿島建設は、強固な受注時採算の改善と徹底した現場のリスク管理によって、中期経営計画を上回る確固たる利益成長基盤を証明しています。特筆すべきは、政策保有株式の縮減を大幅に前倒しして得た原資を、株主還元の拡充やサプライチェーンの強靭化に向けた1,000億円規模の投資へ大胆にアロケーションする先進的な経営姿勢です。単に規模を拡大するのではなく、資本効率、パートナー企業との確かな共創、そして環境配慮型コンクリート(CO2-SUICOM等)やAIを活用した独自の技術力による付加価値創造に重きを置く同社の戦略に共感し、自身の経験を活かして建設バリューチェーンの高度化に貢献したいという動機を組み立てることで、面接官の深い納得感を得られます。
面接での逆質問例
・2026年5月に更新された財務戦略において、持テ続的な成長を支えるサプライチェーン強化に1,000億円規模を投じ、協力会社への支払早期化や現金比率引き上げを実施する方針が示されました。この施策によって協力会社の財務基盤が強固になるなか、現場の最前線を担う技術者やマネジメント人材に対し、パートナー企業とのさらなる共創関係の深化や、より高効率な施工体制の構築において、具体的にどのようなアクションやリーダーシップを期待されていますでしょうか。
・海外開発事業において、金利動向や不動産市況を慎重に見極めつつ投資・回収サイクルを着実に回転させ、次期には全地域での黒字化と利益貢献の加速を目指すフェーズに移行すると伺いました。この海外物件のリーシングや持分売却戦略を現場レベルで推進していくにあたり、中途採用のグローバル人材が即戦力として突破口を開くために、どのような経験やマインドセットが最も求められているかお聞かせください。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
ものづくりの醍醐味を実感できる環境
社内研修が充実しており、OJTや現場見学を通じてスキルアップが可能です。特に、社会インフラの構築に携わることで得られる使命感と責任感は、日々の業務に大きなやりがいを与えてくれます。最先端の技術を駆使した大規模なプロジェクトに参加することで、ものづくりの醍醐味を実感できる環境です。
(20代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]オンとオフの切り替えが難しい
仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちな環境です。特に現場によっては、週末も業務が続くことがあり、電話対応が求められることも少なくありません。そのため、休日でも完全に仕事から離れるのは難しいと感じることがあります。
(40代後半・システムエンジニア・男性}) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 鹿島建設株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 鹿島建設株式会社 2025年度 決算説明会資料
- 2025年度 通期決算説明会 主な質疑応答(要旨)



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